ACU-T:3400 AcuSolve-Fluxの統合

このチュートリアルでは、簡単な熱伝導解析用の2Dケーブルのシミュレーションの設定、解析、および結果表示のための手順を説明します。このシミュレーションでは、加熱されたソリッドボリュームが、別のソフトウェアを使用して計算済みの熱流束値とともに、外側ボリュームとの間の熱伝導に使用されます。このチュートリアルの目的は、Electromagnetics Managerという新機能を紹介することです。ここでは、熱流束が加熱されたボリュームにNastranファイル形式でインポートされます。

CFDシミュレーションの基本的な手順については、ACU-T:2000 ミキシングエルボ内の乱流をご参照ください。このチュートリアルでは、AcuSolveの以下の追加機能を紹介します。
  • AcuConsoleでElectromagnetics Managerを使用した熱流束のインポート
  • サーフェスから他のサーフェスへのメッシュ押し出し
  • 単一パネルですべての変数を定義するためのVariable Managerの使用
  • 温度コンターをプロットするためのAcuFieldViewによるポスト処理
  • AcuFieldViewでの2Dプロットの作成または変更

このチュートリアルでは、次の作業を実行します。

  • 問題の解析
  • AcuConsoleの起動とシミュレーションデータベースの作成
  • 一般的な問題パラメータの設定
  • 解法パラメータの設定
  • ソリッドボリュームの材料プロパティの割り当て
  • シミュレーション用の形状のインポート
  • ボリュームグループの作成とボリュームパラメータの適用
  • サーフェスグループの作成とサーフェスパラメータの適用
  • グローバルメッシングパラメータとローカルメッシングパラメータの設定
  • メッシュ生成
  • 適切な境界条件の設定
  • FluxをインポートするためのElectromagnetics Managerを使用したFluxファイルのインポート
  • AcuSolveの実行
  • AcuFieldViewによる解析のモニター

前提条件

入門チュートリアルであるACU-T:2000 ミキシングエルボ内の乱流をすでに完了している必要があります。ここでは、AcuConsoleAcuSolve、およびAcuFieldViewをある程度使い慣れていることを前提としています。ライセンス供与済みバージョンのAcuSolveにアクセスできることも必要です。

このチュートリアルを実行する前に、AcuConsole_tutorial_inputs.zip<<Altair_installation_directory>\hwcfdsolvers\acusolve\win64\model_files\tutorials\AcuSolveから作業ディレクトリにコピーします。 2DCable.x_t およびCABLE_EXAMPLE_MOD.nasをAcuConsole_tutorial_inputs.zipから取り出します。

問題の解析

CFDシミュレーションにおける重要なステップは、目前の工学的問題を調べ、AcuSolveに対して指定する必要のある重要なパラメータを決定することです。パラメータは、形状要素(入口、出口、壁など)に基づいて行うことができるとともに、流れの条件(流体プロパティ、速度、流れを乱流または層流のどちらでモデル化するのかなど)に基づいて行うことができます。

図1は、シンプルな2Dケーブルの問題を示しています。この問題では、内側円筒は1.46686Wの体積熱源を備えており、外側円筒と接触しています。外側円筒の外側サーフェスは20oC(293K)という温度に保たれています。この問題は、2つの同心円筒の間のシンプルな伝導解析の基盤となります。基本的な問題との唯一の違いは、FluxからAcuSolveへの体積損失を考慮に入れるため、熱源がFluxという別のソフトウェアを使用して計算され、AcuConsoleのEMag(Electromagnetic) Mangerを使用して提供されていることです。



図 1.
Fluxは、電磁コンポーネントをシミュレートして静的熱荷重を特定するために使用します。計算された熱荷重値はAcuSolveに渡されて、ソリッドボリューム上の体積熱荷重が定義されます。次にAcuSolveを使用して、次のようなソリッドコンポーネント周辺の流体の挙動を特定できます。
  • 流体の回転効果
  • 材料の特定のプロパティ(温度依存、非ニュートン)
  • 外側サーフェス上の対流

AcuSolveFluxと連成させることで、自然対流と強制対流の効果をさまざまな電気装置の熱計算に取り込むことができます。

解析パラメータの定義

AcuConsoleの起動とシミュレーションデータベースの作成

このチュートリアルでは、まずデータベースの作成、形状に依存しない設定の入力、形状の読み込み、ボリュームグループとサーフェスグループの作成、グループパラメータの設定、グループへの形状コンポーネントの追加、およびグループへのメッシュコントロールと境界条件の割り当てを行います。次に、メッシュを生成して、AcuSolveを実行し、指定された時間ステップの数だけ解析します。最後に、AcuFieldViewを使用して結果の一部の特性を可視化します。

次の手順では、AcuConsoleを起動して、シミュレーション設定を保存するためのデータベースを作成します。

  1. Windows のスタートメニューからスタート > Altair <バージョン> > AcuConsoleをクリックして AcuConsoleを起動します。
  2. Fileメニューをクリックし、Newをクリックし、New data baseダイアログを開きます。
    注: ツールバーの をクリックしてNew data baseダイアログを開くこともできます。
  3. 作業ディレクトリとして使用する場所に移動します。
    このディレクトリには、そのシミュレーションに関するすべてのファイルが保存されます。AcuConsoleのデータベースファイル(.acs)はこのディレクトリに保存されます。メッシュと解が作成されたら、追加のファイルとディレクトリがこのディレクトリ内に作成されます。
  4. この場所に新しいディレクトリを作成します。この名前をFlux_Couplingとし、これを開きます。
  5. データベースのファイル名としてCableを指定します。
  6. 保存をクリックしてデータベースを作成します。

一般的なシミュレーションパラメータの設定

次の手順では、シミュレーション全体に適用されるパラメータを設定します。単純にするため、Data Tree Manager内のBASフィルタを使用して、任意のシミュレーションに適用できる基本的な設定をフィルタできます。このフィルタにより、Data Tree内の使用可能な項目の小さなサブセットのみを表示できるようになり、エントリの移動が容易になります。

  1. Data Tree ManagerBASをクリックして、Data Tree内の基本ビューに切り替えます。


    図 2.
  2. GlobalData Tree項目をダブルクリックして拡張表示します。
    ヒント: 項目名の横にある をクリックしてツリー項目を拡張表示することもできます。


    図 3.
  3. Problem DescriptionをダブルクリックしてProblem Description詳細パネルを開きます。
    注: パネルフレームの右端をドラッグすることで、詳細パネルをデフォルトサイズから広げる必要がある場合があります。
  4. TitleとしてFlux Sequential Cosimulationと入力します。
  5. Sub titleとしてCable Exampleと入力します。
  6. Analysis typeをSteady Stateに変更します。
  7. Temperature equationをAdvective Diffusiveに設定します。
  8. Abs. temperature offsetを0Kに設定します。


    図 4.

解法パラメータの設定

次の手順では、解析の進行時にAcuSolveの挙動を制御するパラメータを設定します。

  1. Auto Solution StrategyをダブルクリックしてAuto Solution Strategy詳細パネルを開きます。
  2. Analysis typeがSteady Stateに設定されていることを確認します。
  3. Max time stepsを100に設定します。
  4. FlowフラグをOffにします。


    図 5.

材料モデルパラメータの設定

AcuConsoleには以下の3つの材料があらかじめ定義されています。標準的パラメータのAir、Aluminum、およびWater。次の手順では、この問題において必要なプロパティとなるInsulationと呼ばれる新規のソリッド材料タイプを作成します。
  1. Data TreeMaterial Modelをダブルクリックして拡張表示します。


    図 6.
  2. Material Modelを右クリックし、表示されたコンテキストメニューからNewを選択します。
    新しいエントリMaterial Model 1がData TreeのMaterial Model分岐の下に作成されます。
  3. Material Model 1をInsulationに変更します。
  4. Insulationをダブルクリックして詳細パネルを開きます。
  5. Solidをソリッドに変更します。
  6. 詳細パネルの各タブを移動しながら、Solidの材料特性を次のように設定します。
    1. Density:2702.0 kg/m3
    2. Specific Heat:908.0 J/kg-K
    3. Conductivity:0.8 W/m-K
  7. データベースを保存して設定のバックアップを作成します。これは、次のいずれかの方法で実行できます。
    • Fileメニューをクリックして、Saveをクリックします。
    • ツールバーの をクリックします。
    • Ctrlキーを押しながらSを押します。
    注: AcuConsoleで加えられた変更は、直ちにデータベースファイル(.acs)に保存されます。保存操作を実行すると、データベースがバックアップファイルにコピーされます。今後の変更内容を利用することを希望しない場合は、このバックアップファイルを使用して、その保存済み状態からデータベースを再読み込みすることができます。

形状のインポートとモデルの定義

形状のインポート

このチュートリアルの次のパートでは、形状をインポートします。この手順を完了するには、 2DCable.x_t の場所がわかっている必要があります。このファイルには、ParasolidASCII形式で形状に関する情報が含まれています。
  1. File > Importをクリックします。
  2. 2DCable.x_tを含むディレクトリを参照します。
  3. ファイル名のフィルタをParasolid File (*.x_t *.xmt *X_T …)に変更します。
  4. 2DCable.x_tを選択し、OpenをクリックしてImport Geometryダイアログを開きます。


    図 7.

    このチュートリアルでは、Import Geometryダイアログのデフォルト値を使用して形状を読み込みます。AcuConsoleを使用していた場合は、自身が変更した可能性のある設定を手動で変更して、図に示すデフォルト値と一致させてください。デフォルト設定を使用した場合は、CADモデルのボリュームはデフォルトのボリュームグループに追加されます。CADモデルのサーフェスはデフォルトのサーフェスグループに追加されます。このチュートリアルでは後ほどグループを操作して、新しいグループの作成、流れパラメータの設定、形状コンポーネントの追加、およびメッシングパラメータの設定を行います。

  5. OKをクリックして形状のインポートを完了します。
  6. 表示を回転してモデル全体を確認します。


    図 8.

    このチュートリアルでモデリングウィンドウに表示されるオブジェクトの色と、ユーザーの画面に表示されるオブジェクトの色は異なる場合があります。AcuConsoleのデフォルト配色は“ランダム”であり、作成されたグループに色がランダムに割り当てられます。また、このチュートリアルはWindows上で作成されました。このチュートリアルを異なるオペレーティングシステムで実行する場合は、画面に表示されるイメージとこのチュートリアルで表示されるイメージが多少異なる可能性があります。

ボリュームパラメータの適用

ボリュームグループは、ボリューム領域に関する情報を保存するためのコンテナです。これらの情報には、そのコンテナに関連付けられた形状ボリュームのリストや、材料モデルやメッシュサイズ情報などの属性が含まれます。

形状がAcuConsoleにインポートされたときに、すべてのボリュームは“デフォルトの”ボリュームコンテナに配置されました。

次の手順では、モデル内のボリュームごとにボリュームグループを作成し、ボリュームをそれぞれのボリュームグループに割り当て、デフォルトボリュームグループコンテナの名前を変更し、ボリュームグループごとに材料とその他の特性を設定します。

  1. Data Tree ManagerBASをクリックして、Data Tree内の基本ビューに切り替えます。
  2. ModelData Tree項目を拡張表示します。
  3. Surfacesを右クリックして、Display offを選択することにより、サーフェスの表示をオフにします。
  4. Volumesを拡張表示します。ボリューム名の横にある をクリックして、デフォルトボリュームコンテナの表示のオン / オフを切り替えます。
    注: Surfacesが表示されている場合は、サーフェスとボリュームが重なっている可能性があるため、表示を切り替えても何も変わらないことがあります。
  5. Volumesを右クリックして、Newを選択します。
  6. Volume1をSolidに変更します。
  7. デフォルトボリュームグループの名前をSolidHeatedに変更します。
  8. それぞれのボリュームをボリュームグループに割り当てます。
    1. Solidを右クリックして、Add toをクリックします。
    2. 下の図に示すボリュームを選択して、Doneをクリックします。


      図 9.
  9. 形状がAcuConsoleに読み込まれたときに、形状ボリューム全体がデフォルトボリュームグループに配置されました。このデフォルトサーフェスグループの名前はSolidHeatedにに変更されました。前の手順では、作成した他のさまざまなボリュームグループに対し、1つのボリュームを割り当てました。この時点で、残っているのはSolidHeatedのボリュームグループのみです。


    図 10.

サーフェスグループの作成とサーフェスパラメータの適用

サーフェスグループは、サーフェスに関する情報を保存するためのコンテナです。この情報には、解析およびメッシングパラメータや、パラメータが適用される形状内の対応するサーフェスが含まれます。

次の手順では、サーフェスグループを定義して、問題のさまざまな特性に適切な設定を割り当て、これらのグループコンテナにサーフェスを追加します。

  1. Volumesを右クリックして、Display offを選択することにより、Volumesの表示をオフにします。
  2. Data TreeSurfacesを拡張表示し、デフォルトのサーフェスコンテナーの表示をオンにします。
  3. Surfacesを右クリックして、Surface Managerを選択します。
  4. Surface Managerダイアログで、Newを6回クリックし、6つの新しいサーフェスグループを作成します。
  5. Simple BC Active列とSimple BC Type列が表示されていない場合は、Columnsをクリックして、リストからこの2つの列を選択し、Okをクリックします。
  6. デフォルトサーフェス以外のすべてのサーフェスの表示をオフにして、デフォルトサーフェスの名前をOuterWallに変更します。
  7. 下の表のように、他のサーフェスの名前を変更して、Simple BC Active列とSimple BC Type列を設定します。


    図 11.
  8. サーフェスをそれぞれのサーフェスグループに割り当てます。
    1. +ZInnerの行のAdd toをクリックします。
    2. 下の図に示す平面を選択して、Doneをクリックします。


      図 12.
    3. +ZOuterの行のAdd toをクリックします。
    4. 下の図に示す平面を選択して、Doneをクリックします。


      図 13.
    5. モデルを反対側に回転します。
    6. 同様に、-ZInnerと-ZOuterのサーフェスを選択します。


      図 14.


      図 15.
    7. InterfaceOuterのサーフェスを割り当てます。


      図 16.
    8. InterfaceInnerのサーフェスを割り当てます。


      図 17.
    9. 形状がAcuConsoleに読み込まれたときに、すべての形状サーフェスはデフォルトサーフェスグループコンテナに配置されました。このデフォルトサーフェスグループの名前はOuterWallに変更されました。前の手順では、いくつかのサーフェスを自分で作成した他のさまざまなサーフェスグループに割り当てました。この時点で、残っているのはOuterWallのサーフェスグループのみです。


      図 18.
  9. Surface Managerダイアログを閉じます。

ボリュームパラメータの割り当て(要素材料特性)

この手順では、シミュレーション全体に適用されるボリュームグループに要素材料特性を設定します。
注: Data Tree ManagerでBASに切り替える必要があります。

Solid

  1. Data Tree内でsolidボリュームグループを拡張表示します。
  2. Solidの下で、Element SetをダブルクリックしてElement Set詳細パネルを開きます。
  3. MediumをSolidに変更します。
  4. Material modelをInsulationに変更します。
  5. 残りのパラメータはそのままにします。


    図 19.

SolidHeated

SolidHeatedグループでは、Solidグループと同じ設定が使用されます。同じ手順を繰り返さなくてすむように、以下のようにしてこのグループに設定を伝播させることができます。

  1. ツリー内でSolidボリュームグループを拡張表示します。Solidの下のElement Setを右クリックして、Propagateを選択します。
  2. ポップアップウィンドウからSolidHeatedボリュームグループを選択して、Propagateをクリックします。
    注: 設定が正しく適用されたことを確認するには、SolidHeatedグループを拡張表示して、要素セットの条件を照合確認します。

サーフェスパラメータの割り当て(境界条件)

次の手順では、シミュレーション全体に適用されるサーフェス境界条件を設定します。設定を簡素化するため、Data Tree Manager内のBC フィルタを使用して、任意のシミュレーションに適用可能な境界条件をフィルタできます。

OuterWall

OuterWallグループは、伝導が生じる壁を定義します。

  1. Data Treeで、OuterWallサーフェスグループを拡張表示します。
  2. Simple Boundary Conditionをダブルクリックして、Simple Boundary Condition詳細パネルを開きます。
  3. TypeがWallに設定されていることを確認します。
  4. Temperature BC typeをValueに設定します。
  5. Temperatureを293.0Kに設定します。


    図 20.

残りのグループ

  1. Data Treeで、+Zinnerサーフェスグループを拡張表示します。
  2. このサーフェスのSimple Boundary Conditionを無効にします。

    残りのグループではすべて、+ZInnerと同じ設定が使用されます。同じ手順を繰り返さなくてすむように、設定を伝播させることができます。

  3. +ZInnerの下のSimple Boundary Conditionを右クリックして、Propagateを選択します。
  4. ポップアップウィンドウでOuterWall以外のすべてのグループを選択して、Propagateをクリックします。


    図 21.
    注: 設定が正しく適用されたことを確認するには、他のサーフェスグループを拡張表示して、境界条件を照合確認します。

変数リストの定義

  1. メインツールバーで、Variable Listアイコンをクリックします。
    図 22.
    ヒント: Edit > Variable Listの順にクリックすることもできます。
    Variable Managerダイアログが開きます。
  2. Addを6回クリックします。
  3. 以下に示すNameとExpressionのデータを使用して6つの変数を作成してから、Closeをクリックします。


    図 23.
    注: Expression列に等号(=)またはコロンと等号(:=)を入力してから、式を入力します。この式が有効となるのは、これら2つの記号のいずれかを入力した場合のみです。等号(=)を入力した場合は、この式の値は定義された時に計算されて使用され、コロンと等号(:=)を入力した場合は、いずれかの相対変数が変更されると、この式の値が再計算されます。

    LrVQという変数はそれぞれ、円筒の長さ、半径、円筒サーフェスの面積、および熱流束を表します。

メッシュコントロールの割り当て

グローバルメッシュ属性の設定

問題全体に対して流体特性を設定したので、十分に細分化されたメッシュを生成する必要があります。

グローバルメッシュ属性は、特定の形状ボリューム、サーフェス、エッジ、およびポイントに参照されるのではなく、モデル全体に適用されるメッシングパラメータです。モデルの特定の形状コンポーネントのメッシュ生成コントロールを作成するには、ローカルメッシュ属性を使用します。

次の手順では、グローバルメッシュ属性を設定します。

  1. データツリーマネージャーMSHをクリックして、Data Tree内の設定をフィルタ処理して、メッシングに関するコントロールのみを表示します。
  2. GlobalData Tree項目を拡張表示します。
  3. Global Mesh AttributesをダブルクリックしてGlobal Mesh Attributes詳細パネルを開きます。
  4. Mesh size typeをAbsoluteに変更します。
  5. Absolute mesh sizeに:=drを入力します。
  6. Mesh growth rateを1.2に変更します。


    図 24.

ボリュームメッシュ属性の設定

ボリュームメッシュ属性は、特定のボリュームに適用されるメッシングパラメータです。ボリューム上のメッシュサイズを制御して、Curvature angleやCurvature mesh size factorなどのCurvature refinement parametersを定義できます。

次の手順では、ボリュームメッシュ属性を設定します。

  1. Model Data Treeを拡張表示してから、Volumesを拡張表示します。
  2. Solidボリュームを拡張表示し、Volume Mesh Attributesチェックボックスをアクティブにします。
  3. 詳細パネルで、Absolute mesh sizeを:=drに変更します。


    図 25.
    注: :=dr は、以前にVariables Managerで定義した変数drの値を表します。これは、Solidボリュームグループの絶対メッシュサイズが0.0001mであることを意味します。
  4. SolidHeatedボリュームグループでは、Solidグループと同じメッシュパラメータが使用されます。同じ手順を繰り返し行うことを避けるために、Solidグループの設定を伝播させることができます。
    1. Solidボリュームグループを拡張表示します。
    2. Volume Mesh Attributesを右クリックし、Propagateを選択します。
    3. ポップアップウィンドウでSolidHeatedグループを選択し、Propagateをクリックします。

サーフェスメッシング属性の設定

サーフェスメッシュ属性は、モデル内の特定のサーフェスに適用されます。これは、1つまたは複数の特定のサーフェスのためのメッシュコントロールの作成に使用される、ローカルメッシングパラメータの一種です。

サーフェスメッシュ属性などのローカルメッシュ属性は必ずしも設定する必要ありません。あるコンポーネント用のローカルメッシュ属性が見つからなかった場合は、グローバル属性がそのコンポーネントのメッシュ生成コントロールとして使用されます。ローカルメッシュ属性が存在する場合は、グローバル設定より優先されます。

次の手順では、サーフェスメッシング属性を設定します。

  1. データツリーマネージャーMSHをクリックして、Data Tree内の設定をフィルタ処理して、メッシングに関するコントロールのみを表示します。
  2. Data TreeModelを拡張表示してから、Surfacesを拡張表示します。
  3. InterfaceInnerを拡張表示し、Surface Mesh Attributesチェックボックスを有効にします。
  4. 詳細パネルで、Boundary layerフラグをOnに設定します。
  5. ResolveをNumber of Layersに変更します。
  6. First element heightを:=firstLayerに設定します。
  7. Total layer heightを:=drに設定します。
  8. Growth rateを1.2に設定します。


    図 26.
  9. サーフェスグループのInnterfaceOuterとOuterWallの設定はInterfaceInnerグループと同じになります。同じ手順を繰り返し行うことを避けるため以下の設定を行います。
    1. Interfaceinnerの下のSurface Mesh Attributesを右クリックし、Propagateを選択します。
    2. ポップアップウィンドウからInterfaceOuterとOuterWallグループを選択し、Propagateをクリックします。

メッシュ押し出しの定義

メッシュ押し出しは、ボリューム全体にまたはサーフェス上のみに構造化メッシュを生成できる機能です。この機能は、サーフェス上のメッシュを別のサーフェスに押し出し、他のメッシング機能と組み合わせて使用することもできます。このケースでは、内側と外側の両円筒の長さ方向に沿って、一方の端から他方の端までメッシュを押し出します。

メッシュ押し出しには、Modelツリーからアクセスできます。

  1. Mesh Extrusionsを右クリックし、Newをクリックし、このステップを繰り返します。
  2. Mesh Extrusion 1とMesh Extrusion 2の名前をそれぞれZInnerZOuterに変更します。
  3. ZInnerをダブルクリックします。
    Mesh Extrusion Dialog Boxが開きます。
  4. Geometry typeがsurfaceになっていることを確認します。
  5. Side 1のドロップダウンメニューから-ZInnerを選択します。
  6. Side 2のドロップダウンメニューから+ZInnerを選択します。
  7. Extrusion optionsをAll tetsに変更します。


    図 27.
  8. OKをクリックし、ダイアログを閉じます。
  9. 同様に、ZOuterについても同じ手順を繰り返します。最終的なダイアログは下の図のようになるはずです。


    図 28.

メッシュの生成

次の手順では、問題の解を計算する際に使用されるメッシュを生成します。

  1. ツールバーの をクリックしてLaunch AcuMeshSimダイアログを開きます。
    このケースでは、デフォルトの設定を使用します。
  2. Okをクリックしてメッシングを開始します。

    メッシング時に、AcuTailウィンドウが開きます。メッシングの進行状況はこのウィンドウで報告されます。メッシングプロセスのサマリーで、メッシュが生成されたことが示されます。



    図 29.
    注: 節点と要素の実際の数およびメモリ使用量は、マシンによって少し異なる場合があります。
  3. モデリングウィンドウにメッシュを表示します。サーフェスの表示をオンにして、display typeをsolid and wireに設定します。
  4. さまざまなメッシュ領域を解析するには、モデル内で回転やズームを行います。

解の計算と結果の確認

Electromagnetics Managerを使用した熱損失の伝達

Electromagnetics Managerは、EMag(Electromagnetics)出力ファイルからCFDメッシュ内の適切な要素セットに電気機械的な熱損失を伝達することを目的としたツールです。Fluxは、電気装置の開発と設計で使用されるシミュレーションソフトウェアです。このソフトウェアに組み込まれたシミュレーションテクノロジによって、複雑な形状、各種材料プロパティ、電磁場の中心の熱および構造など、幅広い物理現象を正確に解析できます。データの伝達先であるCFDメッシュの要素セットと電磁気解析メッシュは、サイズと座標が同じである必要があります。

このケースでは、熱荷重はElectromagneticsソフトウェアによってすでに計算されており、.nas(NASTRAN)ファイルの形式でCFDメッシュにインポートされています。この値は入力ファイルによって直接提供されるため、ユーザーが計算する必要はありません。次の手順では、Electromagnetics Managerを使用してこの.nasファイルをインポートする方法を学習します。

注: Fluxの値をCFDメッシュにインポートする前に、.nasファイルが作業ディレクトリ内にあることを確認してください。
  1. メインツールバーから、Electromagnetics Managerのアイコン をクリックします。
    ヒント: Tools > Electromagnetics Managerの順にクリックすることもできます。
    Electromagnetics Managerダイアログが開きます。
  2. Addをクリックします。
  3. 名前をSPM Motor 1からFluxに変更します。
  4. Importの横のOpenをクリックします。作業ディレクトリからCABLE_EXAMPLE_MOD.nasを選択し、Openをクリックします。
    これにより、Flux Total Heat Sourceが開かれて、合計熱源と時間ステップの関係を示すプロットと、下部に平均ステップデータが表示されます。


    図 30.
  5. OKをクリックし、ダイアログを閉じます。
  6. Transfer to Element Setの横のTransferをクリックします。
    これにより、Volumesダイアログが開きます。
  7. SolidHeatedを選択して、OKをクリックします。


    図 31.
  8. Closeをクリックして、Electromagnetics Managerを閉じます。
  9. 熱源がSolidHeatedボリュームグループに正しく適用されたことを確認するには、Element Setを確認します。
    1. Data Tree ManagerBASに切り替えます。
    2. Volumesの下でSolidHeatedを拡張表示します。
    3. Element SetをダブルクリックしてElement Set詳細パネルを開きます。
    4. Open Arrayをクリックします。
      該当する節点IDについて熱源が更新されます。


      図 32.

      Element Set詳細パネルでTotal heat sourceが更新されていることも確認できます。

    5. OKをクリックして、Array Editorを閉じます。

AcuSolveの実行

次の手順では、AcuSolveを起動してこのケースの解を計算します。

  1. ツールバーでをクリックしてLaunch AcuSolveダイアログを開きます。
  2. Okをクリックして解析プロセスを開始します。

    計算中、AcuTailウィンドウが開きます。解析の進行状況はこのウィンドウで報告されます。解析プロセスのサマリーで、実行が完了したことが示されます。

    このサマリーで提供される情報は、AcuSolveで使用されるプロセッサの数に基づいています。このチュートリアル内で示されている数と異なる数のプロセッサを使用した場合は、示されているサマリーと実行時のサマリーが少し異なる場合があります。



    図 33.
  3. AcuTailウィンドウを閉じ、データベースを保存して設定のバックアップを作成します。

AcuFieldViewでの結果の表示

計算が終了したので、AcuFieldViewを使用して流れ場を表示する準備ができました。AcuFieldViewは、AcuSolveに緊密に統合されたサードパーティ製のポスト処理ツールです。AcuFieldViewAcuConsoleから直接開始できますが、スタートメニューやコマンドラインから開始することもできます。このチュートリアルでは、AcuSolveによって解が計算された後に、AcuConsoleからAcuFieldViewを開始します。

以下のステップでは、AcuFieldViewを起動し、温度を表示する境界サーフェスを作成し、温度とモデルの半径のグラフを表示します。

AcuFieldViewの起動

  1. AcuConsoleツールバーで をクリックしてLaunch AcuFieldViewダイアログを開きます。
  2. OkをクリックしてAcuFieldViewを起動します。
    AcuConsoleからAcuFieldViewを起動するときには、ディスクに書き込まれた、解析の最後の時間ステップの結果が、ポスト処理のために読み込まれます。

サーフェス上の温度を示す境界サーフェスの作成

  1. Viewer Optionsをクリックします。


    図 34.
  2. Viewer Optionsダイアログで:
    1. Perspectiveを選択解除して、遠近法表示をオフにします。
    2. Axis Markersをクリックして、 軸マーカーを無効にします。
    3. Closeをクリックします。
  3. ツールバーで、Colormapアイコン をクリックします。
  4. Scalar Colormap SpecificationダイアログでBackgroundをクリックし、Whiteを選択します。
  5. Scalar Colormap Specificationダイアログを閉じます。
  6. ツールバーでToggle Outlineアイコン をクリックし、輪郭表示をオフにします。
    画面は次のようになります。


    図 35.
  7. Boundary Surfaceダイアログで、ColoringがScalarに設定されており、すべてのBoundary Typesが選択されていることを確認します。
  8. Display TypeをConstantに設定します。
  9. Show Meshの横のチェックボックスを非アクティブにします。
  10. ツールバーでをクリックし、Defined Viewsダイアログを開きます。
  11. +Zを選択し、Closeをクリックします。
  12. Boundary SurfaceダイアログのColormapタブをクリックしてから、Localチェックボックスを選択し、選択したサーフェスの温度値の局所範囲を表示します。
  13. Max tempを304.8Kに、Min tempを293.0Kに変更します。
  14. Legendタブをクリックして、Show LegendFrameのチェックボックスをアクティブにします。
  15. Subtitle textに温度の単位として(K)を入力します。
  16. Labels、Annotation 、Subtitleの色を黒に変更します。
    ヒント: 凡例は、Shiftキーを押しながら左クリックすることにより、移動できます。


    図 36.

温度と半径の関係を示すXYプロットの作成

ここでは、プロットを作成して、2つの円筒の間で温度が半径方向に沿ってどのように変化するのかを確認します。そのために、これらの円筒の半径方向の断面に沿って2つのポイントを設定します。次の図は、内側円筒から外側円筒への半径方向に沿った2つのポイントを示しています。


図 37.
  1. Visualizationツールバーから、Plotアイコン をクリックします。
    2D Plot ControlsダイアログとPlot Displayダイアログが開きます。
  2. 2D Plot ControlsダイアログのPlotタブで、Createをクリックします。
  3. Left Axis Functionにtemperatureを選択します。
  4. Pathsタブで、Createをクリックして、Line Path (volume)...を選択します。
  5. Edit Pointsダイアログで、2つのポイントの座標値を次のように入力します。


    図 38.
  6. CalculateOKの順にクリックして、ダイアログを閉じます。
    Plot Displayダイアログが更新されます。


    図 39.
  7. 2D Plot ControlsダイアログのPlotタブに戻り、Horizontal Axis/Plotting DirectionをYに変更します。ポップアップ警告でOKをクリックします。
  8. Axesをクリックします。
    Horizontal Axisダイアログが開きます。
  9. Horizontal Axisダイアログで、次の操作を実行します。
    1. LabelをRadius (m)に変更します。
    2. Min valueを0.002に変更します。
    3. Max valueを0.003に変更します。
    4. Majorの横のUnit valueを0.0002に変更します。


    図 40.
  10. Left Axisタブをクリックします。
  11. LabelをTemperature (K)に変更します。
  12. Max valueを305に、Majorの横のUnit valueを2に変更します。


    図 41.
  13. Closeをクリックします。
    Plot Displayダイアログが再び更新されます。


    図 42.

要約

このチュートリアルでは、2Dケーブル問題の定常状態シミュレーションを設定するための基本的なワークフローに取り組みました。この問題は、内部のソリッドボリュームに熱源が設けられる通常の熱伝導問題として設定されました。チュートリアルは、AcuConsoleでデータベースを作成し、形状をインポートしてメッシュ処理し、基本的なシミュレーションパラメータを設定することから始めました。ケースが設定されると、AcuSolveを使用して解が生成されました。データセットを読み込んで、形状全体に温度コンターを表示することで、AcuFieldViewで結果のポスト処理も行いました。このチュートリアルで紹介した新機能は、SolidHeatedボリュームに適用された熱荷重が含まれたNastranファイルのインポートに使用されたElectromagnetics Manager、単一のパネルですべての変数を定義するためのVariable Manager、任意のサーフェスから別のサーフェスへの長さ方向のメッシュ押し出し、AcuFieldViewでのデータセットの読み込み、およびAcuFieldViewでの2Dプロットの作成です。