ソリッドマップ メッシング

ソリッドマップメッシュは、ソリッドジオメトリボリュームにソリッド要素のメッシュを作成する方法です。

複数ソリッドへのソリッドマップメッシング

提供されているソリッドマップメッシングのために複数のソリッドを選択することができます。各ソリッドは実際にマップ可能なものを選択します。ただし、たとえ選択されたソリッドがマップ可能であったとしても、メッシングエンジンは必ずしも選択されたすべてのソリッドに1度の操作でメッシュを作成するとは限りません。

このようなケースは、選択された異なるソリッドとマップ可能なソリッドの制約との間に矛盾が生じることで起こる場合があります。例えば、マップ可能な制約のタイプの1つとしては、マップ可能なソリッドの特定のサーフェス(同じ方向に沿ったフェイス)がマップ-メッシュタイプでなければならないというものがあります。このような制約が満たされていない場合、メッシュが正しく生成されない原因となるフェイスには、赤いアイコンが表示されます。

図 1では、両方のソリッドは個々にマップ-メッシュ可能ですが、ソリッド1(三角形)のマークされたすべてのフェイス(5、6、9)はマップ-メッシュでなければなりません(現在はマップ-メッシュではない)。しかし、ソリッド2においては、共有サーフェス(6)をマップする方向のターゲットとして使用した場合にのみマップ-メッシュが可能となり、矛盾の原因となります。つまり、この共有サーフェスが、ソリッド2のメッシュのためにサーフェス4と8上のメッシュと一致しなければならないので、矛盾が生じます。

このような場合、赤いアイコンでマークされたものを非選択にし、他の選択はそのままにすることで残りのソリッドにメッシュを作成できます。これは、マークされていないソリッドに1度の操作でメッシュを生成することを可能にするか、問題の更なる推察への手助けとなります。残されたソリッドは、残念ですが、個々にメッシュを作成するか、グループとしてソリッド-マップメッシュを実行する前に更なる領域分けが必要になります。


図 1.

マッピング可能なソリッドへの領域分け

モデルに望ましいメッシュを作成するには、作成前にソリッドの領域分けを確実に行い、1方向または3方向にマップが可能な状態にすることが必要になります。

ソリッド(3D)メッシングは、2Dシェルメッシングと同様に自動的に行われますが、複雑なパートにおいては領域分けによって、1つの複雑で大きなソリッドを、小さく単純な結合されたソリッドにグループ分けする必要がある場合があります。ソリッドメッシングにおいて、メッシュ可能なものはマッピング可能と認識されます。

ソリッドの1つのフェイス上にサーフェスメッシュを置き、そのメッシュをあるベクトルに沿ってソリッドボリューム内に引き伸ばすことができる場合、このベクトル方向においてマッピングが可能になります。したがって、例えば完全な円筒の場合は上面と底面の間の軸方向の1方向に、完全な立方体の場合は全く同じフェイスの各ペア間の軸方向の3方向にマッピングが可能です。ただし、異なる半径を有する2つの円筒が1つのソリッドエンティティに結合され構成されている燃焼エンジンののシリンダヘッドは、2つの円筒に分割される必要があります。分割されると、各円筒は1方向にマッピング可能となります。
注: ソリッドのすべての領域セクションがマッピング可能な状態であっても、確実にすべてを一度にメッシュできるわけではありません。ケースによっては数回に分けて、あるいは極端な場合は1つずつメッシュを作成する必要があることがあります。マップ可能かどうかは、単に領域セクションにメッシュ生成できるかどうかを示すものです。
”Mappable”可視化モードは、ソリッドの領域分けがマップ可能かどうかによって、“Mappable”モードはソリッドがマップ可能(Mappable)なものかどうかによってモデルのソリッドを色分けします。ignored map、not mappable、1 directional map、3 directional mapはすべてソリッドのマップ可能な状態に関係したものです。
ヒント: ”Options”パネル、”Colors”サブパネルでこれらのマップ可能かどうかの状態を示す色設定を変更できます。
ソリッドを有する新規モデルを読み込んだ際、”Mappable”モードをアクティブにした後は、モデルは青で表示されます。これは、現時点でマッピング状態は無効であることを意味します。このソリッドの状態を”1 directional”または”3 directional”に変更するためにモデルの領域分けが必要になります。
注: たとえば サーフェスのみのモデルなど、モデルにソリッドが全く含まれていない場合、Geomページ上のSolidsパネルを使用し、サーフェスからソリッドを作成することができます。
なお、”Mappable”モードがアクティブな状態で.hmファイルが読み込まれ、そのファイルにおいてすでにいくつかの領域分けが実行されている場合でも、"ignored"マップとして表示されます。マップ可能かどうかを判断するアルゴリズム計算を実行するには、ビジュアライゼーションモードを、例えば”By Topo”などに変更し、再び”Mappable”に戻します。これによって、モデル内のすべてのソリッドの状態が再計算されます。
  1. Visualizationツールバーでジオメトリの表示モードをマップ可能(Mappable)に設定します。
    ソリッドがマップ可能かどうかの状態に応じて色分けされます。
    青色

    ソリッドが修正されていないため、マップ可能であるとは判断されません。

    オレンジ

    編集されてはいるが、完全にマッピング不可能のままである(さらに分割すればマッピング可能になり得る)ソリッドです。

    黄色

    1方向にマッピング可能なソリッドです。

    緑色

    3方向にマッピング可能なソリッドです。これは非常に稀です。

    図 2. . 左側の立方体は3方向にマッピング可能ですが、1つの角が割れてしまった場合は1方向のみにマッピング可能となり、そのコーナーは、さらに分割を行わない限りマッピング不可能です。




  2. マッピング可能なソリッドに分割します。
    ”Mappable”モードがアクティブな状態で、ソリッドを変更するすべての操作はソリッドエンティティの表示を自動的に更新します。

マッピング可能なソリッドへの領域分け

図 3 1つのサーフェス(この場合、シャフトの上面矩形サーフェス)によるモデルのトリムが、モデルに新たに2つのソリッドを加えた例です。1つのソリッドは、マップ状態無効(青)のままですが、別のソリッドはマップ不可能(オレンジ)、そして、1方向のみマップ可能(黄色の半透明)になっています。



図 3.
”Solid Edit”パネルにあるツールを使用してモデルを領域分けすることで、モデルはマップ不可能なものから1方向または3方向にマップ可能な状態へと変換されます。 図 4 メインボディと結合されるシャフトのベース部分のソリッドが緑の半透明で示されているように、3方向にマップ可能なソリッドを持ちます。


図 4.
領域分けが正しく行われたら、メッシュの実行が可能となります。図 5で示すように、Multi-Solidsサブパネルにアクセスしてすべてのソリッドを選択し、更に、必要なメッシングオプションを選択して複雑なパート全体の完全な3Dメッシュを作成します。


図 5.
図 6で示すように、エンティティ選択とマスク機能によって要素断面を表示してメッシュがサーフェスメッシュでなく完全な3Dメッシュであることを確認します。


図 6.

ソリッドマップメッシュの作成

メッシュ作成前に、ソリッドの領域分けを確実に行い、1方向または3方向にマップが可能な状態にすることが必要になります。マッピング可能なソリッドへの領域分けを参照してください。

また、3Dソリッドマップメッシュへと外挿するのに使用される2Dメッシュが存在していることを確認してください。

このトピックでは、”General”サブパネルを使用します。しかし、”Line Drag”、”Linear Solid”、および”Ends Only”サブパネルは、基本的に同じ入力コントロールのセットを使用します。これら3つのサブパネルでは、それぞれのマッピング手法では必要ないコントロール項目が除外され、表示されません。
  • ”Line Drag”サブパネルを使用する場合は、2Dメッシュを選択し、続いてラインをモデル形状から選択することでマッピング方向を指定します。
  • ”Linear Solid”サブパネルは、2つの既存の2Dメッシュを選択し、それらを外挿して3次元メッシュに結合します。
  • ”Ends Only”サブパネルは、2つの相対するサーフェスと1つの2Dメッシュを選択し、それらサーフェス間にメッシュを外挿します。

エンティティセレクターのうちの1つを(none)にセットすることにより、マップ元、マップ先または誘導形状を省くことが可能です。これらの選択のうち1つのみが(none)に設定でき、残りの2つは、ボリュームの定義に必要となります。

  1. 3Dページからsolid mapをクリックします。
  2. Generalサブパネルを選択します。
  3. ソースジオメトリのジオメトリタイプを選択し、3Dボリュームの基本フェイスを定義するソースジオメトリを選択します。
    • surfsを選択し、ボリューム / ソリッドの基本フェイスを定義するサーフェスを選択します。
    • linesを選択し、基本フェイスの外周を定義するラインを選択します。
    • nodesを選択し、基本フェイスの外周を表現する節点のリストを選択します。
    • ソースジオメトリを指定しない場合、noneを選択します。elems to dragから推測される形状が、マッピング元の形状とみなされます。
  4. ”elems to drag"セレクターは、ソリッドメッシュを作成するために押し出されるマッピング元のフェイスとなる要素 / メッシュを選択します。
  5. ”dest geom”セレクターを使用する場合、マップ先のジオメトリのジオメトリタイプを選択し、3Dボリュームの基本フェイスを定義するマップ先のジオメトリを選択します。
    • surfsを選択し、ボリューム / ソリッドのマップ先フェイスを定義するサーフェスを選択します。
    • linesを選択し、基本フェイスの外周を定義するラインを選択します。
    • nodesを選択し、基本フェイスの外周を表現する節点のリストを選択します。
    • マップ先ジオメトリを指定しない場合、noneを選択します。
  6. ”elems to match”を選択します。
    • elemsを選択し、3Dメッシュと組み合わせたいマッピング先サーフェス上の要素をクリックします。
    • noneを選択し、”smooth dest”チェックボックスが選択されている場合、ソースジオメトリとマップ先ジオメトリが大幅に異なる場合にマップ先のフェイス上のメッシュがスムージングされます。
  7. ”along geom”では、ジオメトリタイプを選択し、メッシュをマッピングする3Dボリュームフェイスを定義するジオメトリを選択します。
    • surfsを選択し、ボリューム / ソリッドのマッピングフェイスを定義するサーフェスを選択します。
    • linesを選択し、基本フェイスの外周を定義するラインを選択します。
    • nodesを選択し、ラインを定義する節点リストを選択します。マッピングはこのラインに沿って行われます。
    • mixedを選択し、サーフェス、ライン、2D要素 / シェルフェイス、あるいは、節点リスト / 節点パスの任意の組み合わせを選択します。要素が使用される際、マッピングされるソリッドメッシュは、選択された要素の節点位置を保持します。それらは、共通の節点として等値化することが可能です。節点リスト / 節点パスを選択する場合、各選択は、マッピング元とマッピング先を結ぶエッジを表すものでなくてはなりません。
    • ジオメトリを指定しない場合、noneを選択します。
  8. ”along”パラメータは、ソリッドマップ時に必要なパラメータを設定します。

    これは、マッピングの奥行き方向の要素数を決定します。密度が"0"に設定されている場合、要素サイズ / 密度は、マッピング元の要素(elems to drag)の平均要素サイズを基に計算されます。

  9. ”along bias style”には、節点作成時に使用されるバイアシングタイプを選択します

    このバイアシングスタイルは、バイアシング度(intensity)と共に機能します。”intensity”が0に設定されている場合、バイアシングは適用されません。

  10. ”intensity”欄には、バイアシング強度を入力します。
  11. Meshをクリックします。

HyperMeshは、ステータスバーにソリッドマップメッシングの進行状況を表示します。完了すると、HyperMeshによってメッシュ品質が表示されます。レポートされる要素の品質を表す値は、メッシュ内におけるヤコビアン比の最低値です。ヤコビアン比の値幅は0.0から1.0(最も良い)です。要素のヤコビアン比は、同じコンフィグレーションの理想的要素のヤコビアンに対する比率で表されます。

1つのボリュームからのソリッドマップメッシュの作成

1つのマッピング可能なソリッドボリュームから新しい3次元メッシュを新規に作成します。

メッシュ作成前に、ソリッドの領域分けを確実に行い、1方向または3方向にマップが可能な状態にすることが必要になります。マッピング可能なソリッドへの領域分けを参照してください。

また、3Dソリッドマップメッシュへと外挿するのに使用される2Dメッシュが存在していることを確認してください。”One Solids”サブパネルからメッシュを作成する場合、ユーザーが選択したソリッドが既にマッピング可能である限り、ソリッド上に直接3Dメッシュを自動的に作成されます。

  1. 3Dページからsolid mapをクリックします。
  2. One Volumeサブパネルに進みます。
  3. ”volume to mesh”に、メッシュを作成するソリッド / サーフェスを選択します。
  4. メッシュのマッピング方向を指定します。
    1. ”source hint”で開始サーフェスを選択します。
    2. ”dest hint”で終了サーフェスを選択します。
  5. ”source shells”で、ソリッドメッシュの結果出力の作成時に使用する要素タイプを選択します。

    これは、ソリッドの初期サーフェス上の2Dメッシュを定義し、ソリッドをメッシングする際の出力要素タイプを指定します。

    • ヘキサおよびペンタ要素を使用する場合、mixedを選択します。
    • ヘキサ要素を作成する場合、quadを選択します。
    • ペンタ要素のみ(R-triasの場合は直角五角形)を作成する場合、triasorまたはR-triasを選択します。
  6. 新しく作成された要素をどのコンポーネントに置くかを選択します。
    • ソリッドとそのサーフェスを含むコンポーネントと同じコンポーネントに要素を保存する場合、elems to solid/surf compを選択します。
    • カレントのコンポーネントに新しい要素を保存する場合は、elems to current compを選択します。
  7. 結果のソリッドのフェイス上の要素をスムージングし、メッシュの品質を上げるには、smooth destを選択します。
  8. ”along”パラメータは、ソリッドマップ時に必要なパラメータを設定します。

    これは、マッピングの奥行き方向の要素数を決定します。密度が"0"に設定されている場合、要素サイズ / 密度は、マッピング元の要素(elems to drag)の平均要素サイズを基に計算されます。

  9. ”along bias style”には、節点作成時に使用されるバイアシングタイプを選択します

    このバイアシングスタイルは、バイアシング度(intensity)と共に機能します。”intensity”が0に設定されている場合、バイアシングは適用されません。

  10. ”intensity”欄には、バイアシング強度を入力します。
  11. Meshをクリックします。

HyperMeshは、ステータスバーにソリッドマップメッシングの進行状況を表示します。完了すると、HyperMeshによってメッシュ品質が表示されます。レポートされる要素の品質を表す値は、メッシュ内におけるヤコビアン比の最低値です。ヤコビアン比の値幅は0.0から1.0(最も良い)です。要素のヤコビアン比は、同じコンフィグレーションの理想的要素のヤコビアンに対する比率で表されます。

複数ソリッドからのソリッドマップメッシュの作成

複数のマッピング可能なソリッドから3Dメッシュを新規に作成します。

メッシュ作成前に、ソリッドの領域分けを確実に行い、1方向または3方向にマップが可能な状態にすることが必要になります。マッピング可能なソリッドへの領域分けを参照してください。

また、3Dソリッドマップメッシュへと外挿するのに使用される2Dメッシュが存在していることを確認してください。”Multi Solids”サブパネルからメッシュを作成する場合、ユーザーが選択したソリッドが既にマッピング可能である限り、ソリッド上に直接3Dメッシュを自動的に作成されます。

  1. 3Dページからsolid mapをクリックします。
  2. Multi Solidsサブパネルを選択します。
  3. ”solids”セレクターを使って、メッシュを作成するソリッドを選択します。
  4. メッシュのマッピング方向を指定します。
    1. ”source hint”で開始サーフェスを選択します。
    2. ”dest hint”で終了サーフェスを選択します。
  5. メッシュモードを選択します。
    • 自動的に3Dソリッドメッシュを作成する場合、”automatic”を選択します。
    • 最終メッシュを作成する前にメッシュ間隔と要素パターンをユーザーが調整する場合、”interactive”を選択します。
  6. ”element size”には、最初に節点をエッジに分配する際に使用される要素サイズを指定します。
  7. ”source shells”で、ソリッドメッシュの結果出力の作成時に使用する要素タイプを選択します。

    これは、ソリッドの初期サーフェス上の2Dメッシュを定義し、ソリッドをメッシングする際の出力要素タイプを指定します。

    • ヘキサおよびペンタ要素を使用する場合、mixedを選択します。
    • ヘキサ要素を作成する場合、quadを選択します。
    • ペンタ要素のみ(R-triasの場合は直角五角形)を作成する場合、triasorまたはR-triasを選択します。
  8. 新しく作成された要素をどのコンポーネントに置くかを選択します。
    • ソリッドとそのサーフェスを含むコンポーネントと同じコンポーネントに要素を保存する場合、elems to solid/surf compを選択します。
    • カレントのコンポーネントに新しい要素を保存する場合は、elems to current compを選択します。
  9. 結果のソリッドのフェイス上の要素をスムージングし、メッシュの品質を上げるには、smooth destを選択します。
  10. 生成されるソリッド要素をalongの方向のサーフェス面に対し、より垂直に保つ場合、apply orthogonality to alongを選択します。
  11. ヤコビアンが良好でないソリッド要素の生成に際し、メッシングルーチンを停止するには、stop meshing on bad jacobianを選択します。
  12. 仮のサーフェスメッシュを生成する際、メッシュに以前設定したエッジ節点密度設定を与える場合、previous settingsを選択します。
  13. Meshをクリックします。
    automaticメッシュモードが選択されている場合、ソリッドメッシュが作成されます。interactiveメッシュモードが選択されている場合、仮の2Dシェルメッシュが作成され、すべてのエッジに沿ってメッシュシードが置かれ、Densityサブパネルが開かれます。