OS-T: 1393 接触プロパティとデバッギングの基礎

本チュートリアルでは、Contact Stabilization、Contact ClearanceおよびContact Adjustmentを使用した場合の影響について説明します。

モデルは2つの円形パートで構成されており、内側のパートは加熱、外側のパートは冷却され、2つの間の接触に至っています。

初期モデルでは収束に失敗し、接触の安定化を利用することで収束を達成することができることが示されます。また、ClearanceやAdjustなどの接触の設定の定義が示されます。本チュートリアル内の演習項目は:
  • HyperMeshの起動とモデルの読み込み
  • 摩擦を伴う接触プロパティの定義
  • モデルの実行と収束問題の発生
  • 接触の安定化による収束問題の解決
  • Contact ClearanceおよびContact Adjustmentの定義
  • HyperViewでの結果の比較

os_1393_model
図 1. モデルのイラスト

HyperMeshの起動とOptiStructユーザープロファイルの設定

  1. HyperMeshを起動します。
    User Profilesダイアログが現れます。
  2. OptiStructを選択し、OKをクリックします。
    これで、ユーザープロファイルが読み込まれます。ユーザープロファイルには、適切なテンプレート、マクロメニュー、インポートリーダーが含まれており、OptiStructモデルの生成に関連したもののみにHyperMeshの機能を絞っています。

モデルの読み込み

  1. File > Import > Solver Deckをクリックします。
    Importタブがタブメニューに追加されます。
  2. File typeにOptiStructを選択します。
  3. Filesアイコンfiles_panelを選択します。
    Select OptiStruct Fileブラウザが開きます。
  4. 自身の作業ディレクトリに保存したcontact_S2S.femファイルを開きます。モデルファイルへのアクセスをご参照ください。
  5. Open をクリックします。
  6. Import、続いてCloseをクリックし、Importタブを閉じます。

    疲労解析のセットアップの大筋は、以下のステップで得られます。

モデルのセットアップ

PCONTプロパティの作成

ベースモデルには、材料、プロパティ、境界条件および荷重ステップが含まれています。接触サーフェスと接触インターフェースも定義されています。

摩擦を定義するためにPCONTプロパティが作成され、すでに作成されている接触インターフェースに参照されます。

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Expand Allを選択します。
  2. Modelブラウザを右クリックし、Create > Propertyを選択してPCONTプロパティを作成します。
  3. Nameにcont_propと入力します。
  4. Card Imageの横にあるドロップダウンメニューをクリックし、PCONTを選択します。
  5. MU1欄で、静的摩擦係数として値0.2を指定します。

    os_1393_pcont
    図 2. 接触プロパティの定義
  6. Modelブラウザで、インターフェースcontact_interfaceを選択します。
  7. Property optionの横にあるドロップダウンメニューをクリックし、Property Idを選択します。
  8. PIDにcont_propプロパティを選択します。

ジョブのサブミット

  1. AnalysisページからOptiStructパネルに入ります。

    OS_1000_13_17
    図 3. OptiStructパネルへのアクセス
  2. input file欄に続くsave asをクリックします。
    Save Asダイアログが開きます。
  3. OptiStructモデルファイルを書き出すディレクトリを選択し、File name欄にモデルの名称contact_S2S.femを入力します。
    OptiStruct入力ファイルには、拡張子 .femが推奨されます。
  4. 保存をクリックします。
    input file:欄には、contact_S2S.femファイルの名称と位置が表示されるようになりました。
  5. export optionsのトグルをallにセットします。
  6. run optionsのトグルをanalysisにセットします。
  7. memory optionsのトグルはmemory defaultにセットします。
  8. OptiStructをクリックします。これでOptiStructジョブが起動します。
    ジョブが正常に終了すると、入力ファイルが書き出されたディレクトリ内にいくつかの新しい結果ファイルが現れます。何らかのエラーがある場合、contact_S2S.outファイルでデバッグを手助けするエラーメッセージを探してください。

    このモデルでは、収束の問題が発生し、ジョブエラーが発生することにご留意ください。次のセクションでは、モデルが収束するためのさまざまな接触設定について説明します。

接触の安定化の追加

このモデルの非線形性は接触のみによるものであるため、収束の問題を解決するには、接触の安定化を追加することが良策です。これは、本チュートリアルのように構造の一部が接触により固定されている場合に特に有効です。
  1. Setup > Create > Control Cardsをクリックします。
  2. PARAMを選択し、EXPERTNLの横のボックスにチェックを入れます。
  3. CNTSTBを選択し、接触の安定化をアクティブ化します。
    注: 接触の安定化は、サブケースで参照できるCNTSTBバルクデータエントリを介してアクティブ化することも可能です。この方法は、接触の安定化を定義するためのより多くのオプションを提供します。
  4. ジョブのサブミットを、新しいファイル名contact_CNTSTB.femで繰り返します。

    os_1393_param_exprtnl
    図 4. PARAM,EXPERTNL,CNTSTBの作成
    注: 接触の安定化の存在下で、モデルは正常に収束します。

Clearanceの追加

ここで、Contact Clearanceの影響がモデルに示されます。
  1. Modelブラウザで、cont_propを選択します。
  2. Entity EditorでCLEARANCEの横の欄をクリックし、0.1と入力します。
    Clearanceは、これを達成するために節点が移動されない場合、節点の実際の位置にかかわらず、サーフェス間のギャップを選択された実数値に内部的に設定します。

    os_1393_cont_prop
    図 5. PCONTを介した接触プロパティの定義
  3. ジョブのサブミットを、新しいファイル名contact_clearance.femで繰り返します。

AUTO Adjustの追加

ここで、Adjustの影響がモデルに示されます。Clearanceの追加で定義されたClearanceが削除されます。
  1. Modelブラウザで、プロパティcont_propを選択します。
  2. CLEARANCEの横の欄をクリックし、先に入力した値0.1を消去します。
  3. Modelブラウザで、インターフェースcontact_interfaceを選択します。
  4. ADJUSTの横の欄をクリックし、AUTOを選択します。

    os_1393_cont_interf
    図 6. ContactインターフェースのADJUSTの定義

サーフェススムージングの適用

ジョブのサブミットを、新しいファイル名contact_adjust.femで繰り返します。

結果の表示

Displacements、Element Stresses、Contact Force、Contact Deformation、Contact StatusおよびContact Tractionが計算され、HyperViewContourパネルを使ってプロットすることができます。

Contact Tractionの比較

異なるケース間のContact Tractionを比較します。
  1. HyperViewを起動します。
  2. page window layoutアイコンをクリックし、ページを3つのウィンドウに分割します。
  3. fileImportModel-24をクリックし、1つのウィンドウに最初のモデルを読み込みます。
  4. モデルと結果にcontact_CNTSTB.h3dを選択します。
  5. Applyをクリックします。
  6. 残りの2つのウィンドウにもcontact_clearance.h3dcontact_adjust.h3dを選択して同様にします。
  7. 3つのウィンドウのうちの1つでContourツールバーアイコンresultsContour-16をクリックします。
  8. Result typeにContact Traction/Normal(s)を選択します。
  9. Applyをクリックします。

    os_1392_contour_plot
    図 7. HyperViewのContour Plotパネル
  10. Entity Editorで、構造のouterパートの選択を解除します。
    接触サーフェスの結果のみが表示されるようになります。
  11. コンターを表示しているウィンドウ内を右クリックし、Apply Style > Current Page > All selectedを選択して、すべてのモデルについて同じ結果を確認します。

    os_1392_apply_style_menu
    図 8. 1つのウィンドウの設定をページの残り部分に適用
  12. 法線方向の接触力のコンタープロットが、両方の実行について表示されます。
    安定化のみを使用したモデルと比べて、ClearanceとAdjustを用いたモデルの力は、より均等になっています。また、これら3つのモデルでは、ピークは大幅に低くなっています。Adjustの場合は、ギャップが当初閉じており、その他のケースに比べて、応力発生なしでの熱膨張の余地が少なくなります。したがって、このケースの接触力は、Clearanceを使用した場合に比べて大きくなります。

    os_1393_contact_traction
    図 9. 3つの異なるランにおける法線方向の接触力のコンター