ACU-T:5001 送風機 - 過渡(スライディングメッシュ)

このチュートリアルでは、スライディングメッシュ手法を使用した遠心送風機の非定常解析の設定、解析、および結果表示のための手順を説明します。このシミュレーションで、AcuSolveは、送風機が長時間動作した後の3回転についての速度場の形式での流体の動き、流線、および流跡線アニメーションを計算および可視化するのに使用されます。このチュートリアルの目的は、スライディングメッシュモーション機能を使用するシミュレーションを実行するために必要ないくつかのモデリングの概念を紹介することです。

CFDシミュレーションの基本的な手順については、ACU-T:2000 ミキシングエルボ内の乱流をご参照ください。このチュートリアルでは、AcuSolveの以下の追加機能を紹介します。
  • メッシュモーション
  • Multiplier Functionを使用した時間刻みのスケーリング
  • インターフェースサーフェスの割り当ておよびメッシング
  • メッシュの細分化
  • 初期状態としての定常状態解の表示
  • 速度場、流線および流脈線アニメーションを取得するためのAcuFieldViewによるポスト処理

前提条件

このチュートリアルを実行するには、ACU-T:5000 送風機 - 定常(回転フレーム)をすでに完了し、作業ディレクトリにその解が保存されている必要があります。ここでは、AcuConsoleAcuSolve、およびAcuFieldViewをある程度使い慣れていることを前提としています。ライセンス供与済みバージョンのAcuSolveにアクセスできることも必要です。

定常状態の結果がない場合は、このチュートリアルを実行する前に、<AcuSolve installation directory>\model_files\tutorials\AcuSolveから作業ディレクトリに AcuConsole_tutorial_input.zipをコピーし、Centrifugal_Blower_MRF_Steady.acsを取り出してください。をAcuConsole_tutorial_inputs.zipから取り出します。

問題の解析

このチュートリアルで扱う問題は、図 1および図 2に図示しています。この問題は、後曲羽根付き遠心送風機で構成されています。

吹き込み口の直径は0.1m、その長さは0.150mです。スクロール幅は0.1mで、その半径は0.113~0.180mの間で変化します。


図 1. 遠心送風機の概略図
ファンの羽根の平均翼弦長および幅は0.05mで、羽根の最大厚は0.003mです。


図 2. ファンの羽根の概略図

羽根車の羽根の動的な動きを捉えるには、過渡シミュレーションとしてシミュレーションを実行する必要があります。送風機の定常シミュレーションで収束した定常状態解がメッシュ上に表示され、これが非定常解析の初期状態として使用されます。

このシミュレーションは、0.12秒の流れをモデル化するために実行され、Multiplier Functionを用いて時間刻み幅がスケーリングされる、ファンの羽根の3回転で構成されます。

t simulation =0.12 s

ω rot =1500 RPM=25 RPS= 9000  degrees s

Δ t initial = 10 9000 =0.00111 s

Multiplier Functionは、羽根車の羽根が最初の回転では時間ステップごとに10°回転し、2回目の回転では10°から開始して、時間ステップごとに3°ずつ速度を低下させ、3回目の回転で時間ステップごとに3°回転するように選択されます。


図 3.
注: 初期状態が領域から消えて2または3回転後に、有意義なデータが取得される必要があります。このMultiplier Functionは、チュートリアルを行うのにふさわしい時間でシミュレーションが完了するように選択されています。

最後の回転の時間ステップサイズは、類似形状での以前の調査に基づいており、この調査では、この時間ステップサイズが流れの過渡的挙動を捉えるのに十分小さいことが示されています。ただし、新しい解析を行う際には、適切な時間ステップサイズを確定するため、常に時間ステップサイズの感度調査を行う必要があることに注意してください。

この問題のCFD解析により、遠心送風機を通過する流れに関する詳細な情報が提供されます。この挙動を調査するには、使用するのに適した境界条件セットを選択する必要があります。一般的に使用されている方法が2つあります。1つの方法は、送風機の吹き込み口での質量流量を指定し、AcuSolveで圧力を計算できるようにする、流体力シミュレーションです。もう1つの方法は、吹き込み口での全圧を指定し、この指定圧力の吹き込み口と吹き出し口間での変化からAcuSolveで流力を計算できるようにする方法です。この例で使用する境界条件は後者です。つまり、AcuSolveで羽根車の回転に基づいて質量流量と圧力の上昇を計算するように、吹き込み口では、質量流量ではなく全圧が使用されます。

この問題で扱う流体は空気であり、この空気の密度は1.225kg/m3、粘性は1.781X 10-5kg/m-secです。

シミュレーションの適切な条件を設定することに加えて、優れた結果が得られるように十分に細分化されたメッシュを生成することが重要です。この問題では、入口の周縁の周りにおよそ16個の要素が得られるようにグローバルメッシュサイズが設定され、その結果としてメッシュサイズは0.02mとなります。

meshSiz e global =  d inlet nElem s circ                       nElem s circ =16

meshSiz e global =0.02 m

速度、圧力、および渦粘性の勾配が大きい場合、高いメッシュ密度が必要となります。ここでは、流れはファンの羽根の間の放射状の流路を通る際に加速されます。このため、勾配が大きくなり、細かなメッシュ解像度が必要となります。壁サーフェス付近のy+が妥当なレベルに保たれるように、適切な境界層パラメータを設定する必要があります。モデルの設定プロセスを示すことを意図しており、妥当な実行時間を維持するため、本チュートリアルで使用するメッシュ密度は粗くなっています。グリッドの収束解を得るには、非常に高いメッシュ密度が必要となります。

解を計算した後、注目する流動特性は、送風機で羽根車の羽根が3回転する際の速度、流線および流脈線アニメーションです。

解析パラメータの定義

AcuConsoleの起動とシミュレーションデータベースの作成

次の手順では、AcuConsoleを起動し、参照フレームの回転を使用した遠心送風機の定常状態シミュレーションのために設定するデータベースを開きます。その後で、AcuSolveを実行して定常状態解を計算し、AcuFieldViewで結果を表示し、非定常解析のデータベースを保存します。

  1. Windows のスタートメニューからスタート > Altair <バージョン> > AcuConsoleをクリックして AcuConsoleを起動します。
  2. File > Openをクリックし、Centrifugal_Blower_MRF_Steady.acsを開きます。


    図 4.
  3. AcuSolveを実行して定常状態問題を解析します。
    1. ツールバーでをクリックしてLaunch AcuSolveダイアログを開きます。
      これらの設定に基づき、AcuConsoleAcuSolveの入力ファイルを生成してから、ソルバーを起動します。AcuSolveは、4つのプロセッサ上で実行され、この問題の定常状態解を計算します。
    2. Okをクリックして解析プロセスを開始します。

      計算中、AcuTailウィンドウが開きます。解析の進行状況はこのウィンドウで報告されます。解析プロセスのサマリーで、実行が完了したことが示されます。

      このサマリーで提供される情報は、AcuSolveで使用されるプロセッサの数に基づいています。このチュートリアル内で示されている数と異なる数のプロセッサを使用した場合は、示されているサマリーと実行時のサマリーが少し異なる場合があります。



      図 5.

定常状態結果の表示

定常状態の流れ場は、温度の非定常シミュレーションの開始点として計算されました。定常状態の結果の可視化については、ACU-T:5000 送風機 - 定常(回転フレーム)をご参照ください。

一般的なシミュレーションパラメータの設定

次の手順では、シミュレーション全体に適用されるパラメータを設定します。単純にするため、Data Tree Manager内のBASフィルタを使用して、任意のシミュレーションに適用できる基本的な設定をフィルタできます。このフィルタにより、Data Tree内の使用可能な項目の小さなサブセットのみを表示できるようになり、エントリの移動が容易になります。

このチュートリアルで設定する一般的なパラメータは、乱流、非定常解析、および完全指定の(つまり、各時間ステップの最初にモーションが完全に指定され、求解する必要のあるメッシュ方程式がない)メッシュタイプのためのものです。

  1. Data Tree ManagerBASをクリックして、Data Tree内の基本ビューに切り替えます。


    図 6.
  2. GlobalData Tree項目をダブルクリックして拡張表示します。
    ヒント: 項目名の横にある をクリックしてツリー項目を拡張表示することもできます。


    図 7.
  3. Problem DescriptionをダブルクリックしてProblem Description詳細パネルを開きます。
    ヒント: ツリー項目を右クリックしてコンテキストメニューからOpenをクリックすることでも、パネルを開くことができます。
  4. TitleとしてAcuSolve Tutorialと入力します。
  5. Sub titleとしてCentrifugal Blower - Sliding Meshと入力します。
  6. Analysis typeをTransientに変更します。
  7. Turbulence equationをSpalart Allmarasに変更します。
  8. Mesh typeをFully Specifiedに設定します。
    このオプションは、シミュレーションには移動メッシュが含まれるが、そのメッシュのモーションは完全に指定され、要素の変形を決定するために解く微分方程式はないことを示しています。メッシュは単純な回転動作を受けるため、このオプションでは最も効果的な解析が提供されます。


    図 8.

解法パラメータの設定

次の手順では、解析の進行時にAcuSolveの挙動を制御する属性を設定します。

  1. Auto Solution StrategyをダブルクリックしてAuto Solution Strategy詳細パネルを開きます。
  2. Analysis typeがTransientに設定されていることを確認します。
  3. Max time stepsを0に設定します。
    AcuSolveは、次のセクションで指定する最終時間とMultiplier Functionに基づいて時間ステップ数を計算します。
  4. Final timeを0.12に設定します。
  5. Initial time incrementを0.00111に設定します。
  6. Convergence toleranceが0.001に設定されていることを確認します。
    非定常解析では、収束許容値は、次の時間ステップに進む前に方程式が収束すべき許容値に対応します。ただし、ステップあたり実行される反復は最大2回であるため、ソルバーはこの許容値への到達を試みている間に実行可能な反復回数に制限されます。
  7. Max stagger iterationsを2に設定します。
    この設定により、各時間ステップで発生する最大反復回数が決定されます。
  8. Relaxation factorを0に設定します。
    緩和係数は、解の収束を改善するために使用されます。緩和係数は、解の収束を改善するために使用されます。通常は、0.2から0.4までの値であれば、求解のスムーズな進行の実現と、収束に達するために必要な計算時間の増加とのバランスをうまくとることができます。非定常解析を解くときには、緩和係数をゼロに設定する必要があります。緩和係数がゼロ以外だと解の増分更新が起こり、非定常ケースの解の時間精度に影響を与えます。


    図 9.

Multiplier Functionの作成

AcuSolveは、シミュレーション中に時間や時間ステップに応じて値を増減させることができる機能を備えています。これは、Multiplier Functionを使用して実現されます。本チュートリアルでは、ロバスト解を設定するため、時間に対して時間ステップサイズをスケーリングします。

次の手順では、時間増分のMultiplier Functionを作成します。Multiplier Functionは、羽根車の羽根が最初の回転(0~0.04秒)では時間ステップごとに10°回転し、2回目の回転(0.04~0.08秒)では時間ステップにつき10°から開始して、時間ステップごとに3°ずつ速度を低下させ、3回目の回転(0.08~0.12秒)で時間ステップごとに3°回転するように選択されます。

Δ t initial =10 deg per step= 10 9000 =0.00111 s

Δ t final =3 deg per step=0.3 Δ t initial

Multiplier Functionをできるだけ簡単に作成できるようにするには、Data Tree ManagerでPB*フィルタを使用します。

  1. Data Tree ManagerPB*をクリックして、Data Tree内の一般的な問題設定に関連する使用可能なすべての設定を表示します。
  2. Data TreeのGlobalの下で、Multiplier Functionを右クリックしてからNewをクリックし、新しいMultiplier Functionを作成します。
  3. Multiplier Functionの名前を変更します。
    1. 新しく作成したMultiplier Function 1を右クリックし、Renameをクリックします。
    2. Time_Functionと入力し、Enterを押します。
  4. Time_FunctionをダブルクリックしてTime_Function詳細パネルを開きます。
  5. TypeをPiecewise Linearに設定します。
    このオプションは、各時間ステップでMultiplier Functionの値を線形補間するためにAcuSolveで使用される、数値の配列を入力することを示します。この例では、カーブフィットは時間の関数です。


    図 10.
  6. 大きな入口の温度プロファイルにカーブフィット値を追加します。
    1. Open ArrayをクリックしてArray Editorダイアログを開きます。
    2. 以前の計算で示された値を次の図に示すように入力します。


      図 11.
  7. Plotをクリックし、Array Editorダイアログを拡張表示してカーブフィット値のプロットを表示します。
    注: プロットを表示するには、右端をドラッグすることでダイアログを拡張表示する必要があります。


    図 12.
  8. ダイアログを閉じます。

高度な解法パラメータの変更

AcuSolveでは、個々のスタッガー(流れ、メッシュ、乱流など)、時間増分、線形ソルバーパラメータなど、高度な解法属性を個別に変更する機能がさらに用意されています。本チュートリアルでは、Multiplier Functionに基づいて時間ステップサイズをスケーリングするため、時間増分機能を有効にします。

次の手順では、高度な解法の下で時間増分機能を操作し、Multiplier Functionを割り当てます。

  1. Advanced Solution Strategyをダブルクリックし、ツリーを拡張表示します。
  2. Time IncrementをダブルクリックしてTime Increment詳細パネルを表示します。
  3. Modify advanced settingsオプションを有効にします。
  4. Initial time incrementが0.00111に設定されていることを確認します。
  5. Multiplier functionドロップダウンメニューで、Time_Functionを選択します。


    図 13.

メッシュモーションの作成

このコマンドは、メッシュの変位に関する境界条件の指定を簡素化することができ、剛体の動的な動きのシミュレーションに使用できます。本チュートリアルでは、羽根車の羽根付近の流体領域に回転メッシュモーションが割り当てられます。ここで定義されるパラメータは、羽根車の羽根の角速度と動きの回転中心です。

次の手順では、メッシュモーションを作成します。

  1. Data Tree ManagerALEをクリックして、メッシュモーションに関するすべての設定を表示します。
  2. GlobalData Tree項目をダブルクリックして拡張表示します。
  3. Mesh Motionを右クリックし、Newをクリックして新しいメッシュモーションを作成します。
  4. 新しいメッシュモーションの名前をImpeller_Motionに変更します。
  5. Impeller_Motionをダブルクリックして詳細パネルを開きます。
  6. TypeをRotationに設定します。


    図 14.
  7. メッシュモーションパラメータを設定します。
    1. Rotation centerの横のOpen Arrayをクリックし、Array Editorを開きます。
    2. Z-coordinateに0.05と入力します。
      これが、回転流体領域Fluid_Impellerの中心の座標です。
    3. OKをクリックし、ダイアログを閉じます。
    4. Angular velocityの横のOpen Arrayをクリックし、Array Editorを開きます。
    5. 単位をRPMに変更し、Z-component欄に-1500と入力します。
      負号は、時計回りの回転方向を指定します。
      注: 回転方向は、“右手の法則”を使用して決定されます。
    6. OKをクリックし、ダイアログを閉じます。

節点出力頻度の設定

節点出力頻度は、AcuFieldView内のポスト処理で使用するため解析結果を保存する頻度または時間間隔を決定します。

  1. Data Tree ManagerOUTをクリックし、解析ファイルに書き込まれる出力に関係するコントロールのみが表示されるようにData Tree内の設定をフィルタします。
  2. Outputをダブルクリックして拡張表示します。
  3. Nodal Outputをダブルクリックします。
    1. Time step frequencyを3に変更します。
      この設定では、結果が3ステップごとに保存され、シミュレーションが完了したら、結果のアニメーションを作成できます。
  4. Output Initial ConditionをOnに設定します。
    これにより、初期状態ファイルが書き込まれます。


    図 15.

ボリュームパラメータの変更

ボリュームグループは、ボリューム領域に関する情報を保存するためのコンテナです。この情報には、ボリュームに適用される解析およびメッシングパラメータや、それらの設定が適用される形状領域が含まれます。

  1. Data Tree ManagerPRBをクリックします。
  2. Modelを拡張表示してから、Volumesを拡張表示します。
  3. メッシュモーションImpeller_MotionをFluid_Impellerに割り当てます。
    1. Fluid_Impellerを拡張表示します。
    2. Fluid_Impellerの下で、Element SetをダブルクリックしてElement Set詳細パネルを開きます。
    3. Mesh motionの横にあるドロップダウンコントロールをクリックして、Impeller_Motionをクリックします。
      この手順では、Fluid_Impeller要素セットのすべての節点に、Impeller Motionメッシュモーションで指定されたメッシュ変位境界条件を割り当てます。Fluid_Impeller要素セット内のすべての節点に、メッシュモーションで定義された角速度と回転中心が割り当てられます。
  4. Reference frameをNoneに設定します。


    図 16.

サーフェスパラメータの変更

サーフェスグループは、サーフェスに関する情報を保存するためのコンテナです。この情報には、解析およびメッシングパラメータや、パラメータが適用される形状内の対応するサーフェスが含まれます。

次の手順では、以下のパラメータを変更します。
  • ファンの羽根
  • インターフェース

ファンの羽根のパラメータの変更

次の手順では、ファンの羽根に関連付けられたメッシュモーションを指定します。

  1. Data Tree ManagerBCをクリックします。
  2. Surfacesを拡張表示します。
  3. メッシュモーションImpeller_MotionをFan_Bladesに割り当てます。
    1. Fan_Bladesを拡張表示します。
    2. Fan_Bladesの下にあるSimple Boundary Conditionをダブルクリックして、Simple Boundary Condition詳細パネルを開きます。
    3. Mesh motionドロップダウンメニューをクリックして、Impeller_Motionを選択します。
      この手順では、Impeller_Motionメッシュモーションに割り当てられた回転中心と角速度をfan_bladesサーフェスに割り当てます。
  4. Reference frameをNoneに設定します。


    図 17.

インターフェースのパラメータの変更

次の手順では、インターフェースサーフェスのプロパティをインターフェースに割り当てます。

インターフェースは、スライディング境界として機能し、(ほぼ)同じサーフェスを共有しているが、等角ではない要素のペアを結合するために使用されます。インターフェースサーフェスを使用すれば、節点同士が結合されていない場合に、流れをサーフェスの片側から反対側に渡すことができます。この手順は、後の手順でインターフェースサーフェス上の節点を分離したときに明らかになります。
注: AcuConsoleの内部サーフェスは特殊な方法で処理されます。内部サーフェスを持つ形状がインポートされると、AcuConsoleがそのサーフェスの2つの同一のコピーを作成します。1つのコピーは各ボリュームと関連付けられます。これにより、サーフェスの各側で個別にメッシングパラメータを制御できます。内部サーフェスに境界条件を割り当てる際、サーフェスでは2つのサイドを処理する必要があることを忘れないでください。内部サーフェスを選択している場合、両方のフェイスが表示されていれば、外側のボリュームに対応するサイドが最初の選択ターゲットとなります。外側のサーフェスの表示を変更して、内側のサーフェスを直接選択することもできます。
  1. Data Tree ManagerALEをクリックして、メッシュモーションに関するすべての設定を表示します。
  2. Modelを拡張表示してから、Surfacesを拡張表示します。
  3. インターフェースのインターフェースサーフェスをアクティブにします。
    1. Interfaceをダブルクリックします。
    2. Interfaceの下のInterface Surfaceをオンにします。
    3. Interface Surfaceをダブルクリックします。
    4. Gap factorを0に設定します。
      ギャップ係数は、2つの要素フェイスが接触していることが許可される最大の無次元(要素フェイスの長さに関して)ギャップです。
      0のギャップ係数は、許容最大ギャップが0であることを意味します。


      図 18.

メッシュコントロールの割り当て

ゾーンメッシング属性の設定

問題全体のメッシング特性を設定することに加えて、問題内のゾーンにメッシング属性を割り当て、グローバルメッシュよりも細分化されたメッシュで流れを解析できるようにします。基本形状を使用してZone Mesh refinementを作成し、その形状内のメッシュサイズを制御できます。これらのタイプのメッシュ細分化は、どの形状項目にも対応していない領域内で細分化が必要な場合に使用されます。

次の手順では、図3に示すように、ハウジング壁に最も近い羽根車の羽根の周辺ゾーンにメッシュ細分化を追加します。

  1. データツリーマネージャーMSHをクリックして、Data Tree内の設定をフィルタ処理して、メッシングに関するコントロールのみを表示します。
  2. Globalの下で、Zone Mesh Attributes を右クリックしてから、Newをクリックします。
  3. Zone Mesh Attributes 1の名前をRefine_1に変更します。
  4. Refine_1をダブルクリックして、Zone Mesh Attributes詳細パネルを開きます。
  5. Mesh zone typeをCylinderに変更します。
  6. 円筒の終端フェイスの中心点を定義することで、メッシュ細分化の場所を設定します。
    1. Open ArrayをクリックしてArray Editorダイアログを開きます。
    2. 次の図に示すように座標値を入力します。


      図 19.
    3. OKをクリックし、ダイアログを閉じます。
  7. 詳細パネルで、Radiusに0.05mと入力します。
    この半径を使用して、羽根車の羽根とハウジング壁の近くのモデル化する部分のギャップを囲む円筒が定義されます。
  8. Mesh sizeに0.005mと入力します。
    この結果として得られるゾーンでは、羽根車と最も近いハウジング壁の間に10個以上のセルが配置されるメッシュサイズが使用されます。


    図 20.

インターフェースのサーフェスメッシングパラメータの設定

次の手順では、インターフェース付近のメッシュサイズの局所的制御を可能にするメッシング属性を設定します。

  1. ModelData Tree項目を拡張表示します。
  2. Surfacesを拡張表示してから、Interfaceを拡張表示します。
  3. Surface Mesh Attributesの横にあるチェックボックスをクリックして設定を有効にし、Surface Mesh Attributes詳細パネルを開きます。
  4. Mesh size typeをNoneに変更します。
  5. Boundary layer flagオプションをOnに切り替えます。
  6. Boundary layer typeをTotal Layer Heightに設定します。
  7. First element heightに0.002mの値を入力します。
  8. Growth rateに1.3と入力します。
  9. Number of layersに1と入力します。
  10. Boundary layer elements typeをMixedに変更します。

    これは、境界層でプリズム / 6面体要素を生成するために使用されます。



    図 21.
  11. データベースを保存して設定のバックアップを作成します。

メッシュの生成

次の手順では、問題の解を計算する際に使用されるメッシュを生成します。

  1. ツールバーの をクリックしてLaunch AcuMeshSimダイアログを開きます。
    このケースでは、デフォルトの設定を使用します。
  2. Okをクリックしてメッシングを開始します。

    メッシング時に、AcuTailウィンドウが開きます。メッシングの進行状況はこのウィンドウで報告されます。メッシングプロセスのサマリーで、メッシュが生成されたことが示されます。



    図 22.
    注: 節点と要素の実際の数およびメモリ使用量は、マシンによって少し異なる場合があります。
  3. モデリングウィンドウにメッシュを表示します。本チュートリアルでは、次の手順により、吹き込み口、吹き出し口、壁、およびファンの羽根が表示されます。
  4. Data TreeVolumesを右クリックして、Display offをクリックします。
  5. Data TreeSurfacesを右クリックして、Display onをクリックします。
  6. Data TreeSurfacesを右クリックして、Display typeを選択し、solid & wireをクリックします。
  7. さまざまなメッシュ領域を解析するには、モデル内で回転やズームを行います。
  8. モデルを右クリックし、cut plane visualizationを選択して、ファンの羽根付近のメッシュを表示します。


    図 23. 形状のメッシュ詳細


    図 24. ファンの羽根付近のメッシュ詳細
  9. データベースを保存して設定のバックアップを作成します。

インターフェース上の節点の分割

この時点で、インターフェースサーフェスには、Fluid_MainボリュームセットまたはFluid_Impellerボリュームセットのいずれかに1つの節点セットが接合されます。Fluid_Impellerボリュームおよびインターフェース内の節点が指定のメッシュモーションに基づいて回転するためには、節点セットの複製を作成し、1つの節点セットがFluid_Impellerの動きに追随し、もう1つの節点セットがFluid_Mainに接合されたままになるようにする必要があります。

インターフェース上の節点を分割すると、Fluid_Impellerに接合された節点がFluid_Main上の節点上をスライドすることができるため、羽根車の羽根を含む流体領域上の回転をシミュレートできます。

次の手順では、Mesh Op.ツールを使用してインターフェース上の節点を分割します。

Interfaceを右クリックし、Mesh Op > Split internal facesを選択します。
節点の数が変更されたことを示す情報ウィンドウが表示されます。


図 25.

初期状態として使用する定常状態解の表示

次の手順では、Project Solutionを使用して、Nodal Initial Conditionsの形式で過渡ケースに定常状態解を表示します。

  1. Toolsメニューで、Project Solutionを選択します。
    AcuSolve solution projectionダイアログが開きます。
  2. Browseをクリックして、定常状態解からログファイルを読み込みます。
  3. 定常状態解が保存された場所を参照してログファイルを選択します。
    ログファイルを選択すると、Information Windowが開いて、表示プロセスの詳細が示されます。

    AcuSolve solution projectionダイアログが更新され、ステップIDと表示する変数が示されます。



    図 26.
  4. Information Windowを閉じます。
  5. Shiftキーを押しながらクリックして、リストからvelocitypressure、およびeddy_viscosityを選択します。
  6. Projectをクリックします。
    Information Windowが開き、3つすべての変数が表示されたことが示されます。
  7. Information WindowAcuSolve solution projectionダイアログを閉じます。
  8. Data Tree ManagerBASをクリックして、Data Tree内の基本ビューに切り替えます。
  9. Data Treeで、Globalを拡張表示し、Nodal Initial Conditionをダブルクリックします。
  10. Nodal Valuesとして、圧力、速度、および渦粘性の初期状態タイプを設定します。
  11. PressureのNodal valuesの横にあるOpen Arrayをクリックし、値が割り当てられていることを確認します。


    図 27.
  12. OKをクリックして、Array Editorを閉じます。
  13. 同様に、速度と渦粘性の値を確認します。

解の計算と結果の確認

AcuSolveの実行

次の手順では、AcuSolveを起動してこのケースの解を計算します。

  1. ツールバーでをクリックしてLaunch AcuSolveダイアログを開きます。


    図 28.

    このケースでは、デフォルト値を使用します。AcuSolveは、4個のプロセッサを使用して実行され、この問題の非定常解を計算します。

  2. Okをクリックして解析プロセスを開始します。

    計算中、AcuTailウィンドウが開きます。解析の進行状況はこのウィンドウで報告されます。解析プロセスのサマリーで、実行が完了したことが示されます。

    このサマリーで提供される情報は、AcuSolveで使用されるプロセッサの数に基づいています。このチュートリアル内で示されている数と異なる数のプロセッサを使用した場合は、示されているサマリーと実行時のサマリーが少し異なる場合があります。



    図 29.
  3. AcuTailウィンドウを閉じ、データベースを保存して設定のバックアップを作成します。

AcuFieldViewでの過渡結果の表示

計算が終了したので、AcuFieldViewを使用して流れ場を表示する準備ができました。AcuFieldViewは、AcuSolveに緊密に統合されたサードパーティ製のポスト処理ツールです。AcuFieldViewAcuConsoleから直接開始できますが、スタートメニューやコマンドラインから開始することもできます。このチュートリアルでは、AcuSolveによって解が計算された後に、AcuConsoleからAcuFieldViewを開始します。

次の手順では、AcuFieldViewを起動して、中央座標サーフェス上に圧力コンターを表示し、圧力、流線、および流跡線のアニメーションを生成します。

AcuFieldViewの起動

  1. AcuConsoleツールバーで をクリックしてLaunch AcuFieldViewダイアログを開きます。
  2. OkをクリックしてAcuFieldViewを起動します。
    AcuConsoleからAcuFieldViewを起動するときには、ディスクに書き込まれた、解析の最後の時間ステップの結果が、ポスト処理のために読み込まれます。圧力コンターがメッシュを含むすべての境界サーフェス上に表示されていることが確認できます。


    図 30.

    これらの手順は、ユーザーがAcuFieldViewのビューを操作して、白の背景に設定できること、遠近法表示をオフにできること、アウトラインをオフにできること、および表示方向を+Zに設定できることを前提としています。AcuFieldViewの基本的な操作がわからない場合は、AcuFieldViewにおけるモデルビューの操作をご参照ください。

中央座標サーフェス上の圧力コンターのアニメーション化

  1. Boundary SurfaceダイアログでVisibilityチェックボックスのチェックをはずし、境界サーフェスの表示をオフにします。
  2. ViewメニューからPerspective viewのチェックをはずし、これを無効にします。
  3. ViewメニューからAxis markersのチェックをはずし、これを無効にします。
  4. ViewメニューからDefined Viewsを選択します。
  5. Defined Viewsダイアログで、ビューを+Zに変更します。
  6. ダイアログを閉じます。
  7. をクリックしてCoordinate Surfaceダイアログを開きます。
  8. Createをクリックして中央-Z座標サーフェスに新しいサーフェスを作成します。
  9. Coord Planeの下の下で値を0.05に変更します。
    これは、送風機の前と後の壁の間の中央平面のZ座標です。
  10. Display TypeをSmoothに変更します。
  11. ColoringをScalarに変更します。
  12. 表示するスカラー関数として、Scalar Functionでpressureを選択します。
  13. Colormapタブをクリックし、Localチェックボックスを有効にして色分けをローカルに変更します。
  14. Legendタブをクリックし、Show Legendチェックボックスを有効にして、座標平面上に速度値を表示します。
  15. Frameチェックボックスを有効にし、凡例のフレームを表示します。


    図 31.
  16. ToolsメニューからTransient Dataをクリックし、Transient Data Controlsダイアログを開きます。
    過渡ケースでは、AcuConsoleからAcuFieldViewを起動して表示されるデータは、最後の時間ステップのデータです。Transient Data Controlsでは、残りの時間ステップのデータを表示できます。データをポスト処理できる時間ステップは、AcuConsoleで設定されている節点出力値によって異なります。この場合、節点出力は3時間ステップごとに保存されます。
  17. ゼロ番目の時間ステップのデータを表示するには、スライダーをゼロまで戻します。
    シミュレーションの最初からアニメーションを構築するには、これを行います。
  18. ToolsメニューからFlipbook Build Modeをクリックします。
    Flipbook size warningダイアログが表示されます。
  19. OKをクリックします。
    Transient Data Controlsダイアログで、Sweep Controlの下のSweepオプションがBuildに変わります。
  20. Buildをクリックします。
    AcuFieldView が、可能なすべての時間ステップを経過する解析のフレーム単位アニメーションを構築します。Building Flipbookダイアログで進捗を確認することができます。
  21. Flipbook ControlsダイアログでSpeedをクリックし、Minimum Time Between Framesダイアログを開きます。


    図 32.
  22. Minimum Timeとして0.1秒を入力します。
  23. アニメーションを一時停止し、Saveをクリックしてアニメーションを保存します。
  24. Minimum Time Between FramesFlipbook Controls、およびTransient Data Controlsの各ダイアログを閉じます。

流線のセットアップ

  1. をクリックしてCoordinate Surfaceダイアログを開きます。
  2. 表示をオフにします。
  3. をクリックしてBoundary Surfaceダイアログを開きます。
  4. 表示をオンにします。
    PressureがすでにScalar Functionとして選択されています。
  5. Boundary TypesリストでOSF: wallsを選択し、OKをクリックします。
  6. ColoringをGeometricに変更し、カラーパネルからグレーを選択します。
  7. Show Meshのチェックをはずし、メッシュ表示をオフにします。
  8. Transparency欄を75%に設定します。
  9. Scalar Functionをvelocity_magnitudeに設定します。
  10. このサーフェスの表示をオフにします。
  11. Createをクリックして新しい境界サーフェスを作成します。
  12. BOUNDARY TYPESリストから、OSF: InletOSF: Boundary TypesリストからOutletを選択します。
  13. このサーフェスの表示をオフにします。
  14. ColoringをScalarに変更します。
  15. Transparencyを0に設定します。
  16. 別の境界サーフェスを作成し、BOUNDARY TYPESリストからOSF: Boundary TypesからFan_Bladesを選択します。
  17. Colormapタブをクリックし、Localチェックボックスを有効にして色分けをローカルに変更します。
  18. Visualization Panelsメニューで、Streamlinesを選択します。
    Streamlinesパネルが開きます。
  19. Createを選択して、新しい流線のセットを作成します。
  20. Modeトグルボタンをクリックし、Seed a Surfaceを選択します。
    流線を表示するためには、流線が生成されるサーフェスをシードする必要があります。


    図 33.
  21. Seeds to Addの値を200に設定します。
  22. Ctrlキーを押しながら、シードするサーフェスとして境界サーフェス3(Fan_Blades)を選択し、OKをクリックします。
    シードがファンの羽根に表示されます。


    図 34.
  23. Show Seedsのチェックをはずし、シードの表示をオフにします。
  24. Boundary Surfacesダイアログを開いて、サーフェス1(壁)の表示をオンにします。
  25. Streamlinesダイアログに戻ります。Calculation Parametersの下で、Step counterを5に変更します。
    ステップサイズは、流線が計算される時間ステップ間隔を決定します。
  26. DirectionをBothに変更します。
    方向は、選択されたサーフェスから流線が生成される流れの方向(上流、下流、または両方)を決定します。


    図 35.
  27. Calculateをクリックし、流線を生成します。


    図 36.
  28. ColoringをScalarに変更し、Display TypeをFilament and Arrowsに変更します。
  29. Colormapタブをクリックします。
  30. Colormapドロップダウン矢印をクリックし、NASA-1を選択します。
  31. Legendタブをクリックします。
  32. Show LegendおよびFrameチェックボックスをアクティブにしてオンにします。
  33. 次のように、すべてのサーフェスが表示されるように形状の方向を設定します。


    図 37.
  34. Steamlinesパネルで、Animateをクリックして流線を表示します。


    図 38.

流脈線のセットアップ

  1. Tools > Flipbook Build Modeをクリックします。
  2. OKをクリックし、警告をスキップします。
  3. Tools > Transient Dataをクリックします。
  4. スライダーを0に戻して0番目の時間ステップのコンターを表示します。
  5. Buildをクリックします。
  6. Streakline ExportパネルでYesをクリックします。
  7. .fvpエクスポートファイルを保存します。
    エクスポートファイルは、流脈線を流跡線ファイルに保存することにより、以降のインポートや表示を簡素化します。
  8. Frame rateを0.16に変更します。
  9. アニメーションを一時停止し、Saveをクリックしてアニメーションを保存します。


    図 39.

要約

このチュートリアルでは、遠心送風機内のスライディングメッシュによる非定常解析を設定する基本的なワークフローに取り組みました。ケースを設定した後、細分化ゾーンを含むようにメッシュを変更して、細分化されたメッシュに定常状態解を投影し、AcuSolveを使用して解を生成しました。

結果は、AcuFieldViewでポスト処理され、コンター、流線、流脈線、および流跡線のアニメーションを作成するための新しい機能とともに、送風機と羽根車の羽根の中央座標サーフェス上の圧力のコンタービューを作成できるようになりました。

このチュートリアルで紹介した新機能は、回転メッシュモーションの作成、インターフェースサーフェスの使用、節点初期状態の形式での定常状態解の表示、圧力、流線、および流跡線アニメーションの作成です。