ACU-T:4200 タンク内の水のスロッシング

このチュートリアルでは、レベルセットモデルを使用した四角形タンクの二相流シミュレーションの設定、解析、および結果表示について説明します。このシミュレーションでは、AcuSolveを使用して、タンクの壁に対する水のスロッシングによって経時変化する水位インターフェースを計算します。このチュートリアルの目的は、二相のシミュレーションを実行するために必要ないくつかのモデリングの概念を紹介することです。

CFDシミュレーションの基本的な手順については、ACU-T:2000 ミキシングエルボ内の乱流をご参照ください。このチュートリアルでは、AcuSolveの以下の追加機能を紹介します。
  • 二相流解析
  • 非定常解析
  • 水の体積分率初期化用のスクリプトの使用
  • 変化する重力のユーザー定義関数の使用
  • AcuFieldViewでのポスト-処理

前提条件

入門チュートリアルであるACU-T:2000 ミキシングエルボ内の乱流をすでに完了している必要があります。ここでは、AcuConsoleAcuSolve、およびAcuFieldViewをある程度使い慣れていることを前提としています。ライセンス供与済みバージョンのAcuSolveにアクセスできることも必要です。

このチュートリアルを実行する前に、AcuConsole_tutorial_inputs.zip<<Altair_installation_directory>\hwcfdsolvers\acusolve\win64\model_files\tutorials\AcuSolveから作業ディレクトリにコピーします。 sloshing_tank.x_t およびgravity.cをAcuConsole_tutorial_inputs.zipから取り出します。

問題の解析

CFDシミュレーションにおける重要なステップは、目前の工学的問題を調べ、AcuSolveに対して指定する必要のある重要なパラメータを決定することです。パラメータは、形状要素(入口、出口、壁など)に基づいて行うことができるとともに、流れの条件(流体プロパティ、速度など)に基づいて行うことができます。

一般的に、多相流は、主に、複数の流体(気体、液体、または固体)で構成された実環境で見られます。それらは、気液(溶存ガス)、液液(水中の油)、液固(浸漬粒子)、および気液固の組み合わせが可能です。最初の2つは、二相不混合流の例です。二相不混合流は、二相間のインターフェースを追跡することにより解析できます。このチュートリアルでは、レベルセット法を使用して二相流問題を設定する方法を示します。



図 1. 問題の概略図
図1は、部分的に満たされた水タンクの概略図を示しています。t = 0以降、水には以下のようなx方向に沿った正弦波の変化する物体力とy方向に沿った一定の重力がかかります。(1) Y - direction gravity = -9.81m/ s 2 X - direction body force = Α ω 2  sin (ωt + φ) MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGceaqabeaacaqGzb Gaaeiiaiaab2cacaqGGaGaaeizaiaabMgacaqGYbGaaeyzaiaaboga caqG0bGaaeyAaiaab+gacaqGUbGaaeiiaiaabEgacaqGYbGaaeyyai aabAhacaqGPbGaaeiDaiaabMhacaqGGaGaaeypaiaabccacaqGTaGa aeyoaiaab6cacaqG4aGaaeymamaalyaabaGaaeyBaaqaaiaabohada ahaaWcbeqaaiaabkdaaaaaaaGcbaGaaeiwaiaabccacaqGTaGaaeii aiaabsgacaqGPbGaaeOCaiaabwgacaqGJbGaaeiDaiaabMgacaqGVb GaaeOBaiaabccacaqGIbGaae4BaiaabsgacaqG5bGaaeiiaiaabAga caqGVbGaaeOCaiaabogacaqGLbGaaeiiaiaab2dacaqGGaGaaeyKdi aabccacaqGjpWaaWbaaSqabeaacaqGYaaaaOGaaeiiaiaabohacaqG PbGaaeOBaiaabccacaqGOaGaaeyYdiaabshacaqGGaGaae4kaiaabc cacaqGgpGaaeykaaaaaa@769F@
ここで、
  • Α = 振動の振幅
  • ω = 振動の周波数 = 2π T MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaWaaSaaaeaaca aIYaGaeqiWdahabaGaamivaaaaaaa@3958@
  • T = 振動の周期
  • φ = 位相差
  • t = 時間
このシミュレーションでは、上の方程式の変数として次の値を使用します。
  • Α = -0.06 m
  • ω = 3.6 rad/sec
  • T = 1.74秒
  • φ = 0

このために、C言語で書かれたUDF(gravity.c)が使用されます。gravity.cで使用される関数の詳細については、AcuSolve User-Defined Functions Manualをご参照ください。

解析パラメータの定義

AcuConsoleの起動とシミュレーションデータベースの作成

このチュートリアルでは、まずデータベースの作成、形状に依存しない設定の入力、形状の読み込み、グループの作成、グループ属性の設定、グループへの形状コンポーネントの追加、およびグループへのメッシュコントロールと境界条件の割り当てを行います。次に、メッシュを生成して、AcuSolveを実行し、指定された時間ステップの数だけ解析します。最後に、AcuFieldViewを使用して結果の一部の特性を可視化します。

  1. Windows のスタートメニューからスタート > Altair <バージョン> > AcuConsoleをクリックして AcuConsoleを起動します。
  2. Fileメニューをクリックし、Newをクリックし、New data baseダイアログを開きます。
    注: ツールバーの をクリックしてNew data baseダイアログを開くこともできます。
  3. 作業ディレクトリとして使用する場所に移動します。
    このディレクトリには、そのシミュレーションに関するすべてのファイルが保存されます。AcuConsoleのデータベースファイル(.acs)はこのディレクトリに保存されます。メッシュと解が作成されたら、追加のファイルとディレクトリがこのディレクトリ内に作成されます。
  4. Sloshing_tankという名前の新規フォルダを作成し、このフォルダを開きます。
  5. データベースのファイル名としてSloshing_tankを指定します
    注: AcuConsoleによって書き込まれたファイルを他のアプリケーションで読み取り可能にするためには、データベースのパスと名前にスペースが含まれないようにしてください。
  6. 保存をクリックしてデータベースを作成します。

一般的なシミュレーションパラメータの設定

次の手順では、シミュレーション全体に適用される属性を設定します。このタスクを簡略化するため、Data Tree ManagerでBASフィルタを使用します。このフィルタにより、Data Treeに表示される項目数が少なくなり、確認が容易になります。

  1. Data Tree ManagerBASをクリックして、Data Tree内の基本ビューに切り替えます。


    図 2.
  2. GlobalData Tree項目をダブルクリックして拡張表示します。
    ヒント: 項目名の横にある をクリックしてツリー項目を拡張表示することもできます。


    図 3.
  3. Problem DescriptionをダブルクリックしてProblem Description詳細パネルを開きます。
    注: 必要に応じて、パネルフレームの右端をドラッグすることで、詳細パネルを広げてください。
  4. このケースでは、TitleとしてAcuSolve Multiphase Tutorialと入力します。
  5. このケースでは、Sub titleとしてSloshing tank 2Dと入力します。
  6. Analysis typeをTransientに変更します。
  7. Multiphase equationをLevel Setに変更します。


    図 4.

解法パラメータの設定

  1. Data TreeAuto Solution StrategyをダブルクリックしてAuto Solution Strategy詳細パネルを開きます。
  2. Analysis typeがTransientに設定されていることを確認します。
  3. Max time stepsを0に設定します。
  4. Final timeを4.0に設定します。
  5. Initial time incrementを0.006に設定します。
    非定常解析を設定するときに、Max time stepsオプションを0に設定すると、このオプションは無視されます。その場合は、Final timeを指定する必要があります。AcuSolve は、これにより、時間ステップごとに指定された初期時間増分だけ増加しながら、この最終時間に到達するまで実行されます。
  6. Convergence toleranceを0.001に設定します。
  7. Min stagger iterationsを2に設定します。
  8. Max stagger iterationsを6に設定します。
  9. Relaxation factorを0に設定します。
    非定常解析を解くときには、緩和係数をゼロに設定する必要があります。緩和係数がゼロ以外だと解の増分更新が起こり、非定常ケースの解の時間精度に影響を与えます。
  10. FlowおよびMultiphaseフラグがOnになっていることを確認します。
  11. Fluid 1をAirに変更します。
  12. Fluid 2をWaterに変更します。


    図 5.

材料モデル属性の設定

AcuConsoleには、Air、Aluminum、Waterという、標準のパラメータが定義されている3つの事前定義済み材料が用意されています。次の手順では、空気と水の定義済み材料プロパティがこの問題において目的のプロパティと一致することを確認します。
  1. Data TreeMaterial Modelをダブルクリックして拡張表示します。


    図 6.
  2. Data TreeWaterをダブルクリックしてWater詳細パネルを開きます。

    水のMaterial typeはFluidです。AcuConsoleで作成されるすべての新しい材料に対して、Fluidがデフォルトの材料タイプとなります。

    注: 必要に応じて、パネルの右フレームをドラッグすることにより詳細パネルサイズを変更します。
  3. Densityタブをクリックします。水の密度は1000.0kg/m3です。
  4. Viscosityタブをクリックします。水の粘性は0.001kg/m-secです。
  5. Data TreeAirをダブルクリックしてAir材料詳細パネルを開きます。

    空気の材料タイプはFluidです。AcuConsoleで作成されるすべての新しい材料に対して、Fluidがデフォルトの材料タイプとなります。

  6. Densityタブで、以下を確認します。
    1. TypeがConstantに設定されていること。
    2. Densityの値が1.225kg/m3であること。
  7. Viscosityタブをクリックします。空気の粘性は1.781 x 10-5kg/m – secです。
  8. データベースを保存して設定のバックアップを作成します。これは、次のいずれかの方法で実行できます。
    • Fileメニューをクリックして、Saveをクリックします。
    • ツールバーの をクリックします。
    • Ctrlキーを押しながらSを押します。
    注: AcuConsoleで加えられた変更は、直ちにデータベースファイル(.acs)に保存されます。保存操作を実行すると、データベースがバックアップファイルにコピーされます。今後の変更内容を利用することを希望しない場合は、このバックアップファイルを使用して、その保存済み状態からデータベースを再読み込みすることができます。

形状のインポートとモデルの定義

形状のインポート

このチュートリアルの次のパートでは、形状をインポートします。この手順を完了するには、 sloshing_tank.x_t の場所がわかっている必要があります。このファイルには、ParasolidASCII形式で形状に関する情報が含まれています。
  1. File > Importをクリックします。
  2. sloshing_tank.x_tを含むディレクトリを参照します。
  3. ファイル名のフィルタをParasolid File (*.x_t *.xmt *X_T …)に変更します。
  4. sloshing_tank.x_tを選択し、OpenをクリックしてImport Geometryダイアログを開きます。


    図 7.

    このチュートリアルでは、Import Geometryダイアログのデフォルト値を使用して形状を読み込みます。AcuConsoleを使用していた場合は、自身が変更した可能性のある設定を手動で変更して、図に示すデフォルト値と一致させてください。デフォルト設定を使用した場合は、CADモデルのボリュームはデフォルトのボリュームグループに追加されます。CADモデルのサーフェスはデフォルトのサーフェスグループに追加されます。このチュートリアルでは後ほどグループを操作して、新しいグループの作成、流れパラメータの設定、形状コンポーネントの追加、およびメッシングパラメータの設定を行います。

  5. OKをクリックして形状のインポートを完了します。
  6. 表示を回転してモデル全体を確認します。


    図 8.

多相パラメータの設定

Problem DescriptionでMultiphaseがアクティブの場合、多相場方程式を選択することにより、AcuConsoleは自動的に多相モデル定義を完成させるために必要なパラメータのセットを生成します。これには、モデル内の場の定義と場間の相互作用モデルの指定が含まれます。

ここでは、シミュレーションの多相パラメータを定義します。

  1. 場の定義:
    1. Data Tree ManagerALLをクリックして、使用可能なすべてのシミュレーション設定を表示します。
    2. Advanced Solution Strategy > Multiphase Parameters Data Treeを拡張表示します。
    3. Multiphase多相の下で、Field 項目を拡張表示します。
    4. Airをダブルクリックします。
    5. Modify advanced settingsをOnに設定し、Material modelがAirに設定されていることを確認します。
    6. Waterをダブルクリックします。
    7. Modify advanced settingsをOnに設定し、Material modelがWaterに設定されていることを確認します。
  2. 場の相互作用モデルの定義:
    1. Multiphaseパラメータの下で、Field Interaction Model項目を拡張表示します。
    2. Air-Waterをダブルクリックして詳細パネルを開きます。
    3. Modify advanced settingsをOnに設定します。
    4. Fields 1の横のOpen Refsをクリックします。
    5. Reference EditorのエントリがAirになっていることを確認します。
    6. Fields 2の横のOpen Refsをクリックします。
    7. Reference EditorのエントリがWaterになっていることを確認します。
    8. Surface tension modelをNoneに設定します。
    9. Interface thickness optionをAutoに設定します。
  3. 多相モデルの定義:
    1. Multiphaseパラメータの下で、Multiphase Model項目を拡張表示します。
    2. Air-Waterをダブルクリックして詳細パネルを開きます。
    3. Modify advanced settingsをOnに設定します。
    4. Field interaction modelsの横のOpen Refsをクリックします。
    5. Reference EditorのエントリがAir-Waterになっていることを確認します。

Body Forceの設定

Body Forceコマンドは、体積力の項を支配型保存方程式に追加します。このチュートリアルでは、重力物体力が流体場に適用されます。x方向に沿った正弦波の変化する物体力とy方向に沿った一定の重力は、式 1で求められます。

  1. Data Tree ManagerBASをクリックして、Data Tree内の基本ビューに切り替えます。
  2. Data TreeBody Forceをダブルクリックして拡張表示します。
  3. GravityをダブルクリックしてGravity詳細パネルを開きます。

    重力の媒体は流体です。これは、ここで定義された重力は、材料タイプが流体の材料モデルにしか適用できないことを意味します。

  4. TypeをUser Functionに変更します。
  5. User function nameにusrGravityと入力します。
  6. User function valuesの横にあるOpen Arrayをクリックします。
  7. Addを3回クリックして行を3つ作成し、次の値を指定します。


    図 9.
    注: 上で指定した値は、問題の解析の項で説明したものです。ユーザー値は上と同じ順序で指定する必要があります。これは、これらの値が渡されるUDFスクリプトでは、これらの値をこの特定の順序で参照するためです。
  8. OKをクリックします。
    注: ここでの重力の定義は、モデル内のボリュームセットに割り当てられない限り、シミュレーションには影響しません。

UDFのコンパイル

C言語の形式のUDF(gravity.c)がチュートリアルに付属しています。次の手順に従って、このプログラムをコンパイルする必要があります。

  1. Windowsの場合:
    1. Start > All Programs > Altair HyperWorks<version>AcuSolve > AcuSolve Cmd Promptの順にクリックして、StartメニューからAcuSolve Command Promptを起動します。
    2. ‘cd’コマンドを使用して、ディレクトリを現在の作業ディレクトリに変更します。
    3. コマンドacuMakeDll –src gravity.cを入力します。
      このコマンドにより、UDFを使用するのに必要なファイル一式が作成されます。
  2. Linuxの場合:
    1. ターミナルで‘cd’コマンドを使用して、ディレクトリを現在の作業ディレクトリに変更します。
    2. コマンドacuMakeLib -src gravity.cを入力します。
      このコマンドにより、UDFを使用するのに必要なファイル一式が作成されます。

節点出力の定義

節点出力コマンドは、出力頻度や保存されている状態の数などの節点出力パラメータを指定します。

  1. Outputツリーを拡張表示してから、Nodal Outputをダブルクリックして、Nodal Output詳細パネルを開きます。
  2. Time step frequencyを10に設定します。
    これにより、時間ステップごとに節点出力が保存されます。
  3. Output initial conditionをOnに設定します。
    これにより、初期状態を最初の出力ファイルとして書き込むようにソルバーに指示されます。
  4. Number of saved statesが0に設定されていることを確認します。
    このオプションを0に設定すると、すべての結果ファイルを保存するようにソルバーに指示されます。


    図 10.

初期状態の設定

  1. Data TreeNodal Initial Conditionをダブルクリックして詳細パネルを開きます。
  2. Multiphase fieldで、ドロップダウンセレクターメニューからWaterを選択します。
  3. Water initial condition typeをScriptに設定します。
  4. Water volume fraction scriptの横にあるOpen textをクリックして、テキストエディタを開きます。
  5. テキストエディタで次のスクリプトを入力します。
    value=0
    if (y<0.12):value=1

    上記のスクリプトは、領域内の水の初期体積分率を設定します。y < 0.12の節点に対しては、水の体積分率が1に設定されます。他のすべての節点では、水の体積分率が0に設定されます。これらの節点では、空気の体積分率が1になります。これは、場の体積分率の合計が常に1になる必要があるためです。

  6. OKをクリックして、テキストエディタを閉じます。

ボリュームパラメータの適用

ボリュームグループは、ボリューム領域に関する情報を保存するためのコンテナです。この情報には、ボリュームに適用される解析およびメッシングパラメータや、それらの設定が適用される形状領域が含まれます。

形状がAcuConsoleにインポートされたときに、すべてのボリュームは“デフォルトの”ボリュームコンテナに配置されました。

このチュートリアルのモデルには1つのボリュームしか含まれていないため、それが、形状のインポート時のデフォルトボリュームグループ内の唯一のボリュームになります。モデル内に1つのボリュームしか存在しない場合でも、今後の識別が容易になるようボリューム名を変更することをお勧めします。次の手順では、デフォルトボリュームグループコンテナの名前を変更し、その材料とその他のプロパティを設定します。

  1. ModelData Tree項目を拡張表示します。
  2. Surfacesを右クリックしてDisplay offをクリックし、サーフェスの表示をオフにします。
  3. Volumesを拡張表示します。ボリューム名の横にある をクリックして、デフォルトボリュームコンテナの表示のオン / オフを切り替えます。
    注: Surfacesが表示されている場合は、サーフェスとボリュームが重なっている可能性があるため、表示を切り替えても何も変わらないことがあります。
  4. デフォルトボリュームグループの名前を変更します。
    1. defaultを右クリックします。
    2. Renameをクリックします。
    3. 新しい名前としてFluidと入力し、Enterを押します。
      注: Data Tree内の項目の名前を変更した場合、Enterキーを押すまでは変更内容は保存されません。Enterキーを押さずに入力フォーカスをその項目から移動すると、変更内容は失われます。
  5. Fluidボリューム要素セットを設定します。
    1. Data TreeFluidを拡張表示します。
    2. Fluidの下でElement Setをダブルクリックし、詳細パネルでこれを開きます。
    3. MediumにMultiphaseを選択します。
    4. Multiphase modelに対して、Air-Waterを選択します。
    5. Body forceに対して、Gravityを選択します。


    図 11.

サーフェスグループの作成とサーフェス属性の適用

サーフェスグループは、サーフェスに関する情報を保存するためのコンテナです。この情報には、解析およびメッシングパラメータや、パラメータが適用される形状内の対応するサーフェスが含まれます。

次の手順では、サーフェスグループを定義して、問題のさまざまな特性に適切な設定を割り当て、これらのグループコンテナにサーフェスを追加します。

シミュレーションの設定プロセスでは、(特に、サーフェスが非常に多いモデルの場合)複雑になりがちな境界条件やメッシュパラメータなどを設定するため、別のパネルに移動する必要があります。これを簡単にして、エラーを減らし、時間を節約するために、AcuConsoleでは2つの新しいダイアログが追加されています。これらのダイアログを使用すれば、すべてのサーフェスまたはボリュームエンティティに関する情報を一度に確認したり、指定することができます。これらのダイアログはVolume ManagerとSurface Managerです。ここでは、Surface Managerのいくつかの機能を利用します。

  1. Data TreeVolumesを右クリックしてDisplay offを選択し、ボリュームの表示をオフにします。
  2. Surfacesを右クリックして、Surface Managerを選択します。
  3. Surface Managerダイアログで、Newを2回クリックして、2つの新しいサーフェスグループを作成します。
    注: Simple BC Active列とSimple BC Type列が表示されていない場合は、Columnsをクリックして、リストからこの2つの列を選択し、Okをクリックします。


    図 12.
  4. デフォルトサーフェス以外のすべてのサーフェスの表示をオフにします。
  5. Surface 1のSurface Names(列1)の名前をSurface 2に変更して、下の表のように、Simple BC Active列とSimple BC Type列を設定します。


    図 13.
  6. サーフェスをFrontおよびRearサーフェスグループに割り当てます。
    1. Surface ManagerのFront行でAdd toをクリックします。
    2. 下の図に示すように、z座標が最大の平面を選択し、Doneをクリックします。
    3. 同様に、z座標が最小のサーフェスをRearサーフェスグループに割り当てます。

    形状がAcuConsoleに読み込まれたときに、すべての形状サーフェスはデフォルトサーフェスグループコンテナに配置されました。このデフォルトサーフェスグループの名前はwallに変更されました。前の手順では、いくつかのサーフェスを自分で作成した他のさまざまなサーフェスグループに割り当てました。この時点で、Wallsサーフェスグループに残っているのは、容器の壁を構成するサーフェスのみです。



    図 14.
  7. Surface Managerダイアログを閉じます。

メッシュコントロールの割り当て

グローバルメッシュ属性の設定

問題全体に対して流体特性を設定したので、十分に細分化されたメッシュを生成する必要があります。

グローバルメッシュ属性は、特定の形状ボリューム、サーフェス、エッジ、およびポイントに参照されるのではなく、モデル全体に適用されるメッシングパラメータです。モデルの特定の形状コンポーネントのメッシュ生成コントロールを作成するには、ローカルメッシュ属性を使用します。

次の手順では、グローバルメッシュ属性を設定します。

  1. データツリーマネージャーMSHをクリックして、Data Tree内の設定をフィルタ処理して、メッシングに関するコントロールのみを表示します。
  2. GlobalData Tree項目をダブルクリックして拡張表示します。
  3. Global Mesh AttributesをダブルクリックしてGlobal Mesh Attributes詳細パネルを開きます。
  4. Mesh size typeをAbsoluteに変更します。
  5. Absolute mesh sizeを0.015に設定します。


    図 15.

メッシュ押し出しの定義

このシミュレーションは、モデルの2D断面の表現と等価です。AcuSolveでは、断面のフェイス全体で1つの要素を構成するだけで2Dモデルがシミュレートされます。つまり、これらのフェイスを同様の境界条件を使用して設定、すると、フェイス全体の対応する節点で同じ結果が得られます。この問題では、これらのフェイスは負および正のzサーフェスです。この種のメッシュは、AcuSolveのメッシュ押し出しプロセスで実現されます。次の手順では、これらのサーフェス間のメッシュの押し出しプロセスを定義します。

  1. Model Data Tree項目を拡張表示して、Mesh Extrusionsを右クリックし、Newを選択します。
  2. Mesh Extrusion 1を右クリックしてRenameを選択し、Z extrusionと入力します。
  3. Z extrusionを右クリックして、Defineを選択します。Z extrusionをダブルクリックして同じ結果を得ます。
  4. Mesh Extrusion Dialog Boxが表示されるので、以下の変更を行います。
    1. Geometry typeがsurfaceに設定されていることを確認します。
    2. ドロップダウンメニューからFrontとRearをSide 1およびSide 2 として割り当てます。
    3. Extrusion typeがNumber of layersに設定されていることを確認します。
    4. Number of layersを1に設定します。
    5. Extrusion optionsがMixed Elementsに設定されていることを確認します。


    図 16.
  5. OKをクリックし、ダイアログを閉じます。

メッシュの生成

次の手順では、問題の解を計算する際に使用されるメッシュを生成します。

  1. ツールバーの をクリックしてLaunch AcuMeshSimダイアログを開きます。
    このケースでは、デフォルトの設定を使用します。
  2. Okをクリックしてメッシングを開始します。

    メッシング時に、AcuTailウィンドウが開きます。メッシングの進行状況はこのウィンドウで報告されます。メッシングプロセスのサマリーで、メッシュが生成されたことが示されます。



    図 17.
    注: 節点と要素の実際の数およびメモリ使用量は、マシンによって少し異なる場合があります。
  3. モデリングウィンドウにメッシュを表示します。サーフェスの表示をオンにして、display typeをsolid and wireに設定します。
  4. モデル内で回転やズームを行うことにより、さまざまなメッシュ領域を解析することができます。

基準圧力の割り当て

このケースには、領域内の圧力レベルを設定する境界条件を定義する入口または出口のサーフェスがありません。解をよりロバストにするには、節点境界条件を使用して圧力基準点を設定します。次の手順は、CFD領域内の基準圧力を設定する方法を示します。

  1. Data Tree ManagerBASをクリックして、Data Tree内の基本ビューに切り替えます。
  2. ModelData Tree項目を拡張表示します。
  3. Nodesを右クリックして、コンテキストメニューからNewを選択し、新しいエンティティを作成します。
  4. 名前をNode 1からFixed Pressure Nodeに変更します。
  5. Fixed Pressure Nodeを右クリックして、Defineを選択します。
  6. Node Define Dialog Boxで、Selection typeをPressure Pointに、VolumesをFluidに設定します。


    図 18.
  7. OKをクリックします。
  8. Fixed Pressure Nodeを拡張表示してPressureをクリックします。
    注: これで、この単一の節点がシミュレーションの圧力基準点として機能します。
  9. TypeがZeroに設定されていることを確認します。
  10. 節点の位置を検証します。
    1. Fixed Pressure Nodeを右クリックして、Display onを選択します。
    2. Surfacesを右クリックして、Display Typeをoutlineに設定します。
    注: この固定された圧力節点は、モデリングウィンドウで点として表示されます。


    図 19.

解の計算と結果の確認

AcuSolveの実行

次の手順では、AcuSolveを起動してこのケースの解を計算します。

  1. ツールバーでをクリックしてLaunch AcuSolveダイアログを開きます。


    図 20.

    このケースでは、デフォルトの設定を使用します。AcuSolveは4つのプロセッサを使用して(可能な場合は、さらに多くのプロセッサを指定できる)実行され、AcuConsoleAcuSolve入力ファイルを生成して、AcuSolveを起動します。AcuSolveは、この問題の定常状態解を計算します。

  2. Okを選択して解析プロセスを開始します。

    計算中、AcuTailウィンドウが開きます。解析の進行状況はこのウィンドウで報告されます。解析プロセスのサマリーで、実行が完了したことが示されます。

    このサマリーで提供される情報は、AcuSolveで使用されるプロセッサの数に基づいています。このチュートリアル内で示されている数と異なる数のプロセッサを使用した場合は、示されているサマリーと実行時のサマリーが少し異なる場合があります。



    図 21.
  3. AcuTailウィンドウを閉じ、データベースを保存して設定のバックアップを作成します。

AcuFieldViewでのポスト処理

本チュートリアルは、AcuFieldViewのインターフェースと基本的な操作に慣れていることが前提となっています。本チュートリアルは、一般に次の基本事項の理解に役立ちます:
  • Fileメニューでデータリーダーを検索し、データ入力のための目的のリーダーパネルを開く方法。
  • AcuFieldViewにおいてサイドツールバーまたはVisualizationパネルメニューから表示パネルを検索し、でサーフェスを作成および変更する方法。
  • マウスアクションを使用してグラフィックスウィンドウでデータを動かし、データの移動、回転、およびズームを行う方法。
このチュートリアルでは、定常状態解析データの操作方法を示します。
  1. AcuConsoleツールバーで をクリックしてLaunch AcuFieldViewダイアログを開きます。
  2. OkをクリックしてAcuConsoleを起動します。
    圧力コンターがメッシュを含むすべての境界サーフェス上に表示されていることが確認できます。


    図 22.

AcuFieldViewの設定

  1. Boundary Surfaceダイアログを閉じます。
  2. Viewer Optionsをクリックします。


    図 23.
  3. Viewer Optionsダイアログで:
    1. Perspectiveを選択解除して、遠近法表示をオフにします。
    2. Axis Markersをクリックして、 軸マーカーを無効にします。
    3. Closeをクリックします。
  4. ツールバーで、Colormapアイコン をクリックします。
  5. Scalar Colormap SpecificationダイアログでBackgroundをクリックし、Whiteを選択します。
  6. Scalar Colormap Specificationダイアログを閉じます。
  7. ツールバーでToggle Outlineアイコン をクリックし、輪郭表示をオフにします。
    表示は図1のようになるはずです。


    図 24.

中央座標サーフェス上の水-空気インターフェースを示すサーフェスの調整

  1. Boundary SurfaceダイアログのSurfaceタブで、アクティブな境界サーフェスのVisibilityをオフにします。
  2. Createをクリックして、新しい境界サーフェスセットを作成します。
  3. 新しいセットに対して:
    1. 表示をオンにします。
    2. Display TypeをOutlinesに設定します。
    3. Boundary TypesでSelect Allをクリックします。
  4. OKをクリックします。
  5. をクリックしてCoordinate Surfaceダイアログを開きます。
  6. Createをクリックして、新しい座標サーフェスを作成します。
  7. Coordinate PlaneとしてZを選択します。
    これにより、中央-Z座標平面に座標サーフェスが作成されます。作成される座標サーフェスは、モデル内の2つの側面間の中央平面です。
  8. ColoringをScalarに変更します。
  9. Display TypeをSmoothに変更します。
  10. Scalar Functionに対して、volume_fraction-Waterを選択します。
  11. Colormapタブで、最大しきい値と最小しきい値をそれぞれ0.5010.499に設定します。


    図 25.
  12. Defined Viewsリストで、表示方向として+Zを選択します。
    画面は次のようになります:


    図 26.

水流のアニメーションの表示

  1. Coordinate Surfaceダイアログを閉じます。
  2. Toolsメニューで、Flipbook Build Modeを選択します。
  3. Flipbook Size WarningウィンドウでOKをクリックしてこれを閉じます。
  4. Toolsメニューに再び戻り、Transient Dataを選択します。
    Transient Data Controlsダイアログが開きます。

このダイアログのSweep ControlにBuildではなくSweepが表示された場合は、Flipbook Buildモードがアクティブになっていません。Sweepモードでは、アニメーションを作成して表示できますが、それを保存できません。アニメーションを保存するには、Flipbook Buildモードを有効にします。

  1. 時間ステップスライダーを左端の位置までドラッグします。または、Time StepボックスかSolution Timeボックスに0と入力します。
  2. Applyをクリックします。
    現在表示されている状態は、領域の初期状態に対応します。
  3. Buildをクリックします。
    AcuFieldViewが、可能なすべての時間ステップを経過する解析のフレーム単位アニメーションを構築します。Building Flipbookダイアログで進捗を確認することができます。

    構築プロセスが完了すると、Flipbook Controlsダイアログが表示されます。

  4. Flipbook Controlsダイアログで、Frame Rateをクリックします。
  5. Minimum timeに対して、0.1秒と入力し、Closeをクリックします。
  6. Play をクリックしてアニメーションを再生します。
  7. アニメーションを保存するには、Pause をクリックしてから、Saveをクリックします。
  8. Flipbook File Saveダイアログでファイル名を指定して、Saveをクリックします。


図 27.

要約

このAcuSolveチュートリアル、では、多相流問題を正しく設定し、解析しました。この問題では、四角形の水タンクの重力によるスロッシングをシミュレートしました。水が壁に対して揺動する際のタンク内の水-空気インターフェースを可視化できます。チュートリアルは、AcuConsoleでデータベースを作成し、形状をインポートしてメッシュ処理し、シミュレーションパラメータを設定することから始めました。空気と水が1つのボリュームを占有する別々の場としてモデル化されます。ケースが設定されると、AcuSolveを使用して解が生成されました。結果がAcuFieldViewでポスト処理され、そこで水流のアニメーションが生成されました。このチュートリアルで紹介した新機能は、変化する重力のシミュレーションでのユーザー定義関数の使用です。