Fastener結合リアライゼーション手法

Fastener結合のリアライゼーションのプロセスと方法の概要。

以下のフローチャートは、Fastener結合のリアライゼーションに最適な手順の構築用に4段階のプロセスの概要を示しています。


図 1.

リアライズタイプに応じて、メッシュの連続性は自動的に独立または従属として割り当てられます。

mesh independent
要素変更を必要としない、また結合が最初にソルバー特有のカードで定義されている、あるいはメッシュがシリンダー(cylinder)で定義されている場合、例えば、RadiossのBolt(cylinder spring)などでは、mesh independentオプションを使用します。
mesh independentオプションを使用するすべてのFastener結合リアライゼーションを定義します。穴の検出は、Fastener結合では穴を必要としないため実行されません。円筒内部のすべての節点は、コネクター上に定義されているリンクに属していない限りFastener結合リアライゼーションの一部として考慮されます。
円筒の寸法は、主にその直径、長さL1、および長さL2によって定義されます。
  • L1はコネクターベクトルと同じ方向を指し、コネクターの位置から円筒の最初の終端までの距離となります。
  • L2は逆方向を指し、コネクター位置と円筒の2つ目の終端の距離となります。
したがって、コネクターベクトルは、これらのリアライゼーションタイプには不可欠となります。
ベクトルが予め定義されておらずベクトルが動的に定義される場合、常にベクトルはコネクター位置から一番遠いリンクへの投影ポイントを結んだベクトルになります。


図 2. . 最初の2つの円筒では、動的なベクトルが使用されています。L1とL2を入れ違えることで、リアライゼーションの結果は大きく異なります。3番目の円筒ではL1とL2に2番目の円筒と同じ値が使用されていますが、グローバルのZ方向に予め定義されたコネクターベクトルによってより良い結果となっているのが確認できます。
いくつかの自動プロセスにおいては、円筒の直径はFastener結合シャフト直径によって自動的に定義されます。これは、ボルト穴が適切にモデル化されている場合、定義された円筒が節点を含まないためにシリンダーFastener結合定義が正しく行われない原因となります。円筒のdiameter factorが定義されている場合、この値はデフォルトで1.0に設定されており、最終的な円筒直径を増やす必要がある場合、これは倍数となります。
注: 円筒の直径および円筒直径係数は、Connectorブラウザ内で確認、修正ができます。また、ブラウザでは、複数のコネクターを、L1またはL2の値を変更することなく、変更された円筒直径および円筒直径係数複数でリアライズすることができます。これはパネルからはできません。


図 3.
mesh dependent
他のすべてのケースではこちらを使用します。
  1. メッシュに依存するタイプの場合は、決定する必要があります。
    • 各層の穴は、あらかじめ用意しておく必要があるか?
    • 最終のリアライゼーションが実行される前に、2次元メッシュをどのように準備するか?

    過去のFastener結合リアライゼーションでは、初期メッシュにおける各レイヤーに常に穴を備えている必要がありました。2Dメッシュの場合、これが必要なくなりました。これは、最終的なリアライゼーションが実行される前に、インプリント機能によってメッシュに必要な穴を開けることが可能になったためで、メッシュは前処理によって操作されます。これは、穴を開ける、穴を移動する、穴を閉じる、ワッシャーを作成することを可能にします。

    Connectivityの見出しの下で、次のいずれかを選択します。
    consider existing hole only
    オリジナルのメッシュの各層に、最低でも1つの穴が必要になります。穴が存在しない場合、リアライズされません。これは、デフォルトの手法で、すべてのタイプのソリッドメッシュはこれを使用する必要があります。


    図 4.
    create hole, if none
    あるレイヤーに穴が1つも存在しない場合、投影ポイント位置にそのレイヤーの穴が開けられます。新しい穴の直径はRealization Details見出しの下で定義できます。この手法は、Fastener結合ごとに穴を必要としないが、特定のリアライゼーションタイプ用に穴が必要な場合に使用されます。


    図 5.
    use hole, if available
    ハイブリッド(一方のサイドにのみ穴がある)を作成します。他の組み合わせも可能です。メッシュサイド(穴なし)上の結合は、選択されたリアライゼーションタイプで定義されたヘッド要素を通じリアライズされます。ヘッド要素は、適切なボディ要素の節点と、Realization Details見出しの下で定義される直径(no hole connection dia)の内側の節点間に作成されます。このオプションは、穴を必要としないリアライゼーションタイプに使用します。


    図 6.
    fill & remesh hole, if available
    このオプションは、Fastener結合領域のメッシュのフローに悪い影響を与える穴の形状を必要としない場合に使用します。検知された穴は閉じられ、リメッシュされ、周りの要素との整合性のためにいくつかの追加のメッシュ列が作成されます。選択されたリアライゼーションタイプで定義されたヘッド要素を通じ結合がリアライズされます。ヘッド要素は、適切なボディ節点と、Realization Details見出しの下で定義される直径(no hole connection dia)の内側の節点間に作成されます。


    図 7.
    注: 最後の3つのオプションにおいて、穴の検知メカニズムはRealization Details見出しの下で定義される円筒を考慮したうえで処理しています。hole consideration cylinderオプションは、no hole connection diaオプションのファクターとして、または実際の直径として定義されます。主に、円筒の内側または接している穴が検索されますが、考慮される穴は、1つのコネクターとリンクに対し1つの穴に減らされます。更に、、穴はRealization Details見出しの下で指定された直径と一致する必要があります。
  2. オプションcreate hole, if noneuse holeで、穴の移動を含むメッシュの変更が可能になります。したがって、ステップ3ではこれらのオプション用に、穴を調整するか、またはリアライゼーションを調整するかを選択します。
    adjust hole position (2D)
    穴の中心を投影ポイント位置に移動します。


    図 8.
    adjust realization
    穴の位置は変更されません。したがって、リアライズされた要素は穴の中心と揃わないことがあります。


    図 9.
  3. Define realize and hole detection details
    このStageは、図中の大きな矢印に示されるように、Stage 2と3に大きな影響を与えるため、抜かすことはできません。

    このStageには、すべてのリアライズと、最終的なリアライゼーションが行われる前に知っておくべき穴の検知に関する詳細が含まれます。リアライズと穴の検出は、Realization Detailsの見出しの下にあります。

    Hole Detection Details
    Dimension and Feature Angle
    Fastener結合リアライゼーション中に考慮される穴を定義する最小と最大寸法です。最小/最大フィーチャー角度は、ソリッド要素の穴のエッジとして考慮されるフィーチャーを定義します。
    Hole Consideration Cylinder
    与えられたコネクタートレランス内に見つかったすべての穴が、各種Fastener結合リアライゼーション用に考慮されるとは限りません。
    • コネクタートレランス、特に大きな値が設定されている場合、多くの穴が検出されます。コネクター位置から遠く、他の穴と揃っていない穴が検出されることを避けるため、円筒の考察はこれら外側の穴の検出を排除します。
    • 既存の穴が必要でなくなった場合、残す穴の領域を定義する必要があります。コネクタートレランスを使用するだけでは十分ではないため、投影パスに沿ったHole Consideration Cylinderオプションが必要になります。円筒に接する、または含まれるすべての穴は、各種のFastener結合リアライゼーションにおいて考慮されます。


      図 10.
    円筒直径は以下の方法で定義されます:
    auto cylinder diameter (factor)
    create hole diameter (2D)create/adjust hole diameter (2D)adjust hole diameter (2D)またはno hole connection diameterを含む、与えられた直径に対する係数。最初に有効な直径が使用されます。デフォルトの値は1.5です。
    exact cylinder diameter
    直径を直接指定します。デフォルトの値は15.0です。
    注: hole consideration cylinderオプションは、consider existing holes onlyオプションが使用される場合には利用できません。
    Realization Details
    Stage 2で選択されたオプションにより、異なるオプションのサブセットが提供されます。
    Diameter and adjustmentsオプションは次のとおりです:
    create hole diameter (2D)
    作成する穴の直径を指定します。このオプションは、create hole, if noneオプションに使用します。


    図 11.
    create and adjust hole diameter (2D)
    指定された直径で新しい穴を作成し、指定された直径を持つ既存の穴を調整することにより、すべてのリンクにおいて全く同じ直径のFastener結合リアライゼーションを実現します。create hole, if noneオプションによって穴が必要となる場合に使用されます。


    図 12.
    adjust hole diameter (2D)
    指定された直系の既存の穴を調整します。オプションdo not adjust hole diameterは、調整を行わず、穴にはオリジナルサイズが使用されます。このオプションは、use hole, if availableオプションの使用時に穴が必ずしも必要ではないが、既存の穴は決まった直径を持つ必要がある場合に使用されます。


    図 13.
    no hole connection diameter
    利用可能な穴のないリンクへの結合は、ヘッド要素を介した投影ポイントを中心とした与えられた直径の円の内側に検出された節点を結合して行われます。use hole, if availableオプションまたはfill and remesh hole, if availableオプションが選択され、穴が必要でない場合に使用されます。
    Hole filling and number of nodes around holesオプションは次のとおりです:
    Fill Holes (2D)
    リアライゼーション時に検出された穴を埋めます。異なる四角形要素パターンが利用可能で、これにより穴周りのリメッシュが行われます。


    図 14.
    穴は、パイピース(三角形)で埋めることもできます。パイピースの数が指定されると、周りのメッシュにリメッシュが実行されます。pie pieces preserveオプションで、パイピースが作成されますが、既存の穴が考慮され、リメッシュを抑制します。
    注: fill holes (2D)オプションの選択により、no. of nodes around holeオプションが無効になります。


    図 15.
    Nodes around Hole
    preserve
    オリジナルの穴の適切な数の節点を利用します。これは、デフォルトのオプションで、周りのメッシュがリメッシュされるのを抑制します。新規の穴には、autoオプションが使用されます。
    density
    節点の数を指定します。デフォルトは8です。周囲のメッシュはリメッシュされます。
    elem size
    要素サイズを指定(デフォルトは5,0)します。穴の周りの要素数はこのサイズを元に計算されます。極端に異なる直径の場合、このオプションが適しています。周囲のメッシュはリメッシュされます。
    auto
    節点分布は、基底にあるメッシュサイズを基に決まります。節点数は、常に偶数に設定されます。
    Create washer layerオプション:

    2Dの穴用に、1または2層のワッシャーレイヤーが作成され、その周囲のメッシュがリメッシュされます。

    ワッシャーの幅は、以下の方法で指定できます:
    • 穴半径の比率。
    • 直接幅を指定。


      図 16.