ACU-T:4200 湿度 – 合流管

前提条件

このチュートリアルでは、合流管モデルを用いた基本的な湿度移動の過渡解析の設定と実行方法を説明します。このチュートリアルを実行する前に、HyperWorksの入門チュートリアルであるACU-T:1000 HyperWorksユーザーインターフェースをすでに完了しHyperWorks CFDAcuSolveの基本を理解しているものとします。この解析を実行するには、ライセンス供与済みバージョンのHyperWorks CFDAcuSolveにアクセスできる必要があります。

このチュートリアルを実行する前に、HyperWorksCFD_tutorial_inputs.zip<Altair_installation_directory>\hwcfdsolvers\acusolve\win64\model_files\tutorials\AcuSolveから作業ディレクトリにコピーします。 ACU-T4200_Humidity.hm をHyperWorksCFD_tutorial_inputs.zipから取り出します。

問題の説明

このチュートリアルで扱う問題は、図 1で図式的に示されています。ここでは、例として合流管の問題を取り上げて、AcuSolveにおける湿度モデリングの機能を確認します。この問題には、流れ、温度、湿度の条件が異なる2つの入口があります。流れが管の下流に進むと、2本の管が合流して1本の管になり、1つの出口を形成します。その結果、合流前とは異なる温度と湿度のプロファイルが発生します。形状は管のXZ中央平面に関して対称です(図を参照)。



図 1.

HyperWorks CFDの起動とHyperMeshデータベースのオープン

  1. Windows のスタートメニューからスタート > Altair <バージョン> > HyperWorks CFDをクリックして HyperWorks CFDを起動します。
  2. HomeツールのFilesツールグループからOpen Modelツールをクリックします。


    図 2.
    Open Fileダイアログが開きます。
  3. モデルファイルの保存先ディレクトリを参照します。HyperMeshファイルのACU-T4200_Humidity.hmを選択してOpenをクリックします。
  4. File > Save Asをクリックします。
  5. 名前をHumidityとして新しいディレクトリを作成し、このディレクトリへ移動します。
    このディレクトリが作業ディレクトリになり、シミュレーションに関連するすべてのファイルがこの場所に保存されます。
  6. データベースのファイル名としてHumidityと入力するか、別の名前を入力します。
  7. 保存をクリックしてデータベースを作成します。

形状の検証

Validateツールは、モデル全体をスキャンし、サーフェスおよびソリッド上でチェックを実行して、形状に不具合(フリーエッジ、閉じたシェル、交差、重複、スライバーなど)があればフラグ付けします。

シミュレーションの物理パートに集中するために、このチュートリアルの入力ファイルにはすでに検証済みの形状が含まれています。GeometryリボンのValidateアイコンの左上隅に青色のチェックマークが表示されていることを確認します。これは、形状が有効で、フロー設定に進めることを示しています。


図 3.

流れのセットアップ

シミュレーションパラメーターとソルバーの設定

  1. FlowリボンからPhysicsツールをクリックします。


    図 4.
    Setupダイアログが開きます。
  2. Physics modelsの設定で
    1. Multiphase flowラジオボタンを選択します。
    2. Multifluid typeをHumidity transportに設定します。
    3. Time step sizeを1sに設定し、Final timeを50sに設定します。秒
    4. TurbulenceモデルをSpalart-Allmarasに設定します。
    5. Gravityを(0,-9.81,0)に設定します。
    6. Pressure scaleをGaugeに設定してをクリックします。マイクロダイアログで、Absolute pressure offsetを101325Paに設定し、Escを押します。


    図 5.
  3. Solver controls設定をクリックします。
  4. Minimum stagger iterationsとMaximum stagger iterationsを両方とも2に設定します。


    図 6.
  5. ダイアログを閉じてモデルを保存します。

流れ境界条件の定義

  1. FlowリボンのProfiledツールグループからProfiled Inletツールをクリックします。


    図 7.
  2. 下図でハイライトされているサーフェスを選択します。
  3. マイクロダイアログで次の操作を行います。
    1. Average velocityを1m/secに設定します。
    2. Temperatureを333.15Kに設定します。
    3. Humidity input typeをDewpoint Temperatureに設定します。
    4. Dewpoint temperatureを278.15Kに設定します。


    図 8.
  4. 境界の凡例で、InletをダブルクリックしてHot_inletという名前に変更し、Enterを押します。
  5. ガイドバーをクリックすると、コマンドが実行されますが、ツールは終了しません。
  6. 下図でハイライトされているサーフェスを選択します。
  7. マイクロダイアログで次の操作を行います。
    1. Average velocityを3m/secに設定します。
    2. Temperatureを283.15Kに設定します。
    3. Humidity input typeをRelative Humidityに設定します。
    4. Relative humidityを20に設定します。


    図 9.
  8. 境界の凡例で、InletをダブルクリックしてCold_inletという名前に変更し、Enterを押します。
  9. ガイドバーをクリックすると、コマンドが実行されてツールが終了します。
  10. Outletツールをクリックします。


    図 10.
  11. 下図でハイライトされているサーフェスを選択し、ガイドバーをクリックします。


    図 11.
  12. Slipツールをクリックします。


    図 12.
  13. 下図でハイライトされているサーフェスを選択します(最小Y座標のサーフェス)。


    図 13.
  14. 境界の凡例で、Slipをダブルクリックしてy_negという名前に変更し、Enterを押します。
  15. ガイドバーをクリックしてします。
  16. 下図でハイライトされているサーフェスを選択します(最大Y座標のサーフェス)。


    図 14.
  17. 境界の凡例で、Slipをダブルクリックしてy_posという名前に変更し、Enterを押します。
  18. ガイドバーをクリックしてします。
  19. モデルを保存します。

解の計算

入力されたHyperMeshデータベースにはメッシュが含まれているので、再度メッシュを生成する必要はありません。

節点初期条件の定義

  1. SolutionリボンからPartツールをクリックします。


    図 15.
  2. パイプソリッドを選択します。
  3. ダイアログで、をクリックして、変数のリストからRelative HumidityTemperatureを選択し、ダイアログの空白部分をクリックします。
  4. Relative Humidityの初期値を20、Temperatureの初期値を333.15Kに設定します。


    図 16.
  5. ガイドバーをクリックしてします。

AcuSolveの実行

  1. SolutionリボンからRunツールをクリックします。


    図 17.
  2. Parallel processingオプションをIntel MPIに設定します。
  3. オプション: プロセッサーの数を、利用環境に合わせ、4または8に設定します。
  4. Default initial conditionsを展開します。
  5. 下図のようにTemperatureを333.15 Kに設定し、残りのフィールドを設定します。
  6. RunクリックしてAcuSolveを起動します。


    図 18.
    ヒント: AcuSolve の実行中に、Run StatusダイアログでAcuSolveジョブを右クリックし、View Log Fileを選択して、解析のプロセスをモニターします。
  7. Plotツールをクリックします。


    図 19.
  8. Plot Utilityダイアログで、Residual Ratio ダブルクリックして残差をプロットします。


    図 20.
  9. 終了したら、ダイアログを閉じます。

HW-CFD Postによる結果のポスト処理

この手順では、温度、相対湿度、湿度の質量分率、速度のコンタープロットを作成します。

  1. 解析の完了後、Postリボンに移動します。
  2. メニューバーで、File > Open > Resultsの順にクリックします。
  3. 作業ディレクトリでAcuSolveログファイルを選択し、ポスト処理の結果を読み込みます。
    ソリッドとすべてのサーフェスがPostブラウザに読み込まれます。
  4. Postブラウザで、Flow Boundariesの横のアイコンをクリックして、すべてのサーフェスの表示をオフにします。


    図 21.
  5. Slice Planesツールをクリックします。


    図 22.
  6. モデリングウィンドウで、x-z平面を選択します。


    図 23.
  7. スライス平面のマイクロダイアログで、をクリックしてスライス平面を作成します。
  8. 表示プロパティマイクロダイアログで、表示をtemperatureに設定します。
  9. をクリックして、Legendの切り替えをアクティブにします。
  10. をクリックして、Colormap NameをRainbow Uniformに設定します。


    図 24.
  11. ガイドバーで、をクリックして温度のコンタープロットを作成します。


    図 25.
  12. 温度コンターを非表示にして手順5~11を繰り返し、相対湿度について同様のコンタープロットを作成します。


    図 26.
  13. 相対湿度コンターを非表示にして手順5~11を繰り返し、湿度の質量分率について同様のコンタープロットを作成します。


    図 27.
  14. 湿度の質量分率コンターを非表示にして手順5~11を繰り返し、速度について同様のコンタープロットを作成します。


    図 28.

要約

このチュートリアルでは、HyperWorks CFDAcuSolveを使用して湿度輸送のシミュレーションを設定し、解析する方法を知ることができました。まず、HyperWorks CFD入力データベースをインポートして、流れの設定を定義しました。解析の完了後、HyperWorks CFDのプロットユーティリティを使用して、残存率のプロットを作成しました。最後に、HyperWorks CFD Postを使用して、温度分布、相対湿度、湿度の質量分率、速度のコンタープロットを作成しました。