ACU-T:5201 AcuSolveMotionSolveを使用したチェックバルブの連成シミュレーション

AcuSolveには、ACU-T:5200 剛体力学、チェックバルブで示すように、流体構造連成での問題を解く機能があります。ソリッドボディ間の衝突など、AcuSolveの組み込み機能では対象の物理特性を十分に表せない場合に、MotionSolveなどの外部コードと連成することもできます。

このチュートリアルでは、圧力チェックバルブの開口部のシミュレーションの設定、解析、および結果表示のための手順を説明します。このシミュレーションでは、AcuSolveを使用して、経時変化する流入の流れ場によりバルブにかかる力を計算し、MotionSolveを使用して、これらの流体力によって生じるバルブの動きを計算します。このチュートリアルの目的は、剛体力学およびMotionSolveとの連成のシミュレーションを実行するために必要ないくつかのモデリングの概念を紹介することです。AcuSolveMotionSolveとの連成における重要な機能は、ソリッドボディ間の接触をシミュレーションできることです。これについては、このチュートリアルで、バルブとバルブシートとの衝突により解説します。

CFDシミュレーションの基本的な手順については、ACU-T:2000 ミキシングエルボ内の乱流をご参照ください。このチュートリアルでは、AcuSolveの以下の追加機能を紹介します。
  • 外部コード(MotionSolve)との連成解析
  • 流体構造連成
  • メッシュモーション
  • 非定常解析
  • 入口境界条件をスケーリングするMultiplier Functionの使用
  • AcuProbeでのポスト処理
  • 結果アニメーション

前提条件

入門チュートリアルであるACU-T:2000 ミキシングエルボ内の乱流をすでに完了している必要があります。ここでは、AcuConsoleAcuSolve、およびAcuFieldViewをある程度使い慣れていることを前提としています。ライセンス供与済みバージョンのAcuSolveおよびMotionSolveにアクセスできることも必要です。

このチュートリアルを実行する前に、AcuConsole_tutorial_inputs.zip<<Altair_installation_directory>\hwcfdsolvers\acusolve\win64\model_files\tutorials\AcuSolveから作業ディレクトリにコピーします。Pressure_Check_Valve-Coupled\ディレクトリと、その内容ををAcuConsole_tutorial_inputs.zipから取り出します。このディレクトリには、Parasolid ASCIIフォーマットのジオメトリモデル、pressureCheckValve.x_tMotionSolve モデルValve_model.xmlが含まれます。

問題の解析

CFDシミュレーションにおける重要な最初のステップは、解析対象となる工学的な問題を調べ、AcuSolveに対して指定する必要のある設定を決定することです。設定は、形状コンポーネント(ボリューム、入口、出口、壁など)に基づいて行うことができるとともに、流れの条件(流体の物性、速度、流れを乱流または層流のどちらでモデル化するのかなど)に基づいて行うことができます。

このチュートリアルで扱う問題は、図 1に図示しています。この問題は、仮想スプリング(形状には含まれていない)にシャッターが取り付けられたチェックバルブを通過して流れる水が含まれた円筒管で構成されています。入口圧力は時間とともに変化し、シャッターの動きは、スプリングの反力に対する流体力のバランスに応じて決まります。この問題は、長手方向の軸を中心とした30度ごとの回転周期性を持ち、生じる流れも回転周期性を持つことが想定されるため、くさび形の部分を使用したモデリングが可能になります。このチュートリアルでは、図に示すように30度分の形状をモデル化します。回転周期性を持つ形状の一部をモデル化することで、正確な解を維持しつつ、計算時間を短縮できます。



図 1. スプリング式シャッターがあるチェックバルブの図

この問題の特性の詳細が、AcuSolveのケースの設定前に作成されたサンプルワークシートから抽出された以下のイメージに示されています。

管の入口直径は0.08mで、長さは0.4mです。チェックバルブのアセンブリは、入口の下流0.085mにあります。これは、中心に配置された直径0.044mの開口部と開口部から0.005m離れた初期位置にあるシャッターを備えた0.005m厚の薄板で構成されており、ほぼ閉じられた状態をシミュレートします。シャッター薄板の直径は0.05mで、厚みは0.005mです。シャッター薄板は、長さが0.03mで直径が0.01mのステムに接合されています。シャッターとステムの質量は0.2kgであり、その動きは剛性が2162N/mである仮想スプリングの影響を受けます。バルブシャッターの動きは、シャッターの下流にある穴あき薄板に取り付けられた止め具によって制限されます。



図 2.

30度の部分として形状をモデル化するには、流体モデルが剛体モデルと一致するように設定される必要があります。剛体の1/12のみがモデル化されるため、AcuSolveによって計算されるバルブシャッターに作用する力は、装置にかかる実際の力の1/12に相当します。形状全体の小さな部分のみをモデル化しているという事実を説明する、スケーリングされた質量およびスプリング剛性の設定により、剛体力学モデルがMotionSolveで設定されています。MotionSolveでのこの問題の設定に関するその他の情報は、MotionSolveのドキュメントで示されています。

この問題で扱う流体は水であり、この水の密度(ρ)は1000kg/m3、分子粘性(μ)は1.0 X 10-3kg/m-secです(ワークシートを参照)。



図 3.

シミュレーションの開始時には、流れ場は静止しています。流れは、図 4に示す区分線形関数として経時変化する入口圧力によって引き起こされます。入口圧力が上昇するにつれて、バルブが開くため流れは加速されます。乱流粘性率は10と想定されています。

初期の入口圧力は0Paです。0.002秒で圧力が増加し始め、0.05秒で29,000Paに達します。圧力は29,000Paで維持され、0.2秒から減少し始めて、0.25秒で初期圧力に達し、シミュレーションの残りについてはそのままの圧力が維持されます。


図 4. 入口の過渡圧力
前に行ったこの形状のシミュレーションでは、入口での平均速度が最大の0.98 m/sに達することが示されています。この速度では、流れのレイノルズ数は78,400となります。レイノルズ数が4,000より大きい場合は、一般に流れを乱流としてモデル化することができます。


図 5.

流れの初期状態は実際には層流ですが、バルブシャッター周囲の流量と流速の増大によって、乱流状態への急速な変化が生じると予想されます。したがって、このシミュレーションは、過渡的な乱流をモデル化するように設定されます。非定常解析を実行する際は、定義済みのスタッガー基準に基づいて時間ステップごとに収束に達します。メッシュモーションは、任意のメッシュ移動(ALEメッシュモーション)を使用してモデル化されます。



図 6.
このケースでは、対象となるこの過渡挙動は、過渡圧力プロファイルによって与えられている、圧力が上昇してから再び低下するのにかかる時間内に生じます。スプリングが元の状態に戻るための時間を見越して、追加の時間がシミュレートされます。このチュートリアルでは、圧力が降下して初期状態に戻った後に0.1秒が追加されるため、合計時間は0.35秒となります。


図 7.

非定常解析において極めて重要なもう1つの決定事項は、時間増分の選択です。時間増分は、シミュレーションの指定された時間ステップにおける時間変化です。対象となる流動特性の変化を捕捉するのに十分な短さで、不要な計算時間がかからない時間増分を選択することが重要です。

適切な時間増分を決定するために使用される一般的な方法は2つあります。1つ目の方法では、対象となる過渡的挙動の時間スケールを特定し、そのような挙動を十分に解像する時間増分を設定します。2つ目の方法では、指定された時間ステップにおいて流れが通過する可能性があるメッシュ要素の数に、限度を設定します。時間ステップごとの通過したメッシュ要素の数の便利な数学的基準が、Courant-Friederichs-Lewy数、すなわちCFL数です。この方法では、メッシュサイズ、流速、および目的のCFL数から時間増分を計算できます。

初期状態から最大値への入口圧力の変化は、0.048秒を超える時間にわたって発生します。時間増分が0.002秒の場合、過大な計算時間を必要とすることなく、優れた分解度でこの過渡変化を表すことができます。この時間増分の場合はCFL数が0.36になり、これは流れが単一のメッシュ要素を横切るのに約3つ分の時間ステップを要することを意味します。時間増分をさらに大きくしても良好なCFL数を維持できますが、急激な圧力変化によって生じる過渡変化をより適切に解析するために、0.002秒という値を選択します。


図 8.
シミュレーションの物理特性を捕捉するための適切な条件を設定することに加えて、優れた結果が得られるように十分に細分化されたメッシュを生成することが重要です。このチュートリアルでは、入口の周縁の周りに50個以上のメッシュ要素が得られるようにグローバルメッシュサイズが設定され、その結果としてメッシュサイズは0.005mとなります。このメッシュサイズは、モデルの処理時間が短くなるように選択されました。現実のシミュレーションでは、最初の解を得た後、メッシュに依存しない解(メッシュをさらに細分化しても変化しない解)に達するまで、メッシュ設定を変更します。


図 9.

AcuSolveを使用すると、形状コンポーネント(ボリューム、モデルサーフェス、エッジなど)に依存しないユーザー定義領域内のメッシュ細分化が可能になります。圧力、速度、渦粘性などの勾配が急な領域のメッシュを細分化するのに便利です。

この問題では、バルブの開口部とシャッターの間のギャップ付近の流動特性を解析することが推奨されます。さらに、バルブ全体周囲の流動特性も解析できることが推奨されます。ギャップ周囲の領域のメッシュは、3つ以上のセルを初期位置のギャップにまたがって配置できるようなサイズに調整します。バルブ全体の周囲のメッシュは、平均セルサイズがグローバルメッシュサイズの半分になるようなサイズに調整します。この局所的なメッシュの細分化は、mesh refinement Zoneを使用して実現されます。


図 10.

解が計算された後は、対象となる流動特性は、移動サーフェスの変位、移動サーフェスの速度、出口での質量流量、対称面上の圧力コンター、および対称面上の速度ベクトルとなります。

解析パラメータの定義

AcuConsoleの起動とシミュレーションデータベースの作成

このチュートリアルでは、流体の流れを解析するAcuSolveと剛体力学を解析するMotionSolveを使用した、入口圧力が変動するスプリング式チェックバルブの流体構造シミュレーションの設定および解析のプロセスを説明します。

このチュートリアルでは、まずデータベースの作成、形状に依存しない設定の入力、MotionSolveとの連成のためのパラメータの設定、形状の読み込み、グループの作成、グループ属性の設定、グループへの形状コンポーネントの追加、Multiplier Functionの作成、およびグループへのメッシュコントロールと境界条件の割り当てを行います。次に、メッシュを生成して、AcuSolveMotionSolveを実行し、過渡挙動をシミュレートします。AcuProbeを使用して、メッシュの変位および質量流量をポスト処理します。最後に、AcuFieldViewを使用して結果を可視化します。

次の手順では、AcuConsoleを起動し、AcuConsoleの設定を保存するためのデータベースを作成して、AcuSolve用のメッシュ情報と解情報を保存する場所を設定します。

  1. Windows のスタートメニューからスタート > Altair <バージョン> > AcuConsoleをクリックして AcuConsoleを起動します。
  2. Fileメニューをクリックし、Newをクリックし、New data baseダイアログを開きます。
  3. 作業ディレクトリとして使用する場所に移動します。
    このディレクトリには、そのシミュレーションに関するすべてのファイルが保存されます。AcuConsoleのデータベースファイル(.acs)はこのディレクトリに保存されます。メッシュと解が作成されたら、追加のファイルとディレクトリがこのディレクトリ内に作成されます。
  4. Check_Valve_Coupledという名前の新規フォルダを作成し、このフォルダを開きます。
  5. データベースのファイル名としてCheck_Valve_Coupledと入力します。
    注: AcuConsoleによって書き込まれたファイルを他のアプリケーションで読み取り可能にするためには、データベースのパスと名前にスペースが含まれないようにしてください。
  6. 保存をクリックしてデータベースを作成します。

一般的なシミュレーションパラメータの設定

次の手順では、シミュレーション全体に適用される属性を設定します。このタスクを簡略化するため、Data Tree ManagerでBASフィルタを使用します。BASフィルタでは、基本設定のみが表示されるよう、Data Tree内のオプションが限定されます。

このチュートリアルで設定する一般的な属性は、乱流、過渡時間解析、任意のメッシュ移動、および外部コード(MotionSolve)の使用のためのものです。

  1. Data Tree ManagerBASをクリックして、Data Tree内の基本ビューに切り替えます。


    図 11.
  2. GlobalData Tree項目をダブルクリックして拡張表示します。
    ヒント: 項目名の横にある をクリックしてツリー項目を拡張表示することもできます。


    図 12.
  3. Problem DescriptionをダブルクリックしてProblem Description詳細パネルを開きます。
  4. このケースでは、TitleとしてAcuSolve Tutorialと入力します。
  5. このケースでは、Sub titleとしてPressure Check Valve - Coupled MotionSolveと入力します。
  6. Analysis typeをTransientに変更します。
  7. Turbulence equationをSpalart Allmarasに設定します。
    Spalart Allmaras乱流モデルはそのロバスト性と精度から、過渡流れのシミュレーションに非常に適しています。
  8. Mesh typeをArbitrary Mesh Movement (ALE)に変更します。
  9. External codeをオンにします。
    これは、AcuSolveが別のソルバーからの情報を送受信することを示します。このチュートリアルでは、後でコード間の通信を構成します。


    図 13.

解法パラメータの設定

次の手順では、非定常解析の進行時にAcuSolveの挙動を制御する属性を設定します。



図 14.
  1. Data TreeAuto Solution StrategyをダブルクリックしてAuto Solution Strategy詳細パネルを開きます。
  2. Max time stepsに0と入力します。
    この値を指定すると、AcuSolveはこの設定を無視して、最終時刻と時間増分に基づいて時間ステップの最大数を計算します。
  3. Final timeに0.35secと入力します。
  4. Initial time incrementに0.002secと入力します。
    重要: ここで入力された値は、解析プロセスの間に2つのソルバーが必ず同期された状態になるよう、準備されたMotionSolveモデルValve_model.xmlのprint_interval設定と一致する必要があります。
  5. Max stagger iterationsに3と入力します。
    この設定により、各時間ステップ内で実行される最大反復回数が決定されます。


    図 15.

材料モデルパラメータの設定

AcuConsole には、空気、アルミニウム水という3つの事前に定義済みの材料が用意されています。

次の手順では、水の定義済み材料プロパティがこの問題において目的のプロパティと一致することを確認します。



図 16.
  1. Data TreeMaterial Modelをダブルクリックして拡張表示します。


    図 17.
  2. Data TreeWaterをダブルクリックしてWater詳細パネルを開きます。
  3. Densityタブをクリックします。水の密度が1000.0kg/m3であることを確認します。
  4. Viscosityタブをクリックします。水の粘性が0.001kg/m-secであることを確認します。

MotionSolveとの通信のための外部コードパラメータの設定

次の手順では、解析プロセスの間にAcuSolveMotionSolveがやり取りできるように、設定を行います。このシミュレーションでは、MotionSolveは、AcuSolveで計算された流体荷重に応じてバルブの動きを計算するために使用されています。これを実現するために、AcuSolveMotionSolveはソケット接続を介して通信します。この通信方法では、別々のマシン上の異なるオペレーティングシステムでも、これら2つのコードを実行できます。

  1. Data Tree ManagerALLをクリックすると、すべての設定を表示します。
  2. Globalの下のExternal Code Parametersをダブルクリックし、External Code Parameters詳細パネルを開きます。
  3. CommunicationをSocketに設定します。
  4. Socket initiateをオフにします。
    この設定は、外部コード(MotionSolve)でソケットを開き、AcuSolveによって指定のソケットポートで接続を“リッスン”することを示します。
  5. Socket hostとしてlocalhostと入力します。
    これは、AcuSolveMotionSolveが同じマシン上で実行されていることを示します。MotionSolveが異なるマシン上で実行されていた場合は、ここにホスト名またはIPアドレスを指定する必要があります。
  6. Socket portとして48000と入力します。
    これは、AcuSolveMotionSolveとの通信に使用されるデフォルトポートです。


    図 18.

形状のインポートとモデルの定義

チェックバルブ形状のインポート

このチュートリアルの次のパートでは、形状をインポートします。この手順を完了するには、 pressureCheckValve.x_t の場所がわかっている必要があります。このファイルには、ParasolidASCII形式で形状に関する情報が含まれています。
  1. File > Importをクリックします。
  2. pressureCheckValve.x_tを含むディレクトリを参照します。
  3. ファイル名のフィルタをParasolid File (*.x_t *.xmt *X_T …)に変更します。
  4. pressureCheckValve.x_tを選択し、OpenをクリックしてImport Geometryダイアログを開きます。


    図 19.

    このチュートリアルでは、Import Geometryダイアログのデフォルト値を使用して形状を読み込みます。AcuConsoleを使用していた場合は、自身が変更した可能性のある設定を手動で変更して、図に示すデフォルト値と一致させてください。デフォルト設定を使用した場合は、CADモデルのボリュームはデフォルトのボリュームグループに追加されます。CADモデルのサーフェスはデフォルトのサーフェスグループに追加されます。このチュートリアルでは後ほどグループを操作して、新しいグループの作成、流れパラメータの設定、形状コンポーネントの追加、およびメッシングパラメータの設定を行います。

  5. OKをクリックして形状のインポートを完了します。


    図 20.

    このチュートリアルでモデリングウィンドウに表示されるオブジェクトの色と、ユーザーの画面に表示されるオブジェクトの色は異なる場合があります。AcuConsoleのデフォルト配色は“ランダム”であり、作成されたグループに色がランダムに割り当てられます。また、このチュートリアルはWindows上で作成されました。このチュートリアルを異なるオペレーティングシステムで実行する場合は、画面に表示されるイメージとこのチュートリアルで表示されるイメージが多少異なる可能性があります。

入口圧力のMultiplier Functionの作成

AcuSolveは、シミュレーション中に時間や時間ステップに応じて値を増減させることができる機能を備えています。これは、Multiplier Functionを使用して実現されます。このチュートリアルでは、シミュレーションの進行に伴って入口の全圧が変化します。Multiplier Functionを利用することで、入口の圧力変化をモデル化する関数を簡単に設定できます。

次の手順では、入口の圧力のMultiplier Functionを作成します。このMultiplier Functionは、このチュートリアルで後ほど入口に適用されます。

このチュートリアルでは、入口圧力は0パスカルから始まり、29,000Paまで増加して、少しの間その状態を維持し、その後、0Paまで減少します。


図 21.

Multiplier Functionをできるだけ簡単に作成できるようにするには、Data Tree ManagerPB*フィルタを使用します。

  1. Data Tree ManagerPB*をクリックすると、すべての問題定義設定が表示されます。
  2. Data TreeでGlobalの下のMultiplier Functionを右クリックし、Newをクリックして新しいMultiplier Functionを作成します。
  3. Multiplier Functionの名前を変更します。
    1. 新しく作成したMultiplier Function 1を右クリックし、Renameをクリックします。
    2. inlet pressureと入力します。
      注: Data Tree内の項目の名前を変更した場合、Enterキーを押すまでは変更内容は保存されません。Enterキーを押さずに入力フォーカスをその項目から移動すると、変更内容は失われます。
    3. inlet pressureをダブルクリックして、multiplier function詳細パネルを開きます。
  4. TypeをPiecewise Linearに設定します。
  5. Curve fit variableをTimeに設定します。
  6. Evaluation typeがPer Time Stepに設定されていることを確認します。
    この値は、AcuSolveがこのMultiplier Functionを時間ステップごとに1回評価することを示しています。


    図 22.
  7. 入口圧力プロファイルの関数値を追加します。
    1. Open ArrayをクリックしてArray Editorダイアログを開きます。
    2. Addを5回クリックして、5つの新規行を追加します。
    3. X(時間)とY(圧力)に対して、次の値を入力します。
      X Y
      0.0 0.0
      0.002 0.0
      0.05 29000
      0.2 29000
      0.25 0.0
      0.35 0.0


      図 23.
    4. Plotをクリックし、Array Editorダイアログを拡張表示してカーブフィット値のプロットを表示します。
      プロットを表示するには、右端をドラッグすることでダイアログを拡張表示する必要があります。


      図 24.
    5. OKをクリックします。
    これらのエントリを使用して、シミュレーション全体を通して入口圧力の変化が制御されます。

ボリュームパラメータの適用

ボリュームグループは、ボリュームに関する情報を保存するためのコンテナです。これらの情報には、そのコンテナに関連付けられた形状ボリュームのリストや、材料モデルやメッシュサイジング情報などの属性が含まれます。

形状がAcuConsoleにインポートされたときに、すべてのボリュームは“デフォルトの”ボリュームコンテナに配置されました。

次の手順では、デフォルトのボリュームグループの名前を変更し、そのボリュームの材料を水として設定します。

  1. Data Tree ManagerBASをクリックして、Data Tree内の基本ビューに切り替えます。
  2. をクリックすることでModelツリー項目を拡張表示します。
  3. Volumesを拡張表示します。
  4. デフォルトのボリュームの名前をFluidに変更します。
    1. Volumesの下にあるdefaultを右クリックして、コンテキストメニューのRenameをクリックします。
    2. Fluidと入力します。
  5. シミュレーションで流体に使用される材料モデルを設定します。
    1. をクリックすることでFluidツリー項目を拡張表示します。
    2. Element SetをダブルクリックしてElement Set詳細パネルを開きます。
    3. Material modelの横にあるドロップダウンコントロールをクリックします。
    4. Waterをクリックします。


    図 25.
次の一連の手順では、 をクリックすることで、Fluidの表示をオフ()にすると便利です。

サーフェスグループの作成とサーフェス属性の適用

サーフェスグループは、サーフェスに関する情報を保存するためのコンテナです。これらの情報には、そのコンテナに関連付けられた形状サーフェスのリストや、境界条件、サーフェス出力、メッシュサイジング情報などの属性が含まれます。

次の手順では、サーフェスグループを定義して、問題内の各グループに適切な属性を割り当てて、これらのグループにサーフェスを追加します。

入口の流入境界条件の設定

次の手順では、入口のサーフェスグループを定義し、過渡圧力を表すMultiplier Functionを割り当てて、その入口を形状からこのサーフェスグループに追加します。

  1. 新しいサーフェスグループを作成します。
    1. Data TreeSurfacesを右クリックします。
    2. Newをクリックします。
  2. サーフェスの名前をInletに変更します。
  3. ツリー内でInletサーフェスを拡張表示します。
  4. Simple Boundary Conditionをダブルクリックして詳細パネルを開きます。
  5. Advanced featuresをオンにします。
    これにより表示されるStagnation pressure multiplier functionコントロールを使用して、Multiplier Functionを入口に関連付けます。
  6. TypeをInflowに変更します。
  7. Inflow typeをStagnation Pressureに変更します。
  8. Stagnation pressureを1.0N/m2に設定します。
  9. 入口の過渡圧力を適用するためのinlet pressure関数を使用するように、Stagnation pressure multiplier functionを設定します。
  10. Turbulence input typeをViscosity Ratioに設定します。
    このように設定すると、AcuSolveは、層流粘性に対する乱流粘性の比率と材料モデルに基づいて渦粘性を計算します。
  11. Turbulence viscosity ratioを10に設定します。


    図 26.
  12. Inletグループに形状サーフェスを追加します。
    1. Inletを右クリックして、Add toをクリックします。
    2. 形状の左側付近でCtrlキーを押しながら左クリックしてカーソルを右にドラッグすることで、形状を回転します。
    3. 入口面をクリックします。


      図 27.

      この時点で、入口がハイライト表示されます。

    4. Doneをクリックして、この形状サーフェスをInletサーフェスグループに追加します。

出口の流出境界条件の設定

次の手順では、出口のサーフェスグループを定義して、適切な属性を割り当て、形状内の出口をこのサーフェスグループに追加します。

  1. 新しいサーフェスグループを作成します。
  2. サーフェスの名前をOutletに変更します。
  3. ツリー内でOutletサーフェスを拡張表示します。
  4. Simple Boundary Conditionをダブルクリックして詳細パネルを開きます。
  5. TypeをOutflowに変更します。
  6. Outletサーフェスコンテナに形状サーフェスを追加します。
    1. Outletを右クリックして、Add toをクリックします。
    2. 形状の右端付近でCtrlキーを押しながら左クリックしてカーソルを左側に動かすことで、モデルを回転して出口を表示します。
    3. 出口面をクリックします。


      図 28.

      この時点で、出口がハイライト表示されます。

    4. Doneをクリックして、この形状サーフェスをOutletグループのサーフェス設定に関連付けます。

対称面の対称境界条件の設定

この問題は回転周期性を持っているため、形状の一部分を使用したモデル化が可能になります。このチュートリアルでは、30度分の形状をモデル化します。このことを利用するために、この部分の前面と後面を対称面として特定できます。その理由は、流れ方向でない流れの寄与がわずかであるためです。対称境界条件によって、平面の片面からの流れ場は反対側からの流れ場のミラーイメージとなるなどの制約条件が適用されます。

次の手順では、モデル化された部分の前方に対称面のサーフェスグループを定義してから、後方対称面の2つ目のサーフェスグループを作成します。

  1. 新しいサーフェスグループを作成します。
  2. サーフェスの名前をFront symmetryに変更します。
  3. Front symmetryの下にあるSimple Boundary Conditionをダブルクリックして、Simple Boundary Condition詳細パネルを開きます。
  4. TypeをSymmetryに変更します。
  5. Mesh displacement BC typeをSlipに変更します。
    これにより、メッシュが平面に沿って自由に移動できるようになります。
  6. Front symmetryおよびdefaultを除くすべてのサーフェス項目の表示をオフにします。


    図 29.
  7. このグループに形状サーフェスを追加します。
    1. Front symmetryを右クリックして、Add toをクリックします。
    2. 入口付近と出口付近の対称面をクリックします。


      図 30.

      この時点で、前方対称面がハイライト表示されます。

    3. Doneをクリックして、これらの形状サーフェスをFront symmetryサーフェスグループに追加します。
  8. 新しいサーフェスグループを作成します。
  9. サーフェスの名前をBack symmetryに変更します。
  10. Back Symmetryの下にあるSimple Boundary Conditionをダブルクリックして、Simple Boundary Condition詳細パネルを開きます。
  11. TypeをSymmetryに変更します。
  12. Mesh displacement BC typeをSlipに変更します。
    これにより、メッシュが平面に沿って自由に移動できるようになります。


    図 31.
  13. Back Symmetryおよびdefaultを除くすべてのサーフェス項目の表示をオフにします。
  14. このグループに形状サーフェスを追加します。
    1. Back symmetryを右クリックして、Add toをクリックします。
    2. 入口付近と出口付近の対称面をクリックします。


      図 32.

      この時点で、後方対称面がハイライト表示されます。

    3. Doneをクリックして、これらの形状サーフェスをBack symmetryサーフェスグループに追加します。

バルブシャッター壁の外部コードサーフェス属性の設定

過渡入口圧力からもたらされるこのサーフェスの動きは、MotionSolveでモデル化されます。次の手順では、バルブシャッター壁のサーフェスグループを定義して、適切な設定を割り当て、形状内のフェイスをこのサーフェスグループに追加します。
  1. Data Tree ManagerALLをクリックすると、すべての設定を表示します。
  2. 新しいサーフェスグループを作成します。
  3. サーフェスの名前をValve wallに変更します。
  4. Valve wallのSimple Boundary Conditionを無効にします。
  5. External Code Surfaceを有効にします。
    境界条件オプションを無効にし、外部コードオプションを有効にすることは、境界条件が外部コード(MotionSolve)によって処理されることを示します。
  6. Coupling typeをRigid Bodyに設定します。
    これは、外部コードによってこのサーフェスの剛体情報が提供されることを示します。
  7. Rigid body nameModel-Shutter Body と入力します。
    ここで入力した名前は、このサーフェスの力と動きについての情報がAcuSolveMotionSolveとの間で必ず一致するように、準備されたMotionSolveモデルValve_model.xmlでのボディ名と一致する必要があります。


    図 33.
  8. View Managerツールバーの をクリックして、初期ビューに戻します。.
  9. マウスの右ボタンまたはView Managerツールバー上の を使用して、バルブのシャッターとステムを表す形状部分を拡大します。
  10. モデル上で左クリックし、カーソルを下と右にドラッグしてビューを回転し、シャッターとステムの壁を表示します。


    図 34.
  11. Valve wallおよびdefaultを除くすべてのサーフェス項目の表示をオフにします。
  12. このグループに形状サーフェスを追加します。
    1. Valve wallを右クリックして、Add toをクリックします。
    2. Shiftキーを押しながら左クリックして、バルブとステムを囲むように選択ボックス(ラバーバンド)をドラッグします。


      図 35.
    3. マウスの左ボタンを放すと、バルブのシャッターとステムがハイライト表示されます。


      図 36.
    4. Doneをクリックして、これらの形状サーフェスをValve wallサーフェスグループに追加します。

管壁の壁境界条件の設定

形状がAcuConsoleに読み込まれたときに、すべての形状サーフェスはデフォルトサーフェスグループに配置されました。前の手順では、自分で作成したグループに配置される形状サーフェスを選択しました。この時点で、デフォルトのサーフェスグループに残っているのは管壁のみです。新しいコンテナを作成し、形状内の壁サーフェスをこのコンテナに追加してから、デフォルトのサーフェスコンテナを削除する代わりに、既存のコンテナの名前を変更します。

  1. defaultサーフェスの名前をPipe wallに変更します。
  2. Pipe wallの下にあるSimple Boundary Conditionをダブルクリックして、詳細パネルを開きます。
    デフォルトの壁設定が管壁用に使用されます。


    図 37.

節点出力頻度の設定

次の手順では、非定常解析の結果がディスクに書き込まれる頻度に影響を与える属性を設定します。実行の完了後に、シミュレーションのアニメーションを作成するために結果を使用できます。各時間ステップの後に結果を書き込むことで、出力状態のコレクションが作成されます。これにより、バルブとバルブ止め具との間の接触の視覚解像度が最適な状態となります。
  1. Data Treeで、Globalの下にあるOutputをダブルクリックして拡張表示します。
  2. Nodal Outputをダブルクリックして、Nodal Output詳細パネルを開きます。
  3. Time step frequencyに1と入力します。
    この値を指定すると、AcuSolveは時間ステップごとに結果を書き込みます。


    図 38.

メッシュコントロールの割り当て

グローバルメッシュパラメータの設定

シミュレーションの定義が完了したので、メッシャーによって作成されるメッシュのサイズを設定します。

AcuConsole は、グローバル、ゾーンおよび形状という3つのレベルのメッシングコントロールをサポートしています。
  • グローバルメッシュコントロールは、モデル全体に適用され、モデルのどの形状コンポーネントにも関連付けられません。
  • ゾーンメッシュコントロールは、モデルの定義済み領域に適用されますが、どの特定の形状コンポーネントにも関連付けられません。
  • 形状メッシュコントロールは、特定の形状コンポーネントに適用されます。これらのコントロールは、ボリュームグループ、サーフェスグループ、またはエッジグループに適用できます。

次の手順では、グローバルメッシング属性を設定します。その後の手順では、ゾーンとサーフェスのメッシング属性を作成します。

  1. データツリーマネージャーMSHをクリックして、Data Tree内の設定をフィルタ処理して、メッシングに関するコントロールのみを表示します。
  2. GlobalData Tree項目をダブルクリックして拡張表示します。
  3. Global Mesh Attributesをダブルクリックして詳細パネルを開きます。
  4. Mesh size typeをAbsoluteに変更します。
  5. Absolute mesh sizeに0.005mと入力します。
    このメッシュサイズを選択する目的は、主管の周縁の周りに50個以上のメッシュ要素が得られるようにするためです。
  6. Curvature refinement parametersオプションをオフにします。
  7. Mesh growth rateを1.2に変更します。
    このオプションによって、サーフェスとボリュームのサイズが異なる領域間でメッシュが遷移する率を制御します。この値を1.2に設定すると、細かいメッシュが作成された領域と粗いメッシュが作成された領域の間でゆるやかな遷移が可能になります。
  8. Maximum sweep angleを30.0度に設定します。
    このオプションを使用すると、エッジブレンドメッシングの最大スイープ角度をグローバルに設定できます。これにより、鋭いエッジの周囲に要素の放射状配列が作成され、流れの特徴に対してより優れた解像が可能になります。このスイープ角度を使用して、それぞれの放射区画が占める度数が制御されます。


    図 39.

ゾーンメッシングパラメータの設定

問題全体のメッシング特性を設定することに加えて、問題内のゾーンにメッシング属性を割り当て、グローバルメッシュよりも細分化されたメッシュで流れを解析できるようにします。基本形状を使用してZone Mesh refinementを作成し、その形状内のメッシュサイズを制御できます。これらのタイプのメッシュ細分化は、どの形状項目にも対応していない領域内で細分化が必要な場合に使用されます。

以下の手順では、バルブギャップ周囲およびバルブ本体周囲のゾーンにメッシュ細分化を追加します。

ギャップのゾーンメッシングパラメータの設定

次の手順では、バルブシャッターと開口部の間のギャップ周囲のゾーンの一連のメッシュ属性を追加します。

  1. ボリュームの表示をオフにします。
  2. Valve wallとPipe wallを除くすべてのサーフェスの表示をオフにします。
  3. View Managerツールバーの をクリックして、初期ビューに戻します。
  4. Data TreeでGlobal分岐の下にあるZone Mesh Attributesを右クリックして、Newをクリックします。
  5. Zone Mesh Attributes 1の名前をGap mesh refinementに変更します。
  6. Gap mesh refinementをダブルクリックして、Zone Mesh Attributes詳細パネルを開きます。
  7. Mesh zone typeをCylinderに変更します。
  8. 円筒の終端フェイスの中心点を定義することで、メッシュ細分化の場所を設定します。
    1. Open ArrayをクリックしてArray Editorダイアログを開きます。
    2. X-coordinateの1に-0.05と入力します。
    3. X-coordinateの2に-0.03と入力します。
    4. Y-coordinateの1と2に0.025と入力します。
    5. Z-coordinateの1と2に0.0と入力します。
    6. OKをクリックします。
  9. Radiusに0.01mと入力します。
    この半径を使用して、チェックバルブのモデル化された部分のギャップを囲む円筒が定義されます。
  10. Mesh sizeに0.0015mと入力します。
    この結果として得られるゾーンでは、初期位置の開口部のエッジとシャッターの間に3つ以上のセルが配置されるメッシュサイズが使用されます。


    図 40.


    図 41.

バルブ本体のゾーンメッシングパラメータの設定

次の手順では、バルブ本体周囲のゾーンメッシュ属性を追加します。

  1. Data TreeでGlobal分岐の下にあるZone Mesh Attributesを右クリックして、Newをクリックします。
  2. Zone Mesh Attributes 1の名前をValve body mesh refinementに変更します。
  3. Valve body mesh refinementをダブルクリックして、Zone Mesh Attributes詳細パネルを開きます。
  4. Mesh zone typeをCylinderに変更します。
  5. 円筒の終端フェイスの中心点を定義することで、メッシュ細分化の場所を設定します。
    1. Open ArrayをクリックしてArray Editorダイアログを開きます。
    2. X-coordinateの1に-0.06と入力します。
    3. X-coordinateの2に0.04と入力します。
    4. Y-coordinateの1と2に0.02と入力します。
    5. Z-coordinateの1と2に0.0と入力します。
    6. OKをクリックします。
  6. Radiusに0.021mと入力します。
    この半径を使用して、チェックバルブのモデル化された部分のギャップを囲む円筒が定義されます。
  7. Mesh sizeに0.0025mと入力します。
    これにより、メッシュサイズがグローバルメッシュサイズの半分であるゾーンが得られます。


    図 42.


    図 43.

サーフェスグループのメッシング属性の設定

以下の手順では、このチュートリアルで以前に作成したサーフェスグループ上のメッシュサイズを局所的に制御できるようにするメッシング属性を設定します。具体的には、管壁とバルブ壁のサーフェスに対して垂直な境界層要素の成長を制御するローカルメッシング属性を設定します。

管壁のサーフェスメッシング属性の設定

次の手順では、管壁付近のメッシュの局所的制御を可能にするメッシング属性を設定します。管壁上のメッシュサイズは、以前に定義されたグローバルメッシュサイズから継承されます。それに続く設定は、管壁から流体ボリューム内への境界層の成長のみを制御します。

  1. Model > Surfaces > Pipe wallの順にツリー項目を拡張表示します。
  2. Surface Mesh Attributesの横にあるチェックボックスをクリックして設定を有効にし、Surface Mesh Attributes詳細パネルを開きます。
  3. Mesh size typeをNoneに変更します。
    このオプションでは、管壁のサーフェス上にメッシュを作成する際にメッシャーがグローバルメッシング属性を使用することを指定します。
  4. Boundary layer flagオプションを有効にします。

    このオプションを使用すると、壁に対して垂直方向のメッシングがどのように処理されるのかを定義できます。

  5. ResolveオプションをTotal Layer Heightに設定します。
    境界層のメッシュ要素がサーフェスから法線方向に成長させられることで、滑り無し壁付近の急勾配の効果的な解析が可能になります。これらの層は、いくつかのオプションを使用して指定できます。このチュートリアルでは、最初の層の高さ、後続層の延伸比(成長率)、および生成する層の合計数を指定します。AcuConsole は、ユーザーが指定した属性に基づいて層高さの合計を解析します。つまり、最初の要素の高さ、成長率、および次の数ステップで指定される層の数に基づいて、層高さの合計が計算されます。
  6. First element heightに0.00035mと入力します。
  7. Growth rateに1.2と入力します。
  8. Number of layersに3と入力します。
  9. Boundary layer blends flagオプションを有効にします。
    このオプションを有効にすると、外部コーナーの周囲に境界層要素の放射状配列が作成されます。
  10. Maximum sweep angleに30.0度と入力します。


    図 44.

バルブ壁のサーフェスメッシング属性の設定

次の手順では、バルブシャッターアセンブリ壁付近のメッシュサイズの局所的制御を可能にするメッシング属性を設定します。

  1. Model > Surfaces > Valve wallの順にツリー項目を拡張表示します。
  2. Surface Mesh Attributesの横にあるチェックボックスをクリックして設定を有効にし、Surface Mesh Attributes詳細パネルを開きます。
  3. Mesh size typeをNoneに変更します。
  4. Boundary layer flagオプションを有効にします。
  5. ResolveオプションをTotal Layer Heightに設定します。
  6. First element heightに0.00015mと入力します。
  7. Growth rateに1.2と入力します。
  8. Number of layersに3と入力します。
  9. Boundary layer blends flagオプションを有効にします。
    このオプションを有効にすると、外部コーナーの周囲に境界層要素の放射状配列が作成されます。
  10. Maximum sweep angleに30.0度と入力します。


    図 45.

メッシュの生成

次の手順では、問題の解を計算する際に使用されるメッシュを生成します。

  1. ツールバーの をクリックしてLaunch AcuMeshSimダイアログを開きます。
  2. Okをクリックしてメッシングを開始します。

    メッシング時に、AcuTailウィンドウが開きます。メッシングの進行状況はこのウィンドウで報告されます。メッシングプロセスのサマリーで、メッシュが生成されたことが示されます。



    図 46.
  3. サーフェス上にメッシュを表示します。
    1. Data TreeGlobalの下にあるZone Mesh Attributesを右クリックして、Display offをクリックします。
    2. Data TreeVolumesを右クリックして、Display offをクリックします。
    3. Data TreeSurfacesを右クリックして、Display onをクリックします。
    4. Data TreeSurfacesを右クリックして、Display typeを選択し、solid & wireをクリックします。
  4. ビューを回転、移動、またはズームして、メッシュを検証します。
  5. サーフェスの横にある をクリックしてサーフェスの表示をオフ状態()にすることで、Global > Zone Mesh Attributesの下のGap mesh refinementとValve wall mesh refinementの表示をオフにします。

    前方対称面上のメッシュの詳細を以下に示します。このビューは、View Managerツールバー上の を使用してビューの方向を変更してから、モデルを拡大することで得られました。



    図 47. 前方対称面に表示されたバルブ周囲のメッシュの詳細

    グローバル設定によってサイズが決まる領域から、設定の対象がより細かいメッシュであるギャップ周囲のゾーンへ移行する中で、管内のメッシュサイズが左から右へと小さくなることに留意してください。バルブシャッターの右側のメッシュは、ユーザーが作成したバルブ本体のメッシュ細分化で決定される全体メッシュより小さいことにも留意してください。

解の計算と結果の確認

問題の検討

このチュートリアルでは、流れ場用のAcuSolveと剛体力学用のMotionSolveとの連成解析を使用します。このチュートリアルの問題の解析には、以下の2つの手順が含まれています。
  1. AcuSolveを起動します。
  2. MotionSolveを起動します。

次の一連の手順では、これら2つのタスクについて説明します。

AcuSolveの実行

次の手順では、AcuSolveを起動してこのケースの解を計算します。

  1. ツールバーでをクリックしてLaunch AcuSolveダイアログを開きます。
  2. お使いのシステムに4つ以上のプロセッサがある場合は、Number of processorsに4と入力します。
    複数のプロセッサを使用すると、解析時間を短縮できます。
  3. その他すべてのデフォルト設定を受け入れます。
    これらの設定に基づき、AcuConsoleAcuSolveの入力ファイルを生成してから、ソルバーを起動します。AcuSolve は、4個のプロセッサ上で実行し、この問題の非定常解を計算します。
  4. Okをクリックして解析プロセスを開始します。

    計算中、AcuTailウィンドウが開きます。解析の進行状況はこのウィンドウで報告されます。解析プロセスのサマリーで、実行が完了したことが示されます。

    このサマリーで提供される情報は、AcuSolveで使用されるプロセッサの数に基づいています。このチュートリアル内で示されている数と異なる数のプロセッサを使用した場合は、示されているサマリーと実行時のサマリーが少し異なる場合があります。



    図 48.
  5. AcuTailウィンドウを閉じ、データベースを保存して設定のバックアップを作成します。

MotionSolveの実行

次の手順では、MotionSolveを起動し、AcuSolveと通信するための設定を行います。
  1. Start > All Programs > Altair HyperWorks <version> > MotionSolveを実行し、HyperWorks Solver Run Managerを開きます。
  2. Input file(s)欄の横の をクリックして、Valve_model.xmlを保存した場所に移動し、このファイルを開きます。
  3. をクリックして、Available Optionsダイアログを開きます。
  4. MotionSolveAcuSolveとの連成を示すよう-as_cosimオプションを有効にします。


    図 49.
  5. 表示された-as_cosimダイアログで、Noneをクリックします。
  6. Available Optionsオプションダイアログで、Apply Optionsをクリックし、ダイアログを閉じます。
  7. RunをクリックしてMotionSolveを起動します。
    解析が進行すると、HyperWorks Solver Viewウィンドウが開きます。解析の進行状況はこのウィンドウで報告されます。AcuSolve AcuTailウィンドウも解析の進行に合わせて更新されます。


    図 50.
解析の進行に合わせて、AcuProbeで進捗を確認できます。これについては、次のステップで詳細を説明します。

AcuProbeによる解析のモニター

AcuSolveの実行中は、AcuProbeを使用して入口圧力、バルブの変位、およびバルブの速度などの流動特性を確認できます。

  1. ツールバーの アイコンをクリックして、AcuProbeを開きます。
  2. Data TreeSurface Output > Inlet > Pressureを拡張表示します。
  3. pressureを右クリックし、Plotを選択します。
    注: プロットを正しく表示するために、ツールバーで をクリックする必要がある場合があります。
  4. Surface Output項目の下にあるInletを閉じます。
  5. Surface Output項目の形状下にある Valve wall > Geometryを拡張表示します。
  6. mesh_x_displacementを右クリックし、Plotを選択します。


    図 51.

    バルブの動きは入口での圧力の変化より遅れるということに注意してください。また、25番目の時間ステップのあたりでの急上昇にも注意してください。これは、バルブステムが止め具と衝突し、その後でバルブが跳ね返ることを表します。

AcuProbeによるバルブ壁の速度のポスト処理

AcuProbe では、その他の多くの数量をプロットできます。そのうちの1つは、動いているバルブの速度です。次の手順では、バルブ壁のx速度のプロットを作成します。
  1. 入口でのpressureのプロットをオフにします。
    1. Inletを右クリックします。
    2. Plot Noneを選択します。
  2. Valve wall > Momentumを拡張表示します。
  3. x_velocityを右クリックし、Plotを選択します。
  4. ツールバーでをクリックし、プロットを更新します。


    図 52.

    25番目の時間ステップのあたりでのmesh_x_displacementの急上昇がバルブ壁の速度の急低下に対応していることに注意してください。これは、バルブステムと止め具との衝突およびその後の跳ね返りが負のX速度に反映されていることを表します。

AcuFieldViewでの結果の表示

計算が終了したので、AcuFieldViewを使用して流れ場を表示する準備ができました。AcuFieldViewは、AcuSolveに緊密に統合されたサードパーティ製のポスト処理ツールです。AcuFieldViewAcuConsoleから直接開始できますが、スタートメニューやコマンドラインから開始することもできます。このチュートリアルでは、AcuSolveによって解が計算された後に、AcuConsoleからAcuFieldViewを開始します。

次の手順では、AcuFieldViewの起動、速度の表示、メッシュの変位を表示するビューのアニメーション化を行います。その後、バルブシャッターが最大変位であるときの速度ベクトルおよび圧力コンターを表示します。

AcuFieldViewの起動

  1. AcuConsoleツールバーで をクリックしてLaunch AcuFieldViewダイアログを開きます。
  2. OkをクリックしてAcuFieldViewを起動します。
    AcuConsoleからAcuFieldViewを起動するときには、ディスクに書き込まれた、解析の最後の時間ステップの結果が、ポスト処理のために読み込まれます。

前方対称面での速度の表示

次の手順では、モデル化された薄片の前方対称面に速度のコンターを表示するための境界サーフェスを作成します。

これらの手順では、ユーザーがAcuFieldViewのビューを操作して、白の背景に設定できること、遠近法表示をオフにできること、アウトラインをオフにできること、および表示方向を+Zに設定できることを前提としています。AcuFieldViewの基本的な操作がわからない場合は、AcuFieldViewにおけるモデルビューの操作をご参照ください。

  1. をクリックしてBoundary Surfaceダイアログを開きます。
    注: このダイアログはすでに開かれている場合があります。この手順では、このダイアログに焦点を当てます。


    図 53.
  2. Show Meshオプションを無効にします。
  3. 表示するスカラー場としてvelocity_magnitudeを設定します。
    1. Scalar Functionコントロールグループ内でSelectをクリックし、Function Selectionダイアログを開きます。
    2. リストからvelocity_magnitudeを選択します。
      注: 必要に応じてリストを下にスクロールし、velocity_magnitudeを見つけてください。
    3. Calculateをクリックします。
  4. コンター表示用の場所として前方対称面と管壁を設定します。
    1. SBC: Front symmetryをクリックします。
    2. Ctrlキーを押しながらSBC: Pipe wallをクリックします。
    3. OKをクリックします。
  5. 凡例Legendをビューに追加します。
    1. Boundary SurfaceダイアログでLegendタブをクリックします。


      図 54.
    2. Show Legendオプションを有効にします。
    3. Frameオプションを有効にします。
    4. ColorグループのGeometricの横にある白の色見本をクリックして、Legend値の色を黒に設定します。
    5. Decimal Placesを1に設定します。
    6. Title欄の横にある白の色見本をクリックして、タイトルの色を黒に設定します。


    図 55.

    このイメージは、白の背景を使用して、遠近法表示とアウトラインをオフにし、表示方向を+Zに設定して作成されました。

    AcuSolveからデータが読み込まれると、AcuFieldViewには最後の時間ステップの情報が表示されます。以下の手順では、最初の時間ステップの速度を表示してから、この表示をアニメーション化して、シミュレーション全体にわたるバルブシャッターの動きと速度変化を示します。

速度の表示のアニメーション化

次の手順では、過渡スイープを作成し、AcuFieldViewから独立して表示できるアニメーションとしてこのスイープを保存します。最初のステップとして、凡例で使用されるカラーマップを変更します。

  1. この過渡スイープ全体にわたって定義した最大値と最小値を使用するように、このカラーマップを設定します。
    1. Colormapタブをクリックします。


      図 56.
    2. 最大値として6.6を入力します。
    3. 最小値として0を入力します。
    これらの設定値はこの過渡スイープ全体にわたって使用され、その結果として、各時間ステップのコンターすべてがこの指定された範囲を基準としたものになります。
  2. ToolsメニューをクリックしてからTransient Dataをクリックし、Transient Data Controlsダイアログを開きます。
  3. Tools > Flipbook Build Modeをクリックします。
  4. OKをクリックしてFlipbook Size Warningダイアログを抜けます。
    Transient Data ControlsダイアログのSweepボタンがBuildに変わります。


    図 57.
  5. スライダーコントロールを使用してSolution Timeを最初の時間ステップに設定し、Applyをクリックします。
  6. Buildをクリックします。
    AcuFieldViewでフリップブックアニメーションが作成されるときには、あらかじめTransient Data Controlsダイアログにコントロールが表示されます。フリップブックが作成されると、Flipbook Controlsダイアログでそのアニメーションの再生または保存が可能になります。


    図 58.
  7. Frame Rateをクリックして、Minimum Time Secondsを0.1に設定します。
  8. Flipbook Controlsダイアログ上のコントロールを使用して、アニメーションを再生および一時停止します。
  9. アニメーションをmesh_velocity_mag_coupledという名前で保存します。
    AcuFieldView によって適切なファイル拡張子が付加されます。Windowsの場合は、mesh_velocity_mag_coupled.aviというファイルが保存されます。このアニメーションは、Windows Explorer上でダブルクリックすることでAcuFieldViewから独立して表示できます。
  10. Flipbook ControlsダイアログをCloseで閉じ、OKをクリックしてFlipbook Exit Confirmation警告を抜けます。

中央Z座標サーフェス上の圧力コンターおよび速度ベクトルの表示

次の手順では、モデル化された部分の中央Z平面に座標サーフェスを作成します。さらに、そのサーフェス上の圧力コンターと速度ベクトルを表示します。

  1. 速度の表示を作成するために使用されるBoundary Surfaceダイアログ上のVisibilityオプションを無効にします。
  2. View > Defined Viewsを開いて、ビューを+Zに設定します。
  3. をクリックしてCoordinate Surfaceダイアログを開きます。
  4. 中央Z平面に新しい座標サーフェスを作成して設定します。
    1. Createをクリックします。
    2. Display TypeをSmoothに変更します。
    3. ColoringをScalarに変更します。
    4. 表示するスカラー関数として、Scalar Functionでpressureを選択します。
    5. 面をZに設定します。
      このサーフェスは、Z方向の形状中央においてXY平面内に作成されます。
    6. Colormapタブをクリックして、Scalar ColoringグループのLocalを有効にします。
    7. Legendタブをクリックして、Show Legendオプションを有効にします。
    8. Subtitle欄の横にある黒の色見本をクリックして、サブタイトルの色を白に設定します。
  5. 速度ベクトルの表示用として中央Z平面に2つ目の座標サーフェスを作成します。
    1. Coordinate SurfaceダイアログのSurfaceタブでCreateをクリックします。


      図 59.
    2. TypeをVectorsに変更します。
    3. Vectorsの横にあるOptionsをクリックします。


      図 60.
    4. Head Scalingを有効にして、スケーリングを0.25に設定します。
    5. Length Scaleを0.5に設定します。
    6. Skipオプションを有効にして、75%に設定します。
    7. Vector Optionsダイアログを閉じます。
    8. Coloring をGeometricに変更します。
    9. Geometricの色を白に設定します。
    10. 面をZに設定します。
      このサーフェスは、Z方向の形状中央においてXY平面内に作成されます。
  6. モデルのバルブ本体領域を拡大します。
  7. 78番目の時間ステップを表示するように過渡データを設定します。
    1. Tools > Transient Dataを開きます。
    2. スライダーを使用してStepを78に設定します。


    図 61.

要約

このチュートリアル、では、移動メッシュおよび可変入口圧力の非定常解析を設定する基本的なワークフローに取り組みました。このケースの解析は、流れ場用のAcuSolveと剛体力学用のMotionSolveの連成解析です。ケースが設定された後、メッシュを生成し、AcuSolveおよびMotionSolveを使用して解を生成しました。MotionSolveを使用してバルブシャッターの動き(x_mesh_displacement)とバルブ壁の速度をポスト処理しました。また、コンターおよびベクトルのビューを作成したり、過渡データを表示できるようにするため、AcuFieldViewで結果もポスト処理しました。このチュートリアルで紹介した新機能は、外部コードとの連成解析、流体構造連成、メッシュモーション、非定常解析、Multiplier Function、AcuProbeでのポスト処理、および過渡結果のアニメーションです。