ACU-T: 4003 自由に流れる水滴(HyperWorks CFD

前提条件

このチュートリアルでは、HyperWorks CFDを使用した過渡水滴シミュレーションの設定手順を説明します。このチュートリアルを実行する前に、HyperWorksの入門チュートリアルであるACU-T:1000 HyperWorksユーザーインターフェースをすでに完了しHyperWorks CFDAcuSolveの基本を理解しているものとします。この解析を実行するには、ライセンス供与済みバージョンのHyperWorks CFDAcuSolveにアクセスできる必要があります。

このチュートリアルを実行する前に、HyperWorksCFD_tutorial_inputs.zip<Altair_installation_directory>\hwcfdsolvers\acusolve\win64\model_files\tutorials\AcuSolveから作業ディレクトリにコピーします。 ACU-T4003_FallingDroplet.hm をHyperWorksCFD_tutorial_inputs.zipから取り出します。
注: このチュートリアルでは、ジオメトリのクリーンアップとメッシングに関する手順は説明しません。

問題の説明

このチュートリアルで扱う問題は、下の図に示しています。この問題では、直径1mmの水滴が重力の影響で自由に落下します。水滴の半径が小さいので、壁面への衝突後の水滴形状を回復するために、適用される壁の処理として表面張力と接触角が大きな役割を果たします。AcuSolveを使用して、壁に衝突した後のさまざまな水滴形状の作成をシミュレートします。


図 1.
注: 概略図は正確なスケールではありません。

HyperWorks CFDの起動とHyperMeshデータベースのオープン

  1. Windows のスタートメニューからスタート > Altair <バージョン> > HyperWorks CFDをクリックして HyperWorks CFDを起動します。
  2. HomeツールのFilesツールグループからOpen Modelツールをクリックします。


    図 2.
    Open Fileダイアログが開きます。
  3. モデルファイルの保存先ディレクトリを参照します。HyperMeshファイルのACU-T4003_FallingDroplet.hmを選択してOpenをクリックします。
  4. File > Save Asをクリックします。
  5. 名前をContactAngleとして新しいディレクトリを作成し、このディレクトリへ移動します。
    このディレクトリが作業ディレクトリになり、シミュレーションに関連するすべてのファイルがこの場所に保存されます。
  6. データベースのファイル名としてFallingDropletと入力するか、別の名前を入力します。
  7. 保存をクリックしてデータベースを作成します。

形状の検証

Validateツールは、モデル全体をスキャンし、サーフェスおよびソリッド上でチェックを実行して、形状に不具合(フリーエッジ、閉じたシェル、交差、重複、スライバーなど)があればフラグ付けします。

シミュレーションの物理パートに集中するために、このチュートリアルの入力ファイルにはすでに検証済みの形状が含まれています。GeometryリボンのValidateアイコンの左上隅に青色のチェックマークが表示されていることを確認します。これは、形状が有効で、フロー設定に進めることを示しています。


図 3.

流れのセットアップ

材料の作成

  1. FlowリボンからMaterial Libraryツールをクリックします。


    図 4.
    Material Libraryダイアログが開きます。
  2. Settingsで、Immiscible Multiphaseをクリックして、My Materialsタブをクリックします。
  3. をクリックして、新しい材料を作成します。
  4. 新しいダイアログで、左上隅にある名前をクリックして材料の名前をair_water_stに変更し、以下に示すプロパティを入力します。


    図 5.

シミュレーションパラメーターとソルバーの設定

  1. FlowリボンからPhysicsツールをクリックします。


    図 6.
    Setupダイアログが開きます。
  2. Physics modelsの設定で
    1. Multiphase flowラジオボタンを有効にします。
    2. Multifluid typeをImmiscibleに、Immiscible materialをair_water_stに設定します。
    3. Time step sizeを0.0005に設定し、Final timeを0.15に設定します。
    4. TurbulenceモデルとしてLaminarを選択します。
    5. y方向のgravityを-9.81 m/sec2に設定します。


    図 7.
  3. Solver controls をクリックし、以下を確認します。
    • Minimum stagger iterations: 0
    • Maximum stagger iterations: 6
    • FlowMultifluidのチェックボックスが有効になります。


    図 8.
  4. ダイアログを閉じてモデルを保存します。

材料プロパティの割り当て

  1. FlowリボンからMaterialsツールをクリックします。


    図 9.
  2. air_water_stがボリュームに割り当てられていることを確認してください。
  3. ガイドバーをクリックしてします。

流れ境界条件の定義

  1. FlowリボンからSymmetryツールをクリックします。


    図 10.
  2. View Controlsツールバーのをクリックして、モデルの向きをIsometricに設定します。
  3. 下図でハイライトされているZ-Positive面を選択します。


    図 11.
  4. 境界の凡例で、SymmetryをダブルクリックしてZ_posという名前に変更します。
  5. ガイドバーをクリックすると、コマンドが実行されますが、ツールは終了しません。
  6. モデルを回転させて、反対側の面を選択します。
  7. 境界の凡例で、SymmetryをダブルクリックしてZ_negという名前に変更します。
  8. ガイドバーをクリックすると、コマンドが実行されてツールが終了します。
  9. Outletツールをクリックします。


    図 12.
  10. 境界の凡例で、Default Wallを右クリックしてIsolateを選択します。
  11. View Controlsツールバーのをクリックして、モデルの向きをIsometricに設定します。
  12. 下図でハイライトされている、上面と側面を選択します。


    図 13.
  13. マイクロダイアログで、以下のプロパティを設定して、ガイドバーをクリックします。


    図 14.
  14. No Slipツールをクリックします。


    図 15.
  15. 境界の凡例で、Default WallでIsolateを選択し、Outlet facesでShowを選択します。
  16. 下図でハイライトされている面を選択します。


    図 16.
  17. マイクロダイアログで、Specify angle contactチェックボックスをアクティブにし、Contact angleの値を75に設定して、ガイドバーをクリックします。


    図 17.

メッシュの生成

このチュートリアルのメッシングパラメータはすでに入力ファイルに設定されています。
  1. MeshリボンからBatchツールをクリックします。


    図 18.
    Meshing Operations ダイアログが開きます。
  2. Average element sizeが0.006に設定されていることを確認します。
  3. その他すべてのデフォルト設定を受け入れます。


    図 19.
  4. Meshをクリックします。
    Run Statusダイアログが開きます。解析が終了すると、ステータスが更新され、ダイアログを閉じることができます。
    ヒント: メッシュジョブを右クリックし、View log fileを選択してメッシングプロセスの概要を表示します。

節点出力と節点初期条件の定義

この手順では、水滴について節点出力頻度を定義し、節点初期条件を指定します。

節点出力頻度の設定

  1. SolutionリボンからFieldツールをクリックします。


    図 20.
    Field Outputダイアログが開きます。
  2. Solution variablesを開きます。
  3. Write initial conditionsチェックボックスを有効にします。
  4. Write results at time step intervalチェックボックスが有効になっていることを確認します。


    図 21.

節点初期条件の定義

  1. SolutionリボンのZonesツールグループからCylinderツールをクリックします。


    図 22.
  2. 形状をダブルクリックして円筒を作成します。
  3. radiusを0.001に設定し、heightを0.00339589に設定します


    図 23.
  4. 円筒ゾーンの作成後、Moveツールマニピュレーターのベースをクリックして、positionを(0.06, 0.01, 0.00)に設定します。


    図 24.
  5. 初期条件のダイアログで、をクリックしてFluidを選択し、ダイアログの空白部分を左クリックします。
  6. fluidをWaterに変更します。


    図 25.

AcuSolveの実行

  1. SolutionリボンからRunツールをクリックします。


    図 26.
  2. Parallel processingオプションをIntel MPIに設定します。
  3. オプション: プロセッサーの数を、利用環境に合わせ、4または8に設定します。
  4. 他のオプションはデフォルト設定のままとして、Runをクリックして解析プロセスを開始します。


    図 27.
    Run Statusダイアログが開きます。解析が終了すると、ステータスが更新され、ダイアログを閉じることができます。
    ヒント: AcuSolve の実行中に、Run StatusダイアログでAcuSolveジョブを右クリックし、View Log Fileを選択して、解析のプロセスをモニターします。

HW-CFD Postによる結果のポスト処理

  1. 解析の完了後、Postリボンに移動します。
  2. メニューバーで、File > Open > Resultsの順にクリックします。
  3. 作業ディレクトリでAcuSolveログファイルを選択し、ポスト処理の結果を読み込みます。
    ソリッドとすべてのサーフェスがPostブラウザに読み込まれます。


    図 28.
  4. ソリッドのcontours of volume fraction of waterを確認するには、PostブラウザZ_posを右クリックして、Isolateを選択します。
  5. Z_posをもう一度右クリックしてEditを選択します。
    surface coloringのマイクロダイアログが開きます。
  6. 表示をvolume fraction waterに設定し、Legendラジオボタンをオンに切り替えます。
  7. 同じダイアログでをクリックして、以下に示す凡例のプロパティを確認します。
    時間ステップ=1で水の体積分率のコンターを表示できます。


    図 29.


    図 30.
  8. モデリングウィンドウの下部の時間スケールが時間ステップ=1であることを確認します。バーをクリックして、時間ステップ=65、75、85、および最終時間ステップ(ここでは、1時間ステップ=2秒)における、水滴の降下とサーフェスとの相互作用を表示します。


    図 31.


    図 32.

要約

このチュートリアルでは、HyperWorks CFDを使用して、接触角と表面張力の関与するシミュレーションを設定し、解析する方法を知ることができました。形状をインポートして、シミュレーションパラメータと流れ境界条件を定義しました。解析を計算した後、HW-CFD Postを使用して水の体積分率のコンターを作成しました。