Update Modelユーティリティ

MotionAutoのHyperWorks v2020リリースでは、車両モデルとサスペンションモデル向けのUpdate Modelユーティリティが導入されています。Altair Driverを使用したフルビークルモデルでは、以下の図のように、モデルの更新を要求するメッセージが表示されます。ハーフビークルモデルでは、このメッセージは表示されません。モデルを更新しなくても、そのモデルはHyperWorks v2020リリースで機能します。Update Model機能を実行せずにHyperWorks v2020からディスクにモデルを保存した後は更新を要求されなくなります。


Figure 1.
モデルの更新を選択すると、まず元の名前に“_backup”を付加したファイル名でモデルのバックアップがディスクに保存されます。つづいてモデルが更新され(更新の動作については以下の表をご参照ください)、元の名前に“_updated”を付加したファイル名で、更新済みのモデルがディスクに保存されます。
説明 更新で変更されるエンティティ 動作
従来のタイヤシステムをAutoTireで置き換え AutoCDTire、AutoCTITire、またはAutoMFTireのシステム定義を使用しているあらゆるシステム AutoCDTire、AutoCTITire、またはAutoMFTIreのシステム定義を使用しているシングルシステムとペアシステムが、AutoTireのシステム定義を使用しているシングルシステムまたはペアシステムで置き換えられます。タイヤや路面のプロパティファイルなどのアタッチメントやパラメータは変更されません。
ダミーステアリングボディを削除

ステアリングシステム

フルビークルイベントとハーフビークルイベント(analyses)
ダミーステアリングボディとそれに付随するジョイントが、ステアリングシステム(sys_steering)およびフルビークルイベントとハーフビークルイベント(analyses)から削除されます。ラックが並進ジョイント経由でラックハウジングに、ピニオンが回転ジョイント経由でラックハウジングに、ピニオンがカプラー経由でラックにそれぞれ属するように、ステアリングシステムの各ジョイントが変更されます。
古いAltair Driverシステムを新しいシステムで置き換え Altair Driverシステム Altair Driverシステムが、新しい2020 Altair Driverシステムで置き換えられます。HyperWorks 2020インストールフォルダーのAltair Driverシステム定義を指す*DefinitionInclude()を使用するように、Altair Driverシステム定義が必要に応じて更新されます。
Signal GeneratorシステムがAltair Driverに移動 Signal Generator(.sys_signal_generator) ユーザー信号ソルバー変数がAltair Driverシステムに移動します。これにより、Altair Driverのシステムパネルからユーザー信号を表す式を作成できるようになります。Signal Generatorシステムはモデルから削除されます。
Update Modelユーティリティは、プロファイルMBD-Vehicle Dynamics Toolsを読み込み済みの場合にのみ使用できます。以下の手順に従い、このプロファイルを読み込んでユーティリティにアクセスします:
  1. メニューバーからFile > Load > Preference Fileを選択します。
  2. MBD-Vehicle Dynamics Toolsプロファイルを選択してLoadをクリックします。


    Figure 2.
  3. メニューバーからVehicle Toolsを選択し、Updated Modelオプションを選択します。

Update Modelユーティリティの必要性

Update Modelユーティリティは、以前のバージョンのHyperWorksを使用して作成されたモデルの下位互換性を補完します。新機能や機能強化をロールアウトするには、モデルの更新や微調整が必要です。特にMDLライブラリ(Car/Small truckとHeavy Truck)を使用して作成した車両モデルでは、この点が重要です。たとえば、AutoMFTireのような以前の自動車用エンティティを新しいAutoTireエンティティで置き換える場合や、新しいバージョンによる変更が取り入れられるようにAltairDriverを更新する場合が考えられます。

更新が必要なモデル

以下のモデルは、このユーティリティを使用して更新できます。
  • HyperWorksに付属のMDLライブラリを使用して作成したサスペンションモデル(特にフロントサスペンション)。
  • HyperWorksに付属のMDLライブラリを使用して作成したフルビークルモデル。
  • 現在は廃止されているAutoMFTire、AutoCTITire、またはAutoCDTire AutoEntitiesを使用しているモデル。
  • AltairDriverを採用しているフルビークルモデル。

考慮を必要とする重要なポイント

  1. Update Modelは、モデルのバージョン番号とコンテンツに基づいて機能します。HyperWorks v2020で古いモデルを読み込んで保存すると、MDLの先頭にある*BeginMDL()ステートメントにバージョン番号2020.0が追記されます。Update Modelはバージョン番号に基づいて動作するので、バージョン番号として2020が記述されたモデルは更新されません。
  2. Update Modelでは、MDLライブラリで採用されている標準の変数名を使用して、更新対象のエンティティが検索されます。ModelウィザードとMDLライブラリを使用して作成したモデルではない場合や、変数名を変更しているモデルの場合(“sys_steering”の代わりに“steering”を使用した場合など)、そのモデルに対してはモデル更新が適切に実行されません。