ACU-T:3100 ミキシングエルボにおける共役熱伝達

このチュートリアルでは、ミキシングエルボにおける共役熱伝達を伴う3次元乱流のシミュレーションの設定、解析、および結果表示について説明します。ここでは、単純な問題を使用してAcuSolveツールセットを紹介することを目的としています。

CFDシミュレーションの基本的な手順については、ACU-T:2000 ミキシングエルボ内の乱流をご参照ください。このチュートリアルでは、AcuSolveの以下の追加機能を紹介します。
  • 流体内の熱伝達のシミュレーション
  • 流体と固体との間の熱伝達(共役熱伝達)のシミュレーション
  • 新しい材料モデルの作成
  • ソリッドボリュームと流体ボリュームとの間で共有されるサーフェスのモデリング
  • あるサーフェスグループから別のサーフェスグループへの設定の伝播(コピー)

前提条件

入門チュートリアルであるACU-T:2000 ミキシングエルボ内の乱流をすでに完了している必要があります。ここでは、AcuConsoleAcuSolve、およびAcuFieldViewをある程度使い慣れていることを前提としています。ライセンス供与済みバージョンのAcuSolveにアクセスできることも必要です。

このチュートリアルを実行する前に、AcuConsole_tutorial_inputs.zip<<Altair_installation_directory>\hwcfdsolvers\acusolve\win64\model_files\tutorials\AcuSolveから作業ディレクトリにコピーします。 mixingElbowHeat.x_t をAcuConsole_tutorial_inputs.zipから取り出します。

問題の解析

CFDシミュレーションにおける重要な最初のステップは、解析対象となる工学的な問題を調べ、AcuSolveに対して指定する必要のある設定を決定することです。設定は、形状コンポーネント(ボリューム、入口、出口、壁など)に基づいて行うことができるとともに、流れの条件(流体の物性、速度、流れを乱流または層流のどちらでモデル化するのかなど)に基づいて行うことができます。

このチュートリアルで扱う問題は、図 1に図示しています。これは、ステンレス鋼製のミキシングエルボで構成されており、水が2つの入口から異なる速度と温度で流入します。形状は管のXY中央平面に関して対称です(図を参照)。この対称性により、対称面を使用して流れをモデル化することが可能になります。対称面を使用すると、正確な解を維持しつつ、計算時間が短縮できます。



図 1. ステンレス鋼壁のミキシングエルボの概略図

この問題の特性の詳細が、AcuSolveのケースの設定前に作成されたサンプルワークシートから抽出された以下のイメージに示されています。

大きい入口の直径は0.1m、入口速度(v)は0.4m/s、流入する流体の温度(T)は295Kです。小さい入口の直径は0.025m、入口速度は1.2m/s、流入する流体の温度は320Kです。管壁の板厚は0.005mです。



図 2.

この問題で扱う流体は水であり、この水の特性は、密度(ρ)が1000kg/m3、分子粘性(μ)が1.0 x 10-3kg/m-sec、伝導率(k)が0.598W/m-K、比熱(cp)が4183J/kg-Kであり(ワークシートを参照)、これらの特性は温度によって変化しません。



図 3.

管壁は、密度が8030kg/m3、伝導率が16.2W/m-K、および比熱が500J/kg-Kのステンレス鋼で作られています。



図 4.

質量保存に基づいて、複合流速(Q)によって、小さい入口の下流に0.475m/sという速度が生じます。この値はレイノルズ数を決定するのに役立ち、さらにこのレイノルズ数を使用して、流れを乱流または層流のどちらとしてモデル化すればよいかを決定できます。



図 5.
モデル化された流れが乱流または層流のどちらになるのかを特定するには、レイノルズ数(Re)を計算する必要があります。レイノルズ数は次の式によって求められます。 (1) Re= ρVD μ MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaGaciOuaiaacw gacqGH9aqpdaWcaaqaaiabeg8aYjaadAfacaWGebaabaGaeqiVd0ga aaaa@3DE7@ ここで、ρは流体密度、vは流体速度、Dは流れ領域の直径、μは流体の分子粘性です。レイノルズ数が4,000より大きい場合は、一般に流れを乱流としてモデル化することができます。

大きい入口のレイノルズ数が40,000、小さい入口のレイノルズ数が30,000、複合流のレイノルズ数が47,500であることは、流れ領域全体にわたって流れが乱流であることを示します。



図 6.

このシミュレーションは、温度が変化する定常状態の乱流をモデル化するように設定されます。また、流れの熱特性は、移流方程式と拡散方程式を使用してモデル化されます。



図 7.

シミュレーションの物理特性を捕捉するための適切な条件を設定することに加えて、優れた結果が得られるように十分に細分化されたメッシュを生成することが重要です。このチュートリアルでは、大きい入口の円周の周りに30個以上のメッシュ要素が得られるように、グローバルメッシュサイズが設定されます。この問題では、グローバルメッシュサイズは0.0106mです。このメッシュサイズは、モデルの処理時間が短くなるように選択されました。現実のシミュレーションでは、最初の解を得た後、メッシュに依存しない解(メッシュをさらに細分化しても変化しない解)に達するまで、メッシュ設定を変更します。



図 8.

AcuSolveを使用すると、形状コンポーネント(ボリューム、モデルサーフェス、エッジなど)に依存しないユーザー定義領域内のメッシュ細分化が可能になります。圧力、速度、渦粘性などの勾配が急な領域でメッシュを細分化するのに便利です。この問題では、側管から大きい管に流入する流れによって、解析する必要のある大きな速度勾配が生じます。Mesh refinement zoneを使用して、この領域の流れが捕捉されます。



図 9.

解を計算した後、注目する流体特性は、対称面の定常状態温度コンター、対称面の速度ベクトル、管壁の温度コンター、および管出口の温度コンターです。

解析パラメータの定義

AcuConsoleの起動とシミュレーションデータベースの作成

このチュートリアルでは、まずデータベースの作成、形状に依存しない設定の入力、形状の読み込み、グループの作成、グループ属性の設定、グループへの形状コンポーネントの追加、およびグループへのメッシュコントロールと境界条件の割り当てを行います。次にメッシュを生成してAcuSolveを実行し、定常状態解に収束させます。最後に、AcuFieldViewを使用して結果を可視化します。

次の手順では、AcuConsoleを起動し、AcuConsoleの設定を保存するためのデータベースを作成して、AcuSolve用のメッシュ情報と解情報を保存する場所を設定します。

  1. Windows のスタートメニューからスタート > Altair <バージョン> > AcuConsoleをクリックして AcuConsoleを起動します。
  2. Fileメニューをクリックし、Newをクリックし、New data baseダイアログを開きます。
    注: ツールバーの をクリックしてNew data baseダイアログを開くこともできます。
  3. 作業ディレクトリとして使用する場所に移動します。
    このディレクトリには、そのシミュレーションに関するすべてのファイルが保存されます。AcuConsoleのデータベースファイル(.acs)はこのディレクトリに保存されます。メッシュと解が作成されたら、追加のファイルとディレクトリがこのディレクトリ内に作成されます。
  4. Mixing_Elbow_Heatという名前の新規フォルダを作成し、このフォルダを開きます。
  5. データベースのFile nameとしてMixing_Elbow_Heatと入力します。
    注: AcuConsoleによって書き込まれたファイルを他のアプリケーションで読み取り可能にするためには、データベースのパスと名前にスペースが含まれないようにしてください。
  6. 保存をクリックしてデータベースを作成します。

一般的なシミュレーションパラメータの設定

次の手順では、シミュレーション全体に適用されるパラメータを設定します。このタスクを簡略化するため、Data Tree ManagerでBASフィルタを使用します。BASフィルタでは、基本設定のみが表示されるよう、Data Tree内のオプションが限定されます。

このチュートリアルで設定する一般的なパラメータは、乱流、定常状態時間解析、および移流拡散方程式を使用した熱解析のためのものです。

  1. Data Tree ManagerBASをクリックして、Data Tree内の基本ビューに切り替えます。


    図 10.
  2. GlobalData Tree項目をダブルクリックして拡張表示します。
    ヒント: 項目名の横にある をクリックしてツリー項目を拡張表示することもできます。


    図 11.
  3. Problem DescriptionをダブルクリックしてProblem Description詳細パネルを開きます。
    ヒント: ツリー項目を右クリックしてコンテキストメニューからOpenをクリックすることでも、パネルを開くことができます。
  4. このケースでは、TitleとしてIntroductory Tutorialと入力します。
  5. このケースでは、Sub titleとしてMixing Elbow – Turbulent with conjugate heat transferと入力します。
  6. デフォルトのAnalysis typeのSteady Stateに設定します。
  7. Temperature equationをAdvective Diffusiveに設定します。
  8. Turbulence equationをSpalart Allmarasに設定します。
    Spalart Allmaras乱流モデルはそのロバスト性と精度から、定常状態の流れのシミュレーションに非常に適しています


    図 12.

解法パラメータの設定

次の手順では、解析の進行時にAcuSolveの挙動を制御するパラメータを設定します。

  1. Auto Solution StrategyをダブルクリックしてAuto Solution Strategy詳細パネルを開きます。
  2. Relaxation factorに0.4と入力します。
    緩和係数は、解の収束を改善するために使用されます。通常は、0.2から0.4までの値であれば、求解のスムーズな進行の実現と、収束に達するために必要な計算時間の増加とのバランスをうまくとることができます。緩和係数が大きくなると、AcuSolveで定常状態解を得るまでにかかる時間ステップが多くなります。大きな緩和係数は、非常に複雑な用途で収束を達成するために必要な場合があります。


    図 13.

材料モデルパラメータの設定

AcuConsole には、空気、アルミニウム水という3つの事前に定義済みの材料が用意されています。

次の手順では、水の定義済み材料プロパティがこの問題において目的のプロパティと一致することを確認します。さらに、新しい材料であるステンレス鋼を作成して、目的の材料プロパティを設定します。



図 14.
  1. Data TreeMaterial Modelをダブルクリックして拡張表示します。
  2. Data TreeWaterをダブルクリックしてWater詳細パネルを開きます。
    水のMaterial typeはFluidです。AcuConsoleで作成される新しい材料のデフォルト材料タイプはFluidです。
  3. Densityタブをクリックします。水の密度が1000.0kg/m3であることを確認します。
  4. Specific Heatタブをクリックします。水の比熱が4183.0J/kg-Kであることを確認します。
  5. Viscosityタブをクリックします。水の粘性が0.001kg/m-secであることを確認します。
  6. Conductivityタブをクリックします。水の伝導率が0.598W/m-Kであることを確認します。
  7. ステンレス鋼の新しい材料モデルを作成します。


    図 15.
    1. Data TreeMaterial Modelを右クリックします。
    2. Newをクリックします。
  8. 新しい材料の名前を変更します。
    1. Data TreeMaterial Model 1を右クリックします。
    2. Renameをクリックします。
    3. Stainless Steelと入力し、Enterキーを押します。
  9. Data TreeSteelをダブルクリックしてStainless Steel詳細パネルを開きます。
  10. Material typeをSolidに変更します。
    1. Material Typeの横にあるドロップダウンコントロールをクリックします。
    2. Solidをクリックします。
  11. このシミュレーションでステンレス鋼に使用する密度を設定します。
    1. Densityタブをクリックします。
    2. Densityに8030と入力します。
    3. 単位がkg/m3であることを確認します。
  12. このシミュレーション用に鋼の比熱を設定します。
    1. Specific Heatタブをクリックします。
    2. Specific heatに500と入力します。
    3. 単位がJ/kg-Kであることを確認します。
  13. このシミュレーション用に鋼の伝導率を設定します。
    1. Conductivityタブをクリックします。
    2. Conductivityに16.2と入力します。
    3. 単位がW/m-Kであることを確認します。
  14. データベースを保存して設定のバックアップを作成します。これは、次のいずれかの方法で実行できます。
    • Fileメニューをクリックして、Saveをクリックします。
    • ツールバーの をクリックします。
    • Ctrlキーを押しながらSを押します。
    注: AcuConsoleで加えられた変更は、直ちにデータベースファイル(*.acs)に保存されます。保存操作を実行すると、データベースがバックアップファイルにコピーされます。今後の変更内容を利用することを希望しない場合は、このバックアップファイルを使用して、その保存済み状態からデータベースを再読み込みすることができます。

形状のインポートとモデルの定義

形状のインポート

このチュートリアルの次のパートでは、形状をインポートします。この手順を完了するには、 mixingElbowHeat.x_t の場所がわかっている必要があります。このファイルには、ParasolidASCII形式で形状に関する情報が含まれています。
  1. File > Importをクリックします。
  2. mixingElbowHeat.x_tを含むディレクトリを参照します。
  3. ファイル名のフィルタをParasolid File (*.x_t *.xmt *X_T …)に変更します。
  4. mixingElbowHeat.x_tを選択し、OpenをクリックしてImport Geometryダイアログを開きます。


    図 16.

    このチュートリアルでは、Import Geometryダイアログのデフォルト値を使用して形状を読み込みます。AcuConsoleを使用していた場合は、自身が変更した可能性のある設定を手動で変更して、図に示すデフォルト値と一致させてください。デフォルト設定を使用した場合は、CADモデルのボリュームはデフォルトのボリュームグループに追加されます。CADモデルのサーフェスはデフォルトのサーフェスグループに追加されます。このチュートリアルでは後ほどグループを操作して、新しいグループの作成、流れパラメータの設定、形状コンポーネントの追加、およびメッシングパラメータの設定を行います。

  5. OKをクリックして形状のインポートを完了します。


    図 17.

    このチュートリアルでモデリングウィンドウに表示されるオブジェクトの色と、ユーザーの画面に表示されるオブジェクトの色は異なる場合があります。AcuConsoleのデフォルト配色は“ランダム”であり、作成されたグループに色がランダムに割り当てられます。また、このチュートリアルはWindows上で作成されました。このチュートリアルを異なるオペレーティングシステムで実行する場合は、画面に表示されるイメージとこのチュートリアルで表示されるイメージが多少異なる可能性があります。

ボリュームグループの作成とボリュームパラメータの適用

ボリュームグループは、ボリュームに関する情報を保存するためのコンテナです。これらの情報には、そのコンテナに関連付けられた形状ボリュームのリストや、材料モデルやメッシュサイジング情報などのパラメータが含まれます。

形状がAcuConsoleにインポートされたときに、すべてのボリュームは“デフォルトの”ボリュームコンテナに配置されました。

次の手順では、鉄壁ボリュームの新しいグループの作成、そのグループの材料の設定、形状からそのボリュームグループへのボリュームの追加、デフォルトのボリュームグループ名からFluidへの変更とそのグループの材料の設定、形状からそのグループへのボリュームの追加を行います。

  1. Modelツリー項目を拡張表示します。
  2. Volumesを拡張表示します。
  3. ボリューム名の横にある をクリックして、デフォルトボリュームコンテナの表示のオン / オフを切り替えます。
    注: Surfacesが表示されている場合は、サーフェスとボリュームが重なっている可能性があるため、表示を切り替えても何も変わらないことがあります。
  4. 鉄管壁の新しいボリュームグループを作成します。
    1. Volumesを右クリックします。
    2. Newをクリックします。
  5. Volume 1を右クリックして、Renameを選択し、Steel Wallsと入力します。
    注: Data Tree内の項目の名前を変更した場合、Enterが押されるまでは変更内容は保存されません。Enterキーを押さずに入力フォーカスをその項目から移動すると、変更内容は失われます。
  6. Stainless Steelを使用するようボリュームの材料モデルを設定します。
    1. ツリー内でSteel Wallsボリュームを拡張表示します。
    2. Element SetをダブルクリックしてElement Set詳細パネルを開きます。
    3. MediumをSolidに変更して、このボリュームをソリッドとして定義します。
    4. Material modelに対して、Stainless Steelをクリックします。


    図 18.
  7. このボリュームグループに形状内の管壁コンポーネントを追加します。
    1. Data TreeでVolumesの下のSteel Wallsを右クリックします。
    2. Add toをクリックします。
    3. 管壁の外側サーフェスをクリックします。
      Ctrlキーを押しながら左クリックすることでビューを回転すると、外側のボリュームのみがハイライト表示されていることがわかります。


      図 19.
    4. Doneをクリックして、この形状ボリュームをSteel Wallsボリュームグループに追加します。
      注: マウスの中央ボタンを使用して、形状コンポーネントをグループに追加することもできます。
  8. デフォルトのボリュームの名前をFluidに変更します。

    形状がAcuConsoleに読み込まれたときに、すべての形状ボリュームはデフォルトボリュームグループに配置されました。前の手順では、作成したSteelボリュームコンテナに追加する形状ボリュームを選択しました。この時点で、デフォルトのボリュームグループに残っているのは流体ボリュームのみです。新しいコンテナを作成し、形状内の流体ボリュームをこのコンテナに追加してから、デフォルトのボリュームコンテナを削除する代わりに、コンテナの名前を変更して、このグループの属性を変更します。

  9. シミュレーションで流体に使用される材料モデルを設定します。
    1. ツリー内でFluidボリュームを拡張表示します。
    2. Element SetをダブルクリックしてElement Set詳細パネルを開きます。
      注: AcuConsoleでのボリュームのMediumのデフォルトはFluidです。
    3. Material modelの横にあるドロップダウンコントロールをクリックします。
    4. Waterをクリックして流体にこの材料モデルを設定します。


    図 20.

サーフェスグループの作成とサーフェス属性の適用

サーフェスグループは、サーフェスに関する情報を保存するためのコンテナです。これらの情報には、そのコンテナに関連付けられた形状サーフェスのリストや、境界条件、サーフェス出力、メッシュサイジング情報などの属性が含まれます。

次の手順では、サーフェスグループを定義して、問題内の各グループに適切な属性を割り当てて、これらのグループにサーフェスを追加します。

大きい入口の流入境界条件の設定

次の手順では、大きい入口のサーフェスグループを定義して、入口速度を設定し、形状内の主入口をこのサーフェスグループに追加します。



図 21.
  1. 新しいサーフェスグループを作成します。
    1. Data TreeSurfacesを右クリックします。
    2. Newをクリックします。
  2. Surface 1の名前をLarge Inletに変更します。
  3. ツリー内でLarge Inletサーフェスを拡張表示します。
  4. Large Inletの下にあるSimple Boundary Conditionをダブルクリックして、Simple Boundary Condition詳細パネルを開きます。
  5. TypeをInflowに変更します。
  6. Inflow typeをAverage Velocityに変更します。
    AcuSolveはこのタイプの境界条件を使用して、指定された平均速度を使用して十分に発達した流れを近似します。
  7. Average velocityを0.4m/secに設定します。
  8. Temperatureを295Kに設定します。


    図 22.
  9. Large Inletグループに形状サーフェスを追加します。
    1. Large Inletを右クリックして、Add toをクリックします。
    2. 大きい入口のフェイスをクリックします。


      図 23.

      この時点で、入口がハイライト表示されます。

    3. Doneをクリックして、この形状サーフェスをLarge Inletサーフェスグループに追加します。
      注: マウスの中央ボタンを使用して、形状コンポーネントをグループに追加することもできます。

小さい入口の流入境界条件の設定

次の手順では、小さい入口のサーフェスグループを定義して、適切な属性を割り当て、形状内の小さい入口をこのサーフェスグループに追加します。



図 24.
  1. 新しいサーフェスグループを作成して、サーフェスの名前をSmall Inletに変更します。
  2. ツリー内でSmall Inletサーフェスを拡張表示します。
  3. Small Inletの下にあるSimple Boundary Conditionをダブルクリックして、Simple Boundary Condition詳細パネルを開きます。
  4. TypeをInflowに変更します。
  5. Inflow typeをAverage Velocityに変更します。
  6. Average velocityを1.2m/secに設定します。
  7. Temperatureを320Kに設定します。


    図 25.
  8. Small Inletグループに形状サーフェスを追加します。
    1. Small Inletを右クリックして、Add toをクリックします。
    2. 形状の下部付近でCtrlキーを押しながら左クリックしてカーソルをウィンドウの上部に向かって動かすことで、モデルを回転して小さい入口を表示します。
      注: 表示を拡大または縮小するには、Ctrlキーを押しながら右クリックしてカーソルを上または下にドラッグします。 をクリックし、初期ビューに戻すこともできます。
    3. 小さい入口のフェイスを左クリックします。


      図 26.

      この時点で、小さい入口がハイライト表示されます。

    4. Doneをクリックして、この形状サーフェスをSmall Inletグループに追加します。

出口の流出境界条件の設定

次の手順では、出口のサーフェスグループを定義して、適切な属性を割り当て、形状内の出口をこのサーフェスグループに追加します。

  1. 新しいサーフェスグループを作成して、サーフェスの名前をOutletに変更します。
  2. ツリー内でOutletサーフェスを拡張表示します。
  3. Outletの下にあるSimple Boundary Conditionをダブルクリックして、Simple Boundary Condition詳細パネルを開きます。
  4. TypeをOutflowに変更します。


    図 27.
  5. Outletサーフェスコンテナに形状サーフェスを追加します。
    1. Outletを右クリックして、Add toをクリックします。
    2. 形状の上部付近でCtrlキーを押しながら左クリックしてカーソルをウィンドウの下部に向かって動かすことで、モデルを回転して出口を表示します。
    3. 出口面をクリックします。


      図 28.

      この時点で、出口がハイライト表示されます。

    4. Doneをクリックして、この形状サーフェスをOutletグループのサーフェス設定に関連付けます。

鉄管の外壁の壁境界条件の設定

次の手順では、鉄管の外壁のサーフェスグループを定義して、適切な属性を割り当て、形状内の管壁をこのサーフェスグループに追加します。このシミュレーションでは、管の周りの空気はモデリングしません。ただし、対流熱伝達係数および基準温度を指定して管壁から周囲への熱伝達を考慮に入れます。

  1. 新しいサーフェスグループを作成して、サーフェスの名前をSteel Pipe - Outer Wallsに変更します。
  2. Steel Pipe - Outer Wallsの下にあるSimple Boundary Conditionをダブルクリックして、Simple Boundary Condition詳細パネルを開きます。
  3. Convective heat flux coefficientに100と入力し、単位がJ/m2-sec-Kであることを確認します。
    この対流熱伝達係数は、鉄管と周囲の空気との熱伝達をモデル化する際に選択されます。
  4. Convective heat flux reference temperatureに302.594と入力し、単位がKであることを確認します。
    この温度値では、管の周囲が一定温度302.594Kであることを指定します。


    図 29.
  5. 形状サーフェスをSteel Pipe - Outer Wallsグループに追加します。
    1. Steel Pipe - Outer Wallsを右クリックして、Add toをクリックします。


      図 30.

      この時点で、管の外壁がハイライト表示されます。

    2. Doneをクリックして、これらの形状サーフェスをSteel Pipe - Outer Wallsグループのサーフェス設定に関連付けます。

鉄管の内壁の境界条件の設定

次の手順では、鉄管の内壁のサーフェスグループを定義して、適切な属性を割り当て、形状内の管壁をこのサーフェスグループに追加します。

  1. 新しいサーフェスグループを作成して、サーフェスの名前をSteel Pipe - Inner Wallsに変更します。
  2. このサーフェスの境界条件を無効にします。
    このシミュレーションでは、鋼管の内部サーフェスに境界条件は使用しません。2つのボリューム(流体 / ソリッド、または流体 / 流体)の間に境界面がある場合、AcuConsoleではこの境界面が2つのサーフェスとして扱われます。このため、境界面の両側に異なる属性(境界条件やローカルメッシング属性など)を設定することが可能になります。このチュートリアルでは後で大きい管の壁(この境界面での2つ目のサーフェス)の境界条件を設定します。
    1. ツリー内でSteel Pipe - Inner Wallsサーフェスを拡張表示します。
    2. Simple Boundary Conditionの横のチェックボックスをクリックして境界条件を無効にします。
  3. Steel Pipe - Outer Wallsの表示をオフにします。
    • サーフェスの横のをクリックしてその表示をオフ状態()にするか、

      あるいは、

    • ツリー内のSteel Pipe - Outer Wallsを右クリックしてDisplay offをクリックします。
    外壁の表示をオフにすると、内壁グループに形状サーフェスを追加しやすくなります。
  4. 形状サーフェスをSteel Pipe - Inner Wallsグループに追加します。
    1. Steel Pipe - Inner Wallsを右クリックして、Add toをクリックします。
    2. 主入口付近の管、エルボ付近の管、出口付近の管、および脇の入口付近の管をクリックして、鉄管壁の内部サーフェスを構成している4つのサーフェスを選択します。


      図 31.

      この時点で、鉄管の内壁がハイライト表示されます。

    3. Doneをクリックして、これらの形状サーフェスをSteel Pipe - Inner Wallsグループのサーフェス設定に関連付けます。

大きい管の壁境界条件の設定

次の手順では、管壁のサーフェスグループを定義して、適切な属性を割り当て、形状内のエルボ管壁をこのサーフェスグループに追加します。

  1. 新しいサーフェスグループを作成して、サーフェスの名前をLarge Pipeに変更します。
  2. ツリー内でLarge Pipeサーフェスを拡張表示します。
  3. Large Pipeの下にあるSimple Boundary Conditionをダブルクリックして、Simple Boundary Condition詳細パネルを開きます。
    デフォルトの壁設定が管壁用に使用されます。
  4. Steel Pipe - Inner Wallsの表示をオフにします。
    鉄管の内壁の表示をオフにすると、管グループに形状サーフェスを追加しやすくなります。
  5. このグループに形状サーフェスを追加します。
    1. Large Pipeを右クリックして、Add toをクリックします。
    2. 大きい入口付近の管、エルボ付近の管、および出口付近の管をクリックして、主管壁を構成している3つのサーフェスを選択します。


      図 32.

      この時点で、管壁がハイライト表示されます。

    3. Doneをクリックして、これらの形状サーフェスをLarge Pipeグループに追加します。

小さい管の壁境界条件の設定

次の手順では、側管壁のサーフェスグループを定義して、適切なパラメータを割り当て、形状内の側管壁をこのサーフェスグループに追加します。

  1. 新しいサーフェスグループを作成して、サーフェスの名前をSmall Pipeに変更します。
  2. ツリー内でSmall Pipeサーフェスを拡張表示します。
  3. Small Pipeの下にあるSimple Boundary Conditionをダブルクリックして、Simple Boundary Condition詳細パネルを開きます。
    大きい管の場合と同様に、境界条件のデフォルトのTypeはWallです。デフォルトがこのグループに適しているため、他の変更は不要です。
  4. このグループに形状サーフェスを追加します。
    1. Small Pipeを右クリックして、Add toをクリックします。
    2. 形状の下部付近でCtrlキーを押しながら左クリックしてカーソルをウィンドウの上部に向かって動かすことで、モデルを回転して側管を表示します。
    3. 脇の入口付近の管をクリックします。


      図 33.

      この時点で、側管壁がハイライト表示されます。

    4. Doneをクリックして、この形状サーフェスをSmall Pipeサーフェスコンテナに関連付けます。

管の対称面の対称境界条件の設定

この形状はXY中央平面に関して対称であるため、形状の半分を使用してモデル化できます。このことを利用するには、中央平面を対称面として特定する必要があります。対称境界条件によって、平面の片面からの流れ場は反対側からの流れ場のミラーイメージとなるなどの制約条件が適用されます。

次の手順では、管の対称面のサーフェスグループを作成して、適切な属性を割り当て、形状内の側管壁をこのサーフェスグループに追加します。
  1. 新しいサーフェスグループを作成して、サーフェスの名前をSymmetryに変更します。
  2. ツリー内でSymmetryサーフェスを拡張表示します。
  3. Symmetryの下にあるSimple Boundary Conditionをダブルクリックして、Simple Boundary Condition詳細パネルを開きます。
  4. TypeをSymmetryに変更します。
  5. Symmetryおよびdefaultを除くすべてのサーフェス項目の表示をオフにします。
  6. このグループに形状フェイスを追加します。
    1. Symmetryを右クリックして、Add toをクリックします。
    2. 対称面をクリックします。


      図 34.

      この時点で、対称面がハイライト表示されます。

    3. Doneをクリックして、この形状サーフェスをSymmetryサーフェスコンテナに関連付けます。

鉄管の端の境界条件の設定

次の手順では、鉄管の端のサーフェスグループを定義して、適切な属性を割り当て、形状内の管端をこのサーフェスグループに追加します。

  1. 新しいサーフェスグループを作成して、サーフェスの名前をSteel Pipe - Endsに変更します。
  2. ツリー内でSteel Pipe - Endsサーフェスを拡張表示します。
  3. このサーフェスの境界条件を無効にします。

    このシミュレーションでは管端で境界条件は使用しません。AcuSolve では、鉄壁は、モデル化された領域を超えて続くかのように扱われます。

  4. Steel Pipe - Endsおよびdefaultを除くすべてのサーフェス項目の表示をオフにします。
  5. このグループに形状フェイスを追加します。
    1. Steel Pipe - Endsを右クリックして、Add toをクリックします。
    2. 大きい入口、小さい入口、および出口で管端をクリックします。
      注: 大きい入口の管端がハイライト表示されていることを確認するには、グラフィックを回転する必要がある場合があります。


      図 35.

      この時点で、管端がハイライト表示されます。

    3. Doneをクリックして、これらの形状サーフェスをSteel Pipe - Endsサーフェスコンテナに関連付けます。

鉄管の対称面の対称境界条件の設定

  1. デフォルトのサーフェスグループの名前をSteel Pipe - Symmetryに変更します。
  2. ツリー内でSteel Pipe - Symmetryサーフェスを拡張表示します。
  3. Steel Pipe - Symmetryの下にあるSimple Boundary Conditionをダブルクリックして、Simple Boundary Condition詳細パネルを開きます。
  4. TypeをSymmetryに変更します。
  5. データベースを保存して設定のバックアップを作成します。

メッシュコントロールの割り当て

グローバルメッシュパラメータの設定

シミュレーションの定義が完了したので、メッシャーによって作成されるメッシュのサイズを定義するためのパラメータを追加する必要があります。

AcuConsole は、グローバル、ゾーンおよび形状という3つのレベルのメッシングコントロールをサポートしています。
  • グローバルメッシュコントロールは、モデル全体に適用され、モデルのどの形状コンポーネントにも関連付けられません。
  • ゾーンメッシュコントロールは、モデルの定義済み領域に適用されますが、どの特定の形状コンポーネントにも関連付けられません。
  • 形状メッシュコントロールは、特定の形状コンポーネントに適用されます。これらのコントロールは、ボリュームグループ、サーフェスグループ、またはエッジグループに適用できます。

次の手順では、グローバルメッシングパラメータを設定します。その後の手順では、ゾーンとサーフェスのメッシングパラメータを作成します。



図 36.
  1. データツリーマネージャーMSHをクリックして、Data Tree内の設定をフィルタ処理して、メッシングに関するコントロールのみを表示します。
  2. GlobalData Tree項目を拡張表示します。
  3. Global Mesh AttributesをダブルクリックしてGlobal Mesh Attributes詳細パネルを開きます。
  4. Mesh size typeをAbsoluteに変更します。
  5. Absolute mesh sizeに0.0106mと入力します。
    このメッシュサイズを選択する目的は、主管の周縁の周りに30個以上のメッシュ要素が得られるようにするためです。
  6. Curvature refinement parametersオプションをオフにします。


    図 37.

ゾーンメッシングパラメータの設定

問題全体のメッシング特性を設定することに加えて、問題内のゾーンにメッシングパラメータを割り当て、グローバルメッシュよりも細分化されたメッシュで流れを解析できるようにします。基本形状を使用してZone Mesh refinementを作成し、その形状内のメッシュサイズを制御できます。これらのタイプのメッシュ細分化は、どの形状項目にも対応していない領域内で細分化が必要な場合に使用されます。

次の手順では、ゾーンメッシュコントロールを使用して、小さい管の周囲および主管内にまで及ぶ領域のメッシュコントロールを定義します。この細分化の対象となる領域は、小さい管を囲み、主管内にまで及んでいる円筒です。



図 38.
  1. ボリュームの表示をオフにします。
  2. Symmetryを除くすべてのサーフェスの表示をオフにします。
  3. View Managerツールバーの をクリックして、初期ビューに戻します。
  4. Data TreeでGlobal分岐の下にあるZone Mesh Attributesを右クリックして、Newをクリックします。
  5. Zone Mesh Attributes 1の名前をSmall pipe refinementに変更します。
  6. Small pipe refinementをダブルクリックして、Zone Mesh Attributes詳細パネルを開きます。
  7. Mesh zone typeをCylinderに変更します。
  8. Radiusに0.0254mと入力します。
    この半径を使用して、小さい入口より大きい円筒が定義されます。
  9. Mesh sizeに0.0053mと入力します。
    これにより得られるゾーンのメッシュサイズは、管の残り部分のメッシュサイズの半分となります。


    図 39.
    注: 細分化ゾーンのメッシュサイズを設定する際は、グローバルメッシュサイズを2の累乗で割った値(1/21/41/8など)を選択するのが最適な方法です。
  10. 円筒の終端フェイスの中心点を定義することで、メッシュ細分化の場所を設定します。
    1. Open ArrayをクリックしてArray Editorダイアログを開きます。
    2. X-coordinateの1と2に0.143と入力します。
    3. Y-coordinateの1に-0.232と入力します。
    4. Y-coordinateの2に-0.025と入力します。
    5. Z-coordinateの2に0.0と入力します。
    6. OKをクリックします。


      図 40.


    図 41.

サーフェスグループのメッシング属性の設定

以下の手順では、このチュートリアルで以前に作成したサーフェスグループ上のメッシュサイズを局所的に制御できるようにするメッシング属性を設定します。具体的には、主管と側管のサーフェスに対して垂直な境界層要素の成長を制御するローカルメッシング属性を設定します。

大きい管のメッシングパラメータの設定

次の手順では、大きい管の壁に対して垂直なメッシュのサイズを制御するパラメータを設定します(境界層メッシュコントロール)。
  1. Model > Surfaces > Large Pipeの順にツリー項目を拡張表示します。
  2. Surface Mesh Attributesの横にあるチェックボックスをクリックして設定を有効にし、Surface Mesh Attributes詳細パネルを開きます。
  3. Mesh size typeをNoneに変更します。
    このオプションでは、管壁のサーフェス上にメッシュを作成する際にメッシャーがグローバルメッシング属性を使用することを指定します。
  4. Boundary layer flagオプションを有効にします。
    このオプションを使用すると、壁に対して垂直方向のメッシングがどのように処理されるのかを定義できます。
  5. ResolveオプションをTotal Layer Heightに設定します。
    境界層のメッシュ要素がサーフェスから法線方向に成長させられることで、滑り無し壁付近の急勾配の効果的な解析が可能になります。これらの層は、いくつかのオプションを使用して指定できます。このチュートリアルでは、最初の層の高さ、後続層の延伸比(成長率)、および生成する層の合計数を指定します。AcuConsole は、ユーザーが指定した属性に基づいて層高さの合計を解析します。つまり、最初の要素の高さ、成長率、および次の数ステップで指定される層の数に基づいて、層高さの合計が計算されます。
  6. First element heightは、デフォルト値の0.001mのままにします。
  7. Growth rateに1.3と入力します。
  8. Number of layersに4と入力します。


    図 42.

小さい管へのメッシングパラメータの伝播

小さい管のローカルメッシュ設定は、大きい管と同じです。AcuConsole では、あるグループから別のグループへの設定の伝播、すなわち“コピーと貼り付け”が可能です。以下の手順では、大きい管のサーフェスグループから小さい管のサーフェスグループにローカルメッシュ設定を伝播します。

  1. Large Pipeの下のSurface Mesh Attributesを右クリックし、Propagateをクリックします。
  2. サーフェスのリストを下方向にスクロールし、Small Pipeをクリックします。


    図 43.
  3. Propagateをクリックして、Large Pipeサーフェスの設定をSmall Pipeサーフェスに貼り付けます。
Small PipeのSurface Mesh Attributesを確認すると、それらの設定がLarge Pipeの設定と同じであることがわかります。

鋼管の外壁のメッシングパラメータの設定

以下の手順では、鋼管の外壁付近のメッシュサイズの局所的制御を可能にするメッシングパラメータを設定します。

  1. Model > Surfaces > Steel Pipe - Outer Wallsの順にツリー項目を拡張表示します。
  2. Surface Mesh Attributesの横にあるチェックボックスをクリックして設定を有効にし、Surface Mesh Attributes詳細パネルを開きます。
  3. Mesh size typeをNoneに変更します。
    このオプションでは、管壁のサーフェス上にメッシュを作成する際にメッシャーがグローバルメッシングパラメータを使用することを指定します。
  4. Boundary layer flagオプションを有効にします。
    このオプションを使用すると、壁に対して垂直方向のメッシングがどのように処理されるのかを定義できます。鋼管の内壁および外壁について、1つの層の厚みが高さ0.002mであるメッシュを作成するためのパラメータを設定します。
  5. ResolveオプションをTotal Layer Heightに設定します。
  6. First element heightに0.002mと入力します。
  7. Number of layersに1と入力します。


    図 44.

鉄管の内壁へのメッシング属性の伝播

管の内壁のローカルメッシュ設定は、外壁と同じです。以下の手順では、鋼管の外壁を含むサーフェスグループから鋼管の内壁を含むサーフェスグループにローカルメッシュ設定を伝播します。

  1. Steel Pipe - Outer Wallsの下のSurface Mesh Attributesを右クリックし、Propagateをクリックします。
  2. サーフェスのリストを下方向にスクロールし、Steel Pipe - Inner Wallsをクリックします。
  3. Propagateをクリックして、Steel Pipe - Outer Wallsサーフェスの設定をSteel Pipe - Inner Wallsサーフェスに貼り付けます。
    Steel Pipe - Inner WallsのSurface Mesh Attributesを確認すると、それらの設定がSteel Pipe - Outer Wallsの設定と同じであることがわかります。
  4. データベースを保存して設定のバックアップを作成します。

メッシュの生成

次の手順では、問題の解を計算する際に使用されるメッシュを生成します。

  1. ツールバーの をクリックしてLaunch AcuMeshSimダイアログを開きます。
  2. Okをクリックしてメッシングを開始します。

    メッシング時に、AcuTailウィンドウが開きます。メッシングの進行状況はこのウィンドウで報告されます。メッシングプロセスのサマリーで、メッシュが生成されたことが示されます。



    図 45.
  3. サーフェス上にメッシュを表示します。
    1. Data TreeでGlobalの下にあるZone Mesh Attributesを右クリックして、Display offをクリックします。
    2. Data TreeVolumesを右クリックして、Display offをクリックします。
    3. Data TreeSurfacesを右クリックして、Display onをクリックします。
    4. Data TreeSurfacesを右クリックして、Display typeを選択し、solid & wireをクリックします。
  4. ビューを回転、移動、またはズームして、メッシュを検証します。
  5. サーフェスの横にある をクリックしてサーフェスの表示をオフ状態()にすることで、Global > Zone Mesh Attributesの下のsmall pipe refinementの表示をオフにします。

    側管上のメッシュの詳細は、図 46に示しています。このビューは、SymmetryおよびSteel Pipe - Symmetryを除くすべてのサーフェスの表示をオフにしてから、小さい管が大きい管に結合されている部分をズームインしたものです。



    図 46. 対称面に表示された管交差位置周囲のメッシュ詳細

    グローバル設定によってサイズが決まる領域から、設定の対象がより細かいメッシュである小さい管周辺のゾーンへ移行する中で、主管内のメッシュサイズが左から右へと小さくなることに留意してください。

  6. データベースを保存して設定のバックアップを作成します。

解の計算と結果の確認

AcuSolveの実行

次の手順では、AcuSolveを起動してこのケースの解を計算します。

  1. ツールバーでをクリックしてLaunch AcuSolveダイアログを開きます。

    このケースでは、デフォルト値を使用します。

    これらの設定に基づき、AcuConsoleAcuSolveの入力ファイルを生成してから、ソルバーを起動します。AcuSolveは、4つのプロセッサ上で実行され、この問題の定常状態解を計算します。

  2. Okをクリックして解析プロセスを開始します。

    計算中、AcuTailウィンドウが開きます。解析の進行状況はこのウィンドウで報告されます。解析プロセスのサマリーで、実行が完了したことが示されます。

    このサマリーで提供される情報は、AcuSolveで使用されるプロセッサの数に基づいています。このチュートリアル内で示されている数と異なる数のプロセッサを使用した場合は、示されているサマリーと実行時のサマリーが少し異なる場合があります。



    図 47.
  3. AcuTailウィンドウを閉じ、データベースを保存して設定のバックアップを作成します。

AcuFieldViewでの結果の表示

計算が終了したので、AcuFieldViewを使用して流れ場を表示する準備ができました。AcuFieldViewは、AcuSolveに緊密に統合されたサードパーティ製のポスト処理ツールです。AcuFieldViewAcuConsoleから直接開始できますが、スタートメニューやコマンドラインから開始することもできます。このチュートリアルでは、AcuSolveによって解が計算された後に、AcuConsoleからAcuFieldViewを開始します。

次の手順では、AcuFieldViewの起動、モデルのビューの操作、対称面での温度コンターおよび速度ベクトルの表示、管壁の対称面での温度コンターの表示、出口での温度コンターの表示を行います。

AcuFieldViewの起動

  1. AcuConsoleツールバーで をクリックしてLaunch AcuFieldViewダイアログを開きます。
  2. OkをクリックしてAcuFieldViewを起動します。
    AcuConsoleからAcuFieldViewを起動するときには、ディスクに書き込まれた、解析の最後の時間ステップの結果が、ポスト処理のために読み込まれます。

AcuFieldViewにおけるモデルビューの操作

AcuConsoleから直接AcuFieldViewを起動すると、Boundary Surfaceダイアログが開き、 等角図法でモデルが表示されます。最初のビューは遠近法で表示され、モデルの周りにアウトラインが示されます。次の手順ではそのビューを操作し、後の手順ではBoundary Surfaceダイアログを使用してさまざまな流動特性を表示します。



図 48.
  1. 背景色を白に変更します。
    1. Viewメニューをクリックします。
    2. Background / Environmentをクリックします。
    3. 白の色見本をクリックしてから、Closeをクリックします。


      図 49.
  2. ツールバーの をクリックすることで、モデルの周りのアウトラインの表示をオフにします。
  3. 透視図から正投影図にビューを変更します。
    1. Viewメニューをクリックします。
    2. Perspectiveをクリックしてこのオプションを無効にします。


    図 50.
  4. 正のZ方向(+Z)から表示するよう、モデルの方向を設定します。
    1. ツールバーで をクリックしてDefined Viewsダイアログを開きます。
    2. をクリックします。

      Defined Viewsダイアログでボタンをクリックするとすぐにビューが変わります。

    3. (オプション)Closeでダイアログを閉じます。

    AcuFieldViewではAcuConsoleと同様の方法でビューを移動、ズーム、および回転できます。AcuFieldView では、マウスボタンのアクションに対して異なるマッピングが使用されます。

    アクション マウスボタン
    移動(パン)
    回転 中央
    ズーム

対称面での流体温度のコンター表示

次の手順では、境界サーフェスを作成し、対称面上で流体温度のコンターを表示します。

  1. をクリックしてBoundary Surfaceダイアログを開きます。
    注: このダイアログはすでに開かれている場合があります。この手順では、このダイアログに焦点を当てます。
  2. Show Meshオプションを無効にします。
  3. 表示するスカラープロパティとしてtemperatureを設定します。
    1. Scalar Functionコントロールグループ内でSelectをクリックし、Function Selectionダイアログを開きます。
    2. リストからtemperatureを選択します。
    3. Calculateをクリックします。
  4. コンター表示用の場所として対称面を設定します。
    1. OSF: SymmetryをBoundary Typesのリストからクリックします。
    2. OKをクリックします。


    図 51.
  5. 凡例Legendをビューに追加します。
    1. Boundary SurfaceダイアログでLegendタブをクリックします。
    2. Show Legendオプションを有効にします。
    3. Frameオプションを有効にします。
    4. ColorグループのGeometricの横にある白の色見本をクリックして、Legend値の色を黒に設定します。
    5. Title欄の横にある白の色見本をクリックして、タイトルの色を黒に設定します。
    6. Shiftキーを押しながらLegendを左クリックして左側にドラッグすることにより、Legendを移動します。


    図 52.

ビューへの速度ベクトルの追加

次の手順では、新しい境界サーフェスを作成して、このサーフェス上に速度ベクトルを表示します。

  1. Boundary SurfaceダイアログのSurfaceタブでCreateをクリックします。
    新しいSurface IDは2になります。
  2. ColoringグループのGeometricラジオボタンをクリックします。
    これにより、ベクトルの色が固定色に設定されます。デフォルトでは、この色は黒です。
  3. ベクトルオプションを設定します。
    1. Vectorsラジオボタンをクリックします。
    2. Vectorsの横にあるOptionsをクリックして、Vector Optionsダイアログを開きます。
    3. Head Scalingを有効にして、0.5に設定します。
      このオプションによって、ベクトルを基準にした矢印のサイズが決定されます。
    4. Length Scaleを2に設定します。
      この長さスケールによって、ベクトルの長さが決定されます。
    5. Skipオプションを有効にして、37.5%に設定します。
      Skipオプションによって、表示を省略するベクトルの比率が決定されます。この設定値が37.5%の場合は、62.5%のベクトルが表示されます。


      図 53.
    6. Closeでダイアログを閉じます。
  4. ベクトル表示用の場所として対称面を設定します。
    1. OSF: SymmetryをBoundary Typesのリストからクリックします。
    2. OKをクリックします。


    図 54.
  5. 小さい入口と主管の接合部を拡大して、速度ベクトルの詳細を表示します。
    1. ツールバーの をクリックします。
    2. 2つの管の接合部を囲むようにボックスを描画します。


    図 55.
    注: この画像を取得するために温度コンター(Surface ID 1)のShow Legendオプションが無効になります。
    速度ベクトルは流れの方向を示します。ベクトルの長さは、流速の大きさを示します。温度コンターのあるビューに速度ベクトルを追加することで、温度と速度を同時に可視化できます。

鋼管壁での温度のコンター表示

次の手順では、境界サーフェスを作成して、対称面でステンレス鋼管壁の温度のコンターを表示します。

  1. Transform Controlsツールバーの をクリックして、可視サーフェスを中央に配置し、ビューをウィンドウ全体に表示します。
  2. をクリックしてBoundary Surfaceダイアログを開きます。
    注: このダイアログはすでに開かれている場合があります。この手順では、このダイアログに焦点を当てます。
  3. 対称面上の温度コンターおよび速度ベクトルの表示を無効にします。
    1. Surface IDを1に設定します。
    2. SurfaceタブのVisibilityオプションを無効にします。
    3. Surface IDを2に設定します。
    4. SurfaceタブのVisibilityオプションを無効にします。
  4. Boundary SurfaceダイアログのSurfaceタブでCreateをクリックします。
    新しいSurface IDは3になります。
  5. Display TypeコントロールグループのSmoothオプションを有効にします。
  6. ColoringコントロールグループのScalarオプションを有効にします。
  7. 表示するスカラープロパティとしてtemperatureを設定します。
    1. Scalar Functionコントロールグループ内でSelectをクリックし、Function Selectionダイアログを開きます。
    2. リストからtemperatureを選択します。
    3. Calculateをクリックします。
  8. コンター表示用の場所としてステンレス鋼管の対称面を設定します。
    1. Boundary Typeのリストを上方向にスクロールし、OSF:Steel Pipe - Symmetryをクリックします。
    2. OKをクリックします。


    図 56.

出口での温度のコンター表示

次の手順では、境界サーフェスを作成して、出口で温度のコンターを表示します。

  1. をクリックしてBoundary Surfaceダイアログを開きます。
  2. Boundary SurfaceダイアログのSurfaceタブでCreateをクリックします。
    新しいSurface IDは4になります。
  3. Display TypeコントロールグループのSmoothオプションを有効にします。
  4. ColoringコントロールグループのScalarオプションを有効にします。
  5. 表示するスカラープロパティとしてtemperatureを設定します。
    1. Scalar Functionコントロールグループ内でSelectをクリックし、Function Selectionダイアログを開きます。
    2. リストからtemperatureを選択します。
    3. Calculateをクリックします。
  6. コンター表示用の場所として出口を設定します。
    1. OSF: OutletをBoundary Typesリスト内でクリックします。
    2. OKをクリックします。
  7. サーフェス1、2、および3のVisibilityオプションをオフにします。
  8. 出口でコンターを表示できるようビューの方向を設定します。
    1. Transform Controlsツールバーの をクリックします。
    2. Viewing Directionを-Yに設定します。
    3. Transform Controlsツールバーの をクリックして、可視サーフェスを中央に配置し、ビューをウィンドウ全体に表示します。


    図 57.
  9. 温度コンターで差をわかりやすくするため、カラースケールを変更します。
    AcuFieldViewで温度のスカラー関数が計算されるときには、コンター表示用のカラーマップで使用するための最小値および最大値が計算されます。圧力分布における差をわかりやすくするため、その色分けを編集できます。
    1. Boundary SurfaceダイアログでSurface ID4に設定します。
      注: モデリングウィンドウでサーフェスをダブルクリックすることで、これを現在のサーフェスにすることもできます。
    2. Colormapタブをクリックします。


      図 58.

      Localオプションを切り替えるとFunction RangeのMin:値とMax:値も変わることに注意してください。

    3. Localオプションを有効にします。


      図 59.

要約

このチュートリアル、では、ミキシングエルボにおける共役熱伝達のシミュレーションを設定する基本的なワークフローに取り組みました。ケースが設定された後、メッシュを生成し、AcuSolveを使用して解を生成しました。モデルの対称面に沿ってコンターおよびベクトルのビューを作成できるように、AcuFieldViewで結果をポスト処理しました。このチュートリアルで紹介した新機能は、さまざまな温度の流れ、流体内の熱伝達のシミュレーション、流体と固体との間の熱伝達(共役熱伝達)のシミュレーション、新しい材料モデルの作成、流体 / 固体の境界面での共有サーフェスのモデリング、およびあるサーフェスグループから別のサーフェスグループへの設定のコピーと貼り付け(伝播)です。