AcuSolveチュートリアルの概要

このガイドには、設定、解析、およびポスト処理についての明確な指示とともに、シミュレーションケースのコレクションが含まれています。AcuSolveの基本的なワークフローを説明し、各種問題の設定のガイダンスを提供するためのさまざまなチュートリアルが含まれています。

チュートリアルの中には、プリプロセッサを選択して完了できるものがあります。したがって、ここには4組のチュートリアルが用意されていて、それぞれ、HyperWorks CFDを使用するもの、SimLabを使用するもの、HyperMeshを使用するもの、AcuConsoleを使用するものになっています。

目的

AcuSolveのチュートリアルの目的は次のとおりです。
  • AcuSolveの基本的なワークフローを提示する
  • 新規ユーザーにAcuSolveの機能を紹介する
  • AcuSolveを産業用アプリケーションで使用するためのガイドラインを示す

前提条件

このガイドに含まれるチュートリアルを実行する前に、AcuSolveの使用経験は必要ありません。エンジニアリングの基本原則およびコンピューター支援エンジニアリングについていくらか知識があることが前提となります。

HyperWorks CFDベースのチュートリアルでは、入門チュートリアルであるACU-T:1000 HyperWorksユーザーインターフェースの内容を確認してから、その他のチュートリアルに進むことを強くお勧めします。このチュートリアルでは、ジオメトリモデルのインポート、サーフェスメッシュコントロールの定義、境界層パラメーターの定義などのステップが含まれていますが、以降のチュートリアルには含まれていません。これらの残りのチュートリアルでは、HyperMeshデータベース(.hmファイル)が用意され、そこに事前定義されたメッシュコントロールが収録されています。ポスト処理に関係する手順は、すべてのチュートリアルに含まれています。

SimLabベースのチュートリアルについては、他のチュートリアルに進む前に、入門チュートリアルACU-T:1000 HyperWorksユーザーインターフェースをご覧になることをお勧めします。このチュートリアルでは、SimLabユーザーインターフェースのパネル、リボン、ツールバーの概要を説明した後、CFDワークフローの概要について学習します。SimLabのチュートリアルはすべて、CADジオメトリのインポート、メッシュの生成、シミュレーションの設定、結果のポスト処理から始まります。すべてのチュートリアルはビデオベースで、ビデオの閲覧やファイルのダウンロードにはインターネット接続が必要です。

HyperMeshベースのチュートリアルでは、形状のインポートからポスト処理まで、HyperMeshによるCFDシミュレーションを設定する方法を入門チュートリアルのACU-T:1000 HyperWorksユーザーインターフェースで紹介しています。以降のチュートリアルでは、形状のインポートとメッシュの生成に関連する手順は取り上げていません。これらのチュートリアルには、モデルのHyperMeshデータベース(.hmファイル)が用意され、そこにはメッシュ化した形状が収録されています。このチュートリアルでは、つづいてCFDの設定とポスト処理に関連する手順を説明しています。

AcuConsoleのチュートリアルでは、どのチュートリアルよりも先にACU-T:2000 ミキシングエルボ内の乱流を完了しておくことを強くお勧めします。このチュートリアルでは、シミュレーションの基本的なワークフローとAcuConsoleの使用方法について説明します。

基本的なワークフロー

HyperWorks CFDベースのチュートリアル

HyperWorks CFDベースのチュートリアルの基本的なワークフローは、以下の各タスクで構成されています。
  1. 問題の説明
  2. HyperWorks CFDの起動とHyperMeshデータベースのオープン
  3. モデルの検証
  4. シミュレーションパラメーターとソルバーの設定
  5. 流体領域と固体領域に材料特性を割り当てる
  6. 任意の多孔質媒体、物体力、参照座標系の定義
  7. 入口、出口、摩擦、対称性などの流体境界条件の割り当て
  8. 任意の放射パラメーターの定義
  9. 任意のメッシュモーションとメッシュの境界条件の定義
  10. サーフェスメッシュコントロール、境界層、ボリュームメッシュコントロールを定義し、メッシュを生成する
  11. 節点出力周波数、サーフェスとボリュームのモニター、節点初期条件の定義
  12. AcuSolveを使用して解を計算
  13. プロットユーティリティやHyperViewを使用した結果のポスト処理(計算の進行状況に関連するデータを可視化やシミュレーションデータのコンター、ベクトル、流線などの表示)

SimLabベースのチュートリアル

SimLabベースのチュートリアルの基本的なワークフローは、以下の各タスクで構成されています。
  1. 問題の説明
  2. 学習成果
  3. サーフェスメッシュコントロール、境界層、ボリュームメッシュコントロールを定義し、メッシュを生成する
  4. 解析する物理現象の選択
  5. 流体領域と固体領域に材料特性を割り当てる
  6. 任意の多孔質媒体、物体力、参照座標系の定義
  7. 入口、出口、摩擦、対称性などの流体境界条件の割り当て
  8. 任意の放射パラメーターの定義
  9. 任意のメッシュモーションとメッシュの境界条件の定義
  10. シミュレーションパラメーターとソルバーの設定
  11. 節点出力周波数、サーフェスとボリュームのモニター、節点初期条件の定義
  12. AcuSolveを使用して解を計算
  13. 結果のポスト処理(計算の進行状況に関連するデータを可視化やシミュレーションデータのコンター、ベクトル、流線などの表示)
  14. 要約

HyperMeshベースのチュートリアル

HyperMeshベースのチュートリアルの基本的なワークフローは、以下の各タスクで構成されています:
  1. 問題の説明
  2. HyperMeshの起動とモデルデータベースの作成
  3. 一般的なシミュレーションパラメーターの設定
  4. ソルバーの設定の指定
  5. 物体力、材料モデル、乗算関数、放射率モデル、参照座標系、メッシュモーションなどの定義
  6. 入口、出口、壁などの表面境界条件を設定し、ボリューム領域に材料モデルパラメーターを割り当てる
  7. 任意の節点初期条件、基準圧力などの指定
  8. AcuSolveを使用して解を計算
  9. AcuProbeを使用した結果のポスト処理(計算の進行状況に関連するデータを可視化やシミュレーションデータのコンター、ベクトル、流線などの表示)

AcuConsoleベースのチュートリアル

AcuConsoleベースのチュートリアルの基本的なワークフローは、以下の各タスクで構成されています:
  1. 問題を分析し、AcuSolveに提供すべき重要な属性を特定する
  2. AcuConsoleの起動とシミュレーションデータベースの作成
  3. 一般的なシミュレーション属性の設定
  4. ソリューションのストラテジ属性の設定
  5. 材料モデルの属性の設定
  6. シミュレーション用のジオメトリをインポートする
  7. ボリュームへの属性の適用
  8. 入口、出口、壁などのサーフェスを作成し、境界条件を適用する
  9. グローバルメッシング属性の設定
  10. 特定のサーフェスにリンクされていない領域に、ユーザー定義のゾーンを設定してメッシュを微調整する
  11. サーフェスメッシュパラメーターの設定
  12. メッシュの生成
  13. AcuSolveでk計算を実行
  14. AcuProbeを使用した結果のポスト処理(計算の進行状況に関連するデータを可視化やシミュレーションデータのコンター、ベクトル、流線などの表示)

これらのチュートリアルを完了するために必要な手順はすべて示していますが、他の乱流モデルのデフォルト値、初期状態、説明はチュートリアルの範囲外としています。

注: 実験結果との比較検証とメッシュに依存しない解の判定の検証のアプローチはこのマニュアルには含まれません。検証ケースについては、AcuSolveValidation Manualをご参照ください。

非定常現象やメッシュモーションなどを扱うような、より複雑な問題を扱うチュートリアルでは、チュートリアル内に詳細な追加マニュアルがあります。

サポートファイル

チュートリアルを完了するために、サポートファイルが提供されます。これらのファイルは、.zip圧縮ファイルとして、<hwcfdsolvers installation directory>\acusolve\win64 (or linux64)\model_files\tutorials\AcuSolveディレクトリに配置されています。

以下の圧縮ファイルをローカルのディレクトリにコピーし、展開します。

AcuConsole tutorials AcuConsole_tutorial_inputs.zip
HyperMesh tutorials HyperMesh_tutorial_inputs.zip
HyperWorks CFD tutorials HyperWorksCFD_tutorial_inputs.zip

どのチュートリアルでもファイルを読み込めるように、これらの場所は覚えておく必要があります。

SimLabの場合は、各チュートリアルのページにあるリンクを使ってファイルをダウンロードできます。

このマニュアルで使用される表記規則

ワークスペースの項目や入力を示すために、さまざまな入力スタイルが使用されています。次に例を示します。
Turbulence equationをSpalart Allmarasに設定します。
サーフェスの名前としてSymmetryと入力します。
特定のコマンドやダイアログボックスにアクセスするためのメニュー選択を示すために、ミニフローチャートが使用されています。次に例を示します。
View > Defined Viewsを開いて、ビューを+Zに設定します。

これは、ViewメニューをクリックしてDefined Viewsメニュー項目を選択し、開いたダイアログボックスで+Zというラベルの付いたボタンをクリックすることを示しています。

ミニフローチャートを使用して、Data Treeで拡張表示する項目を示すこともあります。次に例を示します。
Model > Surfaces > Small Inletの順にツリー項目を拡張表示します。

これは、まずModelツリー項目を拡張表示して、次にその下のSurfaces項目を拡張表示し、最後にSurfacesの下のSmall Inlet項目を拡張表示することを示しています。