参照形状

参照形状の定義は、エアバッグを構成するすべての要素の未変形状態のサイズで構成されます。参照形状を使用すると、要素のサイズがその参照形状と同じ限り、材料には応力が発生しません。

参照形状の使用が必要な状況として2種類があります。まず、折りたたみの際に、エアバッグの各要素がゆがんで、内部要素と外部要素の折りたたみ長さが等しくなくなる状況が考えられます。したがって、エアバッグが膨らむときは、各要素がその参照サイズに達するまで要素に応力が発生しないように参照形状が使用されます。

エアバッグの各要素が参照サイズより小さくなることがあるもうひとつの状況として、キャニスターに収容するためにエアバッグのサイズをスケールダウンする場合があります。この場合、エアバッグを折りたたむ必要はありませんが、折りたたんだエアバッグとは展開の挙動が異なります。したがって、折りたたんでいないエアバッグをキャニスターに収めるためにスケールダウンすることはお勧めできません。

参照形状の位置は重要ではありません。重要なのは節点どうしの相対的な距離のみです。参照形状を使用して繊維方向(材料の異方性)を定義します。折りたたんだエアバッグの使用よりも容易であるからです。

参照形状の定義方法として次の3種類があります。

/EREF

この場合は、要素を基準とする方法で参照形状を定義します。ここでは、組み立てたエアバッグ(折りたたんだエアバッグ)でパートIDと要素IDが一致します。/EREFで指定した節点IDは一意にする必要があるので、折りたたんだエアバッグで要素の定義に使用している節点IDとは一致しません。つまり、エアバッグの参照形状パートは互いに結合する必要はなく、図 1のような2D CAD形状を基にすることもできます。


図 1. 乗員用エアバッグの平坦な参照形状

/XREF

この方法では、節点IDと参照座標を使用して参照形状を列挙します。節点IDは、組み立てたエアバッグ(折りたたんだエアバッグ)での節点IDと一致している必要があります。パートごとに1つの/XREFが作成されます。図 1のように、エアバッグの参照形状パートが結合していない場合、パートが結合している領域では複数の/XREFに同じ節点が存在します。この方法では、組み立てたエアバッグ(折りたたんだエアバッグ)で節点IDが一致している必要があるので、/EREFのような柔軟性が得られません。

/REFSTA

この場合は、/NODEオプションと同じフォーマットで節点の参照座標が記述されている独立したファイルから、参照形状の節点位置を読み取ります。この方法は、閉じた参照形状体積でのみ機能するので、使用はお勧めできません。

互換性

/MAT/LAW1 (ELAST)/MAT/LAW19 (FABRI)/MAT/LAW58 (FABR_A)のいずれかの材料則を使用すると、シェルで参照形状を使用できます。シェルで使用する場合、/MAT/LAW19 (FABRI)または/MAT/LAW58 (FABR_A)の材料則ではZeroStress=1を定義する必要があります。これは、エアバッグが展開する前にその内部に応力や運動が発生しないようにするためです。