RD-E: 4900 ウィンドシールドへのバードストライク
SPH要素を用いてウィンドシールドにぶつかる鳥をシミュレートします。
使用されるオプションとキーワード
入力ファイル
- ウィンドシールドへのバードストライク
- <install_directory>/hwsolvers/demos/radioss/example/49_bird_strike_on_windshield/*
モデル概要
単位: mm、ms、Kg、KN、 GPa
鳥のモデルは以下のような特徴を持ちます。
- 材料特性
- 初期密度
- 9.82242e-7
- C1 動圧則係数
- 2.24
- /PROP/TYPE34 (SPH) (面心立方)
- mp:1.725149e-4
- qa
- 2e-30
- qb
- 1e-30
- order
- 0
- h
- 6.286
- プロパティで、mpは各粒子の質量です。鳥のモデルには11190個の粒子が含まれているため、この鳥の重さは11190*1.725149e-4 = 1.93kg(4ポンド)です。
- 減衰がない状態にするために、qaを2e-30に、qbを1e-30にそれぞれ設定しています。
バードストライクをシミュレートするために、鳥の圧縮段階も考慮します。したがって、鳥を通じて初期圧縮波が適切に伝播する必要があります。エネルギーの保存も重要です。その結果として、鳥は最も現実的な量のエネルギーをターゲットに伝達することで、衝撃が適切に保存されることが保証されます。
- プロパティでは、はスムージング長さです:
(1) スムージング長さには、各粒子とそれに最も近い粒子の間の最小距離を用いることを強く推奨します。
- SPHの補正次数を使用して、一貫性条件が成り立つようにすると同時に、粒子の構造化が不十分な場合でも、6方最密充填ネットの場合より適切な表現が実現するようにします。高次値は非常に大きな負荷をもたらします。この例題では、次数を0にセットします。
この例題のウィンドシールドには、マトリックスガラスと塑性の布からなる複合材を用います。どちらの繊維にも、/MAT/LAW27 (PLAS_BRIT)(等方性の層を持つ複合材)を使用します。
ガラスマトリックス
- 材料特性
- 初期密度
- 1.74e-6
- ヤング率
- 61 [GPa]
- ポアソン比
- 0.3
- 降伏応力 a
- 0.045 [GPa]
- 塑性硬化指数 b
- 0.05
- (主ひずみ方向1の引張破壊ひずみ)
- 0.01
- (主ひずみ方向1の最大引張破壊ひずみ)
- 0.03
- で削除された要素(要素の削除につながる主ひずみ方向1の引張ひずみ)
- 0.06
プラスチック繊維
- 材料特性
- 初期密度
- 8e-7
- ヤング率
- 3 [GPa]
- ポアソン比
- 0.3
- 降伏応力 a
- 1e30 [GPa]
- 材料特性
- ウィンドシールドの板厚
- 9 [mm]
- 層数 N
- 9
- Ithick
- 1
- 材料特性
- 初期密度
- 2.7E-6
- ヤング率
- 73.1 [GPa]
- ポアソン比
- 0.33
- /MAT/LAW2 (PLAS_JOHNS)
- 初期密度
- 7.8E-6 [
- ヤング率
- 210 [GPa]
- ポアソン比
- 0.28
- 降伏応力 a
- 0.58 [GPa]
- 硬化パラメータ b
- 0.6
- 硬化指数 n
- 1
- ひずみ速度係数
- 0.017
- /PROP/TYPE 3 (BEAM)
- 面積
- 50.265 [mm2]
- Iyy = Izz(YY断面とZZ断面の慣性、曲げ方向)
- 201.061 [mm4]
- Ixx(XX断面の慣性、ねじれ方向)
- 403.12 [mm4]
モデリング手法
- 鳥のモデリング鳥のモデルは11,190個の粒子で構成し、その分布は6方最密充填ネットに従います。セルの分布は面心立方とする必要があります。各粒子の直径は約5.0mmです。
- SPHシミュレーションのセットアップSPHの鳥を定義するために、以下のキーワードが必要です。
- /PROP/TYPE34 (SPH): 鳥のSPHセルのプロパティを設定します。
- /SPHCEL: 鳥のSPHセルを設定します。このキーワードでは鳥のパートIDを用います。
- /SPHGLO: シミュレーション用のSPHパラメータを設定します。
にはデフォルト値の0.25を使用します。この係数によって、粒子ごとに実際の隣接粒子よりも多くの粒子が見つかるように、隣接粒子の検索を制御します。これにより、計算時間を短縮できます。
- SPHの鳥と構造の間の接触と衝撃のセットアップ
- SPHの鳥とウィンドシールド構造との接触をシミュレートするために、インターフェースTYPE7を選択します。ウィンドシールド構造をメインサーフェスとして選択し、SPHの鳥をセカンダリ節点として選択します。
- Igap=1(可変ギャップの使用、ギャップスケール補正、メッシュサイズの考慮)ギャップは、粒子直径の半値とターゲット厚みの半値を加算した値です。これは接触の物理値です。
- 鳥とウィンドシールド構造の剛性は互いに大きく異なります。可能な限り現実に近い結果を得るために、Istf=0およびStfac=0.1を設定します。これは、インターフェースの剛性がメイン側(構造)の剛性の0.1倍であることを意味します。
- /INIVEL/TRAを使用して、初速度80m/sで構造に衝突する鳥のパートを設定します。
- ウィンドシールドと機体の間の結合
- ウィンドシールドと機体との溶接結合には、/PROP/TYPE13スプリングビームとインターフェースのTYPE2タイド接触との組み合わせを使用します。
- その他の注
アニメーション出力では、/H3DによるH3D形式を使用します。/ANIM出力を使用する場合は、SPH粒子を最適に表示するために/ANIM/VERS/44オプションが必要です。
結果
まとめ
- 鳥モデルの粒子数とメッシュサイズは、問題の精度とCPUの計算時間とのバランスを適切に考慮した値であることが見てとれます。
- インターフェースパラメーターについては、デフォルト値を用いることができます。TYPE7接触インターフェースでは、インターフェース剛性Istfをゼロに設定する必要があります。
- このモデルで使用している簡素化した水粘性則は、鳥モデルの最も重要な特性を記述(表現)するうえできわめて適切です。
- 平滑化の長さhは、セル間の距離よりも大きい値に設定する必要がありますが、一方で過剰な分離を避けるために、必要以上に大きい値にはしないようにします。その目的は、鳥の粒子によって吸収されるエネルギーが過剰に大きくならないようにすることにあります。
- 実際の試験とシミュレーションとの間には、使用している材料モデルとそのパラメータ、境界条件、ターゲット材料則をはじめとするさまざまな要因によって差異が発生します。