ACU-T:5100 ファンコンポーネントのモデリング:軸流ファン

前提条件

このシミュレーションでは、中間部に内蔵ファンを設けた管内部の流れの定常状態をシミュレーションする方法について説明します。このチュートリアルを実行する前に、HyperWorksの入門チュートリアルであるACU-T:1000 HyperWorksユーザーインターフェースをすでに完了しHyperWorks CFDAcuSolveの基本を理解しているものとします。この解析を実行するには、ライセンス供与済みバージョンのHyperWorks CFDAcuSolveにアクセスできる必要があります。

このチュートリアルを実行する前に、HyperWorksCFD_tutorial_inputs.zip<Altair_installation_directory>\hwcfdsolvers\acusolve\win64\model_files\tutorials\AcuSolveから作業ディレクトリにコピーします。 ACU-T5100_AxialFan.hmAxialCoefficient.csv をHyperWorksCFD_tutorial_inputs.zipから取り出します。

注: このチュートリアルでは、ジオメトリのクリーンアップとメッシングに関する手順は説明しません。

問題の説明

このチュートリアルで解析する問題を以下の図に示します。この問題には、回転速度が377rad/sec(約3600RPM)、肉厚が0.06m、先端半径が0.11mの内蔵ファンがあります。入口での体積流量は0.146m3/sec(約525.35m3/hr)です。これは、定常問題として解析され、ファン領域全体の圧力上昇が計算されます。



図 1.

HyperWorks CFDの起動とHyperMeshデータベースのオープン

  1. Windows のスタートメニューからスタート > Altair <バージョン> > HyperWorks CFDをクリックして HyperWorks CFDを起動します。
  2. HomeツールのFilesツールグループからOpen Modelツールをクリックします。


    図 2.
    Open Fileダイアログが開きます。
  3. モデルファイルの保存先ディレクトリを参照します。HyperMeshファイルのACU-T5100_AxialFan.hmを選択してOpenをクリックします。
  4. File > Save Asをクリックします。
  5. 名前をAxial_Fanとして新しいディレクトリを作成し、このディレクトリへ移動します。
    このディレクトリが作業ディレクトリになり、シミュレーションに関連するすべてのファイルがこの場所に保存されます。
  6. データベースのファイル名としてAxial_Fanと入力するか、別の名前を入力します。
  7. 保存をクリックしてデータベースを作成します。

形状の検証

Validateツールは、モデル全体をスキャンし、サーフェスおよびソリッド上でチェックを実行して、形状に不具合(フリーエッジ、閉じたシェル、交差、重複、スライバーなど)があればフラグ付けします。

シミュレーションの物理パートに集中するために、このチュートリアルの入力ファイルにはすでに検証済みの形状が含まれています。GeometryリボンのValidateアイコンの左上隅に青色のチェックマークが表示されていることを確認します。これは、形状が有効で、フロー設定に進めることを示しています。


図 3.

流れのセットアップ

一般的なシミュレーションパラメーターの設定

  1. FlowリボンからPhysicsツールをクリックします。


    図 4.
    Setupダイアログが開きます。
  2. Physics modelsの設定で
    1. Time marchingが Steadyに設定されていることを確認してください。
    2. Turbulence モデルとしてSpalart-Allmarasを選択します。


    図 5.
  3. Solver controls設定をクリックし、下図のようにパラメータが設定されていることを確認します。


    図 6.
  4. ダイアログを閉じてモデルを保存します。

材料プロパティの割り当て

  1. FlowリボンからMaterialsツールをクリックします。


    図 7.
  2. 3つのボリュームすべてにAirの材料素材が割り当てられていることを確認してください。
  3. ガイドバーをクリックしてツールを終了します。

ファンコンポーネントの定義

  1. Flowリボンで、Domainツールセットの横の矢印をクリックしてFan Componentを選択します。


    図 8.
  2. 中央のソリッドをファンコンポーネントボリュームとして選択します。


    図 9.
  3. ガイドバーで、Surfacesをクリックして、下に示すフェイスをファンコンポーネントの入口として選択します。


    図 10.
  4. View Controlsツールバーで、形状の可視化モードをShaded GeometryからTransparent Geometryに変更します。
    これにより、次の手順で軸方向ベクトルを表示できるようになります。


    図 11.
  5. ガイドバーAxisをクリックします。
    モデリングウィンドウに、-X方向を向いた軸が表示されます。
  6. マイクロダイアログをクリックして、軸ベクトルを+X方向に反転させます。


    図 12.
  7. Thicknessに0.06と入力します。


    図 13.
  8. P-Q Curve Typeの横のをクリックして、Profile Editorを開きます。
  9. をクリックして、AxialCoefficient.csvを保存した場所に移動し、このファイルを開きます。


    図 14.
  10. ガイドバーをクリックすると、コマンドが実行されてツールが終了します。
  11. モデルを保存します。

流れ境界条件の定義

  1. FlowリボンのProfiledツールグループからVolumetric Flow Rateツールをクリックします。


    図 15.
  2. 下図でハイライトされているInlet面をクリックします。


    図 16.
  3. マイクロダイアログで、flow rateに0.146を入力します。


    図 17.
  4. ガイドバーをクリックすると、コマンドが実行されてツールが終了します。
  5. Outletツールをクリックします。


    図 18.
  6. 下図でハイライトされている面を選択し、ガイドバー をクリックします。


    図 19.

メッシュの生成

ソルバーの設定に焦点を当てるために、ここでは、すでに定義されているメッシュの設定を使用します。
  1. MeshリボンからBatchツールをクリックします。


    図 20.
  2. Meshing Operationsダイアログで、Average element sizeを 0.01 に、Mesh growth rateを 1.1に設定します(まだ設定されていない場合)。


    図 21.
  3. Meshをクリックします。
    Run Statusダイアログが開きます。解析が終了すると、ステータスが更新され、ダイアログを閉じることができます。
    ヒント: メッシュジョブを右クリックし、View log fileを選択してメッシングプロセスの概要を表示します。
  4. モデルを保存します。

AcuSolveの実行

  1. SolutionリボンからRunツールをクリックします。


    図 22.
    Launch AcuSolveダイアログが開きます。
  2. additional arguments欄に以下のテキストを入力します。-tlog -lprobe.
    これにより、AcuSolveに、シミュレーションの進行状況に応じた結果のモニターに使用されるAcuTailAcuProbeウィンドウの起動を指示します。
  3. Parallel processingオプションをIntel MPIに設定します。
  4. オプション: プロセッサーの数を、利用環境に合わせ、4または8に設定します。
  5. 他のオプションはデフォルト設定のままとして、Runをクリックして解析プロセスを開始します。


    図 23.

AcuProbeでのポスト処理

解析の進捗に伴い、ウィンドウが自動的に開きます。AcuProbeを使用して、解析時間におけるさまざまな変数をモニターできます。

  1. AcuProbeData Treeで、Residual Ratioを拡張表示します。
  2. Final を右クリックし、Plot Allを選択します。
    注: プロットを正しく表示するために、ツールバーで をクリックする必要がある場合があります。


    図 24.
  3. 解析が収束した後、Finalをもう一度右クリックしてPlot Noneを選択します。
  4. ツールバーのUser Function アイコン をクリックします。
  5. ダイアログで、NameにdPと入力します。
  6. Data TreeSurface Output > FanComponent-FanComponent > Pressureの順に拡張表示します。
  7. pressureを右クリックし、Copy Nameをクリックします。
  8. User FunctionダイアログのFunction欄でFan_In =と入力し、上記でコピーした名前を貼り付けます。


    図 25.
  9. 行にFan_Out =を入力します。
  10. Data Treeで、Surface Output > AUTO AxialFan-1.1 SolidBody_2_2 internal > Pressureの順に拡張表示します。
  11. pressureを右クリックし、Copy Nameをクリックします。
  12. Function欄のFan_Out =の後に、コピーした名前を貼り付けます。
  13. 改行して、value = Fan_Out - Fan_Inと入力します。
    注: 単語“value”は、大文字と小文字が区別され、常に小文字にする必要があります。大文字を使用すると、エラーウィンドウが表示されます。


    図 26.
  14. Applyをクリックします。

    下図に示すように、この問題では圧力上昇が494.514になります。



    図 27.

    をクリックし、曲線の端点で領域を選択することで、その領域のプロットをズーム表示できます。以下の図に示すように、指定の流量525.35m3/hr(0.146 m3/sec)の下での圧力上昇は494.514Paです。



    図 28.

要約

このチュートリアルでは、HyperWorks CFDを使用して、ファンコンポーネントを扱うシミュレーションを設定し、解析する方法を知ることができました。形状をインポートして、シミュレーションパラメータ、ファンコンポーネント、流れ境界条件を定義しました。解析を計算した後、ファンボリューム全体の圧力上昇のプロットを作成するために、AcuProbeでユーザー関数を定義しました。