各ローカルドメインは、任意の数のハンドルと関連付けられます。ローカルハンドルは、そのハンドルが属しているローカルドメイン内の節点にのみ影響を与えます。ローカルハンドルは、モデルに対して小さい規模の変更やパラメトリックな変更が与えられる際に使用されることを想定しています。
モデルにはグローバルおよびローカルのハンドルとドメインを設定することが可能で、変更の規模が大きくても小さくても対応できるようになっています。モデルに両タイプのドメインおよびハンドルを設定する必要はありません。
ローカルドメインは、1Dドメインの場合は長方形のアイコン、2Dドメインは2つの長方形をつなげたアイコン、3Dドメインはキューブのアイコン、一般ドメインは④つの長方形をつなげたアイコン、エッジドメインは線で表現されます。
別のハンドルに従属していないローカルハンドルはオレンジで表示されます。別のハンドルに従属しているハンドルは、その従属レベルによって緑または青あるいはピンクで表示されます。モデル内のハンドルの基本サイズはVisualizationツールバー上のVisualizationオプションアイコン(
)を使ってアクセスするVisualization Controlsタブで設定できます。ここで指定されたサイズは独立ローカルハンドルの直径となります。ハンドルの表示色や従属ハンドルと独立ハンドル間のサイズ比率については、変更することはできません。しかし、ドメインの表示色は、Visualization Controlsタブで変更することができます。
ローカルドメインはDomainsパネルのCreateサブパネルで節点または要素を選択し、個々に作成することができます。ローカルドメインが作成されると、すべてのエッジドメインの終端にローカルハンドルが自動的に作成されます。これらのローカルハンドルには、localとその後ろに数字がついた名前が与えられます。ローカルハンドルが置かれる位置は、作成されたドメインのタイプと領域分けオプション(選択されている場合)によって決まります。
図 1. 領域分けを利用したローカルドメインとローカルハンドル
剛体要素が1Dドメインに置かれ、このときに中心の節点位置に独立(オレンジ)ハンドル、その他の節点位置に従属(緑)ハンドルが作成されています。シェル要素は、領域分けによって、形状の曲がっている位置で分けられた2つの2Dドメインに置かれています。ソリッド要素は3Dドメインに置かれます。3Dドメインのフェイス上にシェル要素が作成されます。これらの要素は^morphfaceという名前のコンポーネントに置かれます。また、2Dドメインは3Dドメインのフェイス上に作成され、エッジドメインは2Dドメインのエッジ上に作成される点についても注目してください。ローカルハンドルは、エッジドメインの終端に置かれています。
1Dドメイン
1D要素、例えばバー要素や剛体要素などで構成されるドメインは1Dドメインと呼ばれます。
ローカルな1Dドメインが自動的に作成されると、節点を共有する1D要素は1Dドメイン内にグループ化されます。独立ローカルハンドルは1Dドメインの一番中心の節点位置に置かれ、従属ローカルハンドルは1Dドメイン内のその他の要素のすべての節点位置に置かれます。独立ハンドルは一番大きく、オレンジ色で表示されます。一方従属ハンドルは、独立ハンドルより小さく、緑色で表示されます。1Dドメインのすべての従属ハンドルは、独立ハンドルに直接依存しています。この従属関係は、独立ハンドルを動かすことで、従属ハンドルも同じ方向へ、同じ量だけ移動することを意味します。この従属関係によって、1D要素のグループに与えられている特別な関係性が保たれます。更に、1Dドメインの従属ハンドルにバイアシング係数として初期値は3が与えられます。モデル内のその他のハンドルには、バイアシング係数として1が与えられます。より高いバイアシング係数は、周囲のメッシュに与える影響が、その他のメッシュより大きくなります。1Dドメイン内の従属ハンドルに大きなバイアシング係数が与えるのは、2Dまたは3Dドメイン内の節点に1D要素が繋がっている際にメッシュのゆがみが発生することを防ぐことを想定しています。
図 2. 剛性スパイダー要素から1Dドメインを作成. 独立ローカルハンドル(オレンジ)は1Dドメインの中心に置かれ、従属ハンドル(緑)は各節点位置に置かれます。オレンジのハンドルを動かすことで、すべてのスパイダーが移動されます。このとき、適切な形状および剛性スパイダーに必要なコネクティビティは保持されたままです。
2Dドメイン
シェル要素の2Dドメインが作成されます。
ローカルな2Dドメインが自動的に作成されると、節点を共有するシェル要素は2Dドメイン内にグループ化されます。
partitioningが選択されている場合、ドメインはブレーク角と曲率の変化など領域分けのためのパラメータに従ってより小さいドメインに分割されます。エッジドメインは2Dドメインのエッジに沿って作成され、領域分けが行われます。ローカルハンドルは、エッジドメインの終端に置かれます。通常、2Dドメインのコーナーとその他の適切な位置にローカルハンドルが作成されます。これは、より速く、簡単にモデルのパラメトリックな変更を可能にすることを目的としています。ハンドルを移動させ、モデルのモーフィングを行うため、あらかじめ適切な位置にハンドルがあると便利です。モデルをモーフィングするための準備時間を短縮するため、ハンドルを置く適切な位置を
HyperMorphが予測します。ハンドルまたはドメインが望む場所に配置されていない場合は、削除、修正、または新規に作成できます。また、作成されたローカルハンドルがエッジドメインに関連付けされていたとしても、その位置の節点が共有されていれば、その節点が属するドメインにある節点にも作用します。これは、ハンドルが2Dドメインに関連付けされていても、同じことが言えます。複数のドメインに関連付けされているハンドルは、隣接するドメインの節点にも常に影響を与えます。ある節点が属するドメインに接していない節点位置にハンドルを作成することは可能です。これは、ドメインの外にハンドルを置くことを可能にし、例えば、ドメイン近くの空間でそのハンドルを移動させ、ドメイン内の節点をコントロールしたい場合などに利用できます。
図 3. エッジドメインとハンドルを持つ2つの2Dドメイン. 左側のモデルは初期のハンドル位置を示します。右側のモデルでは4つの新規ハンドルが追加されています。関連するドメインにない節点位置も含め、ハンドルはどこにでも置くことができます。
3Dドメイン
ソリッド要素の3Dドメインが作成されます。
ローカルな3Dドメインが自動的に作成されると、節点を共有するソリッド要素は3Dドメイン内にグループ化されます。各3Dドメインのフェイス上にシェル要素が作成され、^morphfaceという名のコンポーネントに置かれます。これらの要素を削除、変更したり、^morphfaceコンポーネントの名前を変更したり削除することはお奨めしません。しかし、変更や削除を行った場合、これらの要素と2Dドメインは、次に
HyperMorphパネルかdeleteパネルを終了した際に再度作成されます。
各3Dドメインのフェイス上のシェル要素は2Dドメインに置かれ、partitioningオプションが選択されている場合は、領域分けが行われます。各2Dドメインの周囲にエッジ要素が配置され、各エッジドメインの終端にローカルハンドルが作成されます。モデル内のソリッド要素のフェイス上にすでにシェル要素が存在する場合、
HyperMorphは既存のシェル要素と一致する ^morphface要素は作成しません。^morphfaceコンポーネントの色は、VisualizationツールバーのVisualization Optionsアイコンを使用して開かれるmorphing Visualizationダイアログで変更することができます。
注: ^morphfaceコンポーネント内のフェイス要素はFEMデックには書き出されません。(コンポーネント名が "^"で始まるものは書き出されません。)
図 4. ソリッド要素ブロックから3Dドメインを作成. 3Dドメインのフェース上の灰色のシェル要素が ^morphfaceコンポーネントです。^morphfaceコンポーネントは2Dドメイン内で領域分けされています。2Dドメインのコーナーにはハンドルが作成されます。
エッジドメイン
エッジドメインは、節点の集まりによって作成されます。
ローカルエッジドメインが自動的に作成されると、すべての2Dドメインのエッジ上にエッジドメインが置かれます。ドメインを選択中、マウスボタンを押したままマウスを2Dまたは3Dドメイン(またはドメイン内の要素)上に移動させると、domainアイコンとドメインを囲むエッジドメインがハイライト表示されます。この機能によって、選択するドメインが確認し易くなります。マウスボタンを離すと、選択されているドメインのみがハイライトされます。
3Dドメインのフェイス上のエッジドメインと2Dドメインは、与えられたドメインにおいてハンドルが与える影響を決定するために重要な役割を果たします。エッジドメイン上の節点は、エッジドメインの両側のハンドルに相対してのみ移動します。それ以外のハンドルはエッジ上の節点には影響しません。同様に、3Dドメインのフェイス上の2Dドメイン内の節点は、2Dドメインに接触しているハンドルに相対してのみ移動します。これによって、2D、3Dドメインの境界が保持され、ストレートなエッジはストレートなまま、平らなサーフェスは平らなまま、湾曲したエッジはそのまま保持されます。これは、2Dまたは3Dドメインのハンドルを移動させてもエッジには影響を与えずに済ませることができます。ドメインの境界をそのまま保持したくない場合、与えられたドメインのエッジを削除するか、一般ドメインとしてそのドメインを作成するかを選択できます。また、非リフレクティブシンメトリーは、シンメトリーのタイプによって、エッジやフェイスを越えてハンドルの影響を作用させます。非リフレクティブシンメトリータイプを持つドメインは、モーフィング中に境界は保持されません。
図 5. エッジドメイン. 2Dドメインのエッジ周囲にエッジドメインが配置されます。右側のモデルでは、エッジドメインが2Dドメインの内部に作成されています。エッジドメインが作成されると、領域分けとハンドルが終点または結合部に置かれます。
図 6. モーフィング後のエッジドメイン. 2Dドメイン内側の丈夫のフレームの2つのハンドルが作成され移動されます。下の図は、エッジドメインに繋がる2つのハンドルが作成され、移動されている様子です。エッジドメインはストレートのままで、形状の特徴をそのまま保持しています。
一般ドメイン
一般ドメインは1D、2Dそして3D要素の混合で作成することができます。
ローカルドメインが自動的に作成されますが、一般ドメインは自動的に作成されません。他のすべてのドメインのように、ある一般ドメイン内の要素はそれ以外のものに接触してる必要があります。
一般ドメインが作成されると、3D要素のフェイス上に2Dドメインは作成されず、エッジドメインも作成されません。したがって、ドメインのハンドルも作成されません。しかし、一般ドメインはすべての近隣のエッジドメインと2Dドメインを考慮しないといけないため、2Dまたはエッジドメインを一般ドメインのために作成する場合、一般ドメインのためのハンドルの影響が制限されます。そうでなければ、一般ドメインのハンドルは一般ドメイン内のすべての節点に制限なく影響し、境界のないストレッチや変形を可能にする要素タイプの違いを越えたモーフィングが可能になってしまいます。一般ドメインは、異なる要素タイプのクラスター(かたまり)として表現されるコネクターのリアライズに便利です。他の用途としては、1D、2Dおよび3Dドメインが必要な1つのセクション内のメッシュにある特定な変更が必要な場合、残りのメッシュ(ここに一般ドメインを使用)も単純にその変更に合わせることができます。
図 7. 一般ドメインと2Dドメイン間の相互作用. 上部フレームで、2つのシェルメッシュパートのために2Dドメインが作成され、残りの剛体、シェル、ソリッド要素から一般ドメインが作成されます。一般ドメイン内の剛性スパイダーの端点に、2つのハンドルが置かれています。下の図では、一般ドメイン内の2つのハンドルが移動されています。一般ドメイン内のシェル要素が、他のドメインと2Dドメインのエッジのみ、および、フリーエッジと共に2Dドメインのエッジのみによって境界が制御され、モーフィングされています。