ACU-T:5000 送風機 - 定常(回転フレーム)

このチュートリアルでは、Reference Frameを使用した遠心送風機の定常シミュレーションの設定、解析、および結果表示のための手順を説明します。このシミュレーションでは、羽根車の羽根の回転による流体の動きと、長時間回転させた後に吹き込み口と吹き出し口間で生じる圧力損失の計算に、AcuSolveが使用されます。このチュートリアルの目的は、複数のReference Frameを使用するシミュレーションを実行するために必要ないくつかのモデリングの概念を紹介することです。

CFDシミュレーションの基本的な手順については、ACU-T:2000 ミキシングエルボ内の乱流をご参照ください。このチュートリアルでは、AcuSolveの以下の追加機能を紹介します。
  • 回転座標系
  • ボリュームおよびサーフェスのセットへのReference Frameの割り当て
  • ユーザー関数を使用したAcuProbeでのポスト処理
  • 圧力場を取得するための、AcuFieldViewによる節点出力のポスト処理

前提条件

入門チュートリアルであるACU-T:2000 ミキシングエルボ内の乱流をすでに完了している必要があります。ここでは、AcuConsoleAcuSolve、およびAcuFieldViewをある程度使い慣れていることを前提としています。ライセンス供与済みバージョンのAcuSolveにアクセスできることも必要です。

このチュートリアルを実行する前に、AcuConsole_tutorial_inputs.zip<<Altair_installation_directory>\hwcfdsolvers\acusolve\win64\model_files\tutorials\AcuSolveから作業ディレクトリにコピーします。 Centrifugal_Blower.x_t をAcuConsole_tutorial_inputs.zipから取り出します。

問題の解析

このチュートリアルで扱う問題は、図 1および図 2に図示しています。この問題は、前曲羽根型ホイール付き遠心送風機、吹き込みダクトおよび吹き出しダクト付きハウジングで構成されています。吹き込み面を通る流体は羽根型ホイールのハブに入り、羽根を通過する際に遠心力によって放射状に加速され、吹き出し面を通って送風機のハウジングを出ていきます。軸流ファンと比較して安価で単純であることから、遠心送風機は建築物のHVAC(暖房、換気、および空調)システムに広く使用されてきました。

吹き込み面の直径は0.1m、吹き込みダクトの長さは0.15mです。ハウジングの幅は0.1mで、羽根型ホイールのハブからのハウジングの半径は、0.113~0.18mの間で変化します。


図 1. 遠心送風機の概略図
ファンの羽根の平均翼弦長および幅は0.05mで、羽根の最大厚は0.003mです。ファンの羽根の角速度は-1500RPMです。負号は、角速度の向きが、この場合、-Z方向(時計回り)であることを示しています。


図 2. ファンの羽根の概略図

AcuSolveで羽根車の回転に基づいて質量流量と圧力の上昇を計算するように、吹き込み口の境界条件は、質量流量ではなく全圧が使用されます。

この問題で扱う流体は空気であり、この空気の密度 (ρ)は1.225kg/m3、粘性 (μ)は1.781X 10-5kg/m-secです。

シミュレーションの適切な条件を設定することに加えて、優れた結果が得られるように十分に細分化されたメッシュを生成することが重要です。この問題では、吹き込み口の周りに約16個の要素が得られるようにグローバルメッシュサイズが設定され、その結果としてメッシュサイズは0.02mとなります。速度、圧力、および渦粘性の勾配が大きい場合、高いメッシュ密度が必要となります。ここでは、流れはファンの羽根の間の放射状の流路を通る際に加速されます。このため、勾配が大きくなり、細かなメッシュ解像度が必要となります。壁サーフェス付近のy+が妥当なレベルに保たれるように、適切な境界層パラメータを設定する必要があります。モデルの設定プロセスを示すことを意図しており、妥当な実行時間を維持するため、本チュートリアルで使用するメッシュ密度は粗くなっています。グリッドの収束解を得るには、非常に高いメッシュ密度が必要となります。

解を計算した後、注目する流体特性は、吹き出し口での質量流量と、吹き込み口から吹き出し口までの圧力損失です。これらのパラメータによって、パフォーマンス特性が定義されます。

解析パラメータの定義

AcuConsoleの起動とシミュレーションデータベースの作成

このチュートリアルでは、まずデータベースの作成、形状に依存しない設定の入力、形状の読み込み、グループの作成、グループパラメータの設定、グループへの形状コンポーネントの追加、およびグループへのメッシュコントロールと境界条件の割り当てを行います。次にメッシュを生成してAcuSolveを実行し、定常状態解を計算します。最後に、AcuFieldViewを使用して結果を可視化します。

次の手順では、AcuConsoleを起動して、シミュレーション設定を保存するためのデータベースを作成します。

  1. Windows のスタートメニューからスタート > Altair <バージョン> > AcuConsoleをクリックして AcuConsoleを起動します。
  2. Fileメニューをクリックし、Newをクリックし、New data baseダイアログを開きます。
  3. 作業ディレクトリとして使用する場所に移動します。
    このディレクトリには、そのシミュレーションに関するすべてのファイルが保存されます。AcuConsoleのデータベースファイル(.acs)はこのディレクトリに保存されます。メッシュと解が作成されたら、追加のファイルとディレクトリがこのディレクトリ内に作成されます。
  4. この場所に新しいディレクトリを作成します。このディレクトリの名前をBlower_MRF_Steadyとし、これを開きます。
  5. データベースのFile nameとしてMixing_Elbowと入力します。
    注: AcuConsoleによって書き込まれたファイルを他のアプリケーションで読み取り可能にするためには、データベースのパスと名前にスペースが含まれないようにしてください。
  6. 保存をクリックしてデータベースを作成します。

一般的なシミュレーションパラメータの設定

次の手順では、シミュレーション全体に適用されるパラメータを設定します。単純にするため、Data Tree Manager内のBASフィルタを使用して、任意のシミュレーションに適用できる基本的な設定をフィルタできます。このフィルタにより、Data Tree内の使用可能な項目の小さなサブセットのみを表示できるようになり、エントリの移動が容易になります。

このチュートリアルで定義する物理的モデルは、定常状態の乱流に相当します。

  1. Data Tree ManagerBASをクリックして、Data Tree内の基本ビューに切り替えます。


    図 3.
  2. GlobalData Tree項目をダブルクリックして拡張表示します。
    ヒント: 項目名の横にある をクリックしてツリー項目を拡張表示することもできます。


    図 4.
  3. Problem DescriptionをダブルクリックしてProblem Description詳細パネルを開きます。
    ヒント: ツリー項目を右クリックしてコンテキストメニューからOpenをクリックすることでも、パネルを開くことができます。
  4. TitleとしてAcuSolve Tutorialと入力します。
  5. Sub titleとしてCentrifugal Blower - Reference Frameと入力します。
  6. デフォルトのAnalysis typeのSteady Stateに設定します。
  7. Turbulence equationをSpalart Allmarasに変更します。
  8. デフォルトのMesh typeのFixedに設定します。


    図 5.

解法パラメータの設定

次の手順では、解析の進行時にAcuSolveの挙動を制御するパラメータを設定します。

  1. Auto Solution StrategyをダブルクリックしてAuto Solution Strategy詳細パネルを開きます。
  2. Analysis typeがSteady Stateに設定されていることを確認します。
  3. Max time stepsを100に設定します。
  4. Convergence toleranceが0.001に設定されていることを確認します。
  5. Relaxation factorを0.4に設定します。
    緩和係数は、解の収束を改善するために使用されます。通常は、0.2から0.4までの値であれば、求解のスムーズな進行の実現と、収束に達するために必要な計算時間の増加とのバランスをうまくとることができます。緩和係数が大きくなると、AcuSolveで定常状態解を得るまでにかかる時間ステップが多くなります。大きな緩和係数は、非常に複雑な用途で収束を達成するために必要な場合があります。


    図 6.

材料モデルパラメータの設定

AcuConsoleには、Air、Aluminum、Waterという、標準のパラメータが定義されている3つの事前定義済み材料が用意されています。次の手順では、空気の定義済み材料プロパティがこの問題の目的のプロパティと一致することを確認します。
  1. Data TreeMaterial Modelをダブルクリックして拡張表示します。


    図 7.
  2. Data TreeAirをダブルクリックしてAir詳細パネルを開きます。

    空気の材料タイプはFluidです。AcuConsoleで作成されるすべての新しい材料に対して、Fluidがデフォルトの材料タイプとなります。

  3. Densityタブをクリックします。空気の密度は1.225kg/m3です。
  4. Viscosityタブをクリックします。空気の粘性は1.781 x 10-5kg/m – secです。
  5. データベースを保存して設定のバックアップを作成します。これは、次のいずれかの方法で実行できます。
    • Fileメニューをクリックして、Saveをクリックします。
    • ツールバーの をクリックします。
    • Ctrlキーを押しながらSを押します。
    注: AcuConsoleで加えられた変更は、直ちにデータベースファイル(.acs)に保存されます。保存操作を実行すると、データベースがバックアップファイルにコピーされます。今後の変更内容を利用することを希望しない場合は、このバックアップファイルを使用して、その保存済み状態からデータベースを再読み込みすることができます。

形状のインポートとモデルの定義

形状のインポート

このチュートリアルの次のパートでは、形状をインポートします。この手順を完了するには、 Centrifugal_Blower.x_t の場所がわかっている必要があります。このファイルには、ParasolidASCII形式で形状に関する情報が含まれています。
  1. File > Importをクリックします。
  2. Centrifugal_Blower.x_tを含むディレクトリを参照します。
  3. ファイル名のフィルタをParasolid File (*.x_t *.xmt *X_T …)に変更します。
  4. Centrifugal_Blower.x_tを選択し、OpenをクリックしてImport Geometryダイアログを開きます。


    図 8.

    このチュートリアルでは、Import Geometryダイアログのデフォルト値を使用して形状を読み込みます。AcuConsoleを使用していた場合は、自身が変更した可能性のある設定を手動で変更して、図に示すデフォルト値と一致させてください。デフォルト設定を使用した場合は、CADモデルのボリュームはデフォルトのボリュームグループに追加されます。CADモデルのサーフェスはデフォルトのサーフェスグループに追加されます。このチュートリアルでは後ほどグループを操作して、新しいグループの作成、流れパラメータの設定、形状コンポーネントの追加、およびメッシングパラメータの設定を行います。

  5. OKをクリックして形状のインポートを完了します。


    図 9.

    このチュートリアルでモデリングウィンドウに表示されるオブジェクトの色と、ユーザーの画面に表示されるオブジェクトの色は異なる場合があります。AcuConsoleのデフォルト配色は“ランダム”であり、作成されたグループに色がランダムに割り当てられます。また、このチュートリアルはWindows上で作成されました。このチュートリアルを異なるオペレーティングシステムで実行する場合は、画面に表示されるイメージとこのチュートリアルで表示されるイメージが多少異なる可能性があります。

Reference Frameの作成

Reference Frameは、回転座標系の指定に使用します。領域内のボリュームセットに対して指定した場合、そのボリュームセット内の要素はその指定された回転座標系で解析されるものと見なされ、そのボリュームセットに回転体力が追加されます。本チュートリアルでは、羽根車の羽根付近の流体領域に回転座標系が割り当てられます。

次の手順では、Reference Frameを作成します。

  1. Data Tree ManagerPB*をクリックして、Data Tree内の一般的な問題設定に関連する使用可能なすべての設定を表示します。
  2. GlobalData Tree項目を拡張表示します。
  3. Reference Frameを右クリックし、Newをクリックして新しいReference Frameを作成します。
  4. 新しいReference Frameの名前を変更します。
    1. Reference Frame 1を右クリックします。
    2. Renameをクリックします。
    3. Impeller_RFと入力し、Enterを押します。
  5. Impeller_RFをダブルクリックして詳細パネルを開きます。
  6. Rotation centerの横のOpen Arrayボタンをクリックし、Array Editorを開きます。
  7. Z-coordinateに0.05と入力します。


    図 10.
  8. OKをクリックし、ダイアログを閉じます。
  9. 詳細パネルでAngular velocityの横のOpen Arrayボタンをクリックし、Array Editorを開きます。
  10. 単位をRPMに変更し、Z-component欄に-1500と入力します。
    注: 負号は、時計回りの回転方向を指定します。回転方向は、“右手の法則”を使用して決定されます。


    図 11.
  11. OKをクリックし、ダイアログを閉じます。

ボリュームパラメータの適用

ボリュームグループは、ボリューム領域に関する情報を保存するためのコンテナです。これらの情報には、そのコンテナに関連付けられた形状ボリュームのリストや、材料モデルやメッシュサイズ情報などの属性が含まれます。

形状がAcuConsoleにインポートされたときに、すべてのボリュームは“デフォルトの”ボリュームコンテナに配置されました。

次のステップでは、新しいボリュームグループを作成し、そのボリュームをグループに割り当て、デフォルトのグループコンテナ名を変更し、グループに材料を割り当て、羽根車のボリュームの参照座標系を設定します。

  1. Data Tree ManagerBASをクリックして、Data Tree内の基本ビューに切り替えます。
  2. ModelData Tree項目を拡張表示します。
  3. Volumesを拡張表示します。ボリューム名の横にある をクリックして、デフォルトボリュームコンテナの表示のオン / オフを切り替えます。
    注: Surfacesが表示されている場合は、サーフェスとボリュームが重なっている可能性があるため、表示を切り替えても何も変わらないことがあります。
  4. 新しいボリュームグループを作成します。
    1. Volumesを右クリックします。
    2. Newをクリックします。
  5. 新しいボリュームグループの名前をFluid_mainに変更します。
  6. Fluid_mainボリュームグループに流体ボリュームを追加します。
    1. Fluid_mainボリュームグループを右クリックします。
    2. Add toをクリックし、ボリュームグループに追加するボリュームを選択します。
      流体のメインボリュームがグレー表示されます。


      図 12.

形状がAcuConsoleに読み込まれたときに、すべての形状ボリュームはデフォルトボリュームグループコンテナに配置されました。この時点で、残りのボリュームはデフォルトボリュームグループにあります。新しいコンテナを作成し、形状内の流体ボリュームをこのコンテナに追加してから、デフォルトのボリュームコンテナを削除する代わりに、コンテナの名前を変更して、このグループのパラメータを変更します。

  1. デフォルトボリュームグループの名前をFluid_Impellerに変更します。
  2. ボリュームのMaterial modelがAirに設定されていることを確認します。
    1. Fluid_Mainの下のElement Setをダブルクリックし、詳細パネルでこれを開きます。
    2. Material modelがAirに設定されていることを確認します。
  3. 参照座標系のImpeller_RFをFluid Impellerに割り当てます。


    図 13.

サーフェスグループの作成とサーフェス境界条件の適用

サーフェスグループは、サーフェスまたはサーフェスのセットに関する情報を保存するためのコンテナです。これらの情報には、そのコンテナに関連付けられた形状サーフェスのリストや、境界条件、サーフェス出力、メッシュサイジング情報などの属性が含まれます。

次の手順では、サーフェスグループを定義して、問題のさまざまな特性に適切な設定を割り当て、これらのグループコンテナにサーフェスを追加します。
  • Inlet
  • Outlet
  • Walls
  • インターフェース
  • ファンの羽根

入口のパラメータの設定

次の手順では、吸気口のサーフェスグループを定義して、適切な設定を割り当て、形状内の吸気口をこのサーフェスグループに追加します。

  1. Data TreeのVolumesを閉じます。
  2. 新しいサーフェスグループを作成します。
  3. 新しいサーフェスの名前をInletに変更します。
  4. Data TreeInletを拡張表示します。
  5. Simple Boundary Conditionをダブルクリックして詳細パネルを開きます。
  6. TypeをInflowに変更します。
  7. Inflow typeをStagnation Pressureに変更します。
  8. Turbulent input typeをViscosity Ratioに変更します。
    これにより、材料モデルおよび、分子粘性に対する乱流粘性の比率に基づいて、自動的に渦粘性値を計算できます。
  9. Turbulence viscosity ratioを10に設定します。


    図 14.
  10. Inletグループに形状を追加します。
    1. ツリー内のInletを右クリックし、Add toを選択します。
    2. モデル上の吹き込み口フェイスをクリックします。
      この時点で、吹き込み口がグレー表示されます。


      図 15.
    3. Doneをクリックして、この形状サーフェスをInletサーフェスグループに追加します。
      ヒント: マウスの中央ボタンを使用して、形状コンポーネントをグループに追加することもできます。

排気口のパラメータの設定

次の手順では、出口のサーフェスグループを定義して、適切な設定を割り当て、形状内の出口をこのサーフェスグループに追加します。

  1. 新しいサーフェスグループを作成します。
  2. 新しいサーフェスの名前をOutletに変更します。
  3. Data TreeOutletを拡張表示します。
  4. Simple Boundary Conditionをダブルクリックして詳細パネルを開きます。
  5. TypeをOutflowに変更します。


    図 16.
  6. Outletサーフェスコンテナに形状を追加します。
    1. ツリー内のOutletを右クリックし、Add toを選択します。
    2. モデル上の吹き出し口フェイスをクリックします。
      この時点で、吹き出し口がグレー表示されます。


      図 17.
    3. Doneをクリックして、この形状サーフェスをOutletサーフェスグループに追加します。

壁のパラメータの設定

次の手順では、壁のサーフェスグループを定義して、適切な設定を割り当て、形状内のフェイスをこのサーフェスグループに追加します。

  1. 新しいサーフェスグループを作成します。
  2. 新しいサーフェスの名前をWallsに変更します。
  3. Data TreeWallsを拡張表示します。
  4. Simple Boundary Conditionをダブルクリックして詳細パネルを開きます。
  5. TypeがWallに設定されていることを確認します。
  6. Wallグループに形状フェイスを追加します。
    1. ツリー内のWallsを右クリックし、Add toを選択します。
    2. すべての壁サーフェスを選択します。
      この時点で、壁サーフェスがグレー表示されます。


      図 18.


      図 19.
    3. Doneをクリックして、この形状サーフェスをWallsサーフェスコンテナに関連付けます。

インターフェースのパラメータの設定

次の手順では、インターフェースのサーフェスグループを定義して、適切な設定を割り当て、形状内のインターフェースサーフェスをこのサーフェスグループに追加します。
注: AcuConsoleの内部サーフェスは特殊な方法で処理されます。インポートの際、AcuConsoleは同一の2つのサーフェスのコピーを作成します。1つのコピーは各ボリュームと関連付けられます。これにより、サーフェスの各側で個別にメッシングパラメータを制御できます。内部サーフェスに境界条件を割り当てる際、サーフェスでは2つのサイドを処理する必要があることを忘れないでください。内部サーフェスを選択している場合、両方のフェイスが表示されていれば、外側のボリュームに対応するサイドが最初の選択ターゲットとなります。外側のサーフェスの表示を変更して、内側のサーフェスを直接選択することもできます。
  1. Inlet、Outlet、およびWallsの各サーフェスの表示をオフにします。
  2. 新しいサーフェスグループを作成します。
  3. 新しいサーフェスの名前をInterfaceに変更します。
  4. Data TreeInterfaceを拡張表示します。
  5. Simple Boundary Conditionの横のボックスのチェックをはずし、これを無効にします。


    図 20.
  6. Interfaceグループに形状サーフェスを追加します。
    1. ツリー内のInterfaceを右クリックし、Add toを選択します。
    2. インターフェース上のすべてのサーフェスを選択します。
    3. Doneをクリックして、この形状サーフェスをWallsサーフェスコンテナに関連付けます。


      図 21.
  7. インターフェースの表示をオフにします。

インターフェースには、異なるボリュームセットに属する2つのサーフェスセットがあります。ここでは、これらのサーフェスセットは同じサーフェスグループに移動できます。

  1. Interfaceを右クリックして、Add toをクリックします。
  2. 残りのインターフェースサーフェスを選択します。
  3. Doneをクリックして、この形状サーフェスをInterfaceグループのサーフェス設定に関連付けます。
    注: この時点ではこのサーフェスには境界条件が適用されていないことに注意してください。これらのサーフェスが内部のサーフェスであり、流れがこれらを自由に通過できることを明らかにするため、グループ化操作が実行されています。ただし、これらのサーフェスは、依然として出力に使用できます。

ファンの羽根のパラメータの設定

次の手順では、ファンの羽根のサーフェスグループを定義して、適切な設定を割り当て、形状内のファンの羽根をこのサーフェスグループに追加します。

  1. デフォルトのサーフェスの名前をFan_Bladesに変更します。
  2. Data TreeFan_Bladesを拡張表示します。
  3. Simple Boundary Conditionをダブルクリックして詳細パネルを開きます。
    デフォルトのサーフェスのデフォルトのTypeはWallです。
  4. Reference frameをImpeller_RFに設定します。


    図 22.

メッシュコントロールの割り当て

グローバルメッシュパラメータの設定

問題全体と個々のサーフェスに対して流動特性を設定したので、十分に細分化されたメッシュが生成されるように属性を追加する必要があります。
  • グローバルメッシュコントロールは、モデル全体に適用され、モデルのどの形状コンポーネントにも関連付けられません。
  • ゾーンメッシュコントロールは、モデルの定義済み領域に適用されますが、どの特定の形状コンポーネントにも関連付けられません。
  • 形状メッシュコントロールは、特定の形状コンポーネントに適用されます。これらのコントロールは、ボリュームグループ、サーフェスグループ、またはエッジグループに適用できます。

次の手順では、グローバルメッシュ属性を設定します。その後の手順では、サーフェスのメッシング属性を設定します。

  1. データツリーマネージャーMSHをクリックして、Data Tree内の設定をフィルタ処理して、メッシングに関するコントロールのみを表示します。
  2. GlobalData Tree項目をダブルクリックして拡張表示します。
  3. Global Mesh AttributesをダブルクリックしてGlobal Mesh Attributes詳細パネルを開きます。
  4. Mesh size typeをAbsoluteに変更します。
  5. Absolute mesh sizeに0.02mと入力します。
    このメッシュサイズを選択する目的は、吹き込み口に50個以上のメッシュ要素が得られるようにするためです。
  6. Maximum sweep angleを30.0度に設定します。
    このオプションを使用すると、エッジブレンドメッシングの最大スイープ角度をグローバルに設定できます。これにより、鋭いエッジの周囲に要素の放射状配列が作成され、流れの特徴に対してより優れた解像が可能になります。このスイープ角度を使用して、それぞれの放射区画が占める度数が制御されます。


    図 23.

サーフェスメッシュパラメータの設定

以下の手順では、以前に作成したサーフェスグループ上のメッシュサイズを局所的に制御できるようにするメッシング属性を設定します。具体的には、壁とファンの羽根のサーフェスに対して垂直な境界層要素の成長を制御するローカルメッシング属性を設定します。
  • Walls
  • ファンの羽根

壁のサーフェスメッシュパラメータの設定

以下の手順では、壁付近のメッシュサイズの局所的制御を可能にするメッシング属性を設定します。壁上のメッシュサイズは、以前に定義されたグローバルメッシュサイズから継承されます。それに続く設定は、壁からの境界層の成長のみを制御します。

  1. ModelData Tree項目を拡張表示します。
  2. Model分岐の下でSurfacesを拡張表示し、さらにWallsを拡張表示します。
  3. Surface Mesh Attributesの横にあるチェックボックスをクリックして設定を有効にし、Surface Mesh Attributes詳細パネルを開きます。
  4. Mesh size typeをNoneに変更します。
    このオプションでは、壁のサーフェス上にメッシュを作成する際にメッシャーがグローバルメッシング属性を使用することを指定します。
  5. Boundary layer flagをOnに切り替えます。
    このオプションを使用すると、壁に対して垂直方向のメッシングがどのように処理されるのかを定義できます。
  6. Boundary layer typeをFull Controlに設定します。
    境界層のメッシュ要素がサーフェスから法線方向に成長させられることで、滑り無し壁付近の急勾配の効果的な解析が可能になります。これらの層は、いくつかのオプションを使用して指定できます。

    Boundary layer typeがFull Controlに設定されている場合、First layer height、Number of layers、およびGrowth rateが指定されます。Boundary layer elementsは、最上位層のメッシュサイズが、境界層要素が成長させられるボリュームのメッシュサイズに一致するまで、成長させられます。

  7. 残りの設定を次のように設定します:
    オプション 説明
    First element height 0.002
    Number of layers 3
    Boundary layer bends flag On
    Maximum sweep angle 15.0


    図 24.

ファンの羽根のサーフェスメッシュパラメータの設定

以下の手順では、ファンの羽根付近のメッシュサイズの局所的制御を可能にするメッシング属性を設定します。

  1. Fan Bladesの下のSurface Mesh Attributesの横にあるチェックボックスをクリックして設定を有効にし、Surface Mesh Attributes詳細パネルを開きます。
  2. Mesh size typeをAbsoluteに変更します。
  3. Absolute mesh sizeに0.005mと入力します。
  4. Boundary layer flagをOnに切り替えます。
  5. Boundary layer typeをFull Controlに設定します。
  6. Resolve欄をTotal Layer Heightに設定します。
  7. 残りの設定を次のように設定します:
    オプション 説明
    First element height 0.001m
    Growth rate 1.3
    Number of layers 3


    図 25.
  8. データベースを保存して設定のバックアップを作成します。

メッシュの生成

次の手順では、問題の解を計算する際に使用されるメッシュを生成します。

  1. ツールバーの をクリックしてLaunch AcuMeshSimダイアログを開きます。
  2. Okをクリックしてメッシングを開始します。

    メッシング時に、AcuTailウィンドウが開きます。メッシングの進行状況はこのウィンドウで報告されます。メッシングプロセスのサマリーで、メッシュが生成されたことが示されます。



    図 26.
    注: 節点と要素の実際の数およびメモリ使用量は、マシンによって少し異なる場合があります。
  3. モデリングウィンドウにメッシュを表示します。本チュートリアルでは、次の手順により、吹き込み口、吹き出し口、壁、およびファンの羽根が表示されます。
  4. Data TreeVolumesを右クリックして、Display offをクリックします。
  5. Data TreeSurfacesを右クリックして、Display onをクリックします。
  6. Data TreeSurfacesを右クリックして、Display typeを選択し、solid & wireをクリックします。
  7. さまざまなメッシュ領域を解析するには、モデル内で回転やズームを行います。
  8. モデルを右クリックし、cut plane visualizationを選択して、ファンの羽根付近のメッシュを表示します。


    図 27. 形状のメッシュ詳細
    図 28. ファンの羽根付近のメッシュ詳細


  9. データベースを保存して設定のバックアップを作成します。

解の計算と結果の確認

AcuSolveの実行

次の手順では、AcuSolveを起動してこのケースの解を計算します。

  1. ツールバーでをクリックしてLaunch AcuSolveダイアログを開きます。


    図 29.
  2. お使いのシステムに4つ以上のプロセッサがある場合は、Number of processorsに4と入力します。
    複数のプロセッサを使用すると、解析時間を短縮できます。
  3. その他すべてのデフォルト設定を受け入れます。
    これらの設定に基づき、AcuConsoleAcuSolveの入力ファイルを生成し、ソルバーを起動します。
  4. Okをクリックして解析プロセスを開始します。

    計算中、AcuTailウィンドウが開きます。解析の進行状況はこのウィンドウで報告されます。解析プロセスのサマリーで、実行が完了したことが示されます。

    このサマリーで提供される情報は、AcuSolveで使用されるプロセッサの数に基づいています。このチュートリアル内で示されている数と異なる数のプロセッサを使用した場合は、示されているサマリーと実行時のサマリーが少し異なる場合があります。



    図 30.
  5. AcuTailウィンドウを閉じ、データベースを保存して設定のバックアップを作成します。

AcuProbeによる解析のモニター

AcuProbeを使用して、解析時間におけるさまざまな変数をモニターできます。

  1. ツールバーの アイコンをクリックして、AcuProbeを開きます。
  2. 左側のData Treeで、Residual Ratioを拡張表示します。
  3. Final を右クリックし、Plot Allを選択します。
    Residual Ratioは、解がどれだけ支配方程式に一致しているかを示します。
    注: プロットを正しく表示するために、ツールバーで をクリックする必要がある場合があります。


    図 31.
    AcuSolveが実行を終了すると、“End Time Step”データを表示する解析プロセスのサマリーに、シミュレーションが完了したことが示されます。

AcuProbeでのポスト処理

吹き込み口と吹き出し口間の圧力上昇は、AcuProbeを使用したシミュレーションの最後にUser Functionを使用して表示できます。

  1. AcuProbeウィンドウで をダブルクリックします。
  2. User Functionウィンドウで名前をPres_Riseと入力します。
  3. 関数ウィンドウでP_Outlet =と入力します。
  4. Surface Output > Outlet > Pressureの順に展開します。
  5. pressureを右クリックし、Copy Nameをクリックします。
  6. 関数ウィンドウにOutlet圧力の値を貼り付けます。
  7. 行にP_Inlet =を入力します。
  8. Inlet圧力に対して、Step 4~6を繰り返します。
  9. value = P_Outlet – P_Inletと入力します。


    図 32.
  10. Applyをクリックしてプロットを表示します。
    注: プロットを正しく表示するために、ツールバーで をクリックする必要がある場合があります。


    図 33.

AcuFieldViewでの結果の表示

計算が終了したので、AcuFieldViewを使用して流れ場を表示する準備ができました。AcuFieldViewは、AcuSolveに緊密に統合されているサードパーティ製のポスト処理ツールに基づいています。AcuFieldViewAcuConsoleから直接開始できますが、スタートメニューやコマンドラインから開始することもできます。このチュートリアルでは、AcuSolveによって解が計算された後に、AcuConsoleからAcuFieldViewを開始します。

AcuFieldViewの起動

  1. AcuConsoleツールバーで をクリックしてLaunch AcuFieldViewダイアログを開きます。
  2. OkをクリックしてAcuFieldViewを起動します。
    AcuConsoleからAcuFieldViewを起動するときには、ディスクに書き込まれた、解析の最後の時間ステップの結果が、ポスト処理のために読み込まれます。

メッシュ付きの外側サーフェスの圧力を示す境界サーフェスの表示

  1. Viewer Optionsをクリックします。


    図 34.
  2. axis markersをクリックして無効にします。
  3. Perspectiveのチェックをはずし、遠近法表示を無効にします。
  4. Viewer Optionsダイアログを閉じます。
  5. 背景色を白に変更します。
  6. 図 35に示すように吹き込み口、吹き出し口、壁サーフェスが見えるように、形状の方向を設定します。
  7. Boundary Surfacesダイアログで、Scalar functionにPressureが選択されていることを確認します。
  8. Boundary Typesリストで、境界タイプからInletOutlet、およびWallサーフェスを選択します。
  9. Colormapタブをクリックし、Localを選択して、選択したサーフェスに対してローカルな範囲の圧力値を表示します。
  10. 凡例Legendをビューに追加します。
    1. Boundary SurfaceダイアログでLegendタブをクリックします。
    2. Show Legendオプションを有効にします。
    3. Frameオプションを有効にします。
    4. Geometricの横のColorグループで、白の色見本をクリックしてから黒の色見本を選択し、凡例値の色を黒に設定します。
    5. Title欄の横にある白の色見本をクリックして、タイトルの色を黒に設定します。
    6. Shiftキーを押しながらLegendを左クリックして左側にドラッグすることにより、Legendを移動します。


    図 35.

中央座標サーフェス上に圧力を示すサーフェスの調整

  1. をクリックしてCoordinate Surfaceダイアログを開きます。
  2. Create をクリックして新しいサーフェスを作成します。
  3. 新しいサーフェスを中央-Z座標サーフェスに設定します。
  4. Coord Plane欄で、Current値として0.05と入力します。
    これは、送風機の前と後の壁の間の中央平面のZ座標です。
  5. Display Typeをsmoothに変更します。
  6. Coloringをscalarに変更します。
  7. 表示するスカラー関数として、Scalar Functionでpressureを選択します。
  8. Colormapタブをクリックして、Coloringをlocalに変更します。
  9. 凡例をオンにして、座標平面上に圧力値を表示します。
  10. 形状の向きを変更し、結果がよりよく見えるようにします。


    図 36.

要約

このチュートリアルでは、遠心送風機内に回転座標系を指定した定常状態シミュレーションを設定する基本的なワークフローに取り組みました。ケースが設定された後、メッシュを生成し、AcuSolveを使用して解を生成しました。AcuProbeを使用して、送風機内の圧力上昇をポスト処理しました。結果はAcuFieldViewでもポスト処理され、壁に沿った圧力や、送風機の中央座標サーフェス上の圧力のコンタービューを作成できます。本チュートリアルで紹介した新機能には、回転座標系の作成とAcuProbeでのユーザー関数の作成があります。