ACU-T:4300 物質種輸送のモデリング

このチュートリアルでは、HyperWorks CFDを使用した物質種輸送のモデリングの手順を説明します。このチュートリアルを実行する前に、HyperWorksの入門チュートリアルであるACU-T:1000 HyperWorksユーザーインターフェースをすでに完了しHyperWorks CFDAcuSolveの基本を理解しているものとします。この解析を実行するには、ライセンス供与済みバージョンのHyperWorks CFDAcuSolveにアクセスできる必要があります。

このチュートリアルを実行する前に、HyperWorksCFD_tutorial_inputs.zip<Altair_installation_directory>\hwcfdsolvers\acusolve\win64\model_files\tutorials\AcuSolveから作業ディレクトリにコピーします。 ACU-T4300_HoneyTeaSpecies.hm をHyperWorksCFD_tutorial_inputs.zipから取り出します。

注: このチュートリアルでは、ジオメトリのクリーンアップとメッシングに関する手順は説明しません。

問題の説明

このチュートリアルで扱う問題は、図 1で図式的に示されています。これはCup_HoneyとCup_Mainという2つのセクションで構成されます。HoneyはCup_HoneyからCup_Mainに入り、水と溶け合います。


図 1.

HyperWorks CFDの起動とHyperMeshデータベースのオープン

  1. Windows のスタートメニューからスタート > Altair <バージョン> > HyperWorks CFDをクリックして HyperWorks CFDを起動します。
  2. HomeツールのFilesツールグループからOpen Modelツールをクリックします。


    図 2.
    Open Fileダイアログが開きます。
  3. モデルファイルの保存先ディレクトリを参照します。HyperMeshファイルのACU-T4300_HoneyTeaSpecies.hmを選択してOpenをクリックします。
  4. File > Save Asをクリックします。
  5. 名前をHoneyTeaPlugとして新しいディレクトリを作成し、このディレクトリへ移動します。
    このディレクトリが作業ディレクトリになり、シミュレーションに関連するすべてのファイルがこの場所に保存されます。
  6. データベースのファイル名としてHoneyTeaPlugと入力するか、別の名前を入力します。
  7. 保存をクリックしてデータベースを作成します。

形状の検証

  1. GeometryリボンからValidateツールをクリックします。


    図 3.
    Validateツールでは、モデル全体をスキャンしてサーフェスおよびソリッドのチェックを実行し、フリーエッジ、閉じたシェル、交差、重複、細長いサーフェスなど、形状内の欠陥にフラグを付けます。

    現在のモデルには、上記のような問題は存在しません。問題が見つかった場合は、ツール名の横の括弧内の数で示されます。

    Validateアイコンの左上に青色のチェックマークが表示されているのがわかります。これは、このツールでは形状モデルの問題は検出されなかったことを示しています。


    図 4.
  2. Escまたは、モデリングウィンドウで右クリックして、緑色のチェックマークの上でカーソルを右から左にスワイプしてください。
  3. データベースを保存します。

流れのセットアップ

一般的なシミュレーションパラメータの設定

  1. FlowリボンからPhysicsツールをクリックします。


    図 5.
    Setupダイアログが開きます。
  2. Physics modelsの設定で
    1. Time marchingを Transientに設定します。
    2. Time step sizeを0.125に設定します。
    3. TurbulenceモデルとしてLaminarを選択します。
    4. Include Gravitational Accelerationオプションをオンにして、GravityをZ方向の9.81m/s2に設定します。
    5. Number of passive speciesを1に設定します。


    図 6.
  3. Solver controls設定をクリックして、Transient maximum stepsを80に設定します。


    図 7.
  4. ダイアログを閉じてモデルを保存します。

材料プロパティの割り当て

  1. FlowリボンからMaterial Libraryツールをクリックします。


    図 8.
    Material Libraryダイアログが開きます。
  2. Settingsで、Fluidをクリックして、My Materialsタブをクリックします。
  3. をクリックして、新しい材料を作成します。
  4. 密度に対して以下の操作を行います。
    1. タイプをPiecewise Linearに変更します。
    2. カーブフィット変数をSpecies 1として定義します。
    3. Functionでを2回クリックし、Y列に水の密度として1000kg/m3、はちみつの密度として1500kg/m3をそれぞれ入力します。


    図 9.
  5. 同様に、下図のとおりに水とはちみつの粘度を定義します。


    図 10.
  6. 材料の編集ダイアログで、流体材料の名前をHoneyに変更します。


    図 11.
  7. FlowリボンからMaterialsツールをクリックします。


    図 12.
  8. 両方のモデルのボリュームを選択します。
  9. MaterialドロップダウンメニューからHoneyを選択します。


    図 13.
  10. ガイドバーをクリックすると、コマンドが実行されてツールが終了します。

流れ境界条件の定義

  1. FlowリボンからSlipツールをクリックします。


    図 14.
  2. 下図でハイライトされている上の2つの面を選択し、ガイドバー をクリックします。


    図 15.

節点初期条件の定義

  1. SolutionリボンからPartツールをクリックします。


    図 16.
  2. 下図でハイライトされているボリュームを選択します。


    図 17.
  3. マイクロダイアログをクリックし、リストから Species 1 を選択します。
  4. TypeをConstantに設定し、Valueを1に設定します。


    図 18.
  5. モデルを保存します。

AcuSolveの実行

  1. SolutionリボンからRunツールをクリックします。


    図 19.
    Launch AcuSolveダイアログが開きます。
  2. additional arguments欄に以下のテキストを入力します。-tlog -lprobe.
    これにより、AcuSolveに、シミュレーションの進行状況に応じた結果のモニターに使用されるAcuTailAcuProbeウィンドウの起動を指示します。
  3. Parallel processingオプションをIntel MPIに設定します。
  4. オプション: プロセッサーの数を、利用環境に合わせ、4または8に設定します。
  5. 他のオプションはデフォルト設定のままとして、Runをクリックして解析プロセスを開始します。


    図 20.

AcuProbeでのポスト処理

解析の進捗に伴い、ウィンドウが自動的に開きます。サーフェス出力と残存率は、AcuProbeを使用してモニターすることができます。

AcuProbeウィンドウで、Data Treeの下にあるResidual Ratioを展開し、Finalを右クリックして、Plot Allを選択します。
注: プロットを正しく表示するために、ツールバーで をクリックする必要がある場合があります。


図 21.

HW-CFD Postによる結果のポスト処理

  1. 解析の完了後、Postリボンに移動します。
  2. メニューバーで、File > Open > Resultsの順にクリックします。
  3. 作業ディレクトリでAcuSolveログファイルを選択し、ポスト処理の結果を読み込みます。
    ソリッドとすべてのサーフェスがPostブラウザに読み込まれます。


    図 22.
  4. Postリボンで、Slice Planesツールをクリックします。


    図 23.
  5. 下図に示されている平面を選択します。


    図 24.
  6. Postブラウザで、SlipおよびAutoサーフェスを非表示にします。
  7. スライス平面のマイクロダイアログで、をクリックしてスライス平面を作成します。
  8. 表示プロパティマイクロダイアログで、表示オプションをspecies 1に設定します。
  9. Legendラジオボタンをアクティブにし、をクリックして、Colormap nameをRainbow Uniformに設定します。


    図 25.
  10. ガイドバーをクリックしてします。
  11. モデリングウィンドウの下部の時間スケールが1秒になっていることを確認します。


    図 26.
  12. 2秒、4秒、6秒、8秒、10秒を示すように時間スケールを調整します。
    species 1(はちみつ)のこれらの時間における分布を以下に示します。


    図 27.
  13. Postブラウザで、スライス平面を非表示にして、AutoおよびSlipサーフェスを表示します。
  14. Boundary Groupsツールをクリックします。


    図 28.
  15. モデルのすべてのサーフェスを選択して、新しい境界グループを作成します。
  16. マイクロダイアログで、Transparencyスライダーを真ん中まで移動し、透過性効果を追加します。


    図 29.
  17. ガイドバーをクリックしてします。
  18. Iso-Surfacesツールをクリックします。


    図 30.
  19. Iso-functionのマイクロダイアログで、Iso Variableをspecies 1に変更し、Iso Valueを0.5に設定します。


    図 31.
  20. Calculateをクリックし、をクリックします。


    図 32. 3秒での種の分布

要約

このチュートリアルでは、HyperWorks CFDを使用して、物質種輸送を扱うシミュレーションを設定し、解析する方法を知ることができました。まず、HyperMeshの入力ファイル(形状を含む)を開き、次にシミュレーションパラメータ、流体材料、境界条件を定義しました。解が計算された後に、断面表示と等値面表示を使用して物質種輸送の結果を可視化しました。