ACU-T:3100 ミキシングエルボにおける共役熱伝達

前提条件

このチュートリアルを実行する前に、HyperWorksの入門チュートリアルであるACU-T:1000 HyperWorksユーザーインターフェースをすでに完了しHyperWorks CFDAcuSolve、およびHyperViewの基本を理解しているものとします。必ずしも必須ではありませんが、このシミュレーションを実行する前にACU-T:2000 ミキシングエルボ内の乱流を完了しておくことをおすすめします。この解析を実行するには、ライセンス供与済みバージョンのHyperWorks CFDAcuSolveにアクセスできる必要があります。

このチュートリアルを実行する前に、HyperWorksCFD_tutorial_inputs.zip<Altair_installation_directory>\hwcfdsolvers\acusolve\win64\model_files\tutorials\AcuSolveから作業ディレクトリにコピーします。 ACU-T3100_MixingElbowHeatTransfer.hm をHyperWorksCFD_tutorial_inputs.zipから取り出します。

問題の説明

このチュートリアルで扱う問題は、図 1に図示しています。これは、ステンレス鋼製のミキシングエルボで構成されており、2つの入口から水がそれぞれ異なる速度と温度で流入します。形状は管のXY中央平面に関して対称です(図を参照)。



図 1. ステンレス鋼壁のミキシングエルボの概略図

HyperWorks CFDの起動とHyperMeshデータベースのオープン

  1. Windows のスタートメニューからスタート > Altair <バージョン> > HyperWorks CFDをクリックして HyperWorks CFDを起動します。
  2. HomeツールのFilesツールグループからOpen Modelツールをクリックします。


    図 2.
    Open Fileダイアログが開きます。
  3. モデルファイルの保存先ディレクトリを参照します。HyperMeshファイルのACU-T3100_MixingElbowHeatTransfer.hmを選択してOpenをクリックします。
  4. File > Save Asをクリックします。
  5. 名前をMixingElbow_HeatTransferとして新しいディレクトリを作成し、このディレクトリへ移動します。
    このディレクトリが作業ディレクトリになり、シミュレーションに関連するすべてのファイルがこの場所に保存されます。
  6. データベースのファイル名としてMixingElbow_HeatTransferと入力するか、別の名前を入力します。
  7. 保存をクリックしてデータベースを作成します。

形状の検証

Validateツールは、モデル全体をスキャンし、サーフェスおよびソリッド上でチェックを実行して、形状に不具合(フリーエッジ、閉じたシェル、交差、重複、スライバーなど)があればフラグ付けします。

シミュレーションの物理パートに集中するために、このチュートリアルの入力ファイルにはすでに検証済みの形状が含まれています。GeometryリボンのValidateアイコンの左上隅に青色のチェックマークが表示されていることを確認します。これは、形状が有効で、フロー設定に進めることを示しています。


図 3.

問題の設定

シミュレーションパラメータとソルバー設定のセットアップ

  1. FlowリボンからPhysicsツールをクリックします。


    図 4.
    Setupダイアログが開きます。
  2. Physics modelsの設定で
    1. Time marchingが Steadyに設定されていることを確認してください。
    2. Turbulence modelとしてSpalart-Allmarasを選択します。
      Spalart Allmaras乱流モデルはそのロバスト性と精度から、定常状態の流れのシミュレーションに非常に適しています。
    3. Heat transfer チェックボックスを有効にします。


    図 5.
  3. Solver controls設定をクリックし、下の図のようにパラメータが設定されていることを確認します。


    図 6.
  4. ダイアログを閉じてモデルを保存します。

新しい材料モデルの作成

  1. FlowリボンからMaterial Libraryツールをクリックします。


    図 7.
    Material Libraryが開きます。
  2. Settingsの下で、Solidをクリックします。
  3. My Materialsタブをクリックし、をクリックして新しいソリッドを作成します。
    材料の作成ダイアログが開きます。
  4. 材料の名前を変更します。
    1. ダイアログの左上のSolidをクリックし、名前を編集します。
    2. Steelと入力し、Enterキーを押します。
  5. Densityの値を8030に変更します。


    図 8.
  6. Specific Heatタブをクリックします。
  7. Specific heatの値を500に変更します。


    図 9.
  8. Conductivityタブをクリックします。
  9. Conductivityの値を16.2に変更します。


    図 10.
  10. 材料の作成ダイアログを終了します。


    図 11.
  11. Material Libraryを終了します。

材料プロパティの割り当て

  1. FlowリボンからMaterialsツールをクリックします。


    図 12.
  2. 外側のパイプソリッドを選択します。


    図 13.
  3. マイクロダイアログ、Materialの横にあるドロップダウンメニューをクリックして、Steelを選択します。
  4. ガイドバーをクリックすると、コマンドが実行されますが、ツールは終了しません。
  5. 次に、内側のパイプソリッドを選択します。


    図 14.
  6. マイクロダイアログ、Materialの横にあるドロップダウンメニューをクリックして、Waterを選択します。
  7. ガイドバーをクリックすると、コマンドが実行されてツールが終了します。

流れ境界条件と熱境界条件の割り当て

大きい入口の境界条件の設定

ミキシングエルボの大きい入口が、平均速度に基づいてプロファイルされた入口として定義されます。
  1. FlowリボンのProfiledツールグループからProfiled Inletツールをクリックします。


    図 15.
  2. 大きな入口のフェイスをクリックします。


    図 16.
  3. マイクロダイアログ、Average velocityに0.4の値を入力します。
  4. をクリックして温度のタブを開きます。
  5. Temperatureに295の値を入力します。
  6. 入口の名前を変更します。
    1. モデリングウィンドウの左側の凡例で、Inletをダブルクリックします。
    2. Large_Inletと入力し、Enterキーを押します。
  7. ガイドバーをクリックすると、コマンドが実行されますが、ツールは終了しません。
    注: 作成された入口の数が、Profiledツールアイコンの右上の括弧内に表示されます。

小さい入口の境界条件の設定

ミキシングエルボの小さい入口も、平均速度を使用して定義されます。Profiledツールのガイドバーは、前回の手順から開いたままのはずです。
  1. 小さな入口のフェイスをクリックします。


    図 17.
  2. マイクロダイアログ、Average velocityに1.2の値を入力します。
  3. をクリックして温度のタブを開きます。
  4. Temperatureに320の値を入力します。
  5. 入口の名前を変更します。
    1. モデリングウィンドウの左側の凡例で、Inletをダブルクリックします。
    2. Small_Inletと入力し、Enterキーを押します。
  6. ガイドバーをクリックすると、コマンドが実行されてツールが終了します。

出口の境界条件の設定

  1. FlowリボンからOutletツールをクリックします。


    図 18.
  2. 吹き出し口フェイスをクリックします。


    図 19.
  3. マイクロダイアログ、Static pressureとPressure loss factorの値が0であることを確認します。


    図 20.
  4. ガイドバーをクリックすると、コマンドが実行されてツールが終了します。

対称面の境界条件の設定

この形状はXY中央平面に関して対称であるため、形状の半分を使用してモデル化できます。これを利用するには、中央平面を対称面として設定する必要があります。対称境界条件によって、平面の片面からの流れ場は反対側からの流れ場のミラーイメージとなるなどの制約条件が適用されます。

  1. FlowリボンからSymmetryツールをクリックします。


    図 21.
  2. 対称面のフェイスをクリックします。


    図 22.
  3. マイクロダイアログ、デフォルトの対象条件のまま確定します。


    図 23.
  4. ガイドバーをクリックすると、コマンドが実行されますが、ツールは終了しません。
  5. 次に、管壁対称のフェイスを選択します。


    図 24.
  6. マイクロダイアログ、デフォルトの対象条件のまま確定します。
  7. 境界の名前を変更します。
    1. モデリングウィンドウの左側の凡例で、Symmetry 1をダブルクリックします。
    2. Pipe_Symmetryと入力し、Enterキーを押します。
  8. ガイドバーをクリックすると、コマンドが実行されてツールが終了します。

外側管壁の境界条件の設定

  1. FlowリボンからNo Slipツールをクリックします。


    図 25.
  2. 外側管壁のフェイスをクリックします。


    図 26.
  3. マイクロダイアログ をクリックして温度のタブを開きます。
  4. Convective heat coefficientの値を100に変更します。
  5. Convective heat resistance temperatureの値を302.594に変更します。


    図 27.
  6. 境界の名前を変更します。
    1. モデリングウィンドウの左側の凡例で、Wallをダブルクリックします。
    2. Pipe_OuterWallsと入力し、Enterキーを押します。
  7. ガイドバーをクリックすると、コマンドが実行されてツールが終了します。
  8. データベースを保存します。

メッシュの生成

このチュートリアルのメッシングパラメータはすでに入力ファイルに設定されています。
  1. MeshリボンからBatchツールをクリックします。


    図 28.
    Meshing Operations ダイアログが開きます。
    注: モデルが検証されていない場合、バッチメッシュを実行する前にシミュレーションモデルを作成するように求められます。
  2. Average element sizeが0.03606に設定されていることを確認します。
  3. その他すべてのデフォルト設定を受け入れます。


    図 29.
  4. Meshをクリックします。
    Run Statusダイアログが開きます。解析が終了すると、ステータスが更新され、ダイアログを閉じることができます。
    ヒント: メッシュジョブを右クリックし、View log fileを選択してメッシングプロセスの概要を表示します。
  5. パイプ壁周りの細分割されたメッシュを確認します。


    図 30.

AcuSolveの実行

  1. SolutionリボンからRunツールをクリックします。


    図 31.
    Launch AcuSolveダイアログが開きます。
  2. Parallel processingオプションをIntel MPIに設定します。
  3. オプション: プロセッサーの数を、利用環境に合わせ、4または8に設定します。
  4. Automatically define pressure referenceオプションを無効にします。
  5. 他のオプションはデフォルト設定のままとして、Runをクリックして解析プロセスを開始します。


    図 32.
    Run Statusダイアログが開きます。解析が終了すると、ステータスが更新され、ダイアログを閉じることができます。
    ヒント: AcuSolve の実行中に、Run StatusダイアログでAcuSolveジョブを右クリックし、View Log Fileを選択して、解析のプロセスをモニターします。

HyperViewによる結果のポスト処理

チュートリアルのこの部分では、解析が収束した後、HyperViewで定常状態解析データを扱う方法を紹介します。

HyperViewのオープンとモデルおよび結果の読み込み

  1. WindowsのスタートメニューからStart > All Programs > Altair <version> > HyperViewをクリックして、HyperViewを起動します。
    HyperViewウィンドウを読み込むと、デフォルトでLoad model and resultsパネルが開きます。このパネルが表示されない場合は、File > Open > Modelの順にクリックします。
  2. Load model and resultsパネルで、Load modelの隣にある をクリックします。
  3. Load Model Fileダイアログで、作業ディレクトリに移動して、ポスト処理する解析実行のAcuSolve .logファイルを選択します。この例で選択するファイルは、MixingElbow_HeatTransfer.1.Logです。
  4. Openをクリックします。
  5. パネル領域Applyをクリックしてモデルと結果を読み込みます。
    読み込むと、モデルが形状で色分けされます。

温度分布のコンターの作成

この手順では、対称平面上と出口サーフェス上の温度コンターを表示します。
  1. ResultsブラウザComponentsのリストを拡張表示します。
  2. Isolate Shownアイコン をクリックしてから、Ctrlキーを押したままでSymmetry - OutputコンポーネントとPipe_Symmetry - Outputコンポーネントを選択します。これにより、グラフィックスウィンドウでSymmetryとPipe_Symmetryを除くすべてのコンポーネントが非表示になります。


    図 33.
  3. Standard Viewsツールバーの をクリックすることで、xy平面を正面から見た表示にします。
  4. Resultsツールバーで をクリックしてContourパネルを開きます。
  5. Result typeでTemperature(s)を選択します。
  6. Components エンティティセレクターをクリックします。Extended Entity Selection ダイアログでDisplayedを選択します。
  7. Applyをクリックします。
  8. パネル領域のDisplayタブで、Discrete colorオプションをオフにします。


    図 34.
  9. Legendタブをクリックし、つづいてEdit Legendをクリックします。表示されたダイアログで、Numeric formatをFixedに変更してOKをクリックします。


    図 35.

    次に、出口サーフェス上の温度コンターを表示します。

  10. Outlet - Outputを除くすべてのコンポーネントの表示をオフにします。
  11. Standard Viewsツールバーの をクリックします。
  12. パネル領域でComponentsエンティティセレクターをクリックしてDisplayedを選択します。
  13. パネル領域でApplyをクリックします。
    出口サーフェス上のコンタープロットが表示されます。


    図 36.

要約

このチュートリアルでは、HyperWorks CFDを使用して共役熱伝達のシミュレーションを設定する方法と、新しい材料モデルを作成する方法を体験しました。HyperWorks CFDからAcuSolveを直接起動して解析を計算し、HyperViewを使用して解析結果をポスト処理しました。