Transfer Path Analysis

加振構造物の、対応する構造物内の応答への取り付け点を介した複素寄与度を同定します。



図 1. TPAプロセス

コントロールボリューム

コントロールボリュームは、伝達経路を定義するのに視覚的に便利な手段です。上の図において破線で示されているように、対応する構造物を囲むウィンドウを描きます。ウィンドウまたはコントロールボリュームでカットされる全ての境界要素は、TPA荷重の計算に使用される結合要素で、対応する構造物へのそれらの取り付け点は、TPA解析に含められるべきTPA関数の計算に使用される伝達経路です。異なる伝達経路を含め、コントロールボリュームを定義するには複数の方法があります。例えば、前輪駆動車についてTPAを実施する際、ユーザーが着目する対象がサスペンションからサブフレームへの取り付け点である場合、フロントサブフレームをコントロールボリュームに含めることができます。あるいは、エンジンマウントが興味の対象である場合は、コントロールボリュームに含めないことが可能です。TPAツールでは複数のコントロールボリュームを定義できますが、各TPA解析でアクティブとすることができるのは1つのみです。

仮定荷重を含むTPA

現実的な荷重が使用できない場合、TPA解析は、荷重ファイル欄が空白のままである伝達関数結果ファイルのみを使って実行することが可能です。この場合、解析の全周波数で一定と仮定される荷重値を入力するよう求められます。すると、TPAユーティリティは自動的に荷重パンチファイルを生成し、TPA解析の続行が可能となります。仮定荷重を含んだTPAの典型的な実践シナリオとしては、単位荷重または目標として仮定した荷重に基づく伝達関数のランキングによって寄与度の高い経路と周波数を特定することが挙げられます。

必要な結果ファイル

TPAユーティリティは、2つの結果ファイルを必要とします。
  1. Transfer Function出力ファイルは、取り付け点の自由度と応答点の間の相互伝達関数結果(Step 1のd.からTPAの解析が望まれる)を含みます。オプションとしてこのファイルでは、加振点のPoint Mobility(PM)結果が得られ、局所取り付け剛性の影響を検証することができます。
  2. Force出力ファイルは、Step 2のb.からの取り付け荷重を含みます。荷重は、伝達関数の出力に使用される座標系と揃えた局所座標系(LCS)を使って出力されることを前提とします。一貫性を確実にする最も簡単な方法としては、OptiStructでGPFORCE出力リクエストを使用します。一般的に使用される荷重リクエストは:
    荷重リクエストの種類 出力LCS コメント
    GPFORCE グリッド解析LCS 荷重入力LCSと同じ
    ELFORCE 要素LCS 入力LCSによって異なる
    SPCFORCE グリッド解析LCS 荷重入力LCSと同じ

TPAユーティリティでの伝達経路詳細の定義

各伝達経路は、TFファイル内のサブケースによって表されます。したがって、TPAユーティリティはTFファイルからのサブケースを読み出し、解析に使用可能な伝達経路のリストを構築します。また、TPAユーティリティによる経路の詳細の自動割り当てを可能にするため、サブケースのラベル付けの規則が確立されています。

TFサブケースのラベル付け規則
Excited Grid ID:DoF<>Connector Element ID:DoF<>L1:L2:L3:DoF
ここで、L1、L2、L3は、経路の寄与を集めるために使用された取り付け点用の記述のレベルです。
4003003:+X<>3003:+X<>Frt Susp.:LCA - Frt Bush:LHS:+X
上の例において:
  • 4003003:+Xは経路の基本記述子で、加振されたGrid IDとDoFを与えます。
  • <>はラベルのパート間の区切り文字です。
  • Frt Susp.:LCA - Frt Bush:LHS:+Xは、取り付け点とDoFに、より意味のある記述を与えます。
TFサブケースラベルから、ラベルの一部または全部が欠けていて構いませんが、ラベルが完璧であるほど、解析に必要なパスの情報を十分定義するために手動で入力する必要が少なくなります。

TFサブケースラベルのシナリオ

ラベルなし、または予想外のラベル
ユーティリティは、Path Detailsダイアログで使用可能なすべてのTFサブケースを作成し、ユーザーがPointタブで伝達経路を手動で追加し、TFタブで正しいサブケースを各経路に割り当てることができるようにします。
ラベルはPart 1 - Excited Grid ID: DoFのみを含む
ユーティリティはPointタブ内に伝達経路のリストを構築し、TFタブで、ラベル付けされたサブケースを対応する経路に割り当てます。解析を進めるには、手動で荷重を経路に割り当てる必要があります。
ラベルはPart 1とPart 2 - Connector Element ID: DoFを含む
ユーティリティはPointタブ内に伝達経路のリストを構築し、TFタブで、ラベル付けされたサブケースを対応する経路に割り当て、Forceタブで、Grid、Element IDまたはその両方に合致する荷重データを正しい経路に割り当てます。
ラベルは3つすべてのパートを含む
ユーティリティはPointタブ内に伝達経路のリストを構築し、取り付け点に正しい記述を付加し、TFタブで、ラベル付けされたサブケースを対応する経路に割り当て、Forceタブで、Grid、Element IDまたはその両方に合致する荷重データを正しい経路に割り当てます。

自動化されたTPAプロセス(ワンステップTPA)

従来のTPAは、2つのソルバーランを含み、2つのランからの結果が一貫性をもち、サブケースがTPAユーティリティへの入力として正しくラベル付けされていることを確実にするようセットアップするのは、かなり煩雑です。TPA解析に必要とされる必須データが1つの周波数応答解析で(PEPATHカードを用いて)リクエストできる簡略化されたプロセスが、OptiStructで開発されました。ここでは、伝達経路寄与と、関連する伝達関数および荷重データが.h3dファイルに出力されます。このアプローチにより、別個の伝達関数ランが不要となります。

結果の .h3dファイルがTPAユーティリティに読み込まれると、伝達関数結果は、一貫性が保証された荷重結果と自動的にマッチアップされます。自動化されたTPAプロセスは、TPA解析の効率とロバスト性を劇的に向上させます。

タグポイントマッピングファイルが、NVH DirectorのAnalysis Manager機能によって自動的に生成される.h3dファイルと同じフォルダにある場合、伝達経路のラベル付けは大幅に強化され得ます。TPAツールはマッピングファイルからの情報を使用し、詳細にわたる経路の記述を自動的に生成します。