ACU-T:5100 ファンコンポーネントのモデリング:軸流ファン

このチュートリアルでは、途中に内蔵ファンが取り付けられた管内の流れのシミュレーションのシミュレーションの設定、解析、および結果表示のための手順を説明します。この管の中央部分は、Fan_Componentパラメータを使用してモデル化されるファンボリュームと見なされます。このシミュレーションでは、流れが管の入口を通り、軸方向にファンに入って、出口から出ます。このとき、ファンによって圧力が上昇します。既知の入口体積流量におけるファンの圧力上昇を取得するために集中ファンモデルが使用されます。このチュートリアルの目的は、軸流ファンのFan_Componentsに関するモデリングの概念を紹介することです。

CFDシミュレーションの基本的な手順については、ACU-T:2000 ミキシングエルボ内の乱流をご参照ください。このチュートリアルでは、AcuSolveの以下の追加機能を紹介します。
  • AcuConsoleでのFAN_COMPONENTパラメータの指定
  • 体積流量による流入境界条件の設定

前提条件

入門チュートリアルであるACU-T:2000 ミキシングエルボ内の乱流をすでに完了している必要があります。ここでは、AcuConsoleAcuSolve、およびAcuFieldViewをある程度使い慣れていることを前提としています。ライセンス供与済みバージョンのAcuSolveにアクセスできることも必要です。

このチュートリアルを実行する前に、AcuConsole_tutorial_inputs.zip<<Altair_installation_directory>\hwcfdsolvers\acusolve\win64\model_files\tutorials\AcuSolveから作業ディレクトリにコピーします。 AxialFan.x_t をAcuConsole_tutorial_inputs.zipから取り出します。

このチュートリアルでモデリングウィンドウに表示されるオブジェクトの色と、ユーザーの画面に表示されるオブジェクトの色は異なる場合があります。AcuConsoleのデフォルト配色は“ランダム”であり、作成されたグループに色がランダムに割り当てられます。また、このチュートリアルはWindows上で作成されました。このチュートリアルを異なるオペレーティングシステムで実行する場合は、画面に表示されるイメージとこのチュートリアルで表示されるイメージが多少異なる可能性があります。

問題の解析

CFDシミュレーションにおける重要なステップは、目前の工学的問題を調べ、AcuSolveに対して指定する必要のある重要なパラメータを決定することです。パラメータは、形状要素(入口、出口、壁など)に基づいて行うことができるとともに、流れの条件(流体プロパティ、速度、流れを乱流または層流のどちらでモデル化するのかなど)に基づいて行うことができます。


図 1. シミュレーションに使用する軸流ファンモデル

図1は、単純な軸流ファンコンポーネント問題を示しています。このファンは、厚みが“t”で、先端半径が“r”の内部ファンです。このシミュレーションでは、流れが管の入口を通り、軸方向にファンに入って、出口から出ます。このとき、ファンによって圧力が上昇します。このファン圧力の上昇を、流入境界条件として割り当てられる入口サーフェスで、特定の体積流量に対してシミュレートすることができます。入口サーフェスでの体積流量は、525.35m3/hrとします。

管の中央部分は、Fan_InletとFan_Outletの両方を備えたFan Componentボリュームです。FAN_COMPONENTパラメータがAdvance problem definitionオプションをとおしてFan_Inletサーフェスに割り当てられます。基本的には、ファンモデルがサーフェスに適用され、圧力がそのサーフェスを越えて、ファンの影響がモデル化されます。管形状の出口にOutflow BCが割り当てられ、流れの出口がモデル化されますが、外側の壁は滑り状態を伴うWall BCとして定義されます。このシミュレーションで考慮される流体材料は、密度=1.225kg/m3、粘性=1.781e-005kg/m-sの空気です。

FAN_COMPONENTが、直接、対象のボリューム内の圧力上昇を生み出す物体力の項を計算します。これは、次のアプローチに基づいて実現されます。
  • ファンコンポーネントとして割り当てられた領域(つまり、FAN_COMPONENT状態を割り当てたサーフェス)への入口での流量を評価します。
  • ユーザーが入力したファン曲線に基づいてこの流量から生じる圧力上昇を評価します。
  • fan_length入力パラメータと目標圧力上昇に基づいて必要な圧力上昇を生みだす単位長さあたりの物体力を計算します。
  • 物体力は、流れの方向の関数、つまり、、速度、視線速度、接線速度、またはこの3つすべての組み合わせとして指定することができます。
  • 物体力を、FAN_COMPONENTが割り当てられる要素セットのすべての要素に割り当てます。

そのため、FAN_COMPONENTモデルの設定方法を決定するときに、ファンのモデル化方法も検討する必要があります。それが軸流だけの場合は、関連する圧力上昇関係が軸方向だけになり、fan_lengthはファン部分の入口から出口までの距離になります。

基本的に、FAN_COMPONENTは、軸方向、半径方向、および接線方向の物体力を運動量方程式に加えることにより、モデル化されます。軸流ファンタイプの場合は、これらの力によって、コンポーネント全体の圧力が次の量だけ上昇します。

Δ P axial =  1 2 α axial ρ u tip 2 +  1 2 ρ u ¯ 2

ここで α a x i a l :axial coefficients

ρ :密度

u t i p :先端速度 = ω r tip

ω :ファンの回転角速度(rad/sec)

r t i p :ファンの先端半径

u ¯ :入口を通過する平均質量速度(m/sec)

FAN_COMPONENTで使用されるpiecewise_bilinearカーブフィット値は正規化された流量(Q1)と軸係数(αaxial)の関数であるため、それらをファンのパフォーマンス曲線から変換する必要があります。

正規化された流量(Q1): Actual flow rate ( Q ) Inlet area ( A )*Utip

軸係数(αaxial)= 2ΔP ρ u ¯ 2 ρ u tip 2

たとえば、軸係数と正規化された流量をファンのパフォーマンスデータから評価します。下の表は、計算に対する入力です。
表 1. ファン特性
流体密度 1.225 kg/m3
先端半径( r t i p ) 0.11 m
回転速度( ω ) 3600RPM = 376.99rad/sec
入口領域、Ai 0.03801m2
先端速度( u t i p ) 41.47m/sec
表 2. ファンのパフォーマンスパラメータ
  体積流量(Q)、m3/hr 圧力上昇(ΔP)、Pa
1 525.35 494.91
2 890.21 474.63
3 1161.63 424.9
4 1272.76 389.11
5 1356.57 350.42
6 1431.84 308.18
7 1494.69 268.35
8 1551.39 230.89
最初の2つの体積流量(Q)の正規化された流量とaxial coefficientsは表2から計算できます。他の体積流量についても同じ手順に従います。
  1. Q = 525.35m3/hrの場合:

    Q1 = Q A * U t i p = 0.0926

    α a x i a l = 2 Δ P   ρ u ¯ 2 ρ u t i p 2 = 0.4613

  2. Q = 890.21 m3/hrの場合:

    Q1 = Q A * U t i p = 0.1569

    α a x i a l = 2 Δ P   ρ u ¯ 2 ρ u t i p 2 = 0.426

この方法で、次の表に示すように、他の体積流量のQlとαaxialを計算できます。
表 3. 正規化された流量と軸係数
S. No 正規化された流量(Q1 axial coefficients( αaxial
1 0.0926 0.4613
2 0.1569 0.426
3 0.2047 0.3615
4 0.2243 0.3191
5 0.2391 0.2755
6 0.2523 0.2289
7 0.2634 0.1854
8 0.2734 0.1445
図2に示すように、同じ情報がFAN_COMPONENTパラメータの軸カーブフィット値の入力として使用されます。


図 2. Fan Component Array Editor

配列の最初の列は、0と1の間で変化する正規化された半径です。この値が0の場合はファンの中心であることを意味し、1の場合はファンの先端であることを意味します。

解析パラメータの定義

AcuConsoleの起動とシミュレーションデータベースの作成

このチュートリアルでは、まずデータベースの作成、形状に依存しない設定の入力、形状の読み込み、ボリュームグループとサーフェスグループの作成、グループパラメータの設定、グループへの形状コンポーネントの追加、およびグループへのメッシュコントロールと境界条件の割り当てを行います。次に、メッシュを生成して、AcuSolveを実行し、指定された時間ステップの数だけ解析します。最後に、AcuFieldViewを使用して結果の一部の特性を可視化します。

次の手順では、AcuConsoleを起動して、シミュレーション設定を保存するためのデータベースを作成します。

  1. Windows のスタートメニューからスタート > Altair <バージョン> > AcuConsoleをクリックして AcuConsoleを起動します。
  2. Fileメニューをクリックし、Newをクリックし、New data baseダイアログを開きます。
  3. 作業ディレクトリとして使用する場所に移動します。
    このディレクトリには、そのシミュレーションに関するすべてのファイルが保存されます。AcuConsoleのデータベースファイル(.acs)はこのディレクトリに保存されます。メッシュと解が作成されたら、追加のファイルとディレクトリがこのディレクトリ内に作成されます。
  4. この場所に新しいディレクトリを作成します。この名前をAxial_Fanとし、これを開きます。
  5. データベースのFile nameとしてAxialFanと入力します。
    注: AcuConsoleによって書き込まれたファイルを他のアプリケーションで読み取り可能にするためには、データベースのパスと名前にスペースが含まれないようにしてください。
  6. 保存をクリックしてデータベースを作成します。

一般的なシミュレーションパラメータの設定

次の手順では、シミュレーション全体に適用されるパラメータを設定します。単純にするため、Data Tree Manager内のBASフィルタを使用して、任意のシミュレーションに適用できる基本的な設定をフィルタできます。このフィルタにより、Data Tree内の使用可能な項目の小さなサブセットのみを表示できるようになり、エントリの移動が容易になります。

このチュートリアルで定義する物理的モデルは、定常状態の乱流に相当します。

  1. Data Tree ManagerBASをクリックして、Data Tree内の基本ビューに切り替えます。


    図 3.
  2. GlobalData Tree項目をダブルクリックして拡張表示します。
    ヒント: 項目名の横にある をクリックしてツリー項目を拡張表示することもできます。


    図 4.
  3. Problem DescriptionをダブルクリックしてProblem Description詳細パネルを開きます。
  4. TitleとしてAcuSolve Tutorialと入力します。
  5. Sub titleとしてAxial Fanと入力します。
  6. Analysis typeをSteady Stateに変更します。
  7. Turbulence equationをSpalart Allmarasに変更します。


    図 5.

解法パラメータの設定

次の手順では、解析の進行時にAcuSolveの挙動を制御するパラメータを設定します。

  1. Auto Solution StrategyをダブルクリックしてAuto Solution Strategy詳細パネルを開きます。
  2. Analysis typeがSteady Stateに設定されていることを確認します。
  3. Max time stepsを50に設定します。
  4. Relaxation factorを0.5に設定します。
  5. FlowとTurbulenceがOnに設定されていることを確認します。


    図 6. Auto Solution詳細パネル

材料モデルパラメータの設定

AcuConsoleには、Air、Aluminum、Waterという、標準のパラメータが定義されている3つの事前定義済み材料が用意されています。次の手順では、空気の定義済み材料プロパティがこの問題の目的のプロパティと一致することを確認します。
  1. Data TreeMaterial Modelをダブルクリックして拡張表示します。


    図 7.
  2. Data TreeAirをダブルクリックしてAir詳細パネルを開きます。

    空気の材料タイプはFluidです。AcuConsoleで作成されるすべての新しい材料に対して、Fluidがデフォルトの材料タイプとなります。

  3. Densityタブをクリックします。空気の密度は1.225kg/m3です。
  4. Viscosityタブをクリックします。空気の粘性は1.781 x 10-5kg/m – secです。
  5. データベースを保存して設定のバックアップを作成します。これは、次のいずれかの方法で実行できます。
    • Fileメニューをクリックして、Saveをクリックします。
    • ツールバーの をクリックします。
    • Ctrlキーを押しながらSを押します。
    注: AcuConsoleで加えられた変更は、直ちにデータベースファイル(.acs)に保存されます。保存操作を実行すると、データベースがバックアップファイルにコピーされます。今後の変更内容を利用することを希望しない場合は、このバックアップファイルを使用して、その保存済み状態からデータベースを再読み込みすることができます。

形状のインポートとモデルの定義

形状のインポート

このチュートリアルの次のパートでは、形状をインポートします。この手順を完了するには、 AxialFan.x_t の場所がわかっている必要があります。このファイルには、ParasolidASCII形式で形状に関する情報が含まれています。
  1. File > Importをクリックします。
  2. AxialFan.x_tを含むディレクトリを参照します。
  3. ファイル名のフィルタをParasolid File (*.x_t *.xmt *X_T …)に変更します。
  4. AxialFan.x_tを選択し、OpenをクリックしてImport Geometryダイアログを開きます。


    図 8.

    このチュートリアルでは、Import Geometryダイアログのデフォルト値を使用して形状を読み込みます。AcuConsoleを使用していた場合は、自身が変更した可能性のある設定を手動で変更して、図に示すデフォルト値と一致させてください。デフォルト設定を使用した場合は、CADモデルのボリュームはデフォルトのボリュームグループに追加されます。CADモデルのサーフェスはデフォルトのサーフェスグループに追加されます。このチュートリアルでは後ほどグループを操作して、新しいグループの作成、流れパラメータの設定、形状コンポーネントの追加、およびメッシングパラメータの設定を行います。

  5. OKをクリックして形状のインポートを完了します。


    図 9.

ボリュームパラメータの適用

ボリュームグループは、ボリューム領域に関する情報を保存するためのコンテナです。これらの情報には、そのコンテナに関連付けられた形状ボリュームのリストや、材料モデルやメッシュサイズ情報などの属性が含まれます。

形状がAcuConsoleにインポートされたときに、すべてのボリュームは“デフォルトの”ボリュームコンテナに配置されました。

次の手順では、デフォルトのボリュームグループコンテナの名前を変更し、そのグループに材料を割り当てて、流体ボリュームのメッシュモーションを設定します。

  1. Data Tree ManagerBASをクリックして、Data Tree内の基本ビューに切り替えます。
  2. ModelData Tree項目を拡張表示します。
  3. Volumesを拡張表示します。ボリューム名の横にある をクリックして、デフォルトボリュームコンテナの表示のオン / オフを切り替えます。
    注: Surfacesが表示されている場合は、サーフェスとボリュームが重なっている可能性があるため、表示を切り替えても何も変わらないことがあります。
  4. Volumesを右クリックして、Volumes Managerを選択します。
  5. Volume Managerで、Newを2回クリックし、2つの新しいボリュームグループを作成します。
  6. デフォルトを除くすべてのボリュームの表示をオフにします。
  7. デフォルトのボリュームの名前をUpstreamDuctに変更します。
  8. Volume 1とVolume 2の名前を変更し、下の図のように列を設定します。


    図 10.
  9. それぞれのボリュームをボリュームグループに割り当てます。
    1. Fan行で、Add toをクリックします。
    2. 下の図に示すようにボリュームを選択して、Doneをクリックします。


      図 11.
    3. DownstreamDuct行で、Add toをクリックします。
    4. 下の図に示すようにボリュームを選択して、Doneをクリックします。


      図 12.

      形状がAcuConsoleに読み込まれたときに、形状ボリューム全体がデフォルトボリュームグループに配置されました。このデフォルトサーフェスグループの名前はUpstreamDuctにに変更されました。前の手順では、いくつかのボリュームを作成した他のさまざまなボリュームグループに割り当てました。この時点で、残っているのはUpstreamDuctボリュームグループのみで、ここで流れがボリュームに入ります。

    5. UpstreamDuctについてプロセスを繰り返します。


      図 13.
    6. ダイアログを閉じます。

サーフェスグループの作成とサーフェスパラメータの適用

サーフェスグループは、サーフェスに関する情報を保存するためのコンテナです。この情報には、解析およびメッシングパラメータや、パラメータが適用される形状内の対応するサーフェスが含まれます。

次の手順では、サーフェスグループを定義して、問題のさまざまな特性に適切な設定を割り当て、これらのグループコンテナにサーフェスを追加します。

シミュレーションの設定プロセスでは、(特に、サーフェスが非常に多いモデルの場合)複雑になりがちな境界条件やメッシュパラメータなどを設定するため、別のパネルに移動する必要があります。これを簡単にして、エラーを減らし、時間を節約するために、AcuConsoleでは2つの新しいダイアログが追加されています。Volume ManagerSurface Managerは、一度にすべてのサーフェスまたはボリュームエンティティに関する情報を確認したり、指定するために使用します。ここでは、Surface Managerのいくつかの機能を利用します。

  1. Volumesを右クリックしてDisplay offを選択することにより、ボリュームの表示をオフにします。
  2. Data TreeSurfacesを右クリックして、Surface Managerを選択します。
  3. Surface Managerダイアログで、Newを8回クリックして、8つの新しいサーフェスグループを作成します。
  4. Simple BC Active列とSimple BC Type列が表示されていない場合は、Columnsをクリックして、リストからこの2つの列を選択し、Okをクリックします。


    図 14.
  5. デフォルトサーフェスを除くすべてのサーフェスの表示をオフにします。
  6. 下の図に従って、Surface 1~9の名前を変更します。
  7. 図 15のように、Simple BC Active列とSimple BC Type列を設定します。


    図 15.
  8. サーフェスをそれぞれのサーフェスグループに割り当てます。
    1. Surface ManagerのInlet行で、Add toをクリックします。
    2. 図に示すように、対称面サーフェスを選択して、Doneをクリックします。


      図 16.
    3. サーフェスの反対側が見えるようにモデルを回転します。
    4. Outlet行で、Add toをクリックして、次のようにサーフェスを選択します。


      図 17.
    5. Wall_Upグループ用のサーフェスを割り当てます。


      図 18.
    6. Wall_Fanグループ用のサーフェスを割り当てます。


      図 19.
    7. Wall_Downグループ用のサーフェスを割り当てます。


      図 20.
    8. Upstream_Outグループ用のサーフェスを割り当てます。


      図 21.
    9. Fan_Inletグループ用のサーフェスを割り当てます。


      図 22.
    10. Fan_Outletグループ用のサーフェスを割り当てます。


      図 23.

      形状がAcuConsoleに読み込まれたときに、すべての形状サーフェスはデフォルトサーフェスグループコンテナに配置されました。このデフォルトサーフェスグループの名前はDownstream_Inletに変更されました。前の手順では、いくつかのサーフェスを自分で作成した他のさまざまなサーフェスグループに割り当てました。この時点で、残っているのはDownstream_Inletサーフェスグループのみで、これがDownstreamDuctボリュームの入口を構成します。

  9. Downstream_Inletグループ用のサーフェスを割り当てます。


    図 24.
  10. Surface Managerを閉じます。

Inlet

Inletグループは、流れが管に入って管全体を流れる様子を定義します。このサーフェスの正しい境界条件タイプはInflowです。

  1. ツリー内でInletサーフェスを拡張表示します。
  2. Inletの下にあるSimple Boundary Conditionをダブルクリックして、Simple Boundary Condition詳細パネルを開きます。
  3. TypeがInflowに設定されていることを確認します。
  4. Inflow typeをVelocityからFlow Rateに変更します。
  5. Flow rate欄で、単位をm3/hrに変更します。
  6. Flow rate値に525.35と入力します。


    図 25.

Outlet

Outletグループは、管の出口を定義します。このサーフェスの正しい境界条件タイプはOutflowです。

  1. ツリー内でOutletサーフェスグループを拡張表示します。
  2. Simple Boundary Conditionをダブルクリックして詳細パネルを開きます。
  3. TypeがOutflowに設定されていることを確認します。
  4. 残りの設定はデフォルト値のままにします。


    図 26.

Wall_Up

壁は流体ボリュームの外側を囲みます。このサーフェスの正しい境界条件タイプはWallです。

  1. ツリー内でWall_Upサーフェスグループを拡張表示します。
  2. inner_wallの下にあるSimple Boundary Conditionをダブルクリックして、Simple Boundary Condition詳細パネルを開きます。
  3. TypeがWallに設定されていることを確認します。
  4. 残りの設定はデフォルト値のままにします。


    図 27.

Wall_FanとWall_Down

サーフェスグループのWall_FanとWall_Downの設定はWall_Upグループと同じになります。同じ手順を繰り返さなくてすむように、設定をその2つのグループに伝播させることができます。

  1. Wall_Upサーフェスグループを拡張表示します。
  2. Simple Boundary Conditionsを右クリックし、Propagateを選択します。
  3. メニューからWall_FanWall_Downを選択します。
  4. Propagateをクリックします。


    図 28.

Fan_Outlet

このサーフェスのSimple Boundary Conditionのチェックをはずします。

Upstream_Out

このサーフェスのSimple Boundary Conditionのチェックをはずします。

Downstream_Inlet

このサーフェスのSimple Boundary Conditionのチェックをはずします。

Fan_Inlet

このサーフェスは、Fan Componentボリュームの入口に相当します。この特定のサーフェスでは、ファン速度、先端半径、軸係数などに関連するデータを必要とするFAN_COMPONENTパラメータを割り当てる必要があります。このパラメータは、AcuSolveのadvanced optionsの下で設定することができます。
  1. Data Tree ManagerALLをクリックして、Data Tree内のすべての設定を表示します。
  2. Fan_InletサーフェスのSimple Boundary Conditionのチェックをはずします。
  3. Advanced Optionsを拡張表示します。
  4. Fan Componentチェックボックスをオンにして、詳細パネルを開きます。
  5. TypeがAxialに設定されていることを確認します。
  6. Centerの横で、Open Arrayをクリックします。
  7. ダイアログで、すべての欄に0.0と入力します。
  8. OKをクリックします。
  9. Directionの横で、Open Arrayをクリックします。
  10. X-Directionに1.0と入力し、他の欄には0.0と入力します。
  11. OKをクリックします。
  12. Rotational Speedで、単位をrad/secからRPMに変更します。
  13. Rotational Speedを3600RPMに設定します。
  14. Tip Radiusを0.11mに設定します。
  15. Fan thicknessを0.06mに設定します。
  16. Axial coefficient typeをConstantからPiecewise Bilinearに変更します。
  17. Axial curve fit値の横で、Open Arrayをクリックします。
  18. Add Colを7回クリックして、下の図に示すように入力します。


    図 29.
  19. OKをクリックし、ダイアログを閉じます。
  20. Radial coefficientとTangential coefficientを0に設定します。
  21. 残りの設定はデフォルト値のままにします。


    図 30.

メッシュコントロールの割り当て

グローバルメッシュパラメータの設定

問題全体に対して流体特性を設定したので、十分に細分化されたメッシュを生成する必要があります。

グローバルメッシュ属性は、特定の形状ボリューム、サーフェス、エッジ、およびポイントに参照されるのではなく、モデル全体に適用されるメッシングパラメータです。モデルの特定の形状コンポーネントのメッシュ生成コントロールを作成するには、ローカルメッシュ属性を使用します。

次の手順では、グローバルメッシュ属性を設定します。

  1. データツリーマネージャーMSHをクリックして、Data Tree内の設定をフィルタ処理して、メッシングに関するコントロールのみを表示します。
  2. GlobalData Tree項目をダブルクリックして拡張表示します。
  3. Global Mesh AttributesをダブルクリックしてGlobal Mesh Attributes詳細パネルを開きます。
  4. Mesh size typeをAbsoluteに変更します。
  5. Absolute mesh sizeに0.0096mと入力します。


    図 31.

サーフェスメッシュパラメータの設定

サーフェスメッシュ属性は、モデル内の特定のサーフェスに適用されます。これは、1つまたは複数の特定のサーフェスのためのメッシュコントロールの作成に使用される、ローカルメッシングパラメータの一種です。

サーフェスメッシュ属性などのローカルメッシュ属性は必ずしも設定する必要ありません。あるコンポーネント用のローカルメッシュ属性が見つからなかった場合は、グローバル属性がそのコンポーネントのメッシュ生成コントロールとして使用されます。ローカルメッシュ属性が存在する場合は、グローバル設定より優先されます。

次の手順では、サーフェスメッシング属性を設定します。

  1. ModelData Tree項目を拡張表示します。
  2. Model分岐の下で、Surfacesを拡張表示します。Surfacesの下で、Wall_Upサーフェスグループを拡張表示します。
  3. 必要に応じて、Surface Mesh Attributesの横にあるボックスをオンにしてこれをアクティブにします。これをダブルクリックして、Surface Mesh Attributes詳細パネルを開きます。
    この詳細パネルには、ローカルサーフェスメッシング制御に関係するオプションが入力されています。
  4. Mesh size typeをNoneに変更します。
  5. Boundary layer flagをOnに切り替えます。
  6. Boundary layer typeをMatch Outer Layerに変更します。
  7. First element heightが0.001mに設定されていることを確認します。
  8. Growth rateを1.2に変更します。
  9. 残りの設定はデフォルト値のままにします。


    図 32.

サーフェスグループのWall_FanとWall_Downの設定はWall_Upグループと同じです。同じ手順を繰り返さなくてすむように、設定をその2つのグループに伝播させます。

  1. Wall_Upサーフェスの下でSurface Mesh Attributesを右クリックし、Propagateを選択します。
  2. Propagateダイアログで、サーフェスWall_FanWall_Downを選択し、Propagateをクリックします。


    図 33.

メッシュの生成

次の手順では、問題の解を計算する際に使用されるメッシュを生成します。

  1. ツールバーの をクリックしてLaunch AcuMeshSimダイアログを開きます。
    このケースでは、デフォルトの設定を使用します。
  2. Okをクリックしてメッシングを開始します。

    メッシング時に、AcuTailウィンドウが開きます。メッシングの進行状況はこのウィンドウで報告されます。メッシングプロセスのサマリーで、メッシュが生成されたことが示されます。



    図 34.
    注: 節点と要素の実際の数およびメモリ使用量は、マシンによって少し異なる場合があります。
  3. モデリングウィンドウにメッシュを表示します。サーフェスの表示をオンにして、display typeをsolid and wireに設定します。
  4. さまざまなメッシュ領域を解析するには、モデル内で回転やズームを行います。

解の計算と結果の確認

AcuSolveの実行

次の手順では、AcuSolveを起動してこのケースの解を計算します。

  1. ツールバーでをクリックしてLaunch AcuSolveダイアログを開きます。
    このケースでは、デフォルトの設定を使用します。AcuSolveは4つのプロセッサを使用して(可能な場合は、さらに多くのプロセッサを指定できる)実行され、AcuConsoleAcuSolve入力ファイルを生成して、AcuSolveを起動します。AcuSolve は、この問題の定常状態解を計算します。
  2. Okをクリックして解析プロセスを開始します。

    計算中、AcuTailウィンドウが開きます。解析の進行状況はこのウィンドウで報告されます。解析プロセスのサマリーで、実行が完了したことが示されます。

    このサマリーで提供される情報は、AcuSolveで使用されるプロセッサの数に基づいています。このチュートリアル内で示されている数と異なる数のプロセッサを使用した場合は、示されているサマリーと実行時のサマリーが少し異なる場合があります。



    図 35.
  3. AcuTailウィンドウを閉じ、データベースを保存して設定のバックアップを作成します。

AcuProbeでのポスト処理

AcuProbeを使用して、解析時間におけるさまざまな変数をモニターできます。

  1. ツールバーの アイコンをクリックして、AcuProbeを開きます。
  2. 左側のData Treeで、Residual Ratioを拡張表示します。
  3. Final を右クリックし、Plot Allを選択します。
    これにより、3つの変数(渦粘性、圧力、および速度)のレジデュアルがプロット領域にプロットされます。このプロットは、時間ステップに対する変数の収束を示しています。
    注: プロットを正しく表示するために、ツールバーで をクリックする必要がある場合があります。


    図 36.
  4. Residual Ratioの下でFinalを右クリックして、Plot Noneを選択します。
  5. ツールバーのUser Function アイコン をクリックします。
  6. ダイアログで、NameにdPと入力します。
  7. Data Treeダイアログで、Surface Output > Fan_Inlet > Pressureの順に拡張表示します。
  8. pressureを右クリックし、Copy Nameをクリックします。
  9. User FunctionダイアログのFunction欄でFan_In =と入力し、上記でコピーした名前を貼り付けます。


    図 37.
  10. 行にFan_Out =を入力します。
  11. Fan_Outletの下でpressureを拡張表示し、pressureをクリックし、Copy nameを選択します。
  12. Function fieldに名前をペーストします。


    図 38.
  13. 改行してvalue = Fan_Out - Fan_Inと入力します。
    注: 単語“value”は、大文字と小文字が区別され、常に小文字にする必要があります。大文字を使用すると、エラーウィンドウが表示されます。


    図 39.
  14. Applyをクリックします。


    図 40.

    上の図から、圧力の上昇が9回目の反復あたりで安定し、その後は、525.35m3/hrの体積流量に対して494.53Paの圧力(494.91Paの基準値とほぼ同じ)が維持されることが確認できます。

要約

このAcuSolveチュートリアルでは、軸流ファンのFAN_COMPONENT機能が関与する問題を正しく設定し、解析しました。FAN_COMPONENTが、直接、対象のボリューム内の圧力上昇を生み出す物体力の項を計算します。シミュレートする問題は、途中にファンが取り付けてあるため圧力が上昇して出口から出て行く管内の流れです。チュートリアルは、AcuConsoleでデータベースを作成し、形状をインポートしてメッシュ処理し、シミュレーションパラメータを設定することから始めました。流体領域はVolume Manager Dialogオプションを–使用して3つのボリューム(UpstreamDuct、Fan、およびDownstreamDuct)に分割されます。ケースが設定されると、AcuSolveを使用して解が生成されました。結果は、でFan_InletおよびFan_Outlet圧力に基づいてファン圧力の上昇を確認するためのユーザー関数を作成することにより、プロットされました。このチュートリアルで紹介した新機能は、Fan Component機能の使用、体積流量とファン圧力上昇に基づく軸係数の計算方法の説明、およびのUser Functionオプションの使用です。