モーション接触のベストプラクティス

モーション接触の作成とデフォルト設定の編集に関するガイドライン。

モーション接触のデフォルト設定は、一般的な用途を扱うように選択されています。以下のベストプラクティスは検討に役立つガイダンスです。

一般

  1. 可能であれば、モーション接触ではなく、ジョイントとサポートを使用します。前者ははるかに効率的で、シミュレーション時間を短縮できます。モーション接触は、必要な場合に限ってご使用してください。
  2. モーション接触は必要以上に定義しないでください。
  3. モーション解析を実行したら必ずモデルを保存して結果を保持します。
  4. 結果がスムーズに見えない場合、一つには、接触している形状のメッシュベースの表示に起因する可能性があることに注意してください。メッシュ解像度は、プロパティエディターからパートごとに変更できます。パートのモーション接触カテゴリーには、解像度(非常に低い、低、中、高、非常に高い)を手動で指定するオプションがあります。解像度を高くすると結果はよりスムーズになる傾向はありますが、メッシュや解析にかかる時間は長くなります。

形状

  1. パート形状には鋭いエッジは避けます。フィレットツールを使用して形状のエッジをスムーズに保ちます。
  2. 可能であれば、領域分割ツールを使用して形状をより小さな領域に分割し、代わりに領域分割を使用してモーション接触を定義します。(メッシュ時間が改善されます。)
  3. 1つのパートが非意図的に別のパートを擦ったり傷つけたりする状況を避けます(2つの同一フェイス、同心円サーフェスなど)。プッシュ/プルツールを使用して、意図しない状態で接触しているパート間に隙間を入れます。
  4. 形状接触検出がメッシュ形状ではなく解析形状で解決されるように、可能であれば、形状プリミティブ(固体球体、エリプソイド(楕円)、円筒、錐台など)の使用を検討します。
  5. 制限:円筒とボックスの解析的な接触については、ボックスのエッジや頂点と円筒の平坦な側面との接触は、この時点ではサポートされていません。このような適用では、メッシュ化されたソリューションがより効果的に機能することがわかります。

断続的な接触

モデルに1つまたは複数の断続的な接触(跳ねているボールなど)がある場合は、モーション接触に対してプロパティエディターの正確な接触イベントオプションを有効にすることをお勧めします。有効にすると、接触が失われたり、貫通が高くなり過ぎたりすることがありません。最大ステップサイズ1e-4は接触シミュレーションに適した初期設定です。
注: 結果の改善/収束を実現するには、以下をお勧めします。
  • 積分器の最大次数を5(デフォルト)から2に減らします。次数が2の場合、モーション解析の安定性は向上しますが精度は低下します。逆に次数が高いと精度は向上しますが安定性は低下し、場合によって収束は失敗します。
  • 積分トレランスを1e-3(デフォルト)から1e-4以下に減らして精度を向上させます。
  • モーション接触プロパティで許容誤差(正確な接触イベント)および新規ステップサイズ(ステップサイズの調整)の値を小さくします。

持続的な接触

モデル内に持続的な接触があるときは、計算されたフォースオプションの使用を検討してください。要素中心とノードの2つの選択肢があります。要素中心オプションはデフォルトで、こちらが一般に少し高速です。ノードオプションを使用する利点には以下があります。

  • 精密な法線方向(特に、深い貫通の場合)。
  • 鋭いエッジの接触とコーナー接触の処理の改善。
  • 粗いメッシュ細分割に対する強化(モーション接触解像度)
  • 要素中心ではなく、ノードを使用するときの早期の緩衝検知。
  • 貫通深さ、貫通速度、接触面積のより精度の高い計算。

Model Units

  1. 使用しているモデル単位系をメモします(MKS、MMKSなど)。Model unitsはファイル > プリファレンス > Inspire unitsの順に選択して確認できます。MKSとMMKSを比較すると、単位系感度のため、結果に動作の違いがあります。
  2. モデル単位系の選択は、モーション接触ソリューションの安定性にも影響します。別のセットを選択すると、初期の静的/非定常なソリューションの安定につながることもあります。ミリメートルは、小さなスケールパート(ドアラッチなど)に適した長さ単位です。
  3. 長さにはミリメートル以外の単位、荷重にはニュートン以外の単位を使用しますが、衝撃モデルのデフォルト剛性(K)は、使用する指数に基づいて自動的にスケールされます。次の例で、N/mでの剛性の計算方法を示します。

    接触力F = K*ze(ここで、zは貫通、eは指数です)

    K = 1000 N/mm、e = 2.1とします

    したがって、荷重F = 1000 * z2.1 Nとなります

    モデルがSI単位で定義される場合、同じ荷重を生成する新しい剛性は次のように計算されます。

    F = 1000 * z2.1 = K * (z ÷ 1000)2.1

    ∴ K = 1000 * (1000)2.1 = 1.9953E9 N/m

摩擦

  1. プロパティエディターで接触摩擦を無効にして、モデリングを開始します。法線力(合理的な貫通値と法線力値)でシミュレーションが成功したら、接触摩擦を有効にします。
  2. 静摩擦遷移速度と摩擦遷移速度のパラメータに小さい値を使用しないでください。小さい値を使用するとシミュレーションスピードが遅くなります。推奨値は約1mm/秒です。
  3. 摩擦荷重の付加によって数値的な問題やシミュレーションの減速などが生じる場合は、遷移速度の値を徐々に増やしたり、摩擦係数を減らしたりします。
  4. 静的係数と動的係数には人為的に大きな値を使用しないでください。

エネルギー保全

接触力は、ペナルティ式を用いてモデル化されます。微細なステップサイズを指定しない場合は、力のインパルスが不正確になることがあります。したがって、衝撃接触の場合、接触に減衰がない場合であっても、エネルギー消散、エネルギーゲインが確認されることは珍しいことではありません。消散を低減するには、接触時間が適切にサンプリングされるように最大インテグレーションステップサイズを減らします。