摩擦の定義

摩擦トルクによって、あるボディを基準とした他のボディの回転に対して抵抗が発生します。摩擦モデルでは、ブッシュの予荷重に起因する摩擦トルクのほか、静摩擦効果と滑り効果をサポートします。

摩擦モデルはLuGreモデルに基づいています。 摩擦の定義摩擦の定義
  1. ブッシュの摩擦トルクを計算するにはActivateをクリックします。摩擦をアクティブにすると、摩擦トルクを計算するためにMotionSolveで必要とする制御状態方程式とその他の要素が、MotionViewによってモデルに追加されます。
  2. 静摩擦の係数(µs)を指定した正の実数値をMu-Static欄に入力します。
  3. 動摩擦(滑り摩擦)の係数(µd)を指定した正の実数値をMu-Dynamics欄に入力します。µdはµs以下の値です。
  4. 静摩擦から動摩擦(滑り摩擦)への移行が完了する位置(μdになる位置など)におけるボール表面上での相対速度( ς s )を指定した正の実数値をTransition Velocityに入力します。単位は、長さ / 時間です。
  5. 剛毛剛性を指定した正の実数値をBristle Stiffness(σ0)に入力します。単位は、/ 長さです。
    剛毛剛性と摩擦係数(μ)、ボールの半径(Rb)、および垂直力(N)によって、摩擦の実効的なねじれ剛性(Kt)が次のように決まります。 K t = μ N R b 2 σ 0
  6. LuGreモデルの剛毛減衰係数を指定した正の実数値をBristle Damping(σ1)に入力します。剛毛の減衰係数は、剛毛のたわみの変化率に対して作用します。この変化率は、滑り速度と剛毛のたわみに依存する内部摩擦の状態を表します。単位は、時間 / 長さです。
  7. LuGreモデルの粘性減衰係数を指定した正の実数値をViscous Damping(σ2)に入力します。粘性減衰係数は滑り速度に対して作用します。単位は、時間 / 長さです。
  8. 初期荷重に起因する摩擦トルクを指定した正の実数値をTorque Preload欄に入力します。多くの場合、この値は、外部荷重がない状態でブッシュ内部に存在する摩擦トルクです。ブッシュの製造時または取り付け時に発生した初期荷重(内部荷重)によって、この摩擦トルクが発生します。単位は、フォースx長さ / 時間です。
  9. ボールの半径(Rb)を指定した正の実数値をBall Radiusに入力します。この摩擦モデルでは、ブッシュが球ジョイントとして機能し、ボールとソケットとの接触点で摩擦が発生すると見なしています。所定の垂直力(N)の下では、他のすべてのパラメータを一定にした状態でボールの半径を大きくすると、摩擦トルクも大きくなります。単位は長さです。
  10. Friction Effectsで適切なオプションを選択します。
  11. Analysis Modesで適切なオプションを選択します。
  12. 摩擦トルクを計算する際にブッシュのフォースベクトルを垂直力として使用することをブッシュのモデルに指定するにはUse Reaction Forceを選択します。結果として得られる摩擦トルクが、予荷重による摩擦トルクの値より小さくなることはありません。
1 C. Canudas De Wit, Associate, IEEE, H. Olsson, Student Member, IEEE, K. J. Åström, Fellow, IEEE, And P. Lischinsky.“A New Model For Control Of Systems With Friction.”IEEE Transactions On Automatic Control, Volume 40, NO.3, March 1995: pp. 419-425.
2 E. Velenis , P. Tsiotras , C. Canudas-De-Wit, “Extension Of The LuGre Dynamic Tire Friction Model To 2d Motion.”Proceedings Of The 10th Mediterranean Conference On Control And Automation.Med2002 Lisbon, Portugal,July 9-12, 2002.