RD-E: 0800 Hopkinsonバー
7010アルミニウム鋳物の高ひずみ速度引張り挙動がHopkinson圧力バーテクニック(応力波)を用いて検討されます。
使用されるオプションとキーワード
- 軸対称解析(/ANALY)、2次元ソリッド要素
- 高ひずみ速度、分割Hopkinson圧力バー(SHPB)
- 波動伝播、応力パルス
- 弾性モデル(/MAT/LAW1 (ELAST))およびJohnson-Cook弾塑性モデル(/MAT/LAW2 (PLAS_JOHNS))
- 境界条件(/BCS)
- 強制速度(/IMPVEL)
出力バーの下端の節点はZ方向に拘束されます。回転対象軸上の軸対称条件はX方向の並進とX軸周りの回転の拘束が必要になります。
飛翔体はスチールの円筒を用いてZ方向の強制速度でモデル化されます。必要なひずみ速度は2つの強制速度1.7 ms-1と5.8 ms-1で試験体のひずみ速度範囲80 s-1と900 s-1(低速と高速)を考慮するために与えられます。
実験では、ひずみゲージが試験体に取り付けられます。シミュレーションでは、真ひずみは9040と6節点のZ方向相対変位( = 3.83638 mm)から決められます。
真応力は、2つのデータソースから与えることができます。最初の方法論は、バー-試験体の力の1次元伝播の仮定に基づく、前に示された式を用いる方法です。出力応力波に伴う工学ひずみは出力バーの節点のZ方向変位から得られます。真塑性ひずみは時刻歴ファイルにセーブされた試験体の2次元ソリッド要素から取り出すことができます。真応力は、Z応力の2次元ソリッド6243、6244、6224、6235の平均値を用いて時刻歴から直接測定することもできます。断面オプションは2次元ソリッド要素で利用可能なオプションではないことに注意してください。
高速試験 | ||
---|---|---|
真応力 | /THに保存された2次元ソリッドからのZ方向応力の平均 | |
真ひずみ | ||
真ひずみ速度 |
入力ファイル
- High_strain_rate
- <install_directory>/hwsolvers/demos/radioss/example/08_Hopkinson_Bar/High_strain_rate/SHPB_H*
- Low_strain_rate
- <install_directory>/hwsolvers/demos/radioss/example/08_Hopkinson_Bar/Low_strain_rate/SHPB_L*
モデル概要
衝撃の間の材料挙動をモデル化し、予測するためには、非常に高いひずみ速度での応答を検討する必要があります。
分割Hopkinsonバーは、高ひずみ速度の実験を実行するための高価でない装置です。 1
- ストライカーバー
- インシデントバー
- トランスミッションバー
- ドロップバー
試験他はトランスミッションバーとインシデントバーの間に挟まれます。バーの中の波動は分散しないと仮定し、バーと試験体の間の接触上の力と変位は測定されたひずみから経験的に得られます。この例題では、7010アルミ鋳物の分割(Hopkinson 圧力バーでSHPB)で実験を通して得られる動的引張り挙動が数値シミュレーションと比較されます。2つのケースがひずみ速度80 s-1(低速)と 900 s-1(高速)でそれぞれ検討されます。高いひずみ速度では、経験的に応力の流れがひずみ速度の増加により30%以上に大きく増加し、したがって一般的にアルミ鋳物はひずみ速度依存性を示します。ここで与えられるひずみ速度に対しては、既存のJohnson-Cookモデルが応力の流れのひずみ速度の関数としての記述に用いられます。破壊は考慮されません。
試験体材料は等方性弾塑性挙動を示し、Johnson-Cookモデル(/MAT/LAW2)を用いて再現できます。スチールバーとストライカーは弾性則(/MAT/LAW1)に従います。
形状の回転対称を考慮し、材料と運動条件で、軸対称モデルが用いられます(Starterファイルの/ANALYオプションでN2D3D = 1を設定)。Yが半径方向で、Zが回転軸となります。
Johnson-Cookモデル
- ひずみ速度
- 参照ひずみ速度
- 塑性ひずみ(真ひずみ)
- a
- 降伏応力
- b
- 硬化パラメータ
- n
- 硬化指数
- c
- ひずみ速度係数
2つのオプション入力、ひずみ速度係数と参照ひずみ速度がそれぞれの材料の/MAT/LAW2で応力のひずみ速度効果を考慮するために定義する必要があり、これでひずみ速度が増加したときに応力が増加します。定数 a、b、およびnは応力-ひずみ曲線の形状を定義します。
- ひずみ速度80 s-1未満
- ひずみ速度80 s-1から3000 s-1まで
- 材料特性
- ヤング率
- 73000
- ポアソン比
- 0.33
- 密度
- 0.0028
- 材料特性
- ヤング率
- 210000
- ポアソン比
- 0.33
- 密度
- 0.0078
- バー
- 長さ
- 4 m
- 直径
- 12 mm
- 飛翔体
- 半径
- 12 mm
- 重量
- 170 g
高ひずみ速度試験方法
- 出力バーの弾性係数
- 出力応力波でのひずみ
- 出力バーの断面積
2つのバーが弾性を保ち、波動の消散が無視できる場合、応力パルスは試験体に作用するものと同じと仮定できます。
- および
- 入力応力波に対するひずみ
- 出力応力波に対するひずみ
- インターフェース1
- インターフェース2
- 試験体内のつり合い
- 試験体の公称応力
モデリングの方法
ひずみ速度フィルタリング
動的荷重のために、ひずみ速度には物理的ではない高い周波数の振動が生じます。このため、応力-ひずみ曲線にはノイズが現れます。滑らかな結果を得るためにひずみ速度のフィルタリングオプションで高周波振動を除去してこのような振動を減衰させることができます。この例では、ひずみ速度のフィルタリングのためにカットオフ周波数Fcut = 30 kHzが使用されました。各シミュレーションの妥当な値を決定するためには、優れた工学的判断が必要です。詳細については、例題 11 - 引張試験をご参照ください。
結果
この試験の目的は実験で観察される結果をJohnson-Cookモデルで得ることです。応力は低ひずみ速度試験に比べて約30%の増加が期待されます。
実験データ
実験結果は真引張り流れの応力の真ひずみとの比較においてひずみ速度80 s-1と100 s-1の間においてはほぼ等価であることを示しています。Johnson-Cookモデルでの参照ひずみ速度は0.08 ms-1に設定されます。高いひずみ速度では、真の流れの応力はひずみ速度に対して大きく増加します。7010アルミ鋳物では高いひずみ速度(900 s-1から 3000 s-1)においては、静的な値に比較し、一般的に流れの応力が30%までの増加を示します。
結果は特定の真ひずみ0.02、0.05と0.10に対して与えられます。ひずみ速度の応力への影響は、図 91で見ることができます。
ひずみ速度: 80 s-1 | ひずみ速度: 900 s-1 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
真ひずみ | 0.02 | 0.05 | 0.1 | 0.02 | 0.05 | 0.1 | 0.25 |
真応力 (MPa) | 550 | 600 | 610 | 625 | 775 | 800 | 850 |
Johnson-Cookモデル
- 5189 ms-1
- ヤング率
- バーの密度
要素の時間ステップは試験体のある最も小さい要素でコントロールされます。これは5x10-5に設定されます。したがって、応力波は0.77 msで試験体に到達し、それぞれの時間ステップでバーに沿って0.26 mm進みます。明らかに、これは最小寸法の要素長さ(0.88 mm)よりも小さいです。
強制速度5.8 ms-1で試験体に約900 s-1のひずみ速度を生成し、ひずみ速度約80 s-1では強制速度1.7 ms-1で達します。シミュレーションはそれぞれの速度の値で実行されます。低速での検討は、出力バーの最上部で反射波が生成されるために高速の場合よりも時間に関して制限される点にご留意ください。
ひずみ速度の評価に用いたどちらのデータソースも同様の結果を与えています。
- スムージングのためのカットオフ周波数(100 kHz)の有り無しによる応力のひずみ速度効果:
- ひずみ速度係数の影響 (実験データとの比較)
これらの検討は高ひずみ速度のモデル( = 900 s-1)で実行されています。
フィルタリングを使用し、より物理的な流れの応力が得られています。陽解法はエレメント-バイ-エレメントの手法で、時間的な振動の局所的な取り扱いがメッシュ内に空間的な振動を加えます。