ACU-T:4001 タンクへの注水

このチュートリアルでは、レベルセットモデルを使用した四角形タンクの二相流シミュレーションの設定、解析、および結果表示について説明します。このシミュレーションでは、AcuSolveを使用して、タンクの入口と出口を通る水の存在によって経時変化する水位インターフェースを計算します。このチュートリアルの目的は、二相のシミュレーションを実行するために必要ないくつかのモデリングの概念を紹介することです。

CFDシミュレーションの基本的な手順については、ACU-T:2000 ミキシングエルボ内の乱流をご参照ください。このチュートリアルでは、AcuSolveの以下の追加機能を紹介します。
  • 二相流解析
  • 非定常解析
  • 水の体積分率初期化用のスクリプトの使用
  • AcuFieldViewでのポスト処理

前提条件

入門チュートリアルであるACU-T:2000 ミキシングエルボ内の乱流をすでに完了している必要があります。ここでは、AcuConsoleAcuSolve、およびAcuFieldViewをある程度使い慣れていることを前提としています。ライセンス供与済みバージョンのAcuSolveにアクセスできることも必要です。

このチュートリアルを実行する前に、AcuConsole_tutorial_inputs.zip<<Altair_installation_directory>\hwcfdsolvers\acusolve\win64\model_files\tutorials\AcuSolveから作業ディレクトリにコピーします。 tank2D.x_t をAcuConsole_tutorial_inputs.zipから取り出します。

問題の解析

CFDシミュレーションにおける重要なステップは、目前の工学的問題を調べ、AcuSolveに対して指定する必要のある重要なパラメータを決定することです。パラメータは、形状要素(入口、出口、壁など)に基づいて行うことができるとともに、流れの条件(流体プロパティ、速度など)に基づいて行うことができます。

一般的に、多相流は、主に、複数の流体(気体、液体、または固体)で構成された実環境で見られます。それらは、気液(溶存ガス)、液液(水中の油)、液固(浸漬粒子)、および気液固の組み合わせが可能です。最初の2つは、二相不混合流の例です。二相不混合流は、二相間のインターフェースを追跡することにより解析できます。このチュートリアルでは、レベルセット法を使用して二相流問題を設定する方法を示します。

図1は、時間t = 0における半分満たされた水タンクの概略図を示しています。t = 0以降、1.5m/sの速度で水が入口から注ぎ込まれます。入口から注水する間、非定常解析で水-空気インターフェースを可視化できます。


図 1. 問題の概略図

解析パラメータの定義

AcuConsoleの起動とシミュレーションデータベースの作成

このチュートリアルでは、まずデータベースの作成、形状に依存しない設定の入力、形状の読み込み、ボリュームグループとサーフェスグループの作成、グループパラメータの設定、グループへの形状コンポーネントの追加、およびグループへのメッシュコントロールと境界条件の割り当てを行います。次に、メッシュを生成して、AcuSolveを実行し、指定された時間ステップの数だけ解析します。最後に、AcuFieldViewを使用して結果の一部の特性を可視化します。

次の手順では、AcuConsoleを起動して、シミュレーション設定を保存するためのデータベースを作成します。

  1. Windows のスタートメニューからスタート > Altair <バージョン> > AcuConsoleをクリックして AcuConsoleを起動します。
  2. Fileメニューをクリックし、Newをクリックし、New data baseダイアログを開きます。
  3. 作業ディレクトリとして使用する場所に移動します。
    このディレクトリには、そのシミュレーションに関するすべてのファイルが保存されます。AcuConsoleのデータベースファイル(.acs)はこのディレクトリに保存されます。メッシュと解が作成されたら、追加のファイルとディレクトリがこのディレクトリ内に作成されます。
  4. この場所に新しいディレクトリを作成します。この名前をTank_Fillingとし、これを開きます。
  5. データベースのファイル名としてtankFilling_2Dと入力します。
    注: AcuConsoleによって書き込まれたファイルを他のアプリケーションで読み取り可能にするためには、データベースのパスと名前にスペースが含まれないようにしてください。
  6. 保存をクリックしてデータベースを作成します。

一般的なシミュレーションパラメータの設定

次の手順では、シミュレーション全体に適用されるパラメータを設定します。単純にするため、Data Tree Manager内のBASフィルタを使用して、任意のシミュレーションに適用できる基本的な設定をフィルタできます。このフィルタにより、Data Tree内の使用可能な項目の小さなサブセットのみを表示できるようになり、エントリの移動が容易になります。

  1. Data Tree ManagerBASをクリックして、Data Tree内の基本ビューに切り替えます。


    図 2.
  2. GlobalData Tree項目をダブルクリックして拡張表示します。
    ヒント: 項目名の横にある をクリックしてツリー項目を拡張表示することもできます。


    図 3.
  3. Problem DescriptionをダブルクリックしてProblem Description詳細パネルを開きます。
    ヒント: ツリー項目を右クリックしてコンテキストメニューからOpenをクリックすることでも、パネルを開くことができます。
  4. TitleとしてAcuSolve Multiphase Tutorialと入力します。
  5. Sub titleとしてTank Filling 2Dと入力します。
  6. Analysis typeをTransientに変更します。
  7. Multiphase equationがLevel Setに設定されていることを確認します。


    図 4.

解法パラメータの設定

  1. Auto Solution StrategyをダブルクリックしてAuto Solution Strategy詳細パネルを開きます。
  2. Analysis typeがTransientに設定されていることを確認します。
  3. Max time stepsを0に設定します。
  4. Final timeを3.0 secに設定します。
  5. Initial time incrementを0.01secsに設定します。
    非定常解析を設定するときに、Max time stepsオプションを0に設定すると、このオプションは無視されます。その場合は、Final timeを指定する必要があります。AcuSolve は、これにより、時間ステップごとに指定された初期時間増分だけ増加しながら、この最終時間に到達するまで実行されます。
  6. Convergence toleranceが0.001に設定されていることを確認します。
  7. Max stagger iterationsを4に設定します。
  8. Relaxation factorを0に設定します。
    非定常解析を解くときには、緩和係数をゼロに設定する必要があります。緩和係数がゼロ以外だと解の増分更新が起こり、非定常ケースの解の時間精度に影響を与えます。
  9. FlowおよびMultifluidフラグがOnになっていることを確認します。
  10. Fluid 1をWaterに変更します。
  11. Fluid 2をAirに変更します。


    図 5.

材料モデルパラメータの設定

AcuConsoleには、Air、Aluminum、Waterという、標準のパラメータが定義されている3つの事前定義済み材料が用意されています。次の手順では、空気と水の定義済み材料プロパティがこの問題において目的のプロパティと一致することを確認します。
  1. Data TreeMaterial Modelをダブルクリックして拡張表示します。


    図 6.
  2. Data TreeAirをダブルクリックしてAir詳細パネルを開きます。

    空気の材料タイプはFluidです。AcuConsoleで作成されるすべての新しい材料に対して、Fluidがデフォルトの材料タイプとなります。

  3. Densityタブで、以下を確認します。
    1. TypeがConstantに設定されていること。
    2. Densityの値が1.225kg/m3であること。
  4. Viscosityタブをクリックします。空気の粘性は1.781 x 10-5kg/m – secです。
  5. Data TreeWaterをダブルクリックして詳細パネルを開きます。
    水のMaterial typeはFluidです。
  6. Densityタブで、以下を確認します。
    1. TypeがConstantに設定されていること。
    2. Densityの値が1000 kg/m3であること。
  7. Viscosityタブをクリックします。水の粘性は0.001kg/m-secです。

残りの熱およびその他の材料プロパティは、このシミュレーションでは重要ではありません。ただし、タブにざっと目を通して、材料の仕様全体を確認できます。

  1. データベースを保存して設定のバックアップを作成します。これは、次のいずれかの方法で実行できます。
    • Fileメニューをクリックして、Saveをクリックします。
    • ツールバーの をクリックします。
    • Ctrlキーを押しながらSを押します。
    注: AcuConsoleで加えられた変更は、直ちにデータベースファイル(.acs)に保存されます。保存操作を実行すると、データベースがバックアップファイルにコピーされます。今後の変更内容を利用することを希望しない場合は、このバックアップファイルを使用して、その保存済み状態からデータベースを再読み込みすることができます。

多相パラメータの設定

Problem DescriptionでMultiphaseがアクティブの場合、多相場方程式を選択することにより、AcuConsoleは自動的に多相モデル定義を完成させるために必要なパラメータのセットを生成します。これには、モデル内の場の定義と場間の相互作用モデルの指定が含まれます。

ここでは、シミュレーションの多相パラメータを定義します。

  1. 場の定義:
    1. Data Tree ManagerALLをクリックして、使用可能なすべてのシミュレーション設定を表示します。
    2. Advanced Solution Strategy > Multiphase Parameters Data Treeを拡張表示します。
    3. Multiphase多相の下で、Field 項目を拡張表示します。
    4. Airをダブルクリックします。
    5. Modify advanced settingsをOnに設定し、Material modelがAirに設定されていることを確認します。
    6. Waterをダブルクリックします。
    7. Modify advanced settingsをOnに設定し、Material modelがWaterに設定されていることを確認します。
  2. 場の相互作用モデルの定義:
    1. Multiphaseパラメータの下で、Field Interaction Model項目を拡張表示します。
    2. Air-Waterを右クリックして、Deleteをクリックします。
    3. Water-Airをダブルクリックして詳細パネルを開きます。
    4. Modify advanced settingsをOnに設定します。
    5. Fields 1の横のOpen Refsをクリックします。
    6. Reference EditorのエントリがWaterになっていることを確認します。
    7. Fields 2の横のOpen Refsをクリックします。
    8. Reference EditorのエントリがAirになっていることを確認します。
    9. Surface tension modelをNoneに設定します。
    10. Thickness typeをAutoに設定します。
  3. 多相モデルの定義:
    1. Multiphaseパラメータの下で、Multiphase Model項目を拡張表示します。
    2. Air-Waterを右クリックして、Deleteを選択します。
    3. Water-Airをダブルクリックして詳細パネルを開きます。
    4. Modify advanced settingsをOnに設定します。
    5. Field interaction modelsの横のOpen Refsをクリックします。
    6. Reference EditorのエントリがWater-Airになっていることを確認します。

形状のインポートとモデルの定義

形状のインポート

このチュートリアルの次のパートでは、形状をインポートします。この手順を完了するには、 tank2D.x_t の場所がわかっている必要があります。このファイルには、ParasolidASCII形式で形状に関する情報が含まれています。
  1. File > Importをクリックします。
  2. tank2D.x_tを含むディレクトリを参照します。
  3. ファイル名のフィルタをParasolid File (*.x_t *.xmt *X_T …)に変更します。
  4. tank2D.x_tを選択し、OpenをクリックしてImport Geometryダイアログを開きます。


    図 7.

    このチュートリアルでは、Import Geometryダイアログのデフォルト値を使用して形状を読み込みます。AcuConsoleを使用していた場合は、自身が変更した可能性のある設定を手動で変更して、図に示すデフォルト値と一致させてください。デフォルト設定を使用した場合は、CADモデルのボリュームはデフォルトのボリュームグループに追加されます。CADモデルのサーフェスはデフォルトのサーフェスグループに追加されます。このチュートリアルでは後ほどグループを操作して、新しいグループの作成、流れパラメータの設定、形状コンポーネントの追加、およびメッシングパラメータの設定を行います。

  5. OKをクリックして形状のインポートを完了します。


    図 8.

Body Forceの設定

Body Forceコマンドは、体積力の項を支配型保存方程式に追加します。このチュートリアルでは、重力物体力が流体場に適用されます。重力は、負のY軸(モデルの下方向)に沿った標準重力(g = 9.81 m/s2)に等しいものとして定義されます。

  1. Data TreeBody Forceをダブルクリックして拡張表示します。
  2. GravityをダブルクリックしてGravity詳細パネルを開きます。

    重力の媒体は流体です。これは、ここで定義された重力は、材料タイプが流体の材料モデルにしか適用できないことを意味します。

  3. Open Arrayをクリックします。
  4. Array Editorダイアログで、以下を入力します。
    • X-component:0.0
    • Y-component:-9.81 m/s2
    • Z-component:0.0
  5. OKをクリックして、重力の定義を完了します。
    注: ここでの重力の定義は、モデル内のボリュームセットに割り当てられない限り、シミュレーションには影響しません。

節点出力の定義

節点出力コマンドは、出力頻度や保存されている状態の数などの節点出力パラメータを指定します。

  1. Outputツリーを拡張表示してから、Nodal Outputをダブルクリックして、Nodal Output詳細パネルを開きます。
  2. Time step frequencyを1に設定します。
    これにより、時間ステップごとに節点出力が保存されます。
  3. Output initial conditionをOnに設定します。
    これにより、初期状態を最初の出力ファイルとして書き込むようにソルバーに指示されます。
  4. Number of saved statesが0に設定されていることを確認します。
    このオプションを0に設定すると、すべての結果ファイルを保存するようにソルバーに指示されます。


    図 9.

初期状態の設定

  1. Data TreeNodal Initial Conditionをダブルクリックして詳細パネルを開きます。
  2. Multiphase fieldをWaterに設定します。
  3. Water initial condition typeをScriptに設定します。
  4. Water volume fraction scriptの横にあるOpen textをクリックして、テキストエディタを開きます。
  5. テキストエディタで次のスクリプトを入力します。
    value = 0.0
    if y <= 0.0 : value = 1.0

    上記のスクリプトは、領域内の水の初期体積分率を設定します。y <= 0.0(領域の下半分)の節点に対しては、水の体積分率が1に設定されます。他のすべての節点(領域の上半分)に対しては、水の体積分率が0に設定されます。これらの節点では、空気の体積分率が1になります。これは、場の体積分率の合計が常に1になる必要があるためです。

  6. OKをクリックして、テキストエディタを閉じます。

ボリュームパラメータの適用

ボリュームグループは、ボリューム領域に関する情報を保存するためのコンテナです。この情報には、ボリュームに適用される解析およびメッシングパラメータや、それらの設定が適用される形状領域が含まれます。

形状がAcuConsoleにインポートされたときに、すべてのボリュームは“デフォルトの”ボリュームコンテナに配置されました。

このチュートリアルのモデルには1つのボリュームしか含まれていないため、それが、形状のインポート時のデフォルトボリュームグループ内の唯一のボリュームになります。モデル内に1つのボリュームしか存在しない場合でも、今後の識別が容易になるようボリューム名を変更することをお勧めします。次の手順では、デフォルトボリュームグループコンテナの名前を変更し、その材料とその他のプロパティを設定します。

  1. ModelData Tree項目を拡張表示します。
  2. Surfacesを右クリックしてDisplay offをクリックし、サーフェスの表示をオフにします。
  3. Volumesを拡張表示します。ボリューム名の横にある をクリックして、デフォルトボリュームコンテナの表示のオン / オフを切り替えます。
    注: Surfacesが表示されている場合は、サーフェスとボリュームが重なっている可能性があるため、表示を切り替えても何も変わらないことがあります。
  4. デフォルトボリュームグループの名前を変更します。
    1. defaultを右クリックします。
    2. Renameをクリックします。
    3. 新しい名前としてFluidと入力し、Enterを押します
      注: Data Tree内の項目の名前を変更した場合、Enterキーを押すまでは変更内容は保存されません。Enterキーを押さずに入力フォーカスをその項目から移動すると、変更内容は失われます。
  5. Fluidボリューム要素セットを設定します。
    1. Data TreeでFluidを拡張表示します。
    2. Fluidの下でElement Setをダブルクリックし、詳細パネルでこれを開きます。
    3. MediumにMultiphaseを選択します。
    4. Multiphase modelに対して、Water-Airを選択します。
    5. Body forceに対して、Gravityを選択します。


    図 10.

サーフェスグループの作成とサーフェス属性の適用

サーフェスグループは、サーフェスに関する情報を保存するためのコンテナです。この情報には、解析およびメッシングパラメータや、パラメータが適用される形状内の対応するサーフェスが含まれます。

次の手順では、サーフェスグループを定義して、問題のさまざまな特性に適切な設定を割り当て、これらのグループコンテナにサーフェスを追加します。

シミュレーションの設定プロセスでは、(特に、サーフェスが非常に多いモデルの場合)複雑になりがちな境界条件やメッシュパラメータなどを設定するため、別のパネルに移動する必要があります。これを簡単にして、エラーを減らし、時間を節約するために、AcuConsoleでは2つの新しいダイアログが追加されています。これらのダイアログを使用すれば、すべてのサーフェスまたはボリュームエンティティに関する情報を一度に確認したり、指定することができます。これらのダイアログはVolume ManagerとSurface Managerです。ここでは、Surface Managerのいくつかの機能を利用します。

  1. Data TreeVolumesを右クリックしてDisplay offを選択し、ボリュームの表示をオフにします。
  2. Surfacesを右クリックして、Surface Managerを選択します。
  3. Surface Managerダイアログで、Newを4回クリックし、4つの新しいサーフェスグループを作成します。
    注: Simple BC Active列とSimple BC Type列が表示されていない場合は、Columnsをクリックして、リストからこの2つの列を選択し、Okをクリックします。
  4. デフォルトサーフェス以外のすべてのサーフェスの表示をオフにします。
  5. Surface 1のSurface Names(列1)の名前をSurface 5に変更して、下の表のように、Simple BC Active列とSimple BC Type列を設定します。


    図 11.
  6. サーフェスをz_posおよびz_negサーフェスグループに割り当てます。
    1. z-pos行で、Add toをクリックします。
    2. 下の図に示すように、z座標が最大の平面を選択し、Doneをクリックします。
    3. 同様に、z座標が最小のサーフェスをz_negサーフェスグループに割り当てます。


      図 12.
  7. x座標が最大のサーフェスをinletサーフェスグループに割り当てます。
  8. x座標が最小のサーフェスをoutletサーフェスグループに割り当てます。
    次の図を参考にして必要なサーフェスを選択します。


    図 13.

    形状がAcuConsoleに読み込まれたときに、すべての形状サーフェスはデフォルトサーフェスグループコンテナに配置されました。このデフォルトサーフェスグループの名前はsidesに変更されました。前の手順では、いくつかのサーフェスを自分で作成した他のさまざまなサーフェスグループに割り当てました。この時点で、sidesサーフェスグループに残っているのは、容器の側面を構成するサーフェスのみです。

  9. Surface Managerダイアログを閉じます。

Inlet

前述したように、この問題における入口とは入口速度を1.5m/sに設定した注水口のことです。

  1. Data TreeのSurfacesの下で、inletサーフェスを拡張表示します。
  2. Simple Boundary Conditionをダブルクリックして詳細パネルを開きます。
  3. TypeがInflowに設定されていることを確認します。
  4. Inflow TypeがVelocityに設定されていることを確認します。
  5. Inflow velocity typeのドロップダウンセレクターメニューでNormalを設定します。
  6. Normal velocityを1.5m/sに設定します。
  7. Incoming fluid欄のドロップダウンセレクターメニューでWaterを設定します。


    図 14.

Outlet

  1. Data TreeのSurfacesの下で、outletサーフェスを拡張表示します。
  2. Simple Boundary Conditionをダブルクリックして詳細パネルを開きます。
  3. TypeがOutflowに設定されていることを確認します。
  4. Hydrostatic pressure flagをOnに切り替えます。
  5. Hydrostatic pressure originの横のOpen Arrayをクリックして、原点の位置が(0, 0, 0)になっていることを確認します。


    図 15.

Wall

  1. Data TreeのSurfacesの下で、wallサーフェスを拡張表示します。
  2. Simple Boundary Conditionをダブルクリックして詳細パネルを開きます。
  3. TypeがWallに設定されていることを確認します。


    図 16.

z_posとz_neg

  1. Data TreeのSurfacesの下で、z_posサーフェスを拡張表示します。
  2. Simple Boundary Conditionをダブルクリックして詳細パネルを開きます。
  3. TypeがSlipに設定されていることを確認します。
  4. 同様に、z_negのSimple Boundary Condition typeもSlipに設定されていることを確認します。

メッシュコントロールの割り当て

グローバルメッシング属性の設定

問題全体に対して流体特性を設定したので、十分に細分化されたメッシュを生成する必要があります。

グローバルメッシュ属性は、特定の形状ボリューム、サーフェス、エッジ、およびポイントに参照されるのではなく、モデル全体に適用されるメッシングパラメータです。モデルの特定の形状コンポーネントのメッシュ生成コントロールを作成するには、ローカルメッシュ属性を使用します。

次の手順では、グローバルメッシュ属性を設定します。

  1. データツリーマネージャーMSHをクリックして、Data Tree内の設定をフィルタ処理して、メッシングに関するコントロールのみを表示します。
  2. GlobalData Tree項目をダブルクリックして拡張表示します。
  3. Global Mesh AttributesをダブルクリックしてGlobal Mesh Attributes詳細パネルを開きます。
  4. Mesh size typeをAbsoluteに変更します。
  5. Absolute mesh sizeを0.12に設定します。


    図 17.

サーフェスメッシュパラメータの設定

サーフェスメッシュ属性は、モデル内の特定のサーフェスに適用されます。これは、1つまたは複数の特定のサーフェスのためのメッシュコントロールの作成に使用される、ローカルメッシングパラメータの一種です。

サーフェスメッシュ属性などのローカルメッシュ属性は必ずしも設定する必要ありません。あるコンポーネント用のローカルメッシュ属性が見つからなかった場合は、グローバル属性がそのコンポーネントのメッシュ生成コントロールとして使用されます。ローカルメッシュ属性が存在する場合は、グローバル設定より優先されます。

次の手順では、サーフェスメッシング属性を設定します。

  1. ModelData Tree項目を拡張表示します。
  2. Modelの下で、Surfaces > wallを拡張表示します。
  3. Surface Mesh Attributesをクリックして詳細パネルを開きます。
    詳細パネルにより多くのオプションが表示されます。
  4. Mesh size typeがAbsoluteに設定されていることを確認します。
  5. Absolute mesh sizeに0.0075mと入力します。
  6. Curvature refinement parametersフラグをOnに切り替えます。
    曲率の細分化に関するメッシュコントロールが表示されます。これらの設定は、サーフェスグループ内の湾曲した形状フィーチャーの解像に適用されます。
  7. Curvature angleを5.0度に設定します。
    この設定により、サーフェスから突き出た2つのメッシュエッジ間の角度の最大値を制御します。
  8. Curvature mesh size factorを0.2に設定します。
    この設定を使用して、曲面フィーチャーの解像に使用するメッシュエッジの長さの最小値を決定します。この最小値を計算するには、Absolute mesh sizeまたはRelative mesh sizeとCurvature mesh size factorを乗算します。


ゾーンメッシングパラメータの設定

前項では、サーフェスメッシュ属性は特定のサーフェスに適用されるローカルメッシュ属性であることを説明しました。同様に、モデル内の特定のエッジにローカルに適用されるエッジメッシュ属性も提供されています。ただし、モデル内のCADエンティティとは別に、ある領域にローカルなメッシュ属性を指定する必要が生じる場合があります。これは、Zone Mesh Attributesを使用することで実現できます。ボックス、円筒、または球などの形状でゾーンを指定し、そのゾーン内で使用するローカルメッシュコントロール属性を指定することができます。このゾーンがCADモデルと重なる部分では常に、グローバルメッシュ属性の代わりにそのゾーンのメッシュ属性が使用されます。

次の手順では、メッシュの細分化ゾーンを定義し、モデル内で使用するそのゾーンのメッシュ属性を設定します。ボックス形状の細分化ゾーンは、水-空気インターフェースが想定される領域で使用されます。

  1. Data TreeGlobal分岐の下にあるZone Mesh Attributesを右クリックして、Newをクリックします。
  2. Zone Mesh Attributes 1の名前をFree surface regionに変更します。
  3. Free surface regionをダブルクリックして詳細パネルを開きます。
  4. Mesh zone typeをBoxに変更します。
  5. Open Arrayをクリックします。
  6. Array Editorで次のように値を入力して、OKをクリックします。


    図 18.
  7. 詳細パネルで、次のようにBox lengthを設定します。
    1. Box length X:1.0m
    2. Box length Y:0.75m
    3. Box length Z:0.01m
  8. Mesh sizeを0.015mに設定します。


    図 19.


    図 20.

メッシュ押し出しの定義

このシミュレーションは、モデルの2D断面の表現と等価です。AcuSolveでは、断面のフェイス全体で1つの要素のみで2Dモデルがシミュレートされます。つまり、これらのフェイスを同様の境界条件を使用して設定すると、フェイス全体の対応する節点で同じ結果が得られます。この問題では、これらのフェイスは負および正のzサーフェスです。この種のメッシュは、AcuSolveのメッシュ押し出しプロセスで実現されます。次の手順では、これらのサーフェス間のメッシュの押し出しプロセスを定義します。

  1. Mesh Extrusionsを右クリックし、Newを選択します。
  2. Mesh Extrusion 1を右クリックしてRenameを選択し、Z extrusionと入力します。
  3. Z extrusionをダブルクリックして、設定ダイアログを開きます。
  4. Geometry typeがsurfaceに設定されていることを確認します。
  5. Side 1に対して、ドロップダウンからz_negを選択します。
  6. Side 2に対して、ドロップダウンからz_posを選択します。
  7. Extrusion typeがNumber of layersに設定されていることを確認します。
  8. Number of layersを1に設定します。
  9. Extrusion optionsで、All tetsを選択します。
  10. OKをクリックして、これらの設定を受け入れます。


    図 21.

メッシュの生成

次の手順では、問題の解を計算する際に使用されるメッシュを生成します。

  1. ツールバーの をクリックしてLaunch AcuMeshSimダイアログを開きます。
  2. デフォルト設定のままで、OKを選択します。

    AcuConsoleから直接AcuFieldViewを起動すると、Boundary Surfaceダイアログが開き、 等角図法でモデルが表示されます。最初のビューは遠近法で表示され、モデルの周りにアウトラインが示されます。次の手順ではそのビューを操作し、後の手順ではBoundary Surfaceダイアログを使用してさまざまな流動特性を表示します。



    図 22.
    注: 節点と要素の実際の数およびメモリ使用量は、マシンによって少し異なる場合があります。
  3. モデリングウィンドウにメッシュを表示します。サーフェスの表示をオンにして、display typeをsolid and wireに設定します。
  4. モデル内で回転やズームを行うことにより、さまざまなメッシュ領域を解析することができます。

解の計算と結果の確認

AcuSolveの実行

次の手順では、AcuSolveを起動してこのケースの解を計算します。

  1. ツールバーでをクリックしてLaunch AcuSolveダイアログを開きます。

    このケースでは、デフォルトの設定を使用します。AcuSolveは4つのプロセッサを使用して(可能な場合は、さらに多くのプロセッサを指定できる)実行され、AcuConsoleAcuSolve入力ファイルを生成して、AcuSolveを起動します。AcuSolveは、この問題の定常状態解を計算します。

  2. Okを選択して解析プロセスを開始します。

    計算中、AcuTailウィンドウが開きます。解析の進行状況はこのウィンドウで報告されます。解析プロセスのサマリーで、実行が完了したことが示されます。

    このサマリーで提供される情報は、AcuSolveで使用されるプロセッサの数に基づいています。このチュートリアル内で示されている数と異なる数のプロセッサを使用した場合は、示されているサマリーと実行時のサマリーが少し異なる場合があります。

  3. AcuTailウィンドウを閉じ、データベースを保存して設定のバックアップを作成します。

AcuFieldViewでのポスト処理

本チュートリアルは、AcuFieldViewのインターフェースと基本的な操作に慣れていることが前提となっています。本チュートリアルは、一般に次の基本事項の理解に役立ちます:
  • Fileメニューでデータリーダーを検索し、データ入力のための目的のリーダーパネルを開く方法。
  • AcuFieldViewにおいてサイドツールバーまたはVisualizationパネルメニューから表示パネルを検索し、でサーフェスを作成および変更する方法。
  • マウスアクションを使用してグラフィックスウィンドウでデータを動かし、データの移動、回転、およびズームを行う方法。
このチュートリアルでは、非定常解析データの操作方法を示します。
  1. AcuConsoleツールバーで をクリックしてLaunch AcuFieldViewダイアログを開きます。
    圧力コンターがメッシュを含むすべての境界サーフェス上に表示されていることが確認できます。
  2. OkをクリックしてAcuConsoleを起動します。
    圧力コンターがメッシュを含むすべての境界サーフェス上に表示されていることが確認できます。


    図 23.

AcuFieldViewの設定

  1. Boundary Surfaceダイアログを閉じます。
  2. Viewer Optionsをクリックします。


    図 24.
  3. Viewer Optionsダイアログで:
    1. Perspectiveを選択解除して、遠近法表示をオフにします。
    2. Axis Markersをクリックして、 軸マーカーを無効にします。
    3. Closeをクリックします。
  4. ツールバーで、Colormapアイコン をクリックします。
  5. Scalar Colormap SpecificationダイアログでBackgroundをクリックし、Whiteを選択します。
  6. Scalar Colormap Specificationダイアログを閉じます。
  7. ツールバーでToggle Outlineアイコン をクリックし、輪郭表示をオフにします。
    表示は図1のようになるはずです。


    図 25.

中央座標サーフェス上の水-空気インターフェースを示すサーフェスの調整

  1. Boundary SurfaceダイアログのSurfaceタブで、アクティブな境界サーフェスのVisibilityをオフにします。
  2. Createをクリックして、新しい境界サーフェスセットを作成します。
  3. 新しいセットに対して:
    1. 表示をオンにします。
    2. Display TypeをOutlinesに設定します。
    3. Boundary Typesに対して、Allを選択します。
  4. OKをクリックします。
  5. をクリックしてCoordinate Surfaceダイアログを開きます。
  6. Createをクリックして、新しい座標サーフェスを作成します。
  7. Coordinate PlaneとしてZを選択します。
    これにより、中央-Z座標平面に座標サーフェスが作成されます。作成される座標サーフェスは、モデル内の2つの側面間の中央平面です。
  8. ColoringをScalarに変更します。
  9. Display TypeをSmoothに変更します。
  10. Scalar Functionに対して、volume_fraction-Waterを選択します。
  11. Colormapタブで、最大しきい値と最小しきい値をそれぞれ0.5010.499に設定します。
  12. Defined Viewsリストで、表示方向として+Zを選択します。
    ビューが図 26のようになるはずです。


    図 26.

水流のアニメーションの表示

  1. Coordinate Surfaceダイアログを閉じます。
  2. Toolsメニューで、Flipbook Build Modeを選択します。
  3. Flipbook Size WarningウィンドウでOKをクリックしてこれを閉じます。
  4. Tools > Transient Dataをクリックします。
    Transient Data Controlsダイアログが開きます。

このダイアログのSweep ControlにBuildではなくSweepが表示された場合は、Flipbook Buildモードがアクティブになっていません。Sweepモードでは、アニメーションを作成して表示できますが、それを保存できません。アニメーションを保存するには、Flipbook Buildモードを有効にします。

  1. 時間ステップスライダーを左端の位置までドラッグします。または、Time StepボックスかSolution Timeボックスに0と入力します。
  2. Applyをクリックします。
    現在表示されている状態は、領域の初期状態に対応します。


    図 27.
  3. Buildをクリックします。
    AcuFieldViewが、可能なすべての時間ステップを経過する解析のフレーム単位アニメーションを構築します。Building Flipbookダイアログで進捗を確認することができます。

    構築プロセスが完了すると、Flipbook Controlsダイアログが表示されます。

  4. Flipbook Controlsダイアログで、Frame Rateをクリックします。
  5. Minimum timeに対して、0.1秒と入力し、Closeをクリックします。
  6. Play をクリックしてアニメーションを再生します。
  7. アニメーションを保存するには、Pause をクリックしてから、Saveをクリックします。
  8. Flipbook File Saveダイアログでファイル名を指定して、Saveをクリックします。

要約

このAcuSolveチュートリアル、では、多相流問題を正しく設定し、解析しました。この問題では、入口から水が注ぎこまれる四角形の水タンクをシミュレートしました。このタンクには開いた出口もあります。入口から注水する間のタンク内の水-空気インターフェースを可視化できます。チュートリアルは、AcuConsoleでデータベースを作成し、形状をインポートしてメッシュ処理し、シミュレーションパラメータを設定することから始めました。空気と水が1つのボリュームを占有する別々の場としてモデル化されます。ケースが設定されると、AcuSolveを使用して解が生成されました。結果がAcuFieldViewでポスト処理され、そこで水流のアニメーションが生成されました。このチュートリアルで紹介した新機能は、2つの流体を使用したAcuSolveでの多相流シミュレーションの設定です。