スポット溶接のモデル化には、以下の3つの方法があります:
- 節点結合
- スプリング(/PROP/TYPE13)結合
- ソリッド結合
スプリング(/PROP/TYPE13)結合とソリッド結合は、ボルトまたは接着結合をモデル化することもできます。
節点結合
1つのインターフェース TYPE2で最初のサーフェースをメイン側として2番目のサーフェースのある節点をセカンダリ節点とする方法: この方法では、メインサーフェスのメッシュをスポット溶接位置から独立させることができます。メインサーフェスでのアワグラスの問題は無くなります。2番目のシェルで、サーフェスメッシュがスポット溶接位置とアワグラスを考慮しなければならない問題は残ります。このモデル化アプローチの主な問題は、結合の非変形性とその無限の強度となります。

図 1. 2つのシェルサーフェス間の結合の例
スプリング(/PROP/TYPE13)結合
2つのタイドインターフェースとスプリングを用いる方法: 2つのタイドインターフェースの利用は完全に対称な方法で、2つのサーフェスのメッシュは自由になり、アワグラスを回避することもできます。スポット溶接はビームタイプスプリング要素を用いてモデル化されます。要素はシェル要素には結合されていない独立節点を用います。2つの節点のうち1つは最初のサーフェス上(または近く、正確にシェルの上(距離0)に位置する必要はありません)に配置し、2番目の節点は2番目のサーフェス上に配置します。1つのタイドインターフェースが1つのスプリングの節点を最初のサーフェスに結合し、2番目のタイドインターフェースが同様に2番目のサーフェスに結合します。

図 2. スポット溶接のモデリング
この方法を用いたスポット溶接の生成は、別の適切な手法で、このアプローチでは結合位置はシェルのメッシュから独立させることができます。スポット溶接プロパティがスプリングタイプ13に直接入力されるため正確です。以下は、スポット溶接をモデル化するためのスプリングタイプ13の基本的な入力です。

図 3. スプリングタイプ13 - スポット溶接のための典型的な入力
加えて、スポット溶接の破断をモデル化する2つの方法があります:
- スプリングタイプ13の破壊基準を使用。詳細については、/PROP/TYPE13 (SPR_BEAM)の破壊基準のコメントを参照のこと。
- タイドコンタクト(タイド接触(/INTER/TYPE2))のSpotflag= 20、21または22を使用。
注: スポット溶接のモデル化テクニックは、溶接線、ヘム、接着、ボルトといった他の結合にも用いることができます。ボルトのモデル化ではタイドインターフェースの利用は必要ではなく、シェルの節点を直接剛体に入れて結合することができます。

図 4. 接着とボルトのモデル化の例
注: タイドインターフェースでは、セカンダリ節点の質量はメイン節点に伝達されます。Spotflagが1にセットされた場合、セカンダリ節点の慣性はメイン節点への質量の追加により等しく分配され、その慣性は(メインサーフェス中心で)セカンダリ節点の慣性と等しくなります。メインサーフェスが完全に正方形の場合、付加節点は次のように計算されます:
-
-
: 付加質量
- L: メイン節点とその中心の距離
-
: セカンダリ節点の慣性
セカンダリ節点の慣性が現実的なものである限り、付加される節点は非常に小さくなります。セカンダリ節点がメインサーフェスから距離がある場合、大きな質量増加が見られます。理想状態はセカンダリ節点がメインサーフェスの丁度中心にある場合です。そうでない場合、セカンダリ節点はシェルのサーフェス中心で慣性を持つことになります:
-
-
-
- セカンダリ節点の質量
-
- セカンダリ節点とその中心の距離
-
- : セカンダリ節点の慣性
結果として、新しい付加質量がメイン節点に付加され、これにより新しい付加質量による慣性がセカンダリ節点が中心からずれていることによる慣性と等しくなります。
(1)
Spotflag=0の場合、セカンダリ節点の慣性がメイン節点に伝達されるため、付加質量は有りません。付加された慣性が大きすぎると精度の深刻な低下を招きます。
ソリッド結合
8節点の3次元ソリッド要素(
/PROP/TYPE43)と/
MAT/LAW59+
/FAIL/CONNECT(または
/MAT/LAW83+
/FAIL/SNCONNECT)を使用してソリッドスポット溶接をモデリングすると、より正確な結果を得られる場合があります。
- 3次元ソリッド要素は/PROP/TYPE43を使用し、平面(1、2、3、4)と平面(5、6、7、8)の間のせん断面に4つの積分点があります。法線方向tの積分点この要素には時間ステップ自体はなく、その安定性は節点結合で保証されます。したがってスポット溶接の厚みは非常に小さくすることができます。この特性は接着のモデリングに非常に便利です。

図 5.
- INTER/TYPE2は、ソリッドスポット溶接と上下2つのメインサーフェスを結合するために使用されます。
- このモデリングでは、ソリッドスポット溶接に/MAT/LAW59+/FAIL/CONNECT(または/MAT/LAW83+/FAIL/SNCONNECT)を使用できます。
- /MAT/LAW59は垂直応力とせん断応力の曲線(ひずみ速度依存)を定義し、材料特性を記述します。
- /FAIL/CONNECT伸長基準やエネルギー基準を使用してスポット溶接の破壊を記述することもできます。
- 破壊は、挙動タイプにより法線相対変位またはせん断相対変位に達すると発生します: 非連成破壊(Ifail=0: 1方向性破壊) (2)
ここで、法線方向についてはi = 33、接線方向については13または23
- 連成破壊(Ifail=1: 多方向破壊) (3)
要素の削除は、Isolid=1の場合は1つの積分点が破壊基準に達したとき、Isolid=2の場合はすべての積分点が破壊基準に達したときに発生します。
- 剥離荷重および複合モードの荷重ケース(30°や 60°の荷重など)に適合させるには、/MAT/LAW83でαおよび
を使用します。
- /FAIL/SNCONNECTでは、損傷発生時の塑性の伸び対塑性の伸び率、法線方向とせん断方向の破壊が定義されます。