ACU-T:4001 タンクへの注水

前提条件

このチュートリアルでは、四角形タンク内部での二相流の過渡シミュレーションを、レベルセットモデルを使用して実行する手順を説明します。このチュートリアルを実行する前に、HyperWorksの入門チュートリアルであるACU-T:1000 HyperWorksユーザーインターフェースをすでに完了しHyperMeshAcuSolve、およびHyperViewの基本を理解しているものとします。この解析を実行するには、ライセンス供与済みバージョンのHyperMeshAcuSolveにアクセスできる必要があります。

このチュートリアルを実行する前に、HyperMesh_tutorial_inputs.zip<Altair_installation_directory>\hwcfdsolvers\acusolve\win64\model_files\tutorials\AcuSolveから作業ディレクトリにコピーします。 ACU-T4001_FillingTank.hm HyperMesh_tutorial_inputs.zipから取り出します。

HyperMeshデータベース(.hm ファイル)には、メッシュとジオメトリが含まれています。このチュートリアルには、ジオメトリのインポートおよびメッシュ生成に関する手順は含まれていません。

問題の説明

ここで解析する問題を以下の図に示します。図1は、時間t=0の時点で半分まで満たされた水タンクの概略図です。t=0で入口からの注水を開始し、その注水の進捗に伴う水と空気との界面の変化を、過渡シミュレーションで可視化できます。



図 1.

HyperMeshモデルデータベースを開く

  1. HyperMeshを起動し、AcuSolveのユーザープロファイルを読み込みます。
    User ProfilesからAcuSolveを選択する方法については、HyperMeshの入門チュートリアルACU-T:1000 HyperWorksユーザーインターフェースをご参照ください。
  2. 標準ツールバーのOpen Modelアイコン をクリックします。
    Open Modelダイアログが開きます。
  3. モデルファイルの保存先ディレクトリを参照します。HyperMeshファイルのACU-T4001_FillingTank.hmを選択してOpenをクリックします。
  4. File > Save Asをクリックします。
    Save Model Asダイアログが開きます。
  5. 名前をFillingTankとして新しいディレクトリを作成し、このディレクトリへ移動します。
    このディレクトリが作業ディレクトリになり、シミュレーションに関連するすべてのファイルがこの場所に保存されます。
  6. データベースのファイル名としてFillingTankと入力するか、別の名前を入力します。
  7. 保存をクリックしてデータベースを作成します。

一般的なシミュレーションパラメータの設定

解析パラメータの設定

  1. Solverブラウザに移動して01.Globalを拡張表示し、PROBLEM_DESCRIPTIONをクリックします。
  2. Analysis typeをTransientに変更します。
  3. Multiphase equationをLevel Setに設定します。


    図 2.

ソルバー設定

  1. Solverブラウザで、01.Globalの下の02.SOLVER_SETTINGSをクリックします。
  2. Max time stepsを0に設定し、Enterキーを押します。
  3. Final timeを3.0 secに設定します。
  4. Initial time incrementを0.01secに設定します。
  5. Max stagger iterationsを4に変更し、Enterキーを押します。
  6. Relaxation factorを0.0に変更します。
  7. FlowおよびFieldオプションがOnになっていることを確認します。


    図 3.

節点出力の定義

  1. Solverブラウザ17.Outputを拡張表示し、NODAL_OUTPUTをクリックします。
  2. Time step frequencyを1に設定します。
  3. Output initial condition欄をOnにします。
  4. モデルを保存します。

多相モデルの作成および物体力の設定

多相材料モデルの作成

  1. Solverブラウザ02.Materialsを拡張表示し、MULTIPHASEを右クリックしてCreateを選択します。
  2. モデルの名前としてWater-Airと入力します。
  3. Entity Editorで、Field Interaction TypeがLevel Setに設定されていることを確認します。
  4. Field 1 MaterialとしてWater_HMを選択します。
  5. Field 1 NameとしてWaterと入力します。
  6. Field 2 MaterialとしてAir_HMを選択します。
  7. Field 2 NameとしてAirと入力します。


    図 4.

Body Forceの設定

  1. Solverブラウザ03.Body_Forceを拡張表示し、さらにBODY_FORCEを拡張表示してGravity_HMをクリックします。
  2. Entity Editorで、Y gravityを-9.81 m/sec2に、 Z gravityを0.0に設定します。


    図 5.

境界条件と節点初期状態の設定

境界条件の設定

デフォルトでは、すべてのコンポーネントは、壁境界条件に含まれます。この手順では、それらを適切な境界条件に変更し、流体ボリュームに材料特性を割り当てます。
  1. Solverブラウザ12.Surfaces > WALLの順に拡張表示します。
  2. Fluidをクリックします。Entity Editorで、
    1. TypeをMULTIPHASEに変更します。
    2. MaterialにWater-Airを選択します。
    3. Body forceにGravity_HMを選択します。


    図 6.
  3. Wallをクリックします。Entity Editorで、TypeがWALLに設定されていることを確認します。


    図 7.
  4. Inletをクリックします。Entity Editorで、
    1. TypeをINFLOWに変更します。
    2. Normal velocityを1.5m/sに設定します。
    3. Multiphase incoming fieldとしてWaterを選択します。


    図 8.
  5. Outletをクリックします。Entity Editorで、
    1. TypeをOUTFLOWに変更します。
    2. Hydrostatic pressure欄をOnにします。


    図 9.
  6. z_posをクリックします。Entity Editorで、TypeをSLIPに変更します。


    図 10.
  7. 同様に、z_negについてもTypeをSlipに変更します。

節点セットの作成

  1. Modelブラウザで、ブラウザ領域の空白部分を右クリックし、Create > Setを選択します。
  2. Entity Editorで、セット名をWater_Columnに変更します。

初期条件の定義

  1. Solverブラウザに移動して01.Globalを拡張表示し、03.NODAL_INITIAL_CONDITIONをクリックします。
  2. Entity EditorのFieldタブで、TypeをNodal Valuesに設定します。
  3. Multiphase FieldをWaterに設定します。
  4. Select nodes byオプションをNode Setに設定します。
  5. Node Set Countが1に設定された状態で、Node SetとしてWater_Columnを選択します。
  6. Initial Volume Fractionを1.0に設定します。


    図 11.
  7. モデルを保存します。

節点セットへの節点の割り当て

  1. Modelブラウザに移動し、ブラウザ領域の空白部分を右クリックしてCreate > Blockの順に選択します。
  2. Entity Editorで、ブロック名をWater_Columnに変更します。
  3. Min coordinatesを(-0.9, -0.5, -0.005)、Max coordinatesを(0.5, 0, 0.005)にそれぞれ設定します。
  4. ModelブラウザSets > Water_Columnの順にクリックします。Entity EditorのEntity IDs欄でNodesコレクターをクリックします。
  5. パネル領域で、nodesコレクターをクリックしてby blockオプションを選択します。
  6. Water_Columnブロックをオンに切り替えてselectをクリックします。
    グラフィックス領域で、Water columnブロックのすべての節点が強調表示されます。


    図 12.
  7. proceedをクリックします。
  8. オプション: Water_Columnブロックの表示をオフにします。
  9. モデルを保存します。

解析計算

この手順では、HyperMeshからAcuSolveを直接起動して解析を完了します。

AcuSolveの実行

  1. すべてのメッシュコンポーネントの表示をオンにします。
    解析を実行するには、アクティブなすべてのコンポーネントのメッシュを可視化した状態にする必要があります。
  2. ACUツールバーの をクリックします。
    Solver job Launcherダイアログが開きます。
  3. オプション: 解析時間を短縮するには、使用可能なプロセッサの数に応じて、使用するプロセッサの数に大きい値(4または8)を設定します。
  4. Output time stepsはAllまたはFinalに設定できます。ここでは過渡解析を扱っているのでAllに設定します。
  5. 他のオプションはデフォルト設定のままとして、Launchをクリックして解析プロセスを開始します。


    図 13.

HyperViewによる結果のポスト処理

解析が収束した後、AcuProbeウィンドウとAcuTailウィンドウを閉じます。HyperMeshウィンドウに移動し、AcuSolve Controlタブを閉じます。

HyperViewの起動とモデルおよび結果の読み込み

  1. HyperMeshのメインメニューでApplications > HyperViewをクリックしてHyperMeshを開きます。
    HyperViewウィンドウを読み込むと、デフォルトでLoad model and resultsパネルが開きます。このパネルが表示されない場合は、File > Open > Modelの順にクリックします。
  2. Load model and resultsパネルで、Load modelの隣にある をクリックします。
  3. Load Model Fileダイアログで、作業ディレクトリに移動して、ポスト処理する解析実行のAcuSolve .logファイルを選択します。この例で選択するファイルは、FillingTank.1.Logです。
  4. Openをクリックします。
  5. パネル領域Applyをクリックしてモデルと結果を読み込みます。
    読み込むと、モデルが形状で色分けされます。

水流アニメーションの作成

この手順では、入口から注入される水流のアニメーションを作成します。

  1. Standard Viewsツールバーの をクリックすることで、xy平面を正面から見た表示にします。
  2. Resultsツールバーで をクリックしてContourパネルを開きます。
  3. Result typeとしてVolume_fraction-2-Water (s)を選択します。
  4. Applyをクリックして、最初の時間ステップにおける体積分率コンターを表示します。
  5. Legendタブをクリックし、つづいてEdit Legendをクリックします。
  6. Edit Legendダイアログで、Number of levelsを2、Numeric formatをFixedにそれぞれ変更し、OKをクリックします。


    図 14.
  7. AnimationツールバーでAnimation Controlsアイコン をクリックします。
  8. Max frame Rateスライダーを50fpsまでドラッグします。
  9. Start/Pause Animationアイコン をクリックして、グラフィックス領域でアニメーションを再生します。

アニメーションの保存

  1. メニュー領域でPreferences > Export Settings > AVIの順に選択します。
  2. Export Settings AVIダイアログで、Frame rateを50fpsに設定してOKをクリックします。
  3. ImageCaptureツールバーでSave Image to Fileオプションがオンであることを確認します。


  4. Capture Graphics Area Videoアイコン をクリックします。
    Save Graphics Area Video Asダイアログが開きます。
  5. ファイルの保存先とする場所に移動し、任意のファイル名を指定してSaveをクリックします。

要約

このチュートリアルでは、HyperMeshAcuSolveを使用して、タンクに注入される水を扱う過渡多相流問題を正しく設定し、解析する方法を知ることができました。また、レベルセット法を使用して多相モデルを作成する方法も理解できました。解析を計算した後、その結果をHyperViewでポスト処理し、タンクに注入される水流のアニメーションを生成しました。