フォースの計算
垂直力

Figure 1. 傾斜した状態のタイヤの正面図

は、タイヤの垂直剛性です。この計算では横方向のたわみを無視しています。

は、タイヤの貫通速度です。
垂直力は正の値のみです。タイヤが地面から離れた状態では、得られる負の反力が0に設定されます。
タイヤのプロパティファイルに[DEFLECTION_LOAD_CURVE]ブロックが存在する場合は、そのブロックのデータを使用して垂直力が計算されます。この場合、VERTICAL_STIFFNESSの値は無視されます。DEFLECTION_LOAD_CURVEのデータは、単調に増加する値とする必要があります。このような表の例を以下に示します。

摩擦係数
摩擦係数は、Comprehensive slipを使用してUmaxとUminの値を補間することで計算します。

Figure 2. 摩擦係数と滑りの関係
タイヤプロパティファイルに[MU_SLIP]が存在する場合は、その表のデータを補間することで摩擦係数を計算します。[MU_SLIP]による曲線のデータは、単調に増加する値であることが必要です。このような表の例を以下に示します。

前後力
前後力(Fx)の計算は、タイヤの縦滑り条件によって異なります。通常は、弾性変形状態(縦滑りが臨界滑り値より小さい)と純粋な滑り状態(縦滑りが臨界滑り値を超えている)という2つの明確な滑り状態が存在します。臨界縦滑りは次のように計算します:

純粋な弾性変形の場合:

純粋な滑りの場合:

ここで:


横力
縦方向の力の臨界滑りの場合と同じように、臨界横滑り係数が計算されます。タイヤの純粋な弾性変形状態と純粋な滑り状態の境界を決定します。

弾性変形状態の場合:

と
は、それぞれ横滑りに起因する横力とキャンバーに起因する横力です。

は、
が成立する場合のキャンバー角です。

また、
>
の場合

ここで:

滑りの場合:

転倒モーメント
オーバーターニングモーメントは、垂直力がかかる位置である接触点が横方向に移動することによって発生します。
Figure 3. 傾斜した状態でのオーバーターニングモーメント

転がり抵抗モーメント
FIALAタイヤモデルでは、転がり抵抗モーメントは、純粋に垂直力Fzの関数です:
ここで、omegaはスピン軸を中心としたタイヤの角速度です。
アライニングトルク
Fy計算で使用されるのと同じ臨界横滑り角は、タイヤの状態を判断する際にも使用されます。
Figure 4. 作用点での縦力によって垂直軸を中心として発生するモーメント
弾性変形状態の場合:

ここで、
は接触パッチの長さの半分です。ここでのスケーリング係数は、接触パッチの長さの半分ですが、FIALAモデルでは、タイヤ幅がスケーリン係数として使用されます。
滑りの場合:
