OS-T: 6030 シーム溶接疲労

この手法は、薄いメタルシートに適用可能なホットスポット応力アプローチです。

ホットスポット応力は溶接線における節点力から計算されます。この方式は、1.0~3.0mmのシート厚に対し、ラボでのテスト結果と十分な一致を示しています。通常、この方式では、2つのS-N曲線が必要です。1つは曲げ応力による曲げS-N曲線で、もう1つは面内応力による面内S-N曲線です。

本チュートリアルの実行には、optistruct.zipに含まれる下記のファイルが必要です。モデルファイルへのアクセスをご参照ください。

SeamWeld_frame.fem

または

本チュートリアルで使用されるモデルファイル群のコピーは、<install_directory>/tutorials/hwsolvers/optistructで入手できます。

本チュートリアルでフレームには、縦方向の曲げに加え、前方および後方ねじり荷重がかかっています。シーム溶接は、フレームを形成するセクション間にモデル化されています。本演習は、シーム(フィレット)溶接位置で生じる損傷を計算するために行われます。


図 1. 自動車のフレーム

HyperMeshの起動とOptiStructユーザープロファイルの設定

本演習に使用されるモデルは、図 1に示すような自動車のフレームのモデルです。入力ファイルには、フレームが受ける3つの静的荷重ステップFrontal torsion、Rear torsionおよびVertical bendingです。

  1. HyperMeshを起動します。
    User Profilesダイアログが現れます。
  2. OptiStructを選択し、OKをクリックします。
    これで、ユーザープロファイルが読み込まれます。ユーザープロファイルには、適切なテンプレート、マクロメニュー、インポートリーダーが含まれており、OptiStructモデルの生成に関連したもののみにHyperMeshの機能を絞っています。

モデルの読み込み

  1. File > Import > Solver Deckをクリックします。
    Importタブがタブメニューに追加されます。
  2. File typeにOptiStructを選択します。
  3. Filesアイコンfiles_panelを選択します。
    Select OptiStruct Fileブラウザが開きます。
  4. 自身の作業ディレクトリに保存したSeamWeld_frame.femファイルを開きます。モデルファイルへのアクセスをご参照ください。
  5. Open をクリックします。
  6. Import、続いてCloseをクリックし、Importタブを閉じます。
    疲労解析のセットアップの大筋は、以下のステップで得られます。


    図 2. 疲労のセットアップ - フィレットシーム溶接

モデルのセットアップ

TABFAT荷重コレクターの定義

荷重順序の定義の最初のステップはTABFATカードの定義です。このカードは荷重履歴を示します。
  1. Viewメニュー内のUtilityメニューが選択されていることを確認します。View > Browsers > HyperMesh > Utilityをクリックします。
  2. ブラウザのModel タブの横にあるUtilityメニューをクリックします。ToolsセクションでTABLE Createをクリックします。
  3. OptionsをImport tableに設定します。
  4. TablesをTABFATに設定します。
  5. Nextをクリックします。
  6. 荷重ファイルをブラウズします。
  7. Open the XY data Fileダイアログボックスで、Files of type filterをCSV (*.csv)に設定します。
  8. インストールフォルダーから自身の作業ディレクトリに保存したload1.csvファイルを開きます。
  9. Create New Table でNameをLH1とします。
  10. Applyをクリックし、テーブルを保存します。
    TABFATカードイメージのカーブコレクターLH1が生成されます。
  11. 2番目の荷重ファイルload2.csvをブラウズします。
  12. Create New Table でNameをLH2とします。
  13. Applyをクリックし、表を保存します。
    TABFATカードイメージのカーブコレクターtable2が生成されます。
  14. テーブルLH1およびLH2は、Utility tab > TABLE Create > Create/Edit Table > TABFAT > Edit Existing Tableから編集 / 確認が可能です。
  15. CancelでImport TABFATウィンドウを終了します。
    Modelブラウザ内のCurvesの下にテーブルが現れます。
    注: DACフォーマットのファイルはHyperGraphで簡単に読み込むことが可能で、HyperMeshで読めるCSVフォーマットに変換できます。

FATLOAD荷重コレクターの定義

荷重ケースそれぞれにfatloadを作成します。

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. NameにFatload_Frontと入力します。
  3. Card ImageにFATLOADを選択します。
  4. TID(テーブルID)に、荷重コレクターのリストからLH1を選択します。
  5. LCID(荷重ケースID)に、荷重ステップのリストからFront Torsional Stiffnessを選択します。
  6. LDM(荷重の大きさ)を0.1に設定します。
  7. Scaleを0.6に設定します。
  8. このプロセスを繰り返し、以下の名称のFATLOADカードであと2つ、追加の荷重コレクターを作成します。

    Fatload_RearでLCIDがRear Torsional Stiffness、TIDがLH2

    Fatload_VerticalでLCIDがVertical Bending Stiffness、TIDがLH2

  9. LDMを0.1に、Scaleを0.6に設定します。

FATEVNT荷重コレクターの定義

作成されたfatloadsを割り当てるためのイベントを作成します。

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. NameにEvent1と入力します。
  3. Card Imageに、FATEVNTを選択します。
  4. FATEVNT_NUM_FLOADに1と入力します。
  5. FLOAD荷重コレクターをFATLOAD_Frontに設定します。


    図 3. 3個のFatloadsを含んだイベントカード
  6. 同様にEvent2を作成し、FATEVNT_NUM_FLOADを2に設定してFLOADとしてFatload_Rear、Fatload_Verticalを指定します。


    図 4. 3個のFatloadsを含んだイベントカード

FATSEQ荷重コレクターの定義

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. NameにFATSEQと入力します。
  3. Card ImageにFATSEQを選択します。
  4. FATSEQ_NUMに2と入力します(2つのFATEVENTが作成されているため)。
  5. FID(疲労イベント定義)にEvent1およびEvent2 を選択します。
    疲労解析のためのイベントのシーケンスの定義が完了しました。次に疲労パラメータが定義されます。

疲労パラメータの定義

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. Nameにfatparamと入力します。
  3. Card ImageにFATPARMを選択します。
  4. TYPEがSNにセットされていることを確認します。
  5. STRESSUをMPA(応力単位)に設定します。
  6. RAINFLOW RTYPEをLOADに設定します。
  7. GATEREL=を0.0に設定します。
  8. SMWLDの横のボックスにチェックマークを入れ、以下のオプションを選択します:

    METHOD = VOLVO

    UCORRECT = FKM

    SURVCERT = 1e-9

    THCKCORR = YES

疲労材料特性の定義

疲労解析の材料カーブはMAT1カードで定義できます。

  1. Modelブラウザで、Steel材料をクリックします。
    Entity Editorが開きます。
  2. Entity Editorで、MATFATの横のボックスにチェックマークを入れます。
  3. UNITを、リストからMPAに設定します。
  4. UTS (ultimate tensile stress)を600に設定します。
  5. SMWLDの横のボックスにチェックマークを入れ、STRUCTURAL SN CURVEをUser Definedに設定します。
  6. SN-based Seam Weld Fatigueプロパティを、次のように設定します:
    SRI1_SM1
    1203.0
    B1_SM1
    -0.133
    NC1_SM1
    1e6
    B2_SM1
    -0.108
    SE_SM1
    1
    SRI1_SM2
    803.0
    B1_SP2
    -0.15
    NC1_SM2
    1e6
    B2_SM2
    -0.11
    SE_SM2
    2.0

    2ポイント勾配カーブが曲げSNおよび面内SNに追加されます(ここでは、1 = 曲げ、2 = 面内)。1ポイント勾配も追加可能です。

PFATSMWプロパティの定義

BRATIOは、補間されたSNカーブがどちらをベースに作成されたか、Bending MomentsまたはMembrane Forcesが最大応力に寄与しているかどうかを理解するのに役立ちます。

同様に、TREFとTREF_Nは板厚修正の説明に役立ちます。

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Propertyを選択します。
  2. NameにPFATSMW_7と入力します。
  3. Card Imageに、PFATSMWを選択します。
  4. BRATIOを0.6に設定します。
  5. TREFを1.1に設定します。
  6. TREF_Nを0.1に設定します。

FATSEAM荷重コレクターの定義

FATSEAMは、シーム溶接タイプの選択に使用します。

ここではフィレット溶接です。

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. NameにFATSEAMと入力します。
  3. Card Imageに、FATSEAMを選択します。
  4. WTYPEをFILLETに設定します。
  5. NUM_FATSEAM_PSHELL_PIDSを1に設定します。
  6. PIDにproperty1を選択します。
    property1は、シーム溶接コンポーネントのプロパティIDです。

FATDEF荷重コレクターの定義

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. Nameにfatdefと入力します。
  3. Card ImageをFATDEFに設定します。
  4. Entity Editor内でFATSEAM をアクティブにします。
  5. FATDEF_FATSEAM_NUMIDSに1と入力します。
  6. FATSEAMIDにFatSeam、PFATSMWIDにPFATSMW_7を選択します。

疲労荷重ステップの定義

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Stepを選択します。
  2. NameにFatigue_3LCs_SeamWeldと入力します。
  3. Analysis typeをfatigueに設定します。
  4. FATDEFにfatdefを選択します。
  5. FATPARMにfatparamを選択します。
  6. FATSEQにfatseqを選択します。

ジョブのサブミット

  1. AnalysisページからOptiStructパネルに入ります。
  2. input file欄に続くsave asをクリックします。
    Save Asダイアログが開きます。
  3. File nameに名称Automotive-Frame-SeamWeld-fillet.femを入力します。
  4. 保存をクリックします。
  5. OptiStructをクリックし、解析をサブミットします。

結果の確認

  1. OptiStructパネルから、HyperViewをクリックします。
    HyperViewが起動され、結果が読み込まれます。HyperViewにモデルと結果が正しく読み込まれたことを示すメッセージウィンドウが現われます。
  2. Resultsタブに移動します。
  3. Resultsタブで、サブケース欄からSubcase 4 (Fatigue_3LCs_SeamWeld)を選択します。
  4. ResultsツールバーでresultsContour-16をクリックし、Contourパネルを開きます。
  5. Result typeにDamageをセットし、Applyをクリックして要素コンターを表示させます。
    図 5. ダメージコンタープロット
  6. Result typeにToe/Root/Throat(s)を、サブのResult TypeにToeをセットします。
  7. Applyをクリックします。

    コンター表示された要素は、対応するSeam要素についてのToe要素です。

  8. 同様にToeRootの間で切り替え、対応する要素群をハイライト表示させます。

    ToeとRootは、フィレット溶接について考慮される評価位置です。