RD-E: 4300 多項式EOSを用いた理想気体のモデル化
理想気体のモデル化に多項式状態方程式が用いられます。圧力またはエネルギーは、絶対値または相対値であることが可能です。材料則LAW6(/MAT/HYDRO)がこれらのケースの材料カードの構築に用いられます。
ケース | 数学的モデリング | 圧力 | エネルギー |
---|---|---|---|
1 | 絶対値 | 絶対値 | |
2 | 相対値 | 絶対値 | |
3 | 相対値 | 相対値 | |
4 | 絶対値 | 相対値 |
これらの定式化の出力を理論解と比較するため圧縮 / 膨張の単純なテストが行われます。
使用されるオプションとキーワード
- 理想気体
- 多項式 EOS(/EOS/POLYNOMIAL)
- 絶対 / 相対定式化
- 圧力シフト
- 流体材料(/MAT/LAW6 (HYDROまたはHYD_VISC))
- 強制変位(/IMPDISP)
それぞれの面の節点は強制変位で移動されます
- 境界条件(/ALE/BCS)
境界節点はLagrangianとして定義されます
要素圧力、密度と内部エネルギー密度は、時刻歴ファイルに保存されます。
入力ファイル
- Model 1
- <install_directory>/hwsolvers/demos/radioss/example/43_perfect_gas_polynomial_eos/01-Pabsolute_Eabsolute/*
- Model 2
- <install_directory>/hwsolvers/demos/radioss/example/43_perfect_gas_polynomial_eos/02-Prelative_Eabsolute/*
- Model 3
- <install_directory>/hwsolvers/demos/radioss/example/43_perfect_gas_polynomial_eos/03-Prelative_Erelative/*
- Model 4
- <install_directory>/hwsolvers/demos/radioss/example/43_perfect_gas_polynomial_eos/04-Pabsolute_Erelative/*
モデル概要
- 1e5 Pa
- 1000 m3
- 1.204
- 0
流体は理想気体と仮定します。体積は純圧縮とそれに続く膨張 (図 3)を考慮するために3方向に変化させます。
このテストは1つのALE要素(8節点ソリッド)と多項式EOSでモデル化されます。
多項式 EOS
- 流体力学的圧力
- 一般的なケースはMie-Guneisen EOSに一致(Theory ManualのAppendix B: Basic Relations of Elasticityを参照のこと)
- 非圧縮性気体
- 線形弾性材料
- 理想気体
この例題は理想気体のモデル化のみに焦点を当てます。
モデリングの方法
1つのALEソリッド要素が用いられます。材料は、ソリッドの節点がLagrangeであると定義することにより要素内に閉じ込められます。それぞれの面に対して、4節点に強制変位が法線方向に与えられます。
(1) | (2) | (3) | (4) | (5) | (6) | (7) | (8) | (9) | (10) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
/MAT/LAW6/mat_ID/unit_IDまたは/MAT/HYDRO/mat_ID/unit_ID | |||||||||
mat_title | |||||||||
C0 | C1 | C2 | C3 | ||||||
Pmin | Psh | ||||||||
C4 | C5 | E0 |
圧力シフト
Radioss Engineは、C0フラグと計算された圧力を-Pshのオフセットでシフトします。
最小圧力
理論解は(絶対圧力)で、デフォルト値を-1030とすることで、相対圧力定式化の負の値を可能にしています。
フラグは-Pshで手動にてオフセットする必要があります。
結果
理論解
- 圧力理想気体の圧力は以下で与えられます:
(9) したがって:(10) Radiossは内部エネルギー変化の計算に等エントロピー過程の仮説を仮定します:(11) この理論は以下の微分方程式を与えます:(12) これはという形式を持ち、一般解は次のとおりです:(13) 圧力はポリトロープな状態にもあります:(14) (15) ここで、 は材料定数です(熱容量の比)。原子の気体では、 =1.4。空気は主に2原子の気体からなるので、通常空気のガンマは1.4に設定します。
- 内部エネルギー
- 音速理想気体の音速は:
(17) 式 15 は体積に関する表現を与えます:(18)
圧力(Pa) | 内部エネルギー密度(J) | 音速(m/s) | |||
---|---|---|---|---|---|
PREF(V) | PREF() | eREF(V) | eREF() | cREF(V) | cREF() |
材料コントロールカード
- ケース1: 圧力とエネルギーの両方が絶対値:
- ケース2: 圧力が相対値でエネルギーが絶対値:
- ケース3: 圧力とエネルギーの両方が相対値
- ケース4: 圧力が絶対値でエネルギーが相対値:
音速と時間ステップ
ケース | C0 | C1 | C4 | C5 | c2 | 理論値との比較 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 0 | 0 | c = cREF | |||
2 | 0 | 0 | c = cREF | |||
3 | c = cREF | |||||
4 | c = cREF |
それぞれの4つの定式化に対して、Radiossにより計算された音速は理論値と一致しています。時間ステップとサイクル数は影響されません。
ケース1: 圧力とエネルギーの両方が絶対値
- 状態方程式状態方程式は以下のように書くことができます:
(34) ここで、(35) この式を展開して多項式の係数を特定すると以下が導かれます:(36) ここで、
- 対応する入力
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) /MAT/LAW6/mat_ID/unit_IDまたは/MAT/HYDRO/mat_ID/unit_ID AbsolutePRESSURE_AbsoluteENERGY 0 0 0 0 0 0 C4 = 1 C5 = - 結果の出力
表 3. 時刻歴応答 寸法 初期値 Unit /TH/BRICK (P) P P0 圧力 /TH (IE) エネルギー /TH/BRICK (IE) 圧力 - 理論界との比較理想気体圧力の数値解析結果は、時刻歴で与えられます。要素時刻歴(/TH/BRICK)でこれを表示できます。この結果を理論解と比較します。曲線は重ねて示されます。内部エネルギーは2つの異なる方法で得ることができます。1つ目は、要素時刻歴(/TH/BRICK)に記録された内部エネルギー密度()です。2つ目は、全体の時刻歴からの内部エネルギーで、これは、モデルが単一要素であるためです。
ケース2: 圧力が相対値でエネルギーが絶対値
- 状態方程式理想気体の状態方程式は:
(37) 参照値からの圧力計算は相対圧力を与えます:(38) この式を展開して多項式の係数を特定すると以下が導かれます:(39) ここで、
- 最小圧力
(40) 最小圧力は0でない値に設定される必要があります。
- 対応する入力
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) /MAT/LAW6/mat_ID/unit_IDまたは/MAT/HYDRO/mat_ID/unit_ID RelativePRESSURE_AbsoluteENERGY 0 0 0 0 -P0 P0 C4 = C5 = - 結果の出力
時刻歴応答 寸法 初期値 Unit /TH/BRICK (P) 0 圧力 /TH (IE) エネルギー /TH/BRICK (IE) 圧力 - 理論界との比較要素時刻歴(/TH/BRICK)は、Pshに対する相対圧力です。結果の曲線は、Psh値でシフトされ、0から開始します。内部エネルギーは2つの異なる方法で得ることができます。1つ目は、要素時刻歴(/TH/BRICK)に記録された内部エネルギー密度()です。2つ目は、全体の時刻歴からの内部エネルギーで、これは、モデルが単一要素であるためです。
ケース3: 圧力とエネルギーの両方が相対値
- 状態方程式理想気体の状態方程式は:
(41) 初期内部エネルギーを導入することができます:(42) 参照値からの圧力計算は以下を与えます:(43) ここで、(44) この式を展開して多項式の係数を特定すると以下が導かれます:(45) ここで、 - 最小圧力
(46) 最小圧力は0でない値に設定される必要があります。
- 対応する入力
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) /MAT/LAW6/mat_ID/unit_IDまたは/MAT/HYDRO/mat_ID/unit_ID RelativePRESSURE_RelativeENERGY 0 0 -P0 P0 C4 = C5 = 0 - 結果の出力
時刻歴応答 寸法 初期値 Unit /TH/BRICK (P) 0 圧力 /TH (IE) 0 エネルギー /TH/BRICK (IE) 0 圧力 - 理論界との比較要素時刻歴(/TH/BRICK)は、Pshに対する相対圧力です。結果の曲線は、Psh値でシフトされ、0から開始します。内部エネルギーは2つの異なる方法で得ることができます。1つ目は、要素時刻歴(/TH/BRICK)に記録された内部エネルギー密度()です。2つ目は、全体の時刻歴からの内部エネルギーで、これは、モデルが単一要素であるためです。数値解析結果の内部エネルギーは初期エネルギーからの相対値で、絶対値から値だけシフトされ、0から開始します。
ケース4: 圧力が絶対値でエネルギーが相対値
- 状態方程式理想気体の状態方程式は:
(47) 初期内部エネルギーを導入することができます:(48) ここに、以下が導かれます:(49) この式を展開して多項式の係数を特定すると以下が導かれます:(50) ここで、 - 対応する入力
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) /MAT/LAW6/mat_ID/unit_IDまたは/MAT/HYDRO/mat_ID/unit_ID AbsolutePRESSURE_RelativeENERGY 0 0 0 0 C4 = C5 = 0 - 結果の出力
時刻歴応答 寸法 初期値 Unit /TH/BRICK (P) P P0 圧力 /TH (IE) 0 エネルギー /TH/BRICK (IE) 0 圧力 - 理論界との比較要素時刻歴(/TH/BRICK)は、絶対圧力を与えます。この結果を理論解と比較します。曲線は重ねて示されます。内部エネルギーは2つの異なる方法で得ることができます。1つ目は、要素時刻歴(/TH/BRICK)に記録された内部エネルギー密度()です。2つ目は、全体の時刻歴からの内部エネルギーで、これは、モデルが単一要素であるためです。数値解析結果の内部エネルギーは初期エネルギーからの相対値で、絶対値から値だけシフトされ、0から開始します。