要素の貫通 / 交差のチェック

貫通(Penetration)はシェル要素の材料板厚のオーバーラップ(重なり)として定義されます。交差(Intersection)は一方が他方を完全に通過している要素として定義されます。



図 1. 貫通と交差
制約事項: 貫通チェックは、LS-DYNARadiossPAM-CRASH等の衝突解析ソルバーインターフェースのすべてによってサポートされており、モデル化されたシェル要素について板厚データをサポートするユーザープロファイルと使用することで最も有効に機能します。デフォルトのソルバーインターフェースはモデル化された要素板厚をサポートしませんが、貫通チェックツールを使用することでユーザーがチェックの実行時に均一な板厚を指定できます。
  • Penetrationパネルでは、チェックのセットアップおよび初期化のみが可能です。チェックツールのほとんどはタブ領域で開く特別なタブ内に収められています。このタブはpenetrationパネルを終了し、初期チェックを実行した後にのみ表示されます。
  • 貫通チェックが実行される際、貫通または交差している要素以外は、モデル内のすべてが自動的にマスキング(表示オフ)されます。ここで、これらの要素のコンポーネントのサイズに合わせてビューが切り替わります。Penetrationタブにあるツールバーボタンを使って追加の要素の表示と非表示を切り替えたり、DisplayパネルまたはMaskパネルで他のエンティティタイプ(エリプソイドなど)を再度見えるようにしたりすることが可能です。
  • ソリッドエンティティに関して貫通が認識されることはありませんが、ソリッド間の重なりは、1つまたは複数のソリッドフェイスのそれぞれが交差するため、交差として認識されます。別のソリッドの内部に完全に含まれるソリッドは、交差または貫通としては認識されません。これは、完全に含まれているソリッドのすべてのフェイスはより大きい(含んでいる)ソリッドのフェイスのいずれにも交差しないためです。また、サーフェス要素のみに関して貫通として認識されます。ツールはテトラまたはヘキサなどの要素間の貫通を見つけることはできません。


    図 2. 交差検出


    図 3. 交差なし
  • ソリッドは、隣接するシェル要素に関しては、シェル要素の板厚に基づいて貫通を認識することができます。
  1. ToolsページでPenetrationをクリックします。
  2. エンティティセレクターを使用して、交差や貫通をチェックするエンティティを選択します。
    いずれの場合も、貫通する要素が検知されます。例えば、2つのコンポーネントをピックすると、他方の要素を貫通する要素を各コンポーネントから見つけます。
  3. チェックする干渉のタイプを選択します。
    all interferences, intersections only、またはpenetrations onlyのいずれかです。
    注: ソリッドエンティティの場合、貫通は、シェル要素に接続されている場合にのみ考慮されます。その他のソリッドは、交差のみを考慮します。
  4. 交差する要素のタイプを選択します。

    2D and 3D elements, 2D only elements、または3D only elementsから選択します。

    2D only elementsまたは3D only elementsを選択した場合、HyperMeshは貫通について指定したタイプの要素のみをチェックします。選択されたエンティティ内の指定の次元タイプではない要素は、他のエンティティを貫通または交差していても無視されます。

  5. allowable interference depthチェックボックスを選択し、貫通チェックのためのトレランスを入力します。

    例えば、パートがmmで測定されるパートのモデルをチェックし、1/10mm以下の貫通は無視したい場合、この欄に値0.1を設定します。貫通ツールは互いへの貫通が1/10mmまたはそれ未満である要素を無視しますが、1/10mm以上貫通している要素は探し出してハイライト表示します。

    一部のソルバーは要素同士が直接隣接する接触を認めていません。例えば、貫通の深さがゼロちょうどで、要素間にすきまがない場合。そのようなソルバーの場合、ユーザーはこの欄に-0.1などの負の値を設定する必要があります。これにより貫通ツールは、あたかも互いを貫通しているかのようなちょうど隣り合う要素を探し出して表示するため、ユーザーは貫通修正ツールを使って要素間にスペースを追加することができます。

  6. 板厚の調整方法を選択します。
    groupsを対象にチェックを実行する場合は利用できません。これは、グループの板厚はコントロールカードで定義されるためです。
    • Component thicknessを選択すると、コンポーネント内の各要素について、コンポーネントのプロパティカードに指定された板厚値を使用します。
    • thickness multiplierを選択し、値を入力すると、貫通チェックのために選択されたエンティティの板厚にこの値が掛けられます。非整数値は受け入れ可能ですが、負の値は使用できません。
    • Uniform thicknessを選択した場合、板厚を入力します。

      これは、デフォルトのHyperMeshユーザープロファイルで板厚情報が不足している際、もしくは板厚が指定されていないモデルについて作業を行う際の対応策として使用できます。

      また、このオプションを使用し、選択された要素間の最小距離よりも大きい板厚を指定することにより、非貫通パート間の接近の度合いを決定することも可能です。

  7. 同一コンポーネント内での交差または貫通、例えばコンポーネント内の大きな湾曲による貫通などについてチェックを行いたい場合は、include self interferenceチェックボックスをアクティブにします。
    このオプションは計算処理を重くするため、大量の要素について貫通をチェックする際の使用はお薦めできません。
  8. checkをクリックします。

選択されたコンポーネント、要素、またはグループの貫通や交差をチェックします。ステータスバーには、チェック中の各ステップの進行度のパーセンテージが表示されます。

チェックを何らかの理由により中断したい場合、グラフィックス領域内を右クリックし、ボタンを押したままにすることで中断できます。ボタンを押し、中断されるまでの時間は、実行しているチェックサイズと複雑さよって異なります。チェックが中断されると、ステータスバーは赤に変わり、チェックがキャンセルされたことを伝えるメッセージが表示されます。

貫通 / 交差チェックが終了すると、チェックの結果が表示され、調整できます。