AFV-T: 3000 非定常データ

このチュートリアルでは、非定常データの操作方法を示します。また、過渡流れパターンを視覚化するための流脈線の作成方法も示します。後続の他のデータセットの操作で使用できるrakeの設定の概要も示します。

このチュートリアルを実行する前に、展開したvortex_sheddingディレクトリを<AcuSolve installation directory>\model_files\tutorials\AcuFieldView\AFV_tutorial_inputs.zipから作業ディレクトリにコピーしてください。詳細は、チュートリアルデータを参照してください。

Windowsユーザーの場合、このチュートリアル用に用意されているリスタートを利用するためには、Startメニュー上のAcuFieldViewショートカットのプロパティでStart in欄に値が入力されていないことを確認する必要があります。このプロパティを変更するには、Startメニュー上のAcuFieldViewショートカットを参照し、右クリックしてPropertiesを選択します。Start in欄は、AcuFieldViewのPropertiesダイアログのShortcutタブにあります。この手順が必要な理由は、リスタートファイルで相対パスが使用されることのみであることに注意してください。



図 1.

AcuConsoleAcuSolveを使用した解析

  1. AcuConsoleを起動します。
  2. vortex_shedding.acsを開きます。
  3. AcuSolveを実行して、非定常の計算を行います。
  4. AcuConsoleを終了します。

FieldView非構造形式(FV-UNS)へのデータセットの変換

AcuFieldViewのネイティブのデータ読み込み形式は、FV-UNS形式として知られています。この形式は、ファイルサイズおよびパフォーマンスに対して最適化されています。この形式を使用すると、AcuSolveデータベースから直接データを読み込む場合と比較して、データ読み込み時間が削減されます。データが複数回読み込まれる場合には、この形式をお勧めします。この手順では、AcuSolveの結果をFV-UNS形式に変換する方法について説明します。
  1. AcuSolve Cmd PromptまたはLinuxターミナルを開きます。
  2. ディレクトリを、解析した問題の場所<your working dir>\vortex_shedding\に変更します。
  3. コマンドライン引数、acuTrans -out -to fieldview -ts A -extoutを使用して、AcuTransを実行します。
  4. AcuTransでの変換が完了したら、コマンドウィンドウまたはターミナルを終了します。

AcuFieldViewの起動と過渡データセットの読み込み

  1. AcuFieldViewを起動します。
  2. View > Background Colorの順にクリックし、白を選択します。


    図 2.
  3. Closeをクリックします。
  4. File > Data Input > AcuSolve [FV-UNS Export]の順にクリックします。
  5. Read Grid or Combined Dataをクリックします。
  6. vortex_shedding_step000003.fvを選択し、Openをクリックします。
  7. Function Subset Selectionパネルですべての関数名が選択されていることを確認し、OKをクリックします。
  8. Yesをクリックして、すべてのファイルを1つの過渡セットとして扱います。
    読み込みが完了すると、データの輪郭が等角図法で表示されます。
  9. FV-UNSデータの入力パネルを閉じます。
  10. Transform Controlsツールバーの をクリックするか、View > Defined Viewsの順にクリックしてDefined Viewsパネルを開きます。
  11. VIEWING DIRECTIONに対して+Zをクリックします。
  12. Defined Viewsパネルを閉じます。
  13. Bound をクリックし、Boundary Surfaceパネルを使用して円筒を視覚化します。
  14. Createをクリックし、OSF: Cylinderを選択して、OKをクリックします。
  15. Line TypeをThickに変更し、Geometricの色を黒に変更します。


    図 3.
  16. 右マウスボタン(M3)を使用して、円筒にズームします(ViewerツールバーのObjectはWorldに設定)。


    図 4.
  17. Coord をクリックし、Coordinate Surfaceパネルを使用して渦の発生を視覚化します。
  18. Createをクリックし、COORD PLANEをZに変更します。
  19. COLORINGをScalarに変更し、DISPLAY TYPEをMeshからContoursに変更します。


    図 5.
  20. Coordinate SurfaceパネルのColormapタブで、Number of Contoursを32に変更し、ColormapをSpectrumからNASA-1に変更します。
    Scalar Colormap Specificationパネルのカラーマップは、Editメニューから設定することもできます。


    図 6.
  21. ViewメニューでAxis MarkersとPerspectiveをオフにします。


    図 7.
    注: ご自身の画面の画像は、このズームレベルに基づいて表示されているものとは異なる可能性があります。


図 8.

過渡スイープの実行

この手順では、Transient Data Controlsパネルを使用して、過渡スイープを実行したときの渦の“尾”の動きを視覚化します。移動の範囲をわかりやすくするため、座標サーフェスのグリッドを作成することもできます。
  1. Tools > Transient Dataをクリックします。
  2. スライダーを使用して最初のTIME STEPを3に設定し、Applyをクリックします。
  3. Activateによってスイープが実行されます。
    流れのコンターは、対称な初期状態から、渦の“尾”の青いコンターが上下にスイープする過渡的な渦の発生に発展します。“尾”の垂直方向の広がりは単位円筒のものとほぼ同じであり、その円筒の中心は点[0,0,0]であることに注意してください。以降の手順では、この情報を使用して“グリッド”を作成します。


    図 9.
  4. View > Minimum Time Between Framesの順にクリックし、Minimum Time Secondsを0.1に設定して、スイープアニメーションの速度を遅くします。
  5. 再度Sweepをクリックしてアニメーションを停止します。
  6. Transient Data ControlsメッセージパネルでOKをクリックします。
  7. スライダーを使用するか、TIME STEP欄に3を入力することにより、現在のTIME STEPを3に再設定します。
  8. Applyをクリックし、Transient Data Controlsパネルを閉じます。
  9. Coordinate Surfaceパネル(Visualization Panels > Coordinate Surface)でCreateをクリックします。
  10. COLORINGをGeometricに、DISPLAY TYPEをMeshに、COORD PLANEをXに、Current値を1.0にそれぞれ変更します。
  11. 垂直なX座標サーフェスを1.52.0、および2.5に追加作成します。
    これらは座標サーフェス番号3~5になります。
  12. 水平なY座標サーフェスを0.00.51.0-0.5、および -1.0に作成します。
    これらは座標サーフェス番号6~10になります。
  13. Transient Data Controlsを使用して、時間ステップ全体を再度スイープします。
    青いコンターの“尾”が点[1.5, 0.5]および[1.5, -0.5]をスイープする様子に注意してください。これら2つの点を使用して、次の手順でシードする小さな座標サーフェスを作成します。
  14. Sweepをクリックしてアニメーションを停止します。
    次の画像は時間ステップ201のものです。


    図 10.
  15. 現在のTIME STEPを3に再設定します。

流線シーディングサーフェスの作成

この手順では、“尾”の垂直方向の振れの範囲でシーディングサーフェスを作成します。座標サーフェスを二値化することによって2つの円を作成します。まず、[1.5, 0.5]および[1.5, -0.5]を中心とする円を表す、2つのしきい値関数を作成します。
  1. アイコンをクリックします。
  2. Function SpecificationパネルでCreateをクリックします。
  3. Function Formula Specificationパネルで、Operations/KeysをクリックしてXおよびY Quantitiesを選択することにより、式(("X"-1.5)^2+("Y"-0.5)^2)^0.5を作成します。
  4. OKをクリックします。
  5. Function Name Inputパネルで、この関数にCenter-1という名前を付け、OKをクリックします。
  6. (("X"-1.5)^2+("Y"+0.5)^2)^0.5を作成し、OKをクリックして、これにCenter-2という名前を付け、OKをクリックします。
  7. Coordinate Surfaceパネルで、Z座標サーフェスを作成します。
    サーフェスのGeometricの色を青に変更し、DISPLAY TYPEをConstantシェーディングに変更します。
  8. Threshold Functionコントロールまで下にスクロールし、Selectをクリックして、Function SelectionパネルからCenter-1を選択し、Calculateをクリックします。
  9. Threshold Clipをオンにして、Maxを0.25に変更します。
  10. 必要に応じてCoordinate Surfaceパネルの上部までスクロールします。
  11. もう1つのZ座標サーフェスを作成します。このサーフェスは、前のサーフェスのほとんどのプロパティを継承します。
  12. Threshold FunctionはCenter-2に変更します。
  13. Threshold FunctionセクションのMaxは0.25に変更します。


    図 11.

流線の作成

この手順では、前の手順のしきい値座標サーフェスをシードします。これは、コンター座標サーフェスの表示をオフにすることで、容易に実行できます。
  1. メインの表示ウィンドウでコンターをダブルクリックし、Coordinate Surfaceパネル(Surface ID:1)を開いてVisibilityをオフにします。
  2. Stream をクリックします。
  3. 流線レーキを作成します。
  4. シーディングのModeをAdd(デフォルト)からSeed a Surfaceに変更します。


    図 12.
  5. マウスポインタを2つの青い座標サーフェスの上側に置き(グリッド上でクリックしない)、Ctrlキーを押しながら左マウス(M1)をクリックしてサーフェスを選択します。
    選択したサーフェスに“x”が表示されます。
  6. OKをクリックして10シード追加します。
  7. Streamlinesパネルの下部(パネルの下部を表示するにはスクロールが必要な場合もあります)でCalculation Parametersに以下の変更を加えます。
    1. デフォルト値1を使用して、Time Limitをオンにし、このレーキのすべての流線の持続時間を最大で1に制限します。
    2. Stepサイズをデフォルトの3から9に増加します。


      図 13.
  8. Streakline Parametersセクションで、Release Intervalを1に変更します。
    これは後で流脈線の計算に使用します。


    図 14.
  9. Calculateをクリックし、時間が制限された流線を表示します。
    注: 流線パターンがどのように表示されるかは、現在の時間ステップによって異なります。
  10. 必要に応じて他のしきい値座標サーフェス用に、2つ目のレーキを作成し、上記手順を繰り返します。
    パネルの上部を表示するにはスクロールが必要な場合もあります。


    図 15.

流脈線の作成

この手順では、過渡データセットをスイープします。その一方で、流脈線エクスポートファイルおよび粒子のフリップブック(動画)も作成します。
  1. 両方のレーキに対してShow Seedsをオフにします。
  2. ズームアウトして、渦が円筒の下流に伝播される様子がよくわかるように円筒をグラフィックスウィンドウの左端に移動します。
  3. Anno をクリックして、Annotationパネルを開きます。
    ヒント: ツールバーにアイコンを表示するには、 アイコンでツールバーを拡張表示する必要がある場合があります。
  4. Create Textをクリックして、時間ステップと解析時間が表示されるタイトルを作成します。
  5. Annotation Createパネルで文字列Time Step: %%N1 Solution Time: %%T1を入力し、OKをクリックします。
    特殊表記%%N1はデータセット#1の時間ステップを表示することを意味し、%%T1はデータセット#1の解析時間を表示することを意味します。


    図 16.
  6. 必要に応じてデフォルトのフォントLee Boldを変更し、Sizeを大きくします。
  7. Annotationパネルのヒントに従って、Shiftキーを押しながら左マウス(M1)でタイトルを移動します。


    図 17.
  8. Tools > Flipbook Build Modeの順にクリックし、フリップブック作成のための準備を行います。
  9. OKをクリックしてFlipbook Size Warningパネルを抜けます。
  10. Tools > Transient Dataをクリックします。
    Flipbook Build Modeがオンになっているため、Transient Data ControlsパネルのSweepボタンはBuildに置き換えられています。
  11. TIME STEPを3に設定します。
  12. Buildをアクティブにします。
    表示される流線レーキシード位置に基づいて、流脈線を流跡線ファイルに保存するように促すメッセージがStreakline Exportパネルに表示されます。これによって後続の流脈線表示が大幅に簡素化されます。
  13. Streakline ExportパネルでYesをクリックします。
  14. Export Streaklinesパネルでこのファイルにvortex_1.fvpという名前を付け、保存します。
    75フレームが作成されると、Flipbook Controlsパネルを使用してアニメーションを再生および保存できます。
  15. Frame RateをクリックしてMinimum Time Between Framesパネルを開き、Minimum Time Secondsを調整してフリップブックの再生速度を変更します。


    図 18.

    この画像は、時間ステップ189を捕捉したフレーム63のものです。

  16. Flipbook Controlsパネルを閉じます。
  17. OKをクリックしてFlipbook Exit Conformationパネルの警告を抜けます。

流脈線のインポートとアニメーションの改善

この手順では、以前エクスポートした流脈線をインポートします。その後、円筒から離脱する渦をよりわかりやすく表示できる別のアニメーションを作成します。
  1. Transient DataパネルでTIME STEPを3に設定します。
  2. Streamlinesパネルで各レーキのVisibilityをオフにします。
    ヒント: パネル最上部の矢印ボタンを使用すると、Rake ID 1とRake ID 2を切り替えることができます。
  3. Pathsアイコン をクリックするか、Visualization Panels > Particle Pathsの順にクリックします。
  4. Importをクリックします。
  5. 以前作成した流脈線エクスポートファイル(流跡線ファイル)vortex_1_3.fvpを参照して選択します。
  6. COLORINGをScalarに、DISPLAY TYPEをSpheresに変更します。
  7. Selectをクリックし、粒子のScalar Variableとしてx-velocityを選択します。
  8. Tools > Transient Dataの順にクリックして、Transient Data Controlsパネルを開きます。
  9. TIME STEPを225に進め、Applyをクリックします。
    これにより、最も離れた粒子の位置が表示されます。TIME STEPスライダーを移動して適用すると、粒子の位置が選択した時間ステップでの位置に合わせて変化します。


    図 19.
  10. ViewerツールバーでObjectをWorldに設定します。
    より多くの粒子が表示されるようにモデリングウィンドウで画像のサイズを変更します。ズームアウト(M3)および左移動(M1)を使用します。


    図 20.
  11. Coordinate Surfaceパネルを開きます。
  12. Surfaceタブで、Surfaces #11および#12のVisibilityをオフにします。
  13. Surface #1(コンターサーフェス)のVisibilityをオンにします。
  14. Transient Controlsパネルで、スライダーをTIME STEP 3に戻し、Applyをクリックします。
  15. Flipbook Build Modeをオンにします(Tools > Flipbook Build Mode)。
  16. Transient Data ControlsパネルでBuildをアクティブにし、フリップブックを作成します。
  17. 作成が完了したら、このフリップブックをvortex_animation_1.aviとして保存します。


    図 21.

スクリプトの使用

ここでは、AcuFieldViewスクリプトファイルを使用して、フリップブックの構築と流脈線エクスポートファイルの生成を同時に行います。その後、エクスポートした流脈線をインポートし、再度データセットをスイープして、インポートした流跡線のフリップブックを作成します。このチュートリアルはDataGuide™とともに使用することもできます。
  1. DataGuide™スイッチを使用してAcuFieldViewを起動します(通常のAcuFieldView起動コマンドに-p2コマンドラインスイッチを追加します)。Windowsの場合、AcuSolveプログラムグループにあるAcuSolve Cmd Promptを実行し、acuFV -p2を使用してAcuFieldViewを起動します。
  2. Views > Graphics Layout Size > 640x480 NTSCの順にクリックします。
    これにより、標準サイズのアニメーションファイルが作成されます。
  3. File > Data Input > AcuSolve [FV-UNS Export] の順にクリックして、FV-UNSデータを読み込みます。
  4. Read Grid or Combined Dataをクリックします。
  5. vortex_shedding_step000003.fvを選択し、Openをクリックします。
  6. File > Open Restart > Complete, No Data Readの順にクリックして、..\vortex_shedding\restart\vortex_shedding.datという完全リスタートを読み込みます。


    図 22.
  7. File > Open Restart > Scriptの順にクリックして、..\vortex_sheddingディレクトリからcreate_streakline.scrというスクリプトリスタートを読み込みます。
    このスクリプト(以下に示す)は、自動的に100シードを使用してスイープを実行し、流脈線エクスポートファイル100_seeds.fvp(バイナリ流跡線ファイル)を、flipbook simple_streak.miffLinuxの場合)またはsimple_streak.avi(Windowsの場合)とともに保存します。
    !..AcuFieldView Script:
    ! Start recording a flipbook
    RECORD ON simple_streak
    ! Performs a transient sweep &
    ! saves a streakline file
    SWEEP TIME LOOP 1 1 1 100_seeds.fvp
    ! Turn off recording
    RECORD OFF
    !..End of Script
  8. AcuFieldViewを終了します。
  9. 100_seeds.fvpファイルとフリップブックが作成されていることを確認します。
  10. AcuFieldViewを再起動します。今回は、DataGuide™コマンドラインスイッチは使用しません。
  11. File > Open Restart > Completeの順にクリックして、..\vortex_shedding\display_streakline.datという完全リスタートを読み込みます。
    このリスタートでは、流跡線として流脈線をインポートして座標線を削除し、スムーズなシェーディングを使用して円筒を描き、ビューを変更して渦の発生をよりわかりやすく表示します。さらに、座標サーフェス1でVecZ(curl(velocity))を使用するためにスカラー関数を設定し、この平面を.05に再配置して、粒子をよりわかりやすく見せるためのレンダリングをオンにします。


    図 23.
    注: 上に示したビューを得るには、AcuFieldViewのウィンドウをサイズ変更したり、モデルを移動する必要がある場合があります。
  12. Coordinate Surfaceパネルを開き、Surface IDを1に設定します。
  13. Colormapタブで、スカラーの最小値と最大値をそれぞれ-1040に変更します。Number of Contoursは32とする必要があります。これらの変更は、代わりにScalar Colormap Specificationパネルを使用して行うこともできます。


    図 24.
  14. File > Open Restart > Scriptの順にクリックして、..\vortex_shedding\display_streakline.scrという2つ目のスクリプトリスタートを読み込みます。
    このスクリプトは、過渡スイープを実行し、final_streak.miffLinuxの場合)またはfinal_streak.avi(Windowsの場合)というアニメーションを保存します。
    !..AcuFieldView Script which:
    ! Starts recording a flipbook
    RECORD ON final_streak.miff
    ! Performs a transient sweep
    ! (no streakline file saved)
    SWEEP TIME LOOP 1 1 1
    ! Turns off recording
    RECORD OFF
    !..End of Script
  15. スクリプトが完了したら、必要に応じてAcuFieldViewを終了し、2つのフリップブックアニメーション、simple_streakとfinal_streakを再生します。


    図 25. この画像は、時間ステップ213でのfinal_streak.aviを示しています。