ACU-T:6010 多孔質媒体を通る流れ

前提条件

このチュートリアルでは、多孔質媒体を通る流れのシミュレーションを設定して解析し、その結果を表示する手順を説明します。このチュートリアルを実行する前に、HyperWorksの入門チュートリアルであるACU-T:1000 HyperWorksユーザーインターフェースをすでに完了しAcuSolveHyperView、およびHyperMeshの基本を理解しているものとします。この解析を実行するには、ライセンス供与済みバージョンのHyperMeshAcuSolveにアクセスできる必要があります。

このチュートリアルを実行する前に、HyperMesh_tutorial_inputs.zip<Altair_installation_directory>\hwcfdsolvers\acusolve\win64\model_files\tutorials\AcuSolveから作業ディレクトリにコピーします。 ACU-T6010_PorousMedia.hm HyperMesh_tutorial_inputs.zipから取り出します。

HyperMeshデータベース(.hm ファイル)には、メッシュとジオメトリが含まれています。このチュートリアルには、ジオメトリのインポートおよびメッシュ生成に関する手順は含まれていません。

問題の説明

このチュートリアルで扱う問題は、下の図に示しています。この問題には、流れの部分に多孔質媒体による円筒状流路があります。この部分を流れが通過すると、圧力の低下が観測されます。このシミュレーションでは、流入速度を流れに割り当て、多孔質媒体の両端間に発生する圧力低下を計算します。多孔質部分の長さは0.06mとして、流体は密度が1kg/m3の空気に近い流体で、その分子粘性は0.001kg/m-sとします。流れの流入速度は0.2m/sです。



図 1.

HyperMeshモデルデータベースを開く

  1. HyperMeshを起動し、AcuSolveのユーザープロファイルを読み込みます。
    User ProfilesからAcuSolveを選択する方法については、HyperMeshの入門チュートリアルACU-T:1000 HyperWorksユーザーインターフェースをご参照ください。
  2. 標準ツールバーのOpen Modelアイコン をクリックします。
    Open Modelダイアログが開きます。
  3. モデルファイルの保存先ディレクトリを参照します。HyperMeshファイルのACU-T6010_PorousMedia.hmを選択してOpenをクリックします。
  4. File > Save Asをクリックします。
    Save Model Asダイアログが開きます。
  5. 名前をPorousMediaとして新しいディレクトリを作成し、このディレクトリへ移動します。
    このディレクトリが作業ディレクトリになり、シミュレーションに関連するすべてのファイルがこの場所に保存されます。
  6. データベースのファイル名としてPorousMediaと入力するか、別の名前を入力します。
  7. 保存をクリックしてデータベースを作成します。

一般的なシミュレーションパラメータの設定

この手順では、シミュレーション全体に適用されるシミュレーションパラメータを設定します。

  1. Solverブラウザに移動して01.Globalを拡張表示し、PROBLEM_DESCRIPTIONをクリックします。
  2. Entity Editorで、Analysis typeがSteady State設定され、Turbulence modelがLaminarに設定されていることを確認します。


    図 2.

境界条件と材料モデルパラメータの設定

この手順は、空気の材料特性を変更する作業から開始して、多孔質媒体の材料モデルを作成します。つづいて、流体ボリュームにサーフェス境界条件と材料特性を割り当てます。

材料モデルの作成

  1. Solverブラウザで、02.Materials > FLUIDの順に拡張表示してAir_HMをクリックします。
  2. Entity Editorで、Densityを1kg/m3、Viscosityを0.001 kg/m-secにそれぞれ変更します。


    図 3.
  3. SolverブラウザAir_HMを右クリックしてDuplicateを選択します。
  4. 新しい材料の名前としてPorousと入力します。
  5. Entity EditorでPorosityタブを下方にスクロールして、Porosity typeをConstantに設定します。
  6. Direction 1の透過率として1、Direction 2の透過率として0.001、Direction 3の透過率として0.001をそれぞれ入力します。
  7. Darcy coefficientの値を4166.67に設定します。
  8. Forchheimer coefficientを8.33に設定します。


    図 4.
  9. モデルを保存します。

境界条件と材料特性の割り当て

デフォルトでは、すべてのコンポーネントは、壁境界条件に含まれます。この手順では、それらを適切な境界条件に変更し、流体ボリュームに材料特性を割り当てます。
  1. Solverブラウザ12.Surfaces > WALLの順に拡張表示します。
  2. Inletをクリックします。Entity Editorで、
    1. TypeをINFLOWに変更します。
    2. Inflow velocity typeをCartesianに設定します。
    3. X velocityを0.2m/secに設定します。


    図 5.
  3. Outletをクリックします。Entity Editorで、TypeをOUTFLOWに変更します。


    図 6.
  4. Wallsをクリックします。Entity Editorで、TypeがWALLに設定されていることを確認します。


    図 7.

    多孔質部分の入口と出口や管の外壁部分などの内部サーフェスをすべて1つのサーフェスセットにまとめます。AcuSolveの高度な機能であるAuto_Wallは、これらの要素を各ボリュームの内部サーフェスと外部サーフェスに再グループ化し、それに応じてサーフェス出力を書き込みます。このプロセスは、内部的に行われるため、ワークフローのステップ数を削減できます。

  5. Fluid_Upstreamをクリックします。Entity Editorで、
    1. TypeをFLUIDに変更します。
    2. MaterialとしてAir_HMを選択します。


    図 8.
  6. Fluid_Porousをクリックします。Entity Editorで、
    1. TypeをFLUIDに変更します。
    2. MaterialとしてPorousを選択します。


    図 9.
  7. Fluid_Downstreamをクリックします。Entity Editorで、
    1. TypeをFLUIDに変更します。
    2. MaterialとしてAir_Hmを選択します。


    図 10.
  8. モデルを保存します。

解の計算

この手順では、HyperMeshからAcuSolveを直接起動して解析を完了します。

  1. すべてのメッシュコンポーネントの表示をオンにします。
    解析を実行するには、アクティブなすべてのコンポーネントのメッシュを可視化した状態にする必要があります。
  2. ACUツールバーの をクリックします。
    Solver job Launcherダイアログが開きます。
  3. オプション: 解析時間を短縮するには、使用可能なプロセッサの数に応じて、使用するプロセッサの数に大きい値(4または8)を設定します。
  4. Output time stepsはAllまたはFinalに設定できます。これは定常状態解析なので、最後の時間ステップでの出力が得られれば十分です。
  5. 他のオプションはデフォルト設定のままとして、Launchをクリックして解析プロセスを開始します。


    図 11.

結果のポスト処理

解析の進捗に伴い、AcuProbeが自動的に起動します。AcuProbeを使用して、解析時間におけるさまざまな変数をモニターできます。このステップでは、残存率の値のプロットを作成し、多孔質部分全体にわたる圧力低下を計算します。

  1. Data Treeの左側のAcuProbeで、Residual Ratioを拡張表示します。
  2. Final を右クリックし、Plot Allを選択します。


    図 12.
  3. 解析が収束した後、Finalをもう一度右クリックしてPlot Noneを選択します。
  4. ツールバーのUser Function アイコン をクリックします。
    User Functionダイアログが開きます。
  5. ダイアログで、関数名としてdPと入力します。
  6. Function欄でP_In =と入力します。
  7. Data Treeで、Surface Output > AUTO Fluid_Porous internal > Pressureの順に拡張表示します。
  8. pressureを右クリックし、Copy Nameをクリックします。Function欄のP_In =の後に、コピーした値を貼り付けます。


    図 13.
  9. 次の行でP_Out =と入力し、 AUTO Fluid_Downstream internalサーフェス上の圧力について上記の手順を繰り返します。
  10. 次の行でvalue = P_In - P_Outと入力します。
    注: 単語“value”は、大文字と小文字が区別され、常に小文字にする必要があります。大文字を使用すると、エラーウィンドウが表示されます。


    図 14.
  11. Applyをクリックしてプロットを表示します。
    注: プロットを正しく表示するために、ツールバーで をクリックする必要がある場合があります。


    図 15.

要約

このチュートリアルでは、多孔質媒体を扱う問題を設定して解析する方法を知ることができました。HyperMeshデータベースのインポートから開始し、多孔質部分の材料モデルを作成しました。つづいて、HyperMeshからAcuSolveを直接起動することにより、境界条件と材料特性を割り当て、問題を解析しました。最後に、AcuProbeでユーザー定義ツールを使用して圧力低下のプロットを作成し、多孔質部分の入口と出口の間に発生する圧力低下を計算しました。