トポグラフィー最適化は、シェルサーフェスにビードを作成する以上の応用がききます。基本的なトポグラフィーアプローチは、形状変数の大きな領域を含むあらゆるモデルに適用できるため、ソリッドモデルへの応用にも役立てることが可能です。
モデル概要
本例では、トポグラフィーをユーザー定義の形状変数と共に用い、ソリッドパートの全体形状最適化を行う方法について説明します。最適化のセットアップはすべて、HyperMeshのoptimizationパネルおよびそのサブパネル群を使って行います。
ソリッドコントロールアームモデルは、
OptiStructのトポロジー最適化結果に基づいて構築されています(
図 1)。トポロジー最適化は、基本的な材料レイアウトの生成において非常に効率的ですが、ソリューションは通常、十分に改善されたものではありません。形状最適化を使用することで、設計仕様に見合うようソリューションを改善することができます。ソリッドパートのサーフェス全体への形状変数の作成は、手動で行うと非常に時間のかかる作業です。
OptiStructを使用すると、この作業は自動化され、形状最適化モデルが短時間でセットアップできます。
最初のステップは、パートについて形状変数を作成することです。
HyperMeshはこの作業において卓越したツールです。このモデルでは、コントロールアームのリヤビームと2つのレッグの寸法をコントロールする4つの基本的な形状変数が作成されました。それらは、
図 2と
図 3で示されています。最終設計には、製造可能性を妨げることになり得る内部空洞が含まれないよう、注意が払われました。
トポグラフィー最適化は、これらの形状変数を、各レッグのセクションの高さと板厚をコントロールするより小さい変数に分割します。各変数に選択されたパターングルーピングのタイプは、変数がどのように分割されるかをコントロールするために使用されます。パターングルーピングは、ソリッドモデルの形状に影響を与えるために、トポグラフィー最適化の機能を強化します。パターングルーピングなしでは、節点が動くことを許される距離は、近くの節点への距離より短くなければなりません。そうでないと、要素は裏返しになってしまいます。パターングルーピングを使用すると、幾つかの節点の動きは、それらの節点が元の位置をはるかに超えて動けるようリンクされる一方、(この例の問題で説明される)妥当な要素メッシュは保持されます。
最初の変数にLinearパターングルーピングが適用され、これは、両方のレッグの板厚を介し、すべてのグリッドの動きをリンクします。これにより、レッグの面全体の多くのポイントにおいてレッグの板厚が変化できるようになり、有限要素メッシュに問題を生じることなく、形状への影響についてOptiStructに高度な柔軟性を与えます。
2つ目の変数にはPlanarパターングルーピングが適用され、これは、両方のレッグの板厚と高さを介し、すべてのグリッドの動きをリンクします。これにより、コントロールアームの断面全体の高さが変化できるようになります。コントロールアームの両方のレッグをカットするこれらの面の1つを
図 4に示します。
図 4 は、planarパターングルーピングオプションから作成された変数を示したものです。 図 4 は、変数の中央の歪みのみを示しています。トポグラフィー最適化が機能する、3つの変数がすべて完全に歪んだ場合、コントロールアームのレッグは最小高において一様になる場合があります。
リヤビームの高さと板厚にもPlanar変数パターングルーピングが使用されました。梁の形状が中央を挟んで対称となるよう、両方の変数カードに
TYP =
13が使用されています。変数#4(梁の高さ)の
DTPGカードと関連の
DESVARカードを下に示します:
(1) |
(2) |
(3) |
(4) |
(5) |
(6) |
(7) |
(8) |
(9) |
(10) |
DTPG |
8 |
DVGRID |
4 |
|
|
|
|
|
|
+ |
15.0 |
60.0 |
NO |
|
|
|
|
|
|
+ |
PATRN |
13 |
0.0 |
0.0 |
0.0 |
1.0 |
0.0 |
0.0 |
|
(1) |
(2) |
(3) |
(4) |
(5) |
(6) |
(7) |
(8) |
(9) |
(10) |
DESVAR |
4 |
DV004 |
0.0 |
-1.5 |
1.0 |
|
|
|
|
設計変数がトポグラフィーに割り当てられるため、DTPGカード内の高さと上限下限は定義される必要はなく、それらは設計変数によってコントロールされます。これらの値が定義されていたとしても、OptiStructはそれらを無視します。
最適化の目的は、組み合わされた3つの全荷重ケースについて、コントロールアームの平均コンプライアンスを最小にすることです。コントロールアームの質量は初期質量の10%未満に制約されています。
OptiStructは以下の解を生成しました(
図 5)。赤色は材料が追加された部分を、青色は材料が削除された部分を表わしています。
結果
OptiStructは、質量を中央から上部と底部に移動し、C型の断面を作ることによって、レッグの形状を最適化しています。これらの部分は、せん断および軸剛性を損なうことなく、垂直な曲げ剛性を加えています。また、これらの部分の曲げ剛性を高めるため、レッグの高さは長さ方向に増加されています。
OptiStructは、高さと板厚の両方において、リヤビームの寸法を大きく減じました。これは、リヤビームが大き過ぎる、またはおそらく必要でさえないことを示しています。全体的には、3つの荷重ケースすべてについての最大歪みは5%、質量は10%減じています。
図 6 は、
OptiStructによるソリューションの改善された有限要素モデルを示しています。
モデルファイル
この例で使用されているモデルファイルには以下のものが含まれます:
- <install_directory>/hwsolvers/demos/optistruct/examples/controlarm.fem