Spring Dampers

スプリングとダンパの結合性、プロパティ、および初期条件の編集ではSpring Damperツールを使用します。

スプリングダンパの作成

スプリングダンパは、コイルスプリングダンパまたはトーションスプリングダンパです。

  1. Project Browserから、スプリングダンパの追加先とするシステムを選択します。
  2. Projectブラウザでシステムを右クリックし、コンテキストメニューからAdd > Force Entity > SpringDamperの順に選択します。
    または
    Projectブラウザでスプリングダンパフォルダーを右クリックし、コンテキストメニューからAdd Spring Damperを選択します。
    または
    ForceツールバーのSpring Damperボタンを右クリックします。
    Add SpringDamper or SpringDamperPairダイアログが表示されます。
  3. ラベルと変数名を指定します。
    デフォルトで、MotionView内のエンティティの変数名は特定の規則に従います。例えば、すべてのスプリングダンパエンティティの変数名は“sd_”で始まります。これは、MotionViewでモデルを構築する場合に従う推奨規則であり、モデル編集やモデル操作において様々なメリットが得られます。
  4. シングルスプリングダンパを作成するか、スプリングダンパペアを作成するかを選択します。
    MotionViewで作成するほとんどのエンティティと同様に、スプリングダンパエンティティはシングルエンティティまたはペアエンティティにすることができます。ペアのエンティティは、対称の特性を持つモデルを作成する場合に役立ちます。
  5. ドロップダウンメニューからスプリングダンパを選択します。
    オプション 詳細
    コイルスプリング 2点間の距離と相対速度の関数である2つのボディ上の2点間の並進作用線フォースを生成します。
    トーションスプリング 2つのボディ間の相対角度変位と相対角度速度の関数である2つのボディ間のモーメントを生成します。
  6. OKをクリックしてウィンドウを閉じるか、Applyをクリックしてエンティティの作成を継続します。
    スプリングダンパエンティティをモデルに追加すると、パネル領域にそのスプリングダンパのパネルが自動的に表示されます。
Tip: コイルスプリングの場合は、Create explicit graphicsチェックボックスをアクティブにして、そのスプリングダンパに関連するグラフィックを作成します。

スプリングダンパの編集

スプリングダンパの結合性の定義

Spring DampersパネルのConnectivityタブでは、スプリングダンパーの取り付けボディと取り付け点を定義することが可能です。

  1. 現時点でSpring Dampersパネルが表示されていない場合は、Project Browserまたはmodeling windowで目的のスプリングダンパをクリックして選択します。
    Spring Dampersパネルが自動的に表示されます。
  2. ドロップダウンメニューから、スプリングのタイプとしてコイルまたはトーションを選択します。
    Note: 選択したスプリングダンパがペアエンティティの場合は、まず、パネルでLeftタブとRightタブを区別してから、プロパティを編集します。ペアのスプリングダンパを定義する場合は、ボディやポイントなどにペアエンティティを使用します。
    Tip: スプリングのプロパティを対称にするにはSymmetric propertiesオプションをチェックします。このオプションをアクティブにすると、ペアエンティティのどちら側(左または右)の値を使用するかを尋ねるメッセージがMotionViewに表示されます。片側を選択すると、その側の値が“マスター”となり、他の側の値はグレイアウトされ、マスター側の値に準じます。
  3. Body 1コレクターをクリックして、スプリングダンパの結合先とする最初のボディをmodeling windowで選択するか、同じコレクターをダブルクリックしてModel Treeを開きます(ここから目的のボディを選択できます)。
  4. 同様に、Body 2コレクターをクリックして、スプリングダンパの結合先とする2番目のボディを選択します。
  5. スプリングダンパの取り付け点を定義します。
    コイルスプリングの場合は、Point 1コレクターを使用して、最初のボディ上でスプリングダンパの結合先とするポイントを選択し、Point 2コレクターを使用して、2番目のボディ上の同様なポイントを選択します。これらのポイントを定義すると、2つのポイント間の距離が表示されます。

    トーションスプリングの場合は、1番目のPointコレクターを使用して原点を定義し、2番目のPointコレクターを使用して回転軸を定義します。または、コレクターの左にあるドロップダウン矢印をクリックしてVectorを選択し、modeling windowまたはModel Treeからベクトルを選択します。

スプリングダンパのプロパティの定義

Spring DampersパネルのPropertiesタブでは、コイルスプリングまたはトーションスプリングの並進または回転剛性および減衰特性を定義することが可能です。

  1. Propertiesタブをクリックします。
  2. コイルスプリングダンパの場合は、ドロップダウンメニューのオプションを使用してスプリング力(K)を定義します。
    Linearを選択した場合は、コイルスプリングの線形剛性係数として正の実数を入力します。
    Curveを選択した場合は、スプリングダンパによって伝達されるスプリング力を、1つの独立変数の関数であるカーブの形式で表現して定義します。
    1. Interpolationで、カーブ上にある2つのデータポイント間を補間する方法として、AKIMACUBIC、LINEAR、またはQUINTICを選択します。
    2. Independent variableの下に値を入力します。
      デフォルトでは、独立変数には式{sd.DM}が入力されます。sdは、スプリングダンパの変数名です。
    3. Curveコレクターをダブルクリックし、Select a Curveダイアログからカーブを選択することにより、カーブを解決します。
      Note: カーブを使用するには、まず、Curvesパネルを使用して、スプリングダンパの動作を表すカーブを定義する必要があります。
    Sline3Dを選択した場合は、スプリングダンパによって伝達されるスプリング力を、2つの独立変数の関数である3Dスプラインの形式で表現して定義します。
    1. XY平面上の2つのデータポイント間を補間する方法として、AKIMACUBIC、LINEAR、またはQUINTICを選択します。
    2. Spline3Dコレクターをダブルクリックして、Select a Spline3DダイアログからSpline3Dエンティティを選択することによって、3Dスプラインを解決します。
      Note: Spline3Dエンティティを使用するには、まず、Spline3Dパネルを使用してスプラインを定義する必要があります。
    3. Independent variable XおよびIndependent variable Zの式を指定します。
      デフォルトでは、独立変数Xには式{sd.DM}が入力されます。sdは、スプリングダンパの変数名です。
    Expressionsを選択した場合は、スプリングダンパによって伝達されるスプリング力を定義するソルバー式を入力します。
  3. 同様に、ドロップダウンメニューのオプションを使用してコイルスプリングの減衰力(C)を定義します。
    Curveを選択した場合、デフォルトでは独立変数に式{sd.VR}が入力されます。sdは、スプリングダンパの変数名です。
    Spline3Dを選択した場合、デフォルトでは独立変数Xに式{sd.VR}が入力されます。sdは、スプリングダンパの変数名です。
  4. トーションスプリングダンパの場合は、ドロップダウンメニューのオプションを使用してスプリング力(KT)を定義します。
    Linearを選択した場合は、トーションスプリングの線形回転剛性係数として正の実数を入力します。
    Curveを選択した場合は、トーションスプリングによって伝達されるスプリングトルクを、1つの独立変数の関数であるカーブの形式で表現して定義します。
    1. Interpolationで、カーブ上にある2つのデータポイント間を補間する方法として、AKIMACUBIC、LINEAR、またはQUINTICを選択します。
    2. Independent variableの下に値を入力します。
      デフォルトでは、独立変数には式{sd.AZ}が入力されます。sdは、スプリングダンパの変数名です。
    3. Curveコレクターをダブルクリックし、Select a Curveダイアログからカーブを選択することにより、カーブを解決します。
      Note: カーブを使用するには、まず、Curvesパネルを使用して、スプリングダンパの動作を表すカーブを定義する必要があります。
    Sline3Dを選択した場合は、スプリングダンパによって伝達されるスプリング力を、2つの独立変数の関数である3Dスプラインの形式で表現して定義します。
    1. XY平面上の2つのデータポイント間を補間する方法として、AKIMACUBIC、LINEAR、またはQUINTICを選択します。
    2. Spline3Dコレクターをダブルクリックして、Select a Spline3DダイアログからSpline3Dエンティティを選択することによって、3Dスプラインを解決します。
      Note: Spline3Dエンティティを使用するには、まず、Spline3Dパネルを使用してスプラインを定義する必要があります。
    3. Independent variable XおよびIndependent variable Zの式を指定します。
      デフォルトでは、独立変数Xには式{sd.AZ}が入力されます。sdは、スプリングダンパの変数名です。
    Expressionsを選択した場合は、スプリングダンパによって伝達される減衰を定義するソルバー式を入力します。
  5. 同様に、ドロップダウンメニューのオプションを使用してトーションスプリングの減衰力(CT)を定義します。
    Curveを選択した場合、デフォルトでは独立変数に式{sd.WZ}が入力されます。sdは、スプリングダンパの変数名です。

    Spline3Dを選択した場合、デフォルトでは独立変数Xに式{sd.WZ}が入力されます。sdは、スプリングダンパの変数名です。

Note:
  • 線形プロパティを持つスプリングダンパの場合、Force_SpringDamperステートメントがMotionSolve.xmlに書き込まれます。
  • 非線形スプリングまたは減衰を定義するには、CurveまたはExpressionタイプを使用してください。
  • CurveタイプまたはExpressionタイプをスプリングまたはダンパのプロパティに指定した場合、Force_Scalar_TwoBodyステートメントがMotionSolve xmlに書き込まれます。PreLoadタブを使用して指定した初期荷重は考慮されません。
  • {sd.DM}(sdはスプリングダンパの変数名)は、スプリング両端間の距離の大きさをトレースします。この式は、DM(i,j)として評価されます。ここで、iは、Body 1上のPoint 1におけるスプリングダンパマーカー、jはBody 2上のPoint 2におけるスプリングダンパマーカーです。
  • {sd.VR}は、両端点間の相対動径速度をトレースします。この式はVR(i,j)として評価されます。
  • {sd.AZ}は、両端点間の相対回転をトレースします。この式はAZ(i,j)として評価されます。
  • {sd.WZ}は、両端点間の相対回転速度をトレースします。この式はWZ(i,j)として評価されます。

スプリングダンパの初期荷重の定義

Spring DampersパネルのPreloadタブでは、線形コイルスプリングまたはトーションスプリングの初期荷重プロパティを指定することが可能です。カーブまたは式を有するスプリングダンパーは剛性プロパティを定義する関数によってそのフォース / トルクの特性が決定されるため、個々のプロパティを有していません。

  1. コイルスプリングの場合は以下の手順に従います:
    1. モデル化した長さになったコイルスプリング内部に存在するフォースの値をPreload欄に入力します。
    2. スプリングの実際の自由長をFree length欄に入力します。
      または、Use Distance Between Pointsボタンをクリックして、スプリングの両端点間の距離を自由長として設定します。
  2. トーションスプリングの場合は以下の手順に従います:
    1. 角変位が指定の値(自由角度)になった線形トーションスプリングによって生成されるトルクの値をPreload欄に入力します。
    2. 線形トーションスプリングにトルクを適用したときに生成される角変位の値をFree Angle欄に入力します。
Note:
  • 初期荷重は、モデル化された位置でのスプリング内の初期フォースまたはトルクです。全初期荷重は、Preload値、Free Length値、またはそれら2つの組み合わせのいずれかを用いて指定することができます。


    Figure 1.
  • 全初期荷重Fpは、初期荷重Pおよび長さの変化によるフォースK* (Lo –l)の合計として適用されます。ここで、Kは剛性、Loは自由長、およびlはスプリングのモデル化長さです(上記の図を参照)。
    • 例えば、定義されたスプリングの2つの端点(スプリングのモデリングされた長さ)が100mmで、自由長が110と指定されている場合、それは10mm変形された状態のスプリングを表し、有効な初期荷重は10*Kです。ここで、Kはスプリングの剛性です。
    • Preload値を追加で指定すると、そのフォースは全初期荷重にも加算されます。
    • 別の例では、定義されたスプリングの2つの端点(スプリングのモデル化された長さ)が100mmで、自由長が0.0である場合、それは現在の状態ではスプリングが100mm拡張された状態であり、その限度までの初期荷重(-100*K)が適用されます。
  • MotionViewは、デフォルト値の自由長を2つの端点間の距離としてコイルスプリングダンパを生成します。

スプリングダンパに関するユーザー定義プロパティの使用

必要に応じ、User-Definedタブを使用してスプリングダンパを定義します。これにより、ユーザーサブルーチンを使用してそのスプリングダンパのプロパティを指定できます。

  1. ConnectivityタブでUser-defined propertiesチェックボックスをクリックします。
    PropertiesタブとPreloadタブが除去されます。
  2. 新たに追加されたUser-Definedタブをクリックします。
  3. ユーザーサブルーチンを定義します。
    1. ユーザーサブルーチンに渡されるパラメータを含むUSERソルバー関数を用いた式を与えます。
    2. または、Use local file and function nameチェックボックスをアクティブにして、ソルバーからアクセスできるサブルーチンコードを収めたローカルファイルを指定します。
      このオプションを指定していない場合、MotionSolveでは、そのユーザーサブルーチン読み込みルールに従ってサブルーチンが検索されます。
    3. ドロップダウンメニューから関数タイプを選択します。
    4. サブルーチンについてのローカルファイルを選択します。
      指定するファイルのタイプは、選択した関数タイプによって異なります。例えば、DLL/SOを選択した場合は、.dll拡張子(Windowsの場合)または.so拡張子(Linuxの場合)を持つファイルを指定できます。
    5. エンティティを定義するサブルーチンで関数名を指定するか、MotionViewで指定されたデフォルト名をそのまま使用します。