MV-8100: タイヤのモデリング

本チュートリアルでは、MBD-Vehicle Dynamics ToolsプリファレンスファイルのMotionViewでの読み込み、タイヤモデルの構築、MotionSolveでのモデルの実行およびシミュレーション結果の確認を行う方法について学びます。

このチュートリアルの目的は、MotionViewインターフェースでタイヤモデルを構築し、結果を解釈するためのプロセスを示すことです。

タイヤモデルは、ホイールと路面の間のインターフェースを表現します。このタイヤインターフェースでは、タイヤのパラメータとプロパティは拡張子(.tir)のタイヤプロパティファイルによって設定され、路面インターフェースは拡張子(.rdf)の路面プロパティファイルによって記述されます。タイヤのインターフェースを定義するには、1つのボディ、1つのポイント、および2つのマーカーを結合する必要があります。これに加え、無荷重半径、アスペクト比、幅、質量、慣性モーメントなどのタイヤの物理的なプロパティを指定する必要があります。

プリファレンスファイルの読み込み

このステップでは、MotionViewを起動し、MBD-Vehicle Dynamics Toolsプリファレンスファイルを読み込みます。

AutoTireエンティティを構築するにはまず、MotionViewでMBD-Vehicle Dynamics Toolsプリファレンスファイルを読み込む必要があります。一旦読み込むと、HyperWorksがそれを覚えていて、HyperWorksを起動するたびに、MBD-Vehicle Dynamics Toolsプリファレンスファイルを自動的に読み込みます。

  1. 新しいMotionViewセッションを開始します。
    Figure 1.
  2. menu barFile > Load > Preference Fileを開き、Preferencesダイアログを開きます。
    Figure 2.
  3. MBD-Vehicle Dynamics Toolsを選択し、Loadをクリックします。
    Figure 3.

モデルへのポイントの追加

このステップでは、ポイントをモデルに追加します。

  1. Project Browserから、Pointsフォルダーを右クリックし、context menuからAdd Pointを選択します。


    Figure 4.
    Add Point or PointPairダイアログが表示されます。
  2. LabelにWheel CMと入力します。
  3. Variableにp wheel cmと入力します。
  4. OKをクリックします。


    Figure 5.
    Wheel CMポイントがProject Browserで追加されます。


    Figure 6.
  5. PointsパネルのPropertiesタブで、Z座標として313と入力します。


    Figure 7.

モデルへのHubボディの追加

このステップでは、モデルにボディを追加し、Hubボディの中心を定義します。

  1. Project Browserから、Bodiesフォルダーを右クリックし、context menuからAdd Bodyを選択します。


    Figure 8.
    Add Body or BodyPairダイアログが開きます。
  2. LabelにHubと入力します。
  3. Variableにb_hubと入力します。
  4. OKをクリックします。


    Figure 9.
    HubボディがProject Browserに追加されます。


    Figure 10.
  5. BodyパネルでCM Coordinatesタブをクリックし、Use center of mass coordinate systemチェックボックスを選択します。


    Figure 11.
  6. Pointコレクターボタンをダブルクリックします。


    Figure 12.
    Select a Pointダイアログが開きます。
  7. Wheel CMポイントを選択し、OKをクリックします。


    Figure 13.
    ホイールの中心が、Hubボディの中心として使用されます。


    Figure 14.

Hubボディの質量および慣性プロパティの更新

このステップでは、Hubボディの質量と慣性プロパティを更新します。

  1. BodyパネルのPropertiesタブで、Massプロパティに380と入力します。
  2. Inertia propertiesセクションで、lxx1.0000e+14と入力します。
  3. lyy2.0000e+14と入力します。
  4. lzz1.0000e+14と入力します。
    Tip: Hubボディの質量と慣性プロパティはFigure 15と一致するはずです。


    Figure 15.

Hubボディの初期条件の設定

このステップでは、Hubボディの初期条件を設定します。

  1. Initial Conditionsタブをクリックします。
  2. Translational velocityセクションで、Vx2.0000e+04と入力します。
  3. Vy1000と入力します。
  4. Vz0と入力します。
  5. Rotational velocityセクションで、Wx0と入力します。
  6. Wy65と入力します。
  7. Wz0と入力します。
    Tip: Hubボディの初期条件はFigure 16と一致するはずです。


    Figure 16.
    Note: Hubボディに付与されるこれらの初期条件は、前向きの初速Vxが20000mm/s、回転が65rad/sであるタイヤ+リムを表します。

モデルへのマーカーの追加

このステップでは、マーカーをモデルに追加します。

  1. Project Browserから、Markersフォルダーを右クリックし、context menuからAdd Markerを選択します。


    Figure 17.
    Add Marker or MarkerPairダイアログが開きます。
  2. LabelにTire Reference Markerと入力します。
  3. Variableにm_tire_refと入力します。
  4. OKをクリックします。


    Figure 18.
    Tire Reference MarkerがProject Browserに追加されます。


    Figure 19.
  5. Figure 20に示すとおり、MarkersパネルのPropertiesタブで、BodyにHubを選択し、OriginにWheel CMを選択します。


    Figure 20.
    マーカーのアタッチメントが定義されます。

モデルへのAutoTireエンティティの追加

このステップでは、autotireエンティティをモデルに追加します。

  1. Project Browserから、Modelを右クリックし、context menuからAdd Auto Entityを選択します。


    Figure 21.
    Add Entityダイアログが開きます。
  2. ドロップダウンメニューからAutoTireを選択し、OKをクリックします。


    Figure 22.
    AutoTireパネルがパネル領域に表示され、Project Browserに自動車用エンティティが作成されます。


    Figure 23.
  3. Connectivityタブで、Figure 24に示すとおり、Hub BodyにHub、Wheel CenterにWheel CM、Tire MarkerにTire Reference Marker、Road MarkerにGlobal Frameを選択します。


    Figure 24.
    Note: AutoTireはHub Body、Wheel Center、Tire Marker、Road Markerによって定義されます。
    Hub Body
    タイヤ力が作用するホイールボディ。
    Wheel Center
    タイヤが結合されるポイント。
    Tire Marker
    タイヤ力が作用する方向を指定する参照マーカー。
    Road Marker
    道路の参照マーカーは、シミュレーションでの路面の配置と向きの基準となるマーカーです。
    タイヤインターフェースが定義され、モデルがmodeling windowに表示されます。


    Figure 25.
  4. Property Filesタブを使って、タイヤのプロパティを確認します。


    Figure 26.

    AutoTireエンティティは、Tire Propertyファイルを編集することによりユーザーが希望に沿ってタイヤプロパティを修正することを可能にします。

    グラフィックのタイヤの表現は、Unloaded Radius、Tire Width、Aspect RatioおよびHub Offsetなどのプロパティフィールドを編集することで修正できます。タイヤプロパティファイルが読み込まれたら、フィールドの一部は自動的に入力されます。

    Note: エンティティフィールドの値を変更しても、プロパティファイル内の値は変更されません。これらのエンティティフィールドは、タイヤのグラフィックを作成するためのものです。

    Edit Fileボタンを使ってファイルに変更を加えたい場合は、別の名称でファイルを保存し、再読み込みします。そうすることで、グラフィックの属性がグラフィカルユーザーインターフェース内で自動的に満たされます。

MotionSolveでのモデルの実行

このステップでは、MotionSolveでモデルを実行します。

  1. モデルをAuto-Tire.mdlとして保存します。
  2. (Run Solver)をクリックし、MotionSolve入力の名称をAuto-Tire.xmlに変更します。
  3. Simulation typeドロップダウンメニューからStatic + Transientを選択します。
  4. Print intervalに0.001と入力します。


    Figure 27.
  5. Runボタンをクリックします。
    モデルがMotionSolve,で実行されると、View Log、AnimateおよびPlotボタンが有効になります。これらのボタンで、結果のプロット、アニメーションを確認、または表形式での結果の検証を行うことができます。

解析結果の表示

このステップでは、タイヤモデルの解析結果を確認します。

  1. Plotボタンをクリックします。
    プロットが右のウィンドウ内に表示されます。


    Figure 28.
  2. プロットウィンドウ内の任意の場所をクリックし、ツールバーから(Expand/Reduceボタン)をクリックします。
    プロットウィンドウが展開します。
AutoTireエンティティはシミュレーションに基づいたタイヤ出力を自動的に生成します。これは、.pltからアクセスが可能です。


Figure 29.
REQ/70000005 Auto Tire0 – Radius OmegaActual OmegaFree
  • f2 - Radius – タイヤのロール半径
  • f3 - OmegaActual – タイヤの角速度
  • f4 - OmegaFree – タイヤがスリップ率0の際の角速度


Figure 30.
REQ/70000006 Auto Tire0 – lonSlip latSlip IncAngle
下記の出力が、ISO座標系およびSAE座標系で用意されます。プロットで示されているのはISO座標系のものです。
  • f2 - LonSlip - スリップ率または縦方向スリップ(%)この場合、タイヤは自由に回転しているため、スリップ率はほぼ0です。
  • f3 - LatSlip - 横方向スリップはVyとVx.の比で、0.05から始まります。ここでは、Vy/Vx = 1000/20000 = 0.05
  • f4 - IncAngle – タイヤのXZプレーンからの傾斜角


Figure 31.
REQ/70000007 Auto Tire0 – Tire CP Forces (W-Axis system)
タイヤの接触パッチでのフォースはWおよびSAE軸系で使用できます。プロットで示されているのは W-axis系のものです。


Figure 32.

出力プロットタイプ

このセクションでは、解析結果の表示で確認されるシミュレーションに基づいた異なる出力プロットについて学びます。

REQ/70000007 Auto Tire0 – Radius OmegaActual OmegaFree

  • f2 - Radius – タイヤのロール半径
  • f3 - OmegaActual – タイヤの角速度
  • f4 - OmegaFree – タイヤがスリップ率0の際の角速度


Figure 33.

REQ/70000008 Auto Tire0 – lonSlip latSlip IncAngle

下記の出力が、ISO座標系およびSAE座標系で用意されます。プロットで示されているのはISO座標系のものです。

  • f2 - LonSlip - スリップ率または縦方向スリップ(%)この場合、タイヤは自由に回転しているため、スリップ率はほぼ0です。
  • f3 - LatSlip - 横方向スリップはVyとVx.の比で、0.05から始まります。ここでは、Vy/Vx = 1000/20000 = 0.05
  • f4 - IncAngle – タイヤのXZプレーンからの傾斜角


Figure 34.

REQ/70000009 Auto Tire0 – Tire CP Forces (W-Axis system)

タイヤの接触パッチでのフォースはWおよびSAE軸系で使用できます。プロットで示されているのは W-axis系のものです。



Figure 35.